シャウトモン、吼える!

 脚本:三条陸 演出:貝澤幸男 作画監督:仲條久美
★あらすじ

 シャウトモンたちの棲みかである"微笑みの里"へ案内されるタイキたち。
 デジタルワールドは今、国ともいえるゾーンをめぐって戦乱のまっただ中でした。タイキたちのいるグリンゾーンもまた、
 悪のバグラ軍に侵略を受けていたのです。そして今日もまた、バグラ軍が里を襲ってきました。
 血気さかんに立ち向うシャウトモンですが、力を冷静に使いこなすタイキを見て彼とならキングになれると確信を強めます。

 しかしタイキは異世界人。それにアカリやゼンジロウを巻き込んでしまった手前、帰らねばならないと言い切ります。
 シャウトモンが"キング"になりたがるのも、あくまで個人的な話──そう言われ、怒るシャウトモン。
 かくて里を去ってゆく異邦人たちでしたが、タイキはシャウトモンの見せた涙が気にかかってなりませんでした。

 そんなとき、たまたま微笑みの里を襲おうとしていたマッドレオモンの軍勢とはち合わせしてしまいます。
 必死で逃げるタイキたちですが、敵は巨大なオロチモンまでも繰り出してきました。
 追い詰められた彼らを助けたのは、シャウトモンとその仲間たち。放っておけなかった、と語るその心意気に頷くタイキ。
 しかし、マッドレオモンがオロチモンと融合。巨体の前にシャウトモンもバリスタモンも叩きのめされてしまいます。

 キングになるまでは負けられない。キングにならなければ、皆を護れない──吼えるシャウトモン。
 相通じるものを再発見したタイキが、デジクロスを指示。シャウトモンとバリスタモンが合体し、シャウトモンX2が登場します。
 シャウトモンの速さ、バリスタモンのパワー、そしてタイキの判断力。すべての相乗効果がマッドレオモンを打ち倒しました。
 臍を噛みながら撤退してゆくマッドレオモン。弱い人間が何故、こうも脅威になるのか──その後ろ姿は怒りに震えていました。

 勝利に湧く一同を、そっと観察している影がひとつ。ネネです。彼女の目的とは一体?

 

★全体印象

 2話です。サブタイトルはどうやら、全篇を高山氏が担当するとみて良いようですね。

 ハデさを第一義とし、キャラも敵から味方まで幅広く出していた1話と違い、いろいろと絞って足場固めをしてる回。
 当然のことながら、そのメインはタイキとシャウトモンの心理。大きな山場を越え、状況を知り、事情も踏まえ、
 それでもなお力を貸したくなる理由は何なのか。丁寧に押さえられていました。

 戦いでも突っ込んでゆくしか知らないシャウトモンたちと、一歩退いた場所から判断するタイキという図式が描かれ、
 デジクロスとは単なる合体ではなく各人の力を合わせ、欠点を補い合うものだというテーマも強調されています。
 デジモンシリーズでは珍しく、敵を策に填めて自爆にもってゆく流れもありました。

 第三の男であるドルルモンと、さらにキュートモンもちょっとだけ顔見せ。
 ドルルモンは無論、キュートモンもアカリにとって重要なキャラになるはずですから、動向には注目したいところですね。

 作画レベルは相変わらず高いです。スタッフの人数がなんかすごく多いんですよね。
 ひょっとしてテイマーズ以来ですか? の直井正博氏やセイバーズのキャラデザイン・青井小夜女史の名も確認。
 さらにはあの佐々門氏の名前もありました。なんだか総力戦という感じです。
 演出もお馴染みの貝澤氏だし、次回からはあの吉田玲子女史もデジモンに復帰するらしいとあって、テンションが上がります。
 本気だ。東映は本気だ。

 とか言って、ここまで注力してるのは3話までだったりする可能性もあるんですけどね。しばらく様子を見ましょう。



★OP

 前回と違い、明確なアバンパートは無し。歌の前奏でちょっと概要が流されるだけになりました。
 これを受け、本編で高山氏自身のナレーションによるあらすじが入るようになってます。
 あらすじと言ってもタイキの一人称なので、今までとはちょっと違う感じ。
 


★各キャラ&みどころ
 

・タイキ

 何か一気に醒めたみたいに冷静になってましたが、確かにそういう面はあったと思います。

 シャウトモンの命を助けるという当初の目的は果たしたわけですし、それ以上は事が大きすぎて実感が湧かなかったのでしょう。
 大変そうだな、という他人事みたいなセリフがそれをよく言い表していたと思います。
 それに自分ひとりならともかく、アカリとゼンジロウを巻き込んでしまったという引け目もありました。
 なんせ二人は止めたのです。にもかかわらず、デジタルワールドへの扉を開いたのは他ならぬタイキ自身なんですからね。

 そんなタイキにとって、シャウトモンは何やら自分のことばかり考えていたように見えたのかもしれません。
 忘れちゃいけないと思うんですが、この時点じゃ彼、自身の力がそんなに重要なものだとはちゃんと認識してないんですよね。
 まして戦乱の世を鎮めるなんて、スケールが大きすぎて無理だと考えたとしても仕方ないでしょう。

 それでも"自分にできることを全力でやる"が合わさったときの力のすごさは知っています。
 バスケの場面を思い返してみれば、アレが割と今回の縮図に近いんだろうなと類推できますね。フェイント込みで。
 上で書いたように、いろんな事情を踏まえた上でそれでもシャウトモンを助けたい、という気持ちを描いていたのです。

 いわゆる"またやっちゃった"というヤツですね。
 キリハとの邂逅で現実世界関係にひとまず決着がつくはずですから、いったん腰を落ち着けざるを得なくなるはず。
 その前に、単なる成り行きではない何かを築いておきたかったのでしょう。
 
 
・シャウトモン

 この子は恐ろしく不器用なのだな、と感じました。
 キングになりたい、という夢は単にビッグになりたい、という抽象的な話じゃなく、皆を護りたいから。
 旗印になれるぐらい強く大きくなり、侵略を食い止めて、ついには戦乱の世をも終わらせる男になりたかったのです。

 それならそうと最初からそう言えばいいのに、キングという言葉にこだわりすぎて誤解を招いてしまってました。
 でも理路整然と自分は皆を護りたい、そのためにキングになりたい、だから君の力を借りたい、なんて語れるか、
 と言えば「無理だろうなぁ」と思います。だって、明らかにそういうタイプじゃありませんもの。
 そんな事をしたら、むしろ違和感を抱いてしまいそうです。

 あの涙は去ってゆこうとするタイキへの怒りと、もっとうまく言えればタイキをその気にさせられるのに
 それができない自分への苛立ちなど、あれこれ混ざったものだったのでしょう。
 本当は優しいヤツなのに、素直じゃない上プライドも高すぎるので、時折拳で発露させてしまうのですね。

 長い目でみれば、この二人は一度こうして離れてみたほうがよかったのかもしれません。
 そこにどうしても助けなきゃいけない、助けたい誰かがいる。自分たちは似た者同士だ、という確認のためにも。
 
 
・アカリ

 あくまでも常識的な立場から、タイキの軌道修正をして帰路につかせる役回りでした。
 一度は決心を揺らがせたタイキの尻を叩いたのは彼女です。彼と違い、巻き込まれただけというのも大きいでしょう。

 そこに携帯すら全然繋がらない状況を入れ、不安に苛まれる表情を出すことで、現実の世界に帰りたい、という
 強い気持ちに説得力をつけているわけですね。アレがなかったら鬱陶しく感じるぐらい、正論を喋りまくってました。
 海の日にタイキと交わした約束が何なのかも気になります。

 そして、キュートモンとの出逢い。今回はほんとに顔見知りになった程度ですが、いずれ何かあるはず。
 そのとき、彼女もまたこの世界でやるべきこと、やりたいことを見つけることになるのかもしれません。
 
 
・ゼンジロウ

 「大きなことを言ってるけど実はヘタレ」という側面がより明確になってきました。
 アカリと比べても全然目立ってない扱い。彼がデジタルワールドで何かを見いだすまでには、時間がかかるかもしれません。
 そのとき、新たな側面も見せてくれるのだろうとは思いますが。
 
 
・バリスタモン、スターモン&ピックモンズ

 相棒として無口にシャウトモンに従うバリスタモンと、二人をサポートするスターモンたちという図式が確立しました。
 しかし今回で浮き彫りになったように、彼らは強力ではありますが突進しか知りません。
 そこに指針を与え、それぞれの行動に意味を与えてひとつの目的に収束させるのがタイキということですね。
 
 
・キュートモン

 里でタイキとはぐれ、不安に涙するアカリの前に現れたデジモン。
 その名のとおりテリアモンを思わせるキュートな姿をしていますが、性格にはちょっと癖がありそうな描写でした。
 声が予想してたのとちょっと違いましたね。テリアモンと書きましたが、どっちかというとクルモンみたいな声をしてます。
 涙は嫌いだと語ってましたが、あの言葉にも意味があるんだろうな。

 
・ドルルモン

 キュートモンの相方としていっしょに旅をしているっぽい風来坊。そのキュートモンとアカリたちを助けたのが初登場です。
 合流するやいなやさっさと去っていってしまうあたり、良くも悪くもマイペースな性格が窺えました。
 櫻井氏の演技は落ち着いていて、実際クールな性格でもあるのでしょうが、ちょっと軽いところもありそうです。
 シーラモンを無造作に始末するあたり、なにげにその実力も見て取れますね。

 次回で早くもデジクロスするようなのですが、どういう経緯を踏むんでしょうか。
 
 
・ジジモン

 おそらく微笑みの里の里長。シャウトモンをポカリと戒めるシーンから、容易に関係性が窺えます。
 シャウトモンの類稀な力に期待すると同時に、礼儀も自重も知らないその性格に呆れている面も多々あるのでしょう。
 後半は出てきませんでしたが、一般デジモンのまとめ役としての出番は今後も期待できます。
 
 
・リリモン

 シャウトモンがタイキを接待しようとする場面で登場。大勢のサンフラウモンが踊る中央でダンスを披露し、
 セクシーアピールまでしていました。なぜかタイキの顔は微妙でしたが。
 初めての経験で固まってしまったのか、いや美人といってもモンスターだしなぁ…と退いてしまったのか、どっちなのでしょう。
 ……デジタルワールドに美女という概念があるのはこのさい置いときましょうか。
 
 
・マッドレオモン

 態勢を立て直し、軍団を再編成してふたたび微笑みの里に進軍してきました。
 タイキたちに遭遇したのは、たまたまその進路上に3人が入り込んでしまったからです。なんとも間が悪い。
 結果的にタイキを引き止めることとなったので、実はキッカケを与えてしまったようなものなんですが。

 己の力に絶対の自信を持っているのか、肉体的に弱いタイキたち人間を蔑むようなセリフがより目立ちました。
 あらゆるものを取り込んで発揮するそのパワーは確かに脅威で、一定の戦術眼もあるようですが、
 結局は常に独りで戦っているようなものです。部下たちは命令通りに動いているだけ。
 力を合わせ、時には知恵で出し抜いてくるシャウトモンたち+タイキには敵うはずもありませんでした。

 次回もまたボコられるようなので、早くもサンドバッグ役が板についてきつつあるようです。
 このままだと業を煮やしたタクティモンにボロ雑巾のように捨てられる末路しか思い浮かびませんが、果たして。
 
 
・オロチモン

 マッドレオモンが部下を使い、不気味な城から運び出させたデジモン。鳴き声で自己主張しています。
 アニメに出るのは2度目くらいですが、そのときよりも巨大な印象。
 マッドレオモン的にはこいつを使って里の面制圧をしようとしていたのでしょうが、シャウトモンたちの登場で予定変更。
 みずからの身に取り込み、オロチモードとして猛威を振るうことになります。
 
 
・マッドレオモンオロチモード

 2話目にして2度目のモードチェンジです。それも敵方が。
 これだけ取ってみても、前作までの常識がまったく通用しないシリーズだということがわかるかもしれません。
 進化レベル無視は料理さえうまければ、シナリオの幅を広げてはくれるのですが……さて。

 戦闘力は単純にアームドマッドレオモンを凌ぐものがあります。少なくとも下回ってるようには見えません。
 前回は不意のことで思わぬダメージを受けてしまいましたが、今回は気を張っての真正面勝負。
 おかげでシャウトモンらを追い込むことに成功していますね。

 が、やはりどこかに過信があったのでしょう。X2に合体したうえにタイキの判断力が加わった主人公チームにしてやられ、
 みずからの力で自爆気味に動きを封じられてしまうシーンがありました。まさに典型的な小物悪役。
 あらゆるデータを自分のものにする能力はすごいんですが、自信過剰な性格がその活用を妨げてる感じでした。

 ……こういう小物が意外と化けるのが構成さんの持ち味だからなあ。
 曲がりなりにもレオモンだし、展開によってはもしかすると、もしかしたりするかもしれません。
 
 
・プテラノモン

 前半の敵。空から微笑みの里を爆撃し、飛行できないシャウトモンを翻弄していました。
 タイキの機転でピックモンズ+バリスタモンによる即席パチンコが作られ、高度を稼いだシャウトモンにやられています。
 バリスタモンの名前は電極が語源と思われますが、日本においては大型弩砲も連想される言葉。
 まさにその名の通り、対空兵器と化したわけですね。弾はシャウトモンというわけだ。

 しかし悪人ヅラのせいか、テイマーズの頃からやられ役ばっかりのデジモンですね。仮にも主人公系から進化できるのになあ。

 
・シーラモン

 大地を潜行するというめずらしい術(地行術か?)を使い、里を偵察していたデジモンです。
 もともとはこの能力を活かして敵の能力を調べ、上に報告するのが仕事なのでしょうが、可能なら始末もしてるようですね。
 でもたまたま弱そうな獲物を狙ったというより、最初からアカリかキュートモンのどちらかを狙っていた節もあります。
 行動を起こす前にドルルモンに瞬殺されてしまったので、意図のはかりようがないのですが。
 
 
・ナノモン

 いまいちハッキリしないんですが、あのガスマスク兵士たちの名前でいいんでしょうか?
 本来のナノモンは小型ながらかなり強力なデジモンなんですが、こっちは文字通りの木っ端という意味なのでしょうか。
 あの中身がどうなってるのかわからないので、ひょっとすると本来のナノモンが入ってたりしたりして。

 命令しなければ何もできないのか、逃げるタイキたちをボーッと見送ってるショットが見受けられます。
 そのすぐ後、頼まれる前に自分の意志で助けにきたシャウトモンの描写が入るあたりがポイントと感じました。
 大軍をかかえながら実質ひとりで戦っていたマッドレオモン込みで、いい対比を作っていましたね。
 
 
・キリハ

 グレイモンとメイルバードラモンを率い、別の場所でバグラ軍と戦っていました。
 仲間らしきものが見当たりませんが、出てこなかっただけなんでしょうか。それとも超少数精鋭ですかね。
 まあ、それも次回である程度わかることになると思います。

 今のところ、極めて冷徹に割り切った性格をしているように見えます。
 現れたネネに特別敵対行動はとってませんでしたが、不可侵の約定でも結んでるのでしょうか?

 とりあえず早期に主人公をヘッドハンティングしに来るあたり、人を見る目はありそうです。
 
 
・ネネ

 神出鬼没。キリハのところに現れたかと思えば、ラストシーンではタイキたちを見守ってました。
 この移動スピードはただもんじゃありません。OPに出てくる、同志と思しきデジモンたちと関係があるのでしょうか。
 もしかするとこの世界に起きている事象の真の原因を知っており、それを鎮めるために強い仲間を求めているとか……?

 気が早いですが、そんなことを想像してしまいますね。



★名(迷)セリフ

「あたしたち、帰れないのかな…… お父さん、お母さん…心配してるだろうな……」(アカリ)

 タイキがああいうヤツなので、こちらはこういう役回り。
 幼い頃から知り尽くしているタイキには強い彼女ですが、イレギュラーにも程があるこの事態にはさすがにお手上げ気味です。
 来たくて来たわけでもないので、ここにいる意味をまだ見いだせているわけでもありません。いつ乗り越えるかな。
 両親の出番があるかどうかも気になります。
 
 
「涙は大嫌いキュ!」(キュートモン)

 アカリとの出逢い、その第一声。キャラ紹介にも載っているので、標語かもしれません。
 今回の時点では何のために出てきたのかわかりませんが、とりあえずこのセリフはひとつの楔として憶えておくべきかも。
 アカリを元気づけようとしていたのは確かなので、どんな時でも笑顔をモットーにしているのかもしれませんね。
 ところで、誰の裏声なんでしょうか。あともしかして、この外見でオス?
 
 
「単なる…通りすがりさ…!」(ドルルモン)

 直後、キュートモンを乗っけてさっさと里を出ていってしまいます。単に相方を捜しに来ただけだったようですね。
 グリンゾーンの戦いに積極的に関わる気があるようには見えません。どうやって勧誘するんでしょう。
 何か目的があって旅をしているのなら、それがタイキたちの利害に合致すれば必然性は生まれるのですけど。
 どうあれ、キュートモンがなかだちとして重要な役目を背負っている可能性は大です。

 ちなみにゼンジロウは寝てたので、二人を目撃したのはアカリだけです。ここにも意味はありそうな。
 
 
「オレは友達ふたりを、巻き込んでしまった…だから、オレたちは人間世界へ帰る、ってことだ」(タイキ)

 ある瞬間を境に、フッとマジモードの横顔を見せて自分のペースに引っぱり込むのがタイキであり、構成さんの得意技です。
 タイキ一人だったらもうちょっと考えたかもしれませんが、アカリとゼンジロウのことを思えばもっともな言い分。
 少なくとも、彼はそれをハッキリ伝えられるだけの強い意志を持っているようです。
 
 
「タイキのバカヤローーー!」(シャウトモン)

 そして、意志は強いけどそれをうまく伝えられない者がひとり。
 キングになる、という夢を自分勝手なものだと誤解され、岩に八つ当たりした直後のセリフです。
 うわあ、今時こんな捨てゼリフを残して泣きながら走り去る男の子が見られるとは思いませんでした。ベタすぎて新鮮だ。
 人外の利点か、いろいろ緩和されてます。同じことを人間キャラがやったらギャグにされそうだ。
 すぐ後のタイキのセリフも、すごく王道です。
 
 
「なぜだ…なぜこんなひ弱な人間が我が軍の脅威になる…!? なぜだ!?」(マッドレオモン)

 彼の考え方が窺えるセリフです。
 そしてこの考え方でいるかぎり、彼が本当の意味で勝利を収めることはないでしょう。直後にさっそく出し抜かれてるし。
 ただの捨て駒で終わるか、意地を見せるか、はたまた一皮むけるかは彼次第にかかっているといえます。
 
 
「うるせえんだよ! お前らを放っておけなかっただけだ!」(シャウトモン)
「…それ、いいな!」(タイキ)
「へへ…そうだろ?」(シャウトモン)


 シャウトモンにも、本当はわかっていたのでしょう。タイキに無理を言っていたのだと。
 人であれデジモンであれ、死の間際に本質が見えるのだとしたら、彼は間違いなくヒーローです。
 伝えられなかったことを伝えるために、ってわけじゃなく、やっぱり理屈抜きで飛び出してしまうのでしょうね。
 
 
「お前ってヤツはホントに……ほっとけないぜ!!」(タイキ)

 それはきっと、タイキも同じで。
 自分のためではなく、誰かのために生きている者を無条件でリスペクトするところもあるのかもしれません。
 シャウトモンの中にそれを見いだしたとき、彼もまた弾かれるように赤を振るっていました。
 
 
「お互いの苦手を埋め合うこと……それが無限の力を生み出すんだ!」(タイキ)
「それが、デジクロスの真の力だぁーっ!」(シャウトモンX2)


 絶妙のタイミングでマッドレオモンの繰り出す蛇頭を躱し、逆に動きを封じての駄目押し。
 一瞬でどうやってこんな作戦を立てたのかと不思議になりますが、前回でタイキがシャウトモンの声を聞いてます。
 あそこまでハッキリとはいかなくとも、クロスローダーを媒介にすればなんらかの通じ合いはできるのかもしれません。
 もっと不思議なのは、すでにクロスローダーを使いこなしてるタイキですが……使いこなせないよりはいいか。


「赤い色…… 面白くなってきた……」(ネネ)

 ラストシーン。
 彼女はキリハのところにも現れ、似たような謎めいたセリフを放って去っています。
 上ではああ書きましたが、どこか混迷した状況を楽しんでるようなところも無くはないですね。果たして。




★次回予告

 いよいよキリハとの対面です。

 あのセリフ、状況によって意味が変わってきますね。配下になれば殺さずにおいてやる、という意味なのか、
 それともピンチを助けるかわりに部下になれと言っているのか……
 メイルバードラモンがゴーレモンらしき者を取り込んでますが、ひょっとして主人公たちも同じことができるのでしょうか?
 主役級デジモンたちが出るなら、あんな感じで連携を取るのかな。何やらディケイドみたいですけど。

 そして予告ですでにボコボコにされているマッドレオモンさんが哀れ。やられキャラとしての風格が出てきました。