デ・リーパーに立ち向かえ ゾーン突入!

 脚本:小中千昭 演出:清水哲弘 作画監督:出口としお
45話です。タイトル通りの内容を期待していると、後半で大爆笑させられる回。


■モノローグ 〜李 健良〜

『…でも、僕にしか、
 …僕とテリアモンにしか、できないことを……!』


実は、モノローグとはいえ、ジェンがここまで内面を語ってくれたのははじめて。つまりはそれほどに、自分を押さえていた子なのですね。
自由闊達なテリアモンとの組み合わせが、今にして思えばかえってそれを浮き彫りにしていたのかもしれません。

まあ、このテイマーズでは特にそうなんですが、どのキャラも自分の心情をあまり説明してくれませんからね。
そこいらへんは、見ている側が考えるしかないでしょう。



■モノローグ 〜牧野留姫〜

『…でも、違ってた。
 …あたしが、本当に勝ちたかったのは……!』


表面的に見て、一番変わったと思われるのが彼女。それは留姫自身にもわかっていたことらしいです。
そして、彼女が何よりも勝ちたいと思っていたのは、たぶん自分自身なんでしょう。
これまでに取っていた行動のいくつかは、結局弱い自分へのいいわけでしかなかったのだと、もう気づいているみたいです。

でも、その中でレナモンや仲間に出会えたことを思えば、彼女にとってそれは決して無駄な経験ではないはずですね。



■モノローグ 〜松田啓人〜

『…ギルモン。ぼくの大切なともだち。
 …ぼくたちは、いつまでもずっと………!』


悩める二人とくらべると、タカトの独白は頭の先からシッポまでデジモンオンリー。
そんなにデジモンが好きか、君は!!

ツッコミはさておき。

松田啓人という少年は過ぎるくらい純粋で、それだけに傷つきやすい子でした。綺麗すぎるガラスは、小さな疵でさえ気になるもの。
でもそこに何かひとつ、本当の意味で信じるものができたとき、彼の純粋さはある種の方向性を得ることができるのだと思います。
確固たる方向性を。

いずれは多少の疵など、笑って流せるようになるのでしょう。
それは大人の男への第一歩なのかもしれませんが、同時に失うものも出てくると思います。
ひょっとしたら、彼がデュークモンと一体になれる期間というのは、ほんの僅かなものなのかもしれません。

もしそうだとしても、その時にはタカトも、きっとそれを受け入れられるようになっていることでしょう。
そう願ってます。



■デュークモン

『二つの世界で生きるものを無に帰すデ・リーパー……このデュークモンは絶対に許さない!』

どうやらこれは単にかれの決めゼリフだったようです。
あんた相手が誰でもこのセリフ言うん違いますか?

どうでもいいけど進化したときには槍と盾をたずさえていたのに、直後のシーンではどっちも持たずに腕組みしてました。
ひょっとして腕組みをするためにわざわざ一度しまったんですか? などと細かいツッコミをしたくなります。
バンクとの兼ねあいで生じた、単なるずれでしょうに。



■室長と鎮宇さん
室長も前は鎮宇さんの制止も聞かず、独善的な行動をしていたのに、今では逆に鎮宇さんを制止するまでになりましたか。
彼みたいな人がここまでの成長を見せてくれるというのは、一視聴者の醍醐味だと思います。

たぶん今の彼なら、テイマーズや今の仲間の考え方や行動に影響を受けたこと、認められるんでしょう。
もっとも、自分から口にすることはやっぱり少ないと思いますけど。



■ADR-05
中ボスクラスの戦闘力を持っているため、究極体2体ぶんの攻撃をもってしなければ倒せませんでした。
なんだかラストダンジョンのやたら強い雑魚という感じです。
攻撃をくらったときに珍しく表情らしきものを見せていましたが、いかにも怪物然としていて不気味。

それにしても、兵隊でさえ究極体じゃないと勝負できないとは、なんて恐ろしい。デ・リーパーはシリーズ最強の敵なのでしょうか?
デザイン的にまるで華がないあたりが残念です。だから強いのかもしれんのですが。
ゼノサーガの『グノーシス』っぽい部分もあったりするのかも?



■ヒロカズ、ケンタ、小春

『オレだって、テイマーだぜ…!』
『タカトたちが戦ってる!』
『ロップモンじゃないよ。アンティラモンって言うんだよ』


サブテイマーたちもいよいよ動きはじめました。ガードロモンに乗って最前線へ飛び込んでくるヒロカズ、海天使を連れてマイペースに行動するケンタ、アンティラモンを後方から支援する小春と、三者三様でなかなか面白い状況。
小春はあまりにも子供だから別としても、ヒロカズとケンタの行動は何とも性格が出ていると思いません?

それにしてもヒロカズのお母さんって若いですね。留姫ママ同様ヤンママなんでしょうか。



■ゾーン突入(註:ウソ)
三人でゾーンに殴りこみをかけるのかと思いきや、なんとデュークモンだけ、それも殴り込みどころか引きずり込まれるというオチ。



それは突入とは言いません。



でも、あそこで外すあたりがいかにもタカト&ギルモンらしいと思ってしまったですよ。
デュークモンになろうが本質はおんなじ。しかもタカト君、ゾーンに引っぱりこまれる間際には思わず手をかざして

びびっていたし。

…正直、なんかちょっと安心したかも…。



■インプモンとクルモン

『おめーみたいなちっこくて力のないデジモンが、あんなとこに行ってどうすんだよ。このアホタレ!(ポカリ)』
『でもクルモン、あそこに行きたいんでクル…』


ここまで来るともはや荒っぽい兄と危なっかしい弟という感じ。インプモンの言葉にはなんか愛を感じます。
二人ともホントに変わったなあ。それがテイマーズのテーマなんでしょうか?



■ニセ加藤さん

『デ・リーパーは、人間を存在するに値しないと判断した。
 あまりに弱く、あまりに不整合な存在だ。人間は』


ここで正体を見せたニセ加藤さん。やはり40話で入れ替わっていたのですね。
そして加藤さんを参考にこのニセ加藤さんや、ADRシリーズが産み出されたのでしょう。とすると、ADRシリーズの妙にパペットくさい外見は、彼女の深層心理にかかわっているのかもしれません。これは私の意見じゃありませんけどね。

正体をあらわした時に背が伸びていましたが、あれは大人バージョンになったというより、単に体のサイズを調整しただけでしょう。髪型もそのまんまですし。つまり拡大コピーですか。それも縦軸だけの。



■アリス
ドーベルモンへの思慕を残したまま立ち去りましたが、実はまだ正体不明なまま。
この後マッコイ教授との再会シーンがあれば、ちゃんと人間だということがわかるんですが…。
いや、だって服装のセンスとか写真と全然違うし…。



■ガードロモンとヒロカズ

『応援に来たぜぃ!』
『オレが連れてきたんだろうが!』


いい味出してます、このコンビ。似たもの同士なところが特に。
ところで、彼らが来たときの留姫の『ヒロカズ……』というセリフが、妙に嬉しそうだったのは気のせい?

…たぶん気のせいなんでしょう。



■ジャスティモン

『……誰?』


ていうかお前らいつ究極体になった!


…やっぱりリョウって、こういうキャラなんですね…強すぎて埋没という。



■総括
さすがに出口さんだけあって、絵も戦闘シーンもへにょってました。先週との落差がすごい。
とはいえ、勇んで飛び出しておきながらあっさり引きずりこまれるデュークモンの間抜けっぷりといい、サブテイマーたちの決起といい、別の意味では見応えのある一本です。あと、本性を見せれば見せるほど滑稽になっていくニセ加藤さんとか。

さて次回はジャスティモンなのですが……



■次回予告
映画の予告のせいで内容がほとんどわかりません。今度の映画は30分なんですね。ワンピの方がメインかな。
それにしても、まさかジャスティモンがあれほどまでに弱……ゲフンゲフン。