デュークモンを救え!グラニ緊急発進

 脚本:まさきひろ 演出:芝田浩樹 作画監督:伊藤智子
47話です。デュークモンの支援ユニット、グラニがいよいよ登場。クリムゾンモードへの布石を打ってる感じです。


■ADR07、08
 矢継ぎ早に、新デ・リーパーが登場してきました。便宜上さきに出てきた個体を07、直後に出てきた個体は08と認定呼称しましょう。

 ADR-07は、高い戦闘能力と検索能力をあわせ持つ、ADR-02の親玉みたいな存在。触手の先から出てきたカメラは本物というより、ぶんどって機能を盗んだ品の形質を受け継いでいるのかもしれません。

 ADR-08は、内部にたくさんのADR-03をかかえた空母タイプ。デュークモンの跳躍力でも頭まで届かないところからみて、頭頂高は軽く150メートルくらいありそうですね。ただ、自身にはほとんど戦闘能力がなく、攻撃手段を内部戦力に頼っているので、懐に入られると弱いようす。しかし半端じゃない数を吐き出すので、生半可なことでは近寄ることもできないでしょう。
 収容されていたADR-03軍団はこの個体を介し、ケーブルで本体とつながっているものと思われます。よって一網打尽。



■加藤さんの闇
 デ・リーパーのカーネル(中枢)にとらえられた加藤さんが見るものは夢かうつつか、今よりもっと稚い頃、目のあたりにした闇でした。

 母の死。そして、それを『運命』として受け入れる父。
 同じようにして、加藤さん自身もそれを受け入れた……いや、受け入れなければいけないと心に言い聞かせていたのでしょう。でも、本心では納得していなかった。そんな言葉では片づけられなかった。
 逃げ出したちび加藤さんは、なんとか運命にあらがおうとする、彼女の本心なのだろうと推測できます。

 それでは、彼女の前に立ちはだかったのっぺらぼうの加藤さんはいったい何なのか?
 これは単なる推測にすぎませんが、あれはデ・リーパーのイメージというだけでなく、加藤さん自身のべつの側面でもあると思います。
 まわりに泣き言をもらすこともできず、奥底にかかえている澱みのような痛さや、運命にさからいたいと意志表示をすることもできない自分の弱さへのいらだち。それらを全てひっくるめてひた隠し、笑ってばかりいる『本当でない』自分への荊のような、ちくちくした嫌悪。
 そういった感情が、イメージとしてあらわれたのが、あののっぺら加藤さんなのではないでしょうか? 顔がないあたりが象徴的です。
 あのハンドパペットもいまにして思えば、彼女の本心を隠すはたらきをしていたわけですし。 

 で、いま回想で見返してみると、レオモンがいまわの際に発した『運命』という言葉にはっ、と一瞬反応した演出に納得しちゃったり。

 でも、もし上述のように思っているのだとしたら、こんな悲しいことはありません。だって、加藤さんが何をも乗り越えられる強さもまた同時に持ち合わせていることを、視聴者は知っているのです。
 それさえ彼女は、『運命』というただひと言だけで今、否定しようとしているのですから。

 そのように考えると、レオモンは加藤さんがある意味、必死で演じてきた『仮面』をこなごなに砕いて逝ってしまったわけで……。
 だとしたら、たとえ万が一レオモンが生き返ったとしても、それだけではダメなのかもしれません。
 今のところは彼自身の存在もまた、加藤さんがかかえる葛藤の奥でくさびになり果ててしまっているのですから。


■おにぎり配布
 拡大をつづけるデ・リーパーゾーンから逃れ、ヒュプノスの面々と合流したタカトたち。現場では女性陣がおにぎりの差し入れ。
 何気なくて短いシーンですが、こういうところがお気に入りですね。


■水野さん
 なんというか、つくづく謎の多い人物です(笑)。
 ブルーカードをばらまいていたかと思えば実体でなかったり、なぜか図書館のなかに霊体のような姿で寝ていたり、デジノームと交流していたり。かと思えば自力でめざめて、気づいたら新宿に来ていたり。あげく、ジェンのカードスラッシュポーズを知っていたり(^_^;)
 たしか見たことがないはずなのに……なぜ??

 ていうか、そもそもなんでブルーカードをばらまいていたんでしょうね?
 もっともそれをやっていたのは、上述のように虚像だったので、彼の無意識か、それに反応したモクモンがやったことか?
 謎は深まるばかり……。



■クロンデジゾイト

『デザインだけではありません。クロンデジゾイトという、仮想金属でできているんです』


 いやあ、まさか室長の口からクロンデジゾイトの名前が出るとは思いませんでした。
 そもそも、ずいぶんご無沙汰な単語ですし……最初はデジアド01の42話あたりで、それ以来ず〜っと出てこなかったですから。デジモンの説明にはよく出てくる用語なんですが。
 ところであの強化パーツ、基本デザインは室長とみた(笑)。



■タカト

『加藤さんを、怒らないであげてください。加藤さんは悪くないんです!』
『やめろーッ! それ以上、加藤さんの心をのぞくなーッ!』
『加藤さん…ぼくが必ず、助けに行くからね!』


 おおう、頭からシッポまで加藤さん加藤さん。まあ、もともと好意は持っていたわけですけど、自分やギルモン以外の誰かのために、こんなにがんばれる子だったんですね、彼って。それとも、これまでの経験で学んだのでしょうか。
 どっちにしろ、もうだいぶ『男』と認定呼称していいような感じになってきました。リーダータイプではないけど、自然とみんなの牽引力になれる子ですね。将来が楽しみです。

 まあ、ジェンをも上回るくらい不器用で、同じくらいに純朴な子ですから、そこらへんはお父さんに似たのかも。



■留姫

『意外……
 いつもにこにこしてて、なに不自由ない、幸せなくらしをしてるんだと思ってた。
 でも…シリアスじゃん。あたしより、全然シリアスじゃん…!』
『わかるわけない!!
 あんたなんかに樹莉の気持ち、わかるわけないッ!!』


 素晴らしい。いつのまにか彼女も、他人の気持ちを慮ることができるようになっていたのですね。
 当初は、自分のまわりにある矛盾やいらだちにしか目を向けていなかった彼女。自分でそうしなかったというよりそれで精一杯だった、とも言えそうです。けれども、ここで彼女は加藤さんの立場を知り、気持ちを想像し、思いやることができました。
 そして思ったんでしょう。樹莉は強い、と。

 だからこそ、ただ機械的な解析や学習のためだけに加藤さんを利用し、記憶を読んだデ・リーパーには吐き気さえおぼえてるんでしょうね。
 このセリフから、心を持たないデ・リーパーこそが最恐の敵であり、デジモン以上に相容れない存在だと強調されるわけです。



■リョウ&サイバードラモン=ジャスティモン

『オレはまだ戦える!』
無理だってば!


 彼らがなにをしてたか、いまいち説明不足でしたね。あれだと単身で戦いに行ったようにも見えます。
 前半〜中盤にちらちら出てきて、後半の登場はADR-07戦ですから、なんだかわけのわからん動向ですね。とはいえ、どうやらサイバードラモンの宿敵はデ・リーパーっぽいので、ヤツが勝手に飛び出したのかもしれません。

 ADRシリーズと小競り合いをしている姿に、まるで中ボスがなかなか倒せずにラストダンジョンの第一層あたりで雑魚相手にうろうろしているレベルが微妙に足りない勇者のような印象を受けてしまったのは、私だけでしょうか?(^_^;)

 
 

■ヒロカズ&ガードロモン
 ただひとり成熟期で頑張っているコンビです。いまいち役立ってないように見えますがなかなかどうして。よく見ると、ジャスティモンとの連携でADR-07を仕留めているじゃありませんか。成熟期としては破格の殊勲賞ですよ。

 まあ、その後ADR-08にいきなり突っ込んだのはどうかと思いますが……(笑)



■ジェン組とケンタ組
 今回はお休み。でもアークを預けているジェンはわかるとして、ケンタはなんでいるんでしょう? けっこう役立つと思うのに。
 さすがに敵がでかいのでオーシャンラブも効き目が薄いとは思いますけど、回復役にはなれそうですよ?



■加藤はじめ
 今回、はじめて心情を語ってくれたお父さん。あまり感情を出さない人なのですが、加藤さんのことを心配してなかったわけではありませんでした。というより、心配のあまりにきつい言葉を吐いてしまって、ああオレはこんなこと言うつもりじゃなかったのにと思いつつ、表面上は

『樹莉のため、おまえのためなんだ』

 と取り繕っちゃうタイプなんでしょう。そして、後から自己嫌悪におちいると。
 でも、単身現場に行ったりADR-07の触手に飛びついたり、あげくの果てに車で足に体当たりしたりとかっこいいところを見せてくれました。
 そして思いましたとも。

 この無茶さかげん…血は争えないんだなあ……と。



■ゼロアームズ・グラニ

『グラニ…! 英雄ジークフリードの愛馬の名前こそ、お前にふさわしい!』


 やっと元ネタがわかりました。北欧のほうだったんですね。
 しかし、リアライズしたがってうごめいている姿は駿馬というより、どっちかというとエビ。そういえばグラニって名前、マカロニグラタンに響きが似てますよね。エビマカロニグラタン
 なんだかグラタンが食いたくなってきました。

 閑話休題。
 本編ではデュークモンの思いに呼応してリアライズしました。当然でしょうね。
 まだアークとして存在していたころ、自分とはじめて言葉をかわし、存在意義を認めてくれた相手なのですから。

 こいつの名付け親はもちろん室長でしょう。メチャクチャ嬉しそうでした。それはそうです。デジモンにかかわる彼の仕事では、これが事実上最高のものとなったのですから。それも趣味入ってるし。嬉しいでしょうねえそりゃあ。
 水野さんといいこの人といい、なんか子供返りしてるような……(^ ^;



■総括
 加藤さんの内面に切り込んだりグラニが登場したり、加藤さんパパが活躍したりと見応えがある回ですが、あと4回なのに大丈夫なのかおい、とツッコミを入れたいくらいの話でもありました。中ボス2体倒しただけで終わりとは……。
 これは敵キャラの造形が弱いということもあります。デ・リーパーって機能分けはあっても個性がないので、44話くらいの演出がないとなかなか立ってこないのかもしれません。おかげでADR-05が一番強く見えたり。

 ともあれ、加藤さんを中心にお話はいよいよクライマックスでしょう。たぶん次から。
 しっかり見届けたいです。



■次回予告
 捕まったベルゼがついに動き出します。他でもない、加藤さんを救うために!
 奇しくも作監は34話と同じ、八島氏。これも運命……

 おっと、運命は変えられるんでした…よね。