男と男のタイマン勝負! 大VS英 |
脚本:山口亮太 演出:中尾幸彦 作画監督:竹田欣弘 |
一方、人間界には突然クレニアムモンが現れた。戦う決意をした知香がピヨモンと共に敢然と立ち向かうも、
騎士は敵意を見せない。バンチョーレオモンを前に、その冷徹なマスクの下で何かが燃え上がっていた。
大の説得にまったく耳を貸さぬ英=イグドラシル。周囲に張り巡らされたバリアのために、触れることすらできない。
自分の拳は届かないのか……奈落に突き落とされ、さしもの大も観念しかけたとき、父の声がした。
その声に励まされ、今まで以上のデジソウルを発揮する大。自分のためだけではなく、仲間たちのためにも退けない。
トーマたちのフォローで再度大樹の頂点へ舞い上がり、大はついに想いをこめた拳を決める!
だが、肉体に傷をつけられたイグドラシルは逆上するばかりだった。なぜ息子のかたい決意がこうも届かないのか?
そこに、デジタルワールドを支えていたはずのバンチョーレオモンが現れる。クレニアムモンが身代わりとなっていたのだ。
今、驚天動地の真実が語られようとしている!
★全体印象
45話です。
今回の流れもわりにシンプルで、登って落ちてもっかい登って殴るまでがおおまかなところ。
あいまにピヨモンと知香の関係が大きく進んではいますが、相手にやる気がないのでやや空回りというか肩透かし。
隊長もパートナーがいないし、出てきたのがクレニアムモンでラッキーだったと言えばそうなのですけど。
というか尺からしてスレイプモンとデュークモンは本当にあれっきりなのではという気すらしてきました。
そしてここであっさりバンチョーが復帰してくるとは……。
ラストへ向け、まずは必須といえる親子対決を入れた感じですね。本人ではなかったことが判明した後じゃ無理だし。
次回でまた、やっぱり父さんはとてつもなくでかい男だったということが語られるのでしょう。たぶん。
竹田氏の作画はもうとめどもなく暴走しています。
ロゼモンの胸はぶるんぶるん揺れまくるし知香がやたらとエロエロだし、どうしたらいいのか。
突き抜けっぷりが02のときよりさらにグレードアップしてます。絵柄に大きな違いがあるから一概には比べられませんが。
脚本は構成の山口氏。ここから先は全部まかせろくらいの勢いなのでしょうか。
★各キャラ&みどころ
・大
結構いろんな顔を見せていました。ギャグだったり真剣だったり泣いたり燃えたり。
父親を前にしたときはさらに複雑な顔を見せたりもして、どれだけ強い思慕を寄せていたかがよくわかります。
それだけに、ひとりで突っ走りがちになってしまうのもやむを得ないところではあるのですが…
初期クールや倉田篇とちがうのは仲間たちが大のそういう性格やこだわりを知っていて突っ走らせており、
その上でフォローを入れてくれる存在へ本当の意味でなってくれているということ。
これはけっこうな期間苦楽をともにし、時には対立もして互いを知り尽くしたからこそできることなのでしょう。
そして文字通り仲間に背中を押され、彼は神に、父親に一矢を報いました。
真の漢とは決してひとりだけで強いのではなく、多くの友や仲間と力を合わせることにより、
結果として何倍もの力を出せる存在のことを言うのでしょう。
力を合わせる、というテーマは漢の意義にもかかわってくる話なんですね。
・アグモン
今回は見てるだけ。一回進化しかけましたが地形の関係で出番保留です。
次回も回想中心でしょうから、本格バトルは47話から?
・淑乃組
直衛システム相手に奮闘してましたが、相手にたいして強いイメージが無いのでさほど苦戦はしてるように見えません。
防衛のためにロイヤルナイツが何人かでも残っていれば別でしょうが、それではやはり尺がもたないか。
しかしいくらなんでも手薄すぎませんかロイヤルナイツ。そりゃ、人間界を消すのは彼らにとっても大仕事ですけど…。
淑乃自身については、ちゃっかり者という基本設定がまた活きる言動をしてます。
・トーマ組
いきなり大をはたき落とさせたときは笑いましたが、冷静に考えると結構ひでえことしてます。
それでも、まあ大とアグモンならこのくらい平気だろうと考えてしまうあたりこれもこの作品のノリですな。
でもさすがに「撃て!」は「ちょちょっ、ちょっと待てー」とツッコミ入れましたが。
なんかこのセリフ、マッドビデオで使われそうです。「古代、波動砲で撃て!!」みたいに(またわかりづらいネタを…)。
思わず躊躇してしまうミラージュガオガモンが可愛らしい。そりゃあ迷いますわな、芝居はもう無しなんだし。
全体的に今回はいつにも増して面白い人たちでした。
・イクト組
野生のカン?であっさり入り口を見つけたり、戦闘ではロゼモンとフォローしあったりあれこれ活躍してます。
ブーメランの威力がえらいことになっていてむしろ笑いました。デジソウルでも篭ってたんでしょうか。
兄貴がああなので「イクトも強くなってるんだろう」で済むあたりなんというか。
相方どうし、ふたりして物陰からぴょこんと顔を出している姿が愛らしいです。
・知香
ラスト手前にして、ついにピヨモンとともに戦う決意をしました。
最終話の終わり数分でDATS隊員候補になっていたとしても、ぜんぜん驚かなくてすむくらいの勢いです。
思えば以前の戦いのとき、彼女は守られるばかりでピヨモンに何もしてあげられませんでした。
たとえピヨモン本人が気にしていなかったとしても、彼女のほうにはその意味でしこりがあったに違いありません。
それでもあの当時、まさか世界がこんなことになるなんて思ってもみず……彼女自身にもまわりの人々たちにも、大にさえ、
ピヨモンとともに戦う、戦わせるという覚悟が足りなかった。ですが、あの時点ではしかたのないことだったのかもしれません。
ここで思い出すのが、淑乃が43話で語っていた「大切なものを守るためには、もう戦うしかないの」というセリフ。
あの言葉と淑乃たちの戦いぶり、そしてピヨモンの決意が、何かを芽生えさせていたのですね。
二度とパートナーを失わないため、彼女はこうして脅威に立ち向かう勇気を得たのです。
それにしても、媒介すら無しに完全体進化させるとは…デジソウルだけならもしかして大以上じゃないですか?
これでデジヴァイスを手に入れたらいったいどうなってしまうんでしょう。使ってみたらいきなりブッ壊れそうな。
とりあえず、まずはデジソウル道場に入門するんだ。
進化のシーンでは髪がほどけるかと思うほどでした。エロスです。
・ピヨモン→ガルダモン
あいかわらず「記憶がもどった」という明確な証拠が無いんですが、いろいろ刻まれてはいるようですね。
なんか漢がすたるとか言ってるし、大との殴り合いを魂が覚えていたのでしょうか。
でもせっかく戦う気になったのに相手は全然戦意なし。あったらあったで大変やばいんですが。
…それにしてもバンチョー、ダークドラモン、スレイプモン、そしてこのガルダモンか…。
もしラスボスがアルティメットカオスモンだとしたら、ガルダモンがヴァロドゥルモンになりさえすれば
役者が揃ってしまいそうです。ダークドラモンに関してはデジタマを回収してたとか、言い訳はいくらでもできましょう。
イグドラシルなら強制的に進化させるくらい軽いでしょうし。たぶん。
もっとも、ガルダモンからヴァロドゥルモンになれるかどうかわからないので杞憂かもしれませんが。
・小百合ママ
知香が決意を固めるいっぽう、この方はひどく寂しそうな表情でした。
皆が自分を置いて、デジモンとともに戦いに行ってしまうのか…戻れる保証の無い戦いに。そんな顔をしています。
ふむ。事によっては貴女もDATSに入隊するしかありますまい。家族でテイマーというのもオツなものです。
あの大と知香のお母さんだから、フツーにデジソウル出せそうな気がしますし。
出すまでにいろいろトリガー入れなきゃいけなかったりするかもしれませんが。
・再生ゴツモン
なんでそこまでイグドラシルの位置に詳しいのでしょう。デジモンにはすべからく記憶として刻まれているとか?
…深く考えない方がよさそうですね。
しかし、今さら言うのもなんですが不気味なくらいイイやつになりましたな(^_^;)
・人間界のみなさん
隊長がなんだかヒマそうで、ちょっと不憫です。
野口博士の策はどのくらい、クライマックスに絡んでくるのでしょうか? 地味なパートながら注目かも。
・クレニアムモン
あのまま静観してるかと思ったら、かなり積極的な行動に出ました。バンチョーの身代わりときたか…。
彼も自分なりの正義で、できることを見つけたということなのでしょう。
盾のおかげとはいえ、バーストモード四体の攻撃を耐えた彼であればたしかに適任ではあります。
もうちょっと言うなら、彼は不敗のロイヤルナイツというものに疑問を抱き、いくら叩かれても立ち上がる大たちの強さが
単に主義や命令、任務だからではなく彼ら自身の意志で守るべきものがあり、地に伏しても這っていって食らいつく
泥臭いまでの戦いぶりが、最後には天の高みにいる者をもたたき落とすことがあると知ったのでしょう。
それができるのも、痛みをわかちあえる仲間がいるから。
だからクレニアムモンも、友と認めたバンチョーレオモンを助け、その重荷を肩に感じてみたくなったのかもしれません。
必死になって何かをやってみるのも悪くはないだろう、と。
ただ知香たちのことを知らないのかどうなのか、そっちへの態度はわりにぞんざいでした。
まあレベル差がありすぎるんで、ちょっと払いのけたつもりが力はいりすぎてしまったみたいに見えなくもないですが。
・他のロイヤルナイツ
ものの見事に出払っているようなのですが、オメガモンだけがまだあれから姿を見せていません。
マグナモンたちといっしょに人間界を攻めているのだとしたら、もう出番が無いのかもしれないなあ…。
バーストモード四体と渡り合えそうなのが現状でもはや彼しかいないので、不意に出てくるかもしれませんが。
やはり元祖は扱いに気をつかってしまうってことなのでしょうか。難儀なものです。
・イグドラシル≠大門英
なにかどんどん顔が邪悪になってきていてますが、憎まれ役というのとはちょっと違うので盛り上げの演出ですかね。
しかし非論理を嫌うわりには感情的。ゼヴォのアレとは違ってなんか生々しい。聖闘士星矢の神様連中みたいです。
人の話を聞かないあたりはアルゴモンとたいして変わりませんが。
で、やっぱり中身が英パパじゃないことが判明しました。
「捨てた」と言っていたので、英パパを支配してその魂を追い出したってことなのかもしれません。
それをバンチョーが取り込んでずっと守っており、得た知識で大たちをサポートしていた、という経緯かな。
人間とデジモンとの融合はアニメだけではなく、アナザーミッションでも語られていますから、
デジタルデータ化した魂だけが融合しているといっても今さら驚くには値しない事実でしょう。
…しかし、そもそもなぜイグドラシルは大門博士の肉体をのっとろうと考えたのでしょうか?
そこらへんも含め、次回は必見だと思います。
・イグドラシル直衛システム
ロイヤルナイツが出払っているので、かわりみたいな形で出てきました。いかにもどうでもいいデザインです。
デジモンの必殺技を(たとえ究極体のそれであっても)そのまんま反射してしまうというかなり強力な特性があるにはあるんですが、
「じゃあ普通に戦おう」ってことでボコボコにされています。
見てると飛び道具にはめっぽう強いんですが、直接殴られるとぜんぜん駄目。
それに飛び道具でも人間が使う武器には対応してないのか、イクトのブーメランで両断されてたり脆さが目立ちます。
とはいえ、今さらロイヤルナイツのひとりやふたり出しても噛ませ犬にされるだけか…オメガモンは別としても。
スタッフの皆さんも、最強騎士団の扱いには苦慮しているようですね。
・バンチョーレオモン
ラストで衝撃的な告白をしたせいでそれまでの盛り上がりを全部かっさらった男。
降ってきていきなり番長パンチという流れからむしろ大爆笑です。
で、正式に大パパの魂が宿っていることが判明したわけですが、一度踏み倒した死亡フラグがまた復活した気もします。
どのみちイグドラシルを追い出して大パパの魂を戻したら、今のバンチョーじゃなくなるのかもしれないし。
というか彼、そもそも何者だったんでしょう。やはり博士のパートナーだったんでしょうか?
いずれにしても博士本人ではなく、バンチョーレオモン自身と混在しているような状態なのだと思います。
だからこそ35話の「英の拳は〜」というセリフも出てくるのでしょうし。
まあ、すべては次の46話ではっきりするはずです。楽しみにして待つことにしましょう。
★名(迷)セリフ
「たくさんの情報を管理する電子頭脳のことよ」(ララモン)
電子頭脳……
アバウトにもほどがある説明ですが、大が相手だからしょうがないという意見を聞かされてなるほどと納得。
「ここは僕たちが食い止める。君たちは先にゆけ!」
「…僕を誰だと思っているんだ?」(トーマ)
こんなベタなセリフ、キッズアニメですらひさしぶりに見ました。ひさしぶりすぎて何やら新鮮です。
「散らせよう、火花!」(レイヴモン)
「咲かせましょう、生命の花…!」(ロゼモン)
もっとバリバリ。
究極体に進化してこっち、この二体はツーショットが多いですね。背格好が近いし。
バーストモードになるとなにげにでかくなるけど。
それにしても皆さん、ハイテンションです。
「それに、この程度の傷で音を上げたら…男がすたる!」(ピヨモン)
いろいろと伝染してるなーと思ったセリフです。
大との戦いは、たしかに彼の魂へ焼き付けられている。それも、さらなる強さの呼び水となったのでしょう。
「わかったよ…! だったら、わたしもあなたと一緒に…戦う!」(知香)
この二人はほんとに濃密というか、ラブラブだなあ。マスター、エロい匂いがします。主に作画のせいで。
でもよく考えてみたら、悪性デジモンの例をとるまでもなく人間の感情がデジモンを進化させるのは当たり前で、
デジヴァイスはそれを効率よく変換し、より適切なかたちで増幅、出力するための装置なのでしょう。
だからセイバーズの場合はデジヴァイスが無いからといって、進化させられないというわけではないのだと思います。
それ無しで破綻無く完全体=フルチャージに匹敵する進化ができる知香とピヨモンが凄いってことに変わりはないんですが。
やっぱり愛情は最強の感情だってことなんでしょーか。
「我が友の命が尽きようとしているのだ。見捨てるわけにはいかんだろう」(クレニアムモン)
前回にバンチョーレオモンを気に掛けていたことが、振りにはなってるんですよね。
ここまで積極的な行動に出るとは、正直思ってませんでしたけど。馬鹿をやってみたくなったんですな。
その馬鹿が、絶対と信じたものを砕いたのですから。
「父さんの背中は…大きくて暖かいんだ…! 子供には、父親の背中は越えられねぇ…!
でもオレは、その背中に少しでも近づきたくて……近づきたくて…!
ずっと…ずっと、頑張ってきたんじゃねぇかああああああっ!!」(大)
これはもう大門大という漢ではなく、大門英の息子としての本音、魂の叫びといえます。
大門博士は大にとって、まさしくウルトラマンに匹敵する存在だったのでしょう。
その父が敵となるなら、神とかかわりを持っていてナンボなのかもしれません。
「ミラージュガオガモン! 大を撃て!!」(トーマ)
ダメだぁ、どうしてもこのセリフで笑ってしまいます。
「そうだ…! これはもう、オレと父さんだけの問題じゃない…!
オレを信じ、背中を押してくれる仲間たちのぶんまで…オレは一歩も退かずに立ち向かわなきゃならねぇんだ!!」(大)
父を前にして焦っていた感もありますし、こだわり過ぎているうちはまだまだ子供ってことなのでしょうか。
仲間との信頼関係を築く社会性、失敗や敗北にも折れぬ強い意志。守るべきものを知り、そのために何ができるのか知ること。
これらを全部持っていてはじめて、ほんとうの漢といえるのかもしれません。
4クール目は「家族」「漢」の仕上げに「仲間」が強調されているように見えます。
「お前の父、大門英は…このわたしだ!!」(バンチョーレオモン)
な、なんだってー!
という引き。またえらいところで次回に続いたものです。もう笑うしかありません。
★次回予告
鬼太郎の予告がはじまったので短め。
そんな中でも「番長はウソをつかない!」などと名セリフの開発に余念がない様子です。
しかし貴方がた、どういう環境で殴り合ってるんですか。