衝撃! バンチョーレオモンの真実

 脚本:山口亮太 演出:佐々木憲世 作画監督:清山滋崇
★あらすじ
 突然現れ、自分こそが父・大門英だと告げるバンチョーレオモン。
 さすがに信じられない様子の大とその仲間たちへ、彼…否、彼らは真実を語りはじめる。
 大門博士とバンチョーレオモンは魂で一体化しており、影からずっと大たちを見守っていたのだ。

 かつて、イグドラシルを求める旅に出た大門博士は道中でバンチョーレオモンと出会い、意気投合してパートナーとなる。
 そしてついにクレニアムモンを介してイグドラシルへたどり着くのだが、その時起こったのが倉田の裏切りだった。
 イグドラシルに報復を思いとどまらせようと、博士はその身を賭けて二度と過ちは起こらないと請け合う。

 だが彼の願いもむなしくメルクリモンが殺され、倉田の虐殺がはじまった。かくて処刑されることになった博士だが、
 バンチョーレオモンはあえて自ら手を下すとみせかけて、博士の魂を預かることとなる。
 だが、それを見抜いていたイグドラシルに博士の肉体を人質に取られ、真実を告げられないまま動いていたのだった。

 もはや憤怒の権化となって再度襲いかかってくるイグドラシル。バンチョーレオモン=大門博士はその肉体を押さえつけ、
 大に自分ごと撃ち抜かせた。大きな犠牲を払い、ようやく神の暴走を止められたと思ったそのとき、
 イグドラシルが本性をあらわす! ついに、最後の戦いがはじまろうとしていた。
 
 
 
★全体印象
 46話です。

 今回は大部分が回想でした。10年前から今までの事件については、これで大まかなピースが埋まったことになります。
 それにしても、ほんとうにバンチョーと大門博士が魂レベルで融合している存在だったとは……。
 振りは今まで何回もありましたが、深読みしようにも見たまんまだったようです。さすがはセイバーズ(いい意味で)。

 というわけで、バンチョーはまさにデジモン界のシュバルツ・ブルーダーといえる存在でした。
 父(兄)の化身であり、主人公を高みへ導き、最終的に真実を告げ、元凶を道連れにすることでその役割を全うするという。
 これは山口氏がGガンに参加していたので、オマージュと言うよりはリボーンというべきなのかもしれません。
 なんせ氏の担当は44話、「シュバルツ散る! ドモン涙の必殺拳」なのですし。

 が、クライマックスはあっさり味。少なくとも私にとってはそうでした。
 Gガンではコッテコテの濃い演出(なんせ谷口悟朗氏)で盛り上げまくってくれたパートなのですが、そこが不足しています。
 ゆえにか、あんまりあの二人が死んだように思えませんでした。いや、だってあの二人ですよ?
 ひょっとすると、博士のほうなら生きているかもしれないじゃないですか。わかんないけど。

 ともあれ、泣いても笑ってもあと2回。どうやらこのままイグドラシルがラスボスとして落ち着きそうですが、
 最後なのでオールスターキャストになっていくかもしれないし、一瞬も目が離せないところです。

 脚本はもちろん山口氏で、作画は安定株の清山氏。よく見ると出口氏や総作監の浅沼氏もいます。
 どうりで時折絵がデグってたわけだ。

 で、次回がひと目でわかる八島氏ですから、最終話の作画は38話と同じ青井氏になってくれそうですね。
 
 
 
★各キャラ&みどころ
 
・大
 19話でちょろっと語ってた昔の思い出が、ようやっと伏線として消化されました。
 そのうち使われるんだろうなとぼんやり思いつつはや半年、忘れたころのフォーカスです。

 しかし回想で尺を使ったせいか、後半のアレはいまいち葛藤が足りてないように見えました。これが率直な感想。
 これまでさんざん描いてきた父への思慕を考えれば、もうちょっと躊躇ってもいいんじゃないかなあ、と。
 残してきた母や妹へ、父を連れて帰る約束をしたじゃありませんか。

 といってイグドラシルが大門博士の体から出てこない以上、そして引っぺがす方法がわからない以上は
 他になんか手があるかと言われるとなんにも無いんですが。
 腐ってもデジタルワールドの神、生半可なことで博士の体から追い出せるとは思えません。

 結局、手の届かないところで父の運命は決まってしまっていたのでしょうか。
 いずれにしても、彼の責任はいよいよ重大です。大黒柱を失った以上、いままで以上に漢として
 家族を支えていかねばならなくなるのでしょうから。
 
 
・アグモン→シャイングレイモン
 大の叫びにあわせて無言で動いてるのがなんかゴッドガンダム=ロボットみたいでちょっとだけ気になりました。
 気持ちはひとつってことなのでしょうけど。

 イグドラシルへの反論は映画を意識したセリフになっていますね。
 
 
・淑乃・トーマ・イクト組・再生ゴツモン
 今回はほぼ後ろで「な、なんだってー!」と言ったり補足したりする役。特に何もしてません。
 
 
・知香組
 なんかまだ富士山にいます。大門博士の身に起きた何事かを感じ取っていました。
 なんでわかるんだよなどと突っ込んではいけません。家族なのですから。
 
 
・大門博士
 パートナーを得た経緯が大とまんま同じで笑いました。
 息子と違うのは究極体と殴り合ってるってことですけど。さすがに親父、スケールが違います。

 ただ、イグドラシルのところにいたときは一転して弱々しい表情が目立つように感じました。
 長く囚われていたことによる衰弱もあるでしょうし、人間界で起こった重大な事件へ思いを馳せるあまりの心労もあるでしょう。
 許されるなら今すぐにでも飛んでいきたいと、どれだけ願ったことでしょうか。

 そもそも、果たして家族ほっぽり出してまでイグドラシルを探しにいくべきだったのでしょうか。
 もし人間界でデジタルワールドとの友好に専念していたら、まったく違う未来を迎えることができたのでは?
 この人さえいてくれれば倉田だって迂闊には動けなかったはずですし、ひいてはデジモン犯罪の減少にもつながって、
 ふたつの世界の枠組ももうちょっと順調に固められたと思うのです。

 とはいえこれも、起こってしまったあとの結果論でしかないのですが。
 博士がそこにいたとしても、今回のような最悪の事態につながらないなどとは誰も言えないわけで。
 いやむしろ、若手が育ってないぶんだけよけい悪くなる可能性だってあるのです。

 ともあれ、父は偉大でありつつも、後悔とやり残しに苦悩の横顔を見せていました。
 大は博士のできなかったことを引き継ぎ、しっかりと守り育てていかねばなりません。もちろん彼はそうするはずです。
 大に息子ができれば、その息子もまた何らかの形で大の意志を受け止め、背負って生きていくのでしょう。

 父から子へ、子から孫へ、人の想いはそうして伝わっていくのです。恐らくはデジソウルもまた。

 
・バンチョーレオモン
 いともあっさりバーストモードになっててまた笑いました。ほとんど超サイヤ人。

 でも考えてみればバーストモードを大たちに教えている以上、自分がなれないはずはありません。
 あの強さがあればベルフェモンでも倒せたでしょうに、イグドラシルに止められていたから無理だったんですね。
 神もへたに足枷かましたせいで、とんでもない事態を招いてしまったようです。

 グロリアスバーストの輝きのなか大に別れと礼を告げる姿はもう、まんまシュバルツ。ビジョンまで重なってます。
 というわけでいったん退場して蹴倒したと思った死亡フラグをわざわざ自分で差しなおしてもう一回退場するという、
 だいぶ念のいった消え方をしました。そこまでして何が何でも死のうとせんでもいいじゃないですかレオモン族。

 ただ彼はデジタマになっても、その消滅が相殺となって博士の肉体は無事、という可能性がなくはありません。
 かなり低い可能性ということは認めねばなりますまいが。
 
   
・クレニアムモン
 ああして見ると、博士たちとはけっこうつきあいが長そうですねえ。
 長年牢番をつとめていたことが、あの結論と行動へ結びついたと考えれば自然とつながります。

 以前にも思いっきり拳で圧倒されてたんですな。
 40話で大に槍を止められたときの驚愕の表情や、44話での行動に裏が取れたことになります。嵌るところに嵌った。
 大には盾を砕かれているので、新たな可能性を感じたのかもしれません。
 
 いずれにせよ彼も他のロイヤルナイツ同様、過ちに気づいていても行動に移すまでが遅すぎました。
 かつての悲劇といまそこにある危機はそれぞれのすれ違いで起こったもので、誰が悪いともいえないのでしょう。
 それでもあえて言うなら悪いのは倉田ですが。結局、間接的に大門博士までも殺すことになりそうですし。
 もしそのことを知ったら、地獄でさぞ溜飲を下げることでしょうよ。
 
 
・他のロイヤルナイツ
 おや、やっぱりオメガモンも人間界に来てたんですね。どこまで手薄だったんだイグドラシル。
 ハッキリ言って防衛をおろそかにしすぎです。緒戦ですらデュークモンの加勢がなきゃどうなるかわからなかったのに。
 人間はよほど嘗められていたようですね。

 デュークモンとスレイプモンにも出番がありました。といっても、海の底で凍ってるだけ。
 まさかあのまんまってことはないですよね? ……ね?

 そういえばアルフォースブイドラモンが一言だけしゃべってましたが、よりによって羽柴長官の使い回しでした。
 って事は次あたりから長官も出てきそうですね。出てきても全然うれしくないけど。
 
 
・イグドラシル
 まずは一言。人の話を聞きなさい。つーか聞け。
 まったくもう、人もデジモンもゴミ同然としか思わぬ傲慢で、言い出したら絶対に引かず、なのに肝心なとき何もしない…
 これじゃまるで神様じゃありませんか。 ………あれ?

 というかあなた、やっぱり最初っから人間滅ぼす気満々だったでしょ?

 考えてもみてください。DATSがせっせと治安維持してる間、倉田が裏で何をしていたか、イグドラシルは把握してたんですよ。
 しかも、使徒たるスレイプモン=クダモンはずっとそのDATSにいたはず。連絡を取ろうと思えばできたはずです。
 断片的なヒントだけでもちょっと流せば、それで今回の大事を防げたかもしれないではありませんか。

 倉田があそこまでするとは思わなかったとか、人間の自浄能力を期待したとかいろいろ言い訳はできましょうが、
 わかっていて何ひとつスレイプモンに伝えないというのは、それはどうなんだろうなと思ってしまうわけで。
 何度も言いますが、危機は起こる前に防がなければ意味がないんです。

 同様に、博士のことを監視して行動を阻害するというのも意味がわかりません。
 すでにバーストモードを会得していた彼らがひとたび起てば、これも事態のすみやかな収拾につながったはずです。
 ドラマとして成り立たないとか、そーゆー話は置いといて。
 もっとも博士が魂になっている以上、バーストモードにはなれないのかもしれませんが。

 つまりイグドラシルは、遅くともメルクリモンが殺された時点でとっくに人間みなごろしを決めており、
 崩壊の危機は単なる体のいい大義名分でしょう。あそこまでの事態にならずとも、人間界侵攻を決めてたと思います。
 なんせ大災厄の時すでにバリバリ報復を叫んでたようですから。

 いずれにせよ倉田の暴走と今回の危機には、間違いなくイグドラシルにも責任があります。
 誰がなんといおうと、神様だろうと、わかっていて何もしないというのは職務怠慢以外のなにものでもありません。
 もし事態を読めていなかったとすれば、それ自体がイグドラシルの万能性を否定することになります。
 つまり、人の手で止められる。神は絶対ではない、というわけです。

 それにしてもこの方、いったん下した神としての言葉を曲げるくらいなら死んだ方がマシだと思ってそうですね。
 わりともう引っ込みつかなくなってるんじゃないでしょうか。
 
 
 
★名(迷)セリフ

「……私は、ずっと悩んでいた。
 イグドラシルのかかげる正義が正しいのか、それとも…
 …だが、そんな考えこそが間違いなのだと、お前はそう言いたかったのだな…
 大門、英よ…!」(クレニアムモン)

 どちらか片方ではなく、両方がともに手をとりあえる未来を模索し、そのために全力を尽くす。
 そして与えられる正義ではなく、おのれの真に信じる正義こそ貫き通すべきなのだと、やっと彼も気づいたのですね。
 このあたりはメルクリモンによく似た言い回しであると同時に、異文化の衝突と言うテーマもよくあらわしています。

 でもなんで知香のこと知ってたんでしょう。まあ情報くらいは把握しているのでしょうが。
 
 
「番長はウソはつかない!!」(バンチョーレオモン=大門英?)

 本編でも言ってたのか…。
 その後コロッと声のトーン変えてバリバリのパパオーラを出そうとしてますが竹本氏は声が若いので、
 親父と言うよりかはアタル兄さんという感じがします。
 
 
「神と番長! どっちが偉い!?」(バンチョーレオモン)

 回想より。
 難しい質問です。とりわけこの日本では。
 
 
「人の話は最後まで聞けぇっ!!」(バンチョーレオモン=大門英)

 すいません。
 
 
「死にたくない…!
 大を一人前の男にするまで、オレは死ぬわけにはいかん…!」(大門英)

 クレニアムモンの言い分も一理あるんですが、それは失うものの無い男の考えでもあります。
 若いころはきっと、自分の信じるもののためなら命さえ惜しくないと思う時期があるでしょうが、子供ができると
 まずその子供のことを考えるようになるため、なんとしてでも生きて子を、家族を守りたいと思うようになるはず。
 それが父親というものです。博士は男であると同時に、父親でもあるのですから。

 父親になる覚悟が無い男に、子供を持つ資格は無いと思います。
 
 
「大! …母さんと知香を、頼んだぞ」(大門英=バンチョーレオモン)

 できるなら、こんなセリフは聞きたくありませんでした。知香に至ってはきっと、父親を映像でしか知らないでしょうに。
 家族だけではありません。ふたつの世界の未来のため、彼らはこれからもより多くの者たちの力になれるはずです。
 彼らほどの漢、本来こんなところで死なせるべきではないのに。

 でもイグドラシルに肉体を奪われたときから、きっと覚悟していたのでしょう。今の自分たちに未来は守れないと。
 だから息子に、大に、若い世代にすべてを託した。彼らの若い力とデジモンがあわせた力、無限の可能性に賭けて。
 再会したときにはもう、気づかぬうちに父親としての役割をまっとうしていたのです。哀しいことですが。

 34話で知香と小百合ママに向けていたバンチョーの優しい視線の意味が、これでやっとハッキリしました。
 ひと目でも成長した娘の姿を、妻の健在を確かめられた以上、もはや思い残すことはなかったのかもしれません。

 そういえばこの人たち、倉田篇ではどーやって人間界に渡ってきたんでしょう。
 
 
「ありがとう…大…」(大門英=バンチョーレオモン)

 ここ、もろにGガンです。
 でも見返すと、やっぱり演出のパワー不足で損してると思いました。
 
 
「今の波動は……」(アルフォースブイドラモン)

 とりあえず、アニメ初セリフおめでとう。
 声が羽柴長官の使いまわしというのはどうにも気に入りませんが、これはべつに鶴岡氏のせいじゃありません。
 
  
「我は…神ぞ!」(イグドラシル)

 はいはい。
 …しかし何なんでしょうあの変なロボは。デ・リーパーの雑魚にでもいそうなデザインです。
 そして元身の声がオファニモンの深見梨加さんというのは悪い冗談にしか見えません。

 フロンティアのデジタルワールドって、一回滅んでるんですよね。
 
 
 
★次回予告
 いろいろとぶち切れモードに入ってそうなイグドラシルの大アバレで、とりあえず大ピンチに陥りそうです。
 落ち着いてください、あなた神様でしょう。

 オペレーターズに出番があるってことは、土壇場でのスレイプモン復活もありそうですね。
 残りのロイヤルナイツはどう動くかな?