舞い散る究極の花!サクヤモン進化

 脚本:吉村元希 演出:今沢哲男 作画監督:清山滋崇
年内最後をかざる39話です。サクヤモンが登場、究極体が揃い踏み!



■チンロンモンの雲

『かの地へと連れてゆこう』


数キロもの巨体をほこるチンロンモン。一行をまとめて運ぶくらいのことなど造作もないようです。
生成した雲の原料は、かれ自身の息吹でしょうか?



■バイフーモン
四聖獣最後の一体がやっと登場です。
声は辻親八さん。ベテランですが、ほかの方よりやや地味な感は否めません。しかも今回はうなり声のみで、すぐにグロッキー状態になってしまいました。
設定では四聖獣最強だそうなので、もうちょっと頑張ってほしいものです。

でも意外と小さいんですね。あ、でもサイバードラモンに比すればはるかにでかいから、シェンウーモンが大きすぎるだけかも?



■加藤さんとタカトと留姫

『…わたし、いい子なんかじゃない。前のお母さんが死んだときも、何日かで泣くのをやめちゃったし…』


やはり加藤さん、母親を亡くしていたんですね。すると現在は継母が来ているわけですか。
父親はああいう厳格な人で家は小料理屋だし、継母もいい人で優しくしてくれるしで、しっかりしなきゃいけない、と自分に言い聞かせて笑っていたのかもしれません。
でも、本当はきっと死んだ母のことを誰よりも慕っていて、思いっきり泣きたかったんじゃないでしょうか。
レオモンはそんな加藤さんにとって、やはりパートナーとしてだけでなく、もう一人の父親たる存在だったはずです。

でも、そのレオモンさえもがいなくなってしまった。
運命を呪いたくなったり、何もかもどうでもいいと思うようになったとしても、おかしくないでしょう。
この子たちは世界の運命を背負って戦ってたわけじゃなく、だとしても結果的にそうなっただけなんですから。

タカトと留姫は、そんな加藤さんが気にかかるようす。
一見、より積極的に話しかけているのはタカトのように見えますが、本当に彼女の気持ちを理解できたのは留姫なのかもしれません。
死んだにせよ長期不在にせよ、留姫も親の片方がいないのですから。



■スーツェーモン

『…いかなる事態になったとしても、この世界は我が守る!』


先週まででその実力を見せつけたスーツェーモンですが、その彼をもってしても迂闊に手を出せば手痛い返り討ちに遭う恐ろしい浸食体、それがデ・リーパーなのですね。
ただ羽根のどこがなくなったのか、一度見ただけではわからず三度巻き戻して見て、ようやく確認できました。
今回はどうもそういうのが多い。



■リョウとサイバードラモン

『留姫! …まったく、君にはかなわないな』


やっと合流しましたが、実はお話的に大したことはしていません。デヴァイスカード・ナイトを使ったものの、事態の収拾には至っていませんし。ポジション的にはあくまで留姫のサポートでした。
ここまでの印象だと、ただ単に強い先輩テイマーであってそれ以上ではない、そんな感じです。つまりは客演ライダー。
そこはブレイブテイマーでフォローなのかな。

それにしても留姫とこうまで会話が多いのって、何か意図があるんでしょうかね?



デヴァイスカード・ナイト
初登場ですが、絵柄の表示はなし。サイバードラモンに武器を付加していましたが、例によってカードの効果がそのままアニメに反映されるわけじゃないので、じっさいにはどんな効力があるのかわかりません。

しかし、このままではカードスラッシュの設定自体、物語的に失敗ということになってしまうのでは…。
存在そのものがリーサルウェポンみたいなカードしか出てこないのでは、戦術もへったくれも。

もっともカードの売り上げはアップしてそうなので、商業的には成功なのかもしれませんが。



■クルモン

『クルモン寂しかったクル、怖かったクル…!』


やはり物言いが違ってきてます。寂しいとか怖いとかうれしいとか、ハッキリ感情をあらわしてますね。
たぶん物語当初の段階ではまだデジモンの姿をとってから間もなくで、そのへんが未発達だったんでしょう。
次回ではさらにハッキリと自己主張を…?



■デ・リーパー
これまでの敵対者とはあらゆる意味で違う、物言わぬ存在ですね。が、四聖獣でもくい止めるだけで精一杯というから、物理的なパワーとは根本から違うものを持っているようです。やりにくい相手だ。

そして脚本や演出的にもやりにくいのかどうなのか、今回は危機感があまり伝わってきませんでした。もっとキャラを右往左往させたり、場面場面の詰め込みをカツカツにすればいけるのかもしれませんが、それはいわゆる『マニアックな演出』と紙一重。
バランスを取りながらのお話づくり、果たしてうまくいっていたかどうか。

…個人的には失敗だと思いますけれど。少なくとも、デ・リーパーの描写については。



■留姫とレナモン

『過去を変えることはできない。しかし、それを受け入れる心を変えることはできる』
『ただ…それを他人に強いることはできない。樹莉自身が変わろうとしなければ…』
『運命は、…変えられるんでしょ!』


見たところこの二人、すでに心構えはできていたような気がします。
いくつもの試練を越えてきたコンビですし、そもそも最初はおたがい利用することしか考えていませんでしたから、そのぶん、絆はより強いものとなっていたはず。レナモンに対する留姫の受け答えひとつ、取ってみてもわかります。

以前留姫はレナモンに『たかがデジモンのくせに、自分と同格のような顔をして意見するな』というふうなことを言いました。
ですが今回の話を見ていると、留姫の態度にはそんなレナモンへの距離や見下しはまるで感じられません。意見を受け止め、そのうえで反論しているのです。レナモンも留姫をいちはやく支え、ムチャをしそうな時は厳しく制しようとしています。
そこにあるのは完全に同じ視線であり、同格の存在への態度そのものでした。

そして二人はタカトとジェン、ふたりの究極進化を見ています。認識しています。
二人にできて、自分たちにできないはずがない。あとは、心ひとつ。

恐れるものはそう、何もない。

だから跳んだのですね。舞い飛ぶ桜のなかへ。



■サクヤモン究極進化
今さら言うまでもないことなんですが…


これはやばいです。
まさか公式であんなもん見ることになるとは
ついぞ思いませんでした。



このままでは到底輸出できません! どうするどうなる東映さん!
…まあ、素人考えなどはすでに計算のうち、スタッフも対策は考えてあるんでしょうけど…ね。

ただトータルで見ると、ものすごく出来のいいバンクです。専用の音楽までついて。贔屓?



■サクヤモン
で、そのサクヤモンですが…実は、

周囲にいると花が散ってあったかいということしかわかりませんでした。

いや、それは冗談としても、何をしたのかが良くわからなかったんですね。
たぶん錫杖で結界をつくり、泡を押さえたんでしょうけど…。



■総括
留姫とレナモンの関係の変化など見どころはあったんですが、トータルではもうひとつ。
作画・脚本よりも演出の問題のような気がします。何が起こって結果どうなったのか、そのへんのフォローがもうちょっと…。
つくづく偉そうだな私。

さておき、留姫&レナモン組のエピソードは他にくらべ、『確認』の意味合いがつよかったんじゃないでしょうか。



■次回予告
おおっと、クルモンがもとの姿に? さらに究極体がぞろぞろ出てきた! この数はデジアド01をもしのぎます。
そのうえメタルシードラモンとムゲンドラモン、あげくディアボロモン(!)の姿まで。
何が起こるのか、これは見逃せませんね。