謎の少女 奇跡を運ぶドーベルモン

 脚本:小中千昭 演出:今村隆寛 作画監督:山室直儀
44話です。Vジャンプで公募されていた新デジモン、ドーベルモンがゲスト出演。


■遅延
このところのゴタゴタですっかり更新が遅れていましたが、やっと復帰できました。今のうちに取り返す予定です。
さすがに記憶がやばいことになってきていたので、二回見たあとのインプレッション。ちょい勝手が違います。



■2月
リポーターさんの発言より。どうやらデ・リーパーとの最終決戦は2月に起こっているようです。
リアルワールドでデーヴァと戦っていたのが夏くらいで、デジタルワールドへ冒険に行ったのが9〜10月と考えると、デジタルワールドへはかなり長い間行っていたことになりますね。



■学校で仮眠 その2
なかなかデ・リーパーゾーンを攻略できないタカトたち、いったん退却して休んでいたようす。
でも、なんで留姫はタカトがいないことに気づいていたのでしょう。

その1:目が覚めてしまったのでカードゲームにでも誘おうと思った
その2:ちゃんと休んでるかどうか顔を見に行った
その3:花畑へ行こうと思ったが、暗いので付き添いを頼もうと思った

……どれもこれもいまイチですね。1番なんぞ論外。そもそも、わざわざ起こしてまでとは思わないでしょう。
やっぱり、たまたま目が覚めちゃった時、無意識にまわりの様子を確かめたらいなかった、というオチでしょうか。
でもギルモンは寝てるし、となれば特に問題ないだろうということで、また寝ちゃったんでしょうね。寝付きはよさそうだし。



■ミスカトニック大学教授
デ・リーパーを解説していた先生の肩書き。クトゥルー研究で有名な大学らしいですね。
そしてこの先生の名前は、クトゥルー絡みで小中さんがよく出してくる名前だそうです。いわば小中さんの分身ですね。



■室長と鳳オペレーター

「間抜け野郎の一人目になるつもりはない………独りだけで何もかもできるなんて、もう思っちゃいないさ」


今の室長から感じる雰囲気は『自然体』。
自分の限界を認め、かといって可能性も否定せず、いま何をするべきか、つねに探しています。鎮宇さんに見せた破顔がなによりの証拠。
凝り固まっていたころの彼からは、絶対に想像がつかなかった類の表情です。

ただ、それを自分から口にすることは少ないでしょうから、鳳さんもたまに不安になったりするのでは。



■みんなで行こう! 牧野屋敷
タカトの家に残っていた貼り紙をたよりに、留姫の家へ向かうことになるテイマーズ。
ところであの貼り紙を書いたのは誰でしょう? あのお父さんは字が下手そうなので、やっぱりお母さんかな。
何より『留姫さん』という文体がお母さんくさい。お父さんだったら『牧野さん』と書きそうな気がします…なんとなく。

そういえば、留姫の家へあんな大人数で繰り込むなんてこと、初めてですね。さすがの留姫も気がひけてます。
でもレナモンの言葉で開き直るあたり、つくづくパートナーに弱くなっちゃいましたね(笑)。



■加藤さんinホワイトアウト

『この混沌とした世界はなあに? 誰もが勝手に動いている…そんなことに意味なんてあるの?』


もうすでにデ・リーパーの先兵であることがわかっているこのニセ加藤さんですが、実はばれる前の方が数倍怖かったりします(^ ^;
やっぱり正体のわからないものって怖いですからね。

怖さ度は43話をピークに、だんだん本性がにじみ出てくるこの44話あたりから、しだいに落ち着いていきます。不思議。
松本からいなくなったのが夕方で、タカトが東京で見たのも夕方というあたりはホラーですけれどね。



■水野さん

『ほおう…こりゃ確かに、原始的な人工知性だ』


強力な助っ人として対策を練りながらも、どこかこの状況を楽しんでいそうな水野さん。若いころも、変わり者で通ってたんでしょう。
マウスに伸びる妙にぎこちない右手とか、人差し指しか使わない変なブラインドタッチとか、いちいち印象的。
腱鞘炎になっても知りませんよ。



■インプモンとクルモン

『みんな、どこ行っちゃったクル…?』
『オレが戻ってこられたのは、仲間のおかげだ。オレが何とかしなきゃならねえんだよ!』


ここらあたりから、コンビを組んで動きはじめました。はじめは犬猿の仲にしか見えなかったのに、変われば変わるものです。
まあ、変わったのはインプモンだけじゃなく、クルモンもなんですけどね。
今のクルモンはさびしさを感じる心も、誰かのために何かをしたいという気持ちも、当初よりはるかに見せるようになっているのです。

それが加藤さんを救う一翼になるとすれば、チンロンモンの見立ては正しかったことになりますね。



■親と子供

『子供を危険な目に遭わせて、平気な親なんていない。絶対に。でも、子供がやりたいと思っていることを止める権利もない』
『だからただ泣いて待つよりも、力になりたいって、そう決めたの』
『…だから、いいって言わないって言ったでしょ。がんばって、だって、ホントは言いたくないの……』
『私たちもせいいっぱい、応援するから。だから自分の命だけは、大事にしなさい』


なごやかな食事会から一転、家族の絆とそれを背中にしょった出撃への流れへ。42話のパターンはどこか後ろ髪を引かれるものでしたが、今回はずっと晴れやかでした。親が親として何ができるか、考えている姿をきっちり描いているからこそ、タカトたちテイマーズの持つ子供としての強さと弱さ、バイタリティに説得力が出てくるのではないかと思います。

普通なら42話の描写で終わるところなんでしょうけど、テイマーズではもう一歩踏み込んでくれました。親御さんたちも戦っているんですね。
信じるという戦いを。

テイマーズって、大人たちが影の主役なんですよね。



■アーク

『ドルフィン!!』

47話で登場するグラニの伏線ですね。演出がいいので、初見ではかなりどきどきして見たおぼえがあります。
山木室長の叫びからアリスへの流れは、とても子供向けとは思えない演出。



■謎の少女・アリス
はじめ聞いたときは誰だかわからなかったのですが、この声…もしかして浅田さんでしょうか?
だとすると、タカトが加藤さんではないかと思ったのも合点がいくんですけど、そこは彼の思いこみかもしれないし…う〜ん。

ドーベルモンと絆があることと、ドルフィン@マッコイ博士の娘か姪だということはわかるんですが、実はそれ以外の素性が不明。
性格も不明だし、何より本当に人間なのかどうかもまだ不明だったりします。
ちゃんと明かされるんでしょうか?

プラチナブロンドと黒い衣装の取り合わせは、メチャクチャ印象的なんですけどね。



■橋落下→→引き

触手出現→レーザーが橋切断→倒壊→疾駆→AD05の追撃→マトリックスエヴォリューション。
一連の流れは、テイマーズ中でも一、二を争うほどのキレがあります。作画がいいのでさらに倍率アップ。

これほどのシーンを作れるのが今村さんか貝澤SDしかいないというのは、惜しまれます。
時間をかければ話は別なんでしょうけど……。



■ドーベルモン

出た! 死んだ!





そ……それ以外にどう語れと?



■デジタルグライド
実は45話のナレーションでしか説明されていません。なので、アイテムとして使えるようになるのか、それともアークそのものにそういう機能が追加されたのか、そのあたりが全然わかりません。ここはちょっと説明不足かも…。

なお原画がえらい少人数でした。凄すぎです山室さん。



■総括
予想以上に絵と演出がすごかったです。このレベルが毎回保てれば言うことないんでしょうけど、そんなのはたぶん無理でしょう。残念。
脚本的には無理に出したっぽいドーベルモンや趣味丸出しのアリス、前後の説明不足など、敢えてちょっと辛目にみています。
ただ親御さんたちとのシーンは好きですね。



■次回予告
44話との絵の落差が怖かったものですが、やっぱり大変なことになっていました。あうあ…。