ワイズモン、デジタルワールドの秘密!

 脚本:三条陸 演出:小村敏明 作画監督:小松こずえ
★あらすじ

 突然倒れたネネを助けるため、新たなゾーンを目指すタイキたち。
 そこに突然、アルカディモンが現れます。アルカディモンはゾーンの狭間であるデジタル空間に住み、すべてを食らう魔物。
 またしてもリリスモンの差し金です。クロスローダーを手放してしまったタイキは仲間ともはぐれ、
 デジタル空間へ放り出されてしまうのでした。

 そのまま永遠に彷徨うところだった彼を救ったのは、やはりゾーンの狭間で研究を続けていたワイズモンでした。
 ワイズモンの口からデジタルワールドが遥かな過去から存在していること、コードクラウンがバグラ軍の手に全て渡れば
 地獄のような世界が作り出されることが語られます。そうなれば、人間界にも大きな影響が出るのは必至。

 タイキは研究にしか興味がないワイズモンを説得し、デジタル空間を泳いで仲間のもとへ馳せ参じました。
 アルカディモンの爪が迫ったとき、ワイズモンが咄嗟に飛び出して彼を庇います。
 自分自身の行動に現象として興味を抱き、タイキに関心を深めたワイズモンは、クロスハートに与する決意をしたのでした。

 すぐさま脱出をはかるクロスハートでしたが、アルカディモンがなおも追いすがります。
 デジメモリによって呼び出されたダークドラモンとX5の一撃が、恐るべき魔物を下すのでした。
 間一髪のところで勝利をもぎとった一同がやってきたのは……モニタモン一族の故郷、シノビゾーン!



★全体印象

 2011年の一発目、22話です。
 脚本は三条氏。演出の小村氏はどうやら単独でクレジットされるのが久し振りです。
 作監の小松こずえ氏は初担当。「ねぎぼうずのあさたろう」では総作監をやってた人ですから腕は確かでしょう。
 それに過去も「ウォーゲーム」に参加してた実績があるようなので、テジモンと無関係というわけじゃない模様。

 今回でコードクラウンが108あること、掌握すれば全てを思うままにできることが明かされました。
 前からそういうものだと語られてはいましたが、総数と具体的に何が起こるかへ言及されたのは初めてです。
 またデジタルワールドが太古から存在しており、人間がそのごく一部にアクセスしていることもわかりました。
 ジジモンの言っていたことと併せると、それが分裂の原因のひとつなんでしょうか?

 でも、それならダークナイトモンは何故コードクラウンに興味を示さないのでしょう。
 直接力をくれるわけではないものに興味はないのか、力さえあれば後からみんなついてくると思ってるのか……
 それに、タイキを導いたあの声は誰なのでしょう。いくら同じだからってタクティモンって大穴は考えにくいし。
 どうやら、まだまだ謎は多そうですね。



★各キャラ&みどころ


・タイキ

 今回はかなり危ない橋を渡りまくってますが、一瞬たりとも怯んだり消沈することなく行動・行動・また行動の人でした。
 あんだけギリギリの目に遭って生き延びるというのは、まさに主人公補正という名の天運というヤツでしょう。
 しかも、その過程で新しい味方もどんどん増やしてゆくわけですからね。
 このキャラに関しては折れてるところがちょっと想像できませんが……一回はやるかもしれないな。

 それにしても主人公という定義が曖昧になってる昨今、こうも徹頭徹尾に主役! な人物は数少ないですね。
 ここまで来ると、上で書いた主人公補正もご都合主義もいっそ清々しく感じます。


・アカリ&ゼンジロウ

 さすがに前半は成り行きを見守ることしかできてません。
 デジメモリを使おうとしたりもしますが、タイキがいないとどうにもならんのでこういう時は役に立てんのです。
 それでもゼンジロウに関してはスパロウモンに乗ってタイキのもとへ駆けつけ、クロスローダーを渡してました。

 この二人は良くも悪くも常識人なので、なにかとブッ飛んでるタイキにツッコミを入れたり、
 激しいリアクションを返すという立派な役目があります。いないと実はかなり寂しいんですよね。
 言うなればこの二人は、主人公として太い軸となっているタイキの脇を固め、人間味をも補完してるのでしょう。
 マジンガーで言えばさやかとボスみたいなもんかもしれません。あの二人は戦うけど。



・クロスハートの仲間たち

 ナイトモン&ポーンチェスモンズが地味に大活躍しています。
 あんなことができるとは知らなんだ。しかも相当に防御力が高いときています。
 おまけにそのまま移動までできてしまうとは、凄いぞレイクゾーン。

 レイクゾーンといえば、バステモンも久し振りに登場しました。
 喋ったばかりか、デジメモリを提供するという美味しい役回りまでもらってます。
 しっかし、中の人の都合もあるんでしょうが……ほんっとにたまにしか出ませんね。14話以来だ。
 ふだん寝てばかりという設定は、なかなか出てこないことへのひとつの理由づけなのかもしれません。

 他のメンバーは皆とりあえず均等…と思わせてしっかりとシャウトモンが目立ってます。このへんは抜かりなし。
 ネネの手前、いわば外様であるスパロウモンたちも外見だけならすっかりクロスハートに馴染んでますね。
 X5のほうもだいぶお馴染みになってきました。いまのところは無敵の強さです。

 しかしベルゼブモンはホントにどこへ行ったんだ。まさか本当に迷子になってるんじゃないだろうな。

 
・ネネ

 仲間入りしたもののクロスローダーを使えず、その上疲労でぶっ倒れてしまいました。
 今までもあまり休んでなかったのでしょうか。あのダークナイトモンのことですから、あり得る話です。
 そんなわけで、桑島氏的な意味ではリリスモンのセリフの方が多いという状態でした。

 疲労とクロスローダーを使えない事実はイコールなんでしょうか?
 どのみちぶっ倒れたら使えませんが、他に原因があるとしたら解消の必要がありそうですね。
 いや待てよ、コードクラウンが無いとゾーン移動できないのでは? 今まではなんでできていたのでしょうか。
 バグラ軍の情報が確かなら、トワイライトはコードクラウンを持っていないはずなのに。

 アレかな。実はダークナイトモンの能力で移動してたのかもしれませんね。
 ヤツならベルゼブモン同様、単体でゾーン移動ができると考えても不思議ではありません。


・ワイズモン

 偶然か必然か、タイキを救う形になった賢人。
 同時に変人でもあり、寝食を忘れて研究に没頭する傾向があるというサコン先生みたいなデジモンです。
 何かに没頭すると他のことが目に入らなくなるという意味ではフィリップもかなり入ってる。
 声だけはイケメンなところが可笑しいです。だって速水奨さんですよ?

 結果的にも、タイキを興味深い研究対象と見なして同行するどこまでもお約束な方です。
 スパロウモンらを除けば実はひさしぶりの仲間。ヘブンゾーンやフォレストゾーン、ダストゾーンの地元組は
 仲良くこそなりましたが、それぞれ事情や役割があってゾーンを離れるわけにはいきませんでしたからね。
 そう考えると、レイクゾーン組はけっこう特殊な例といえるでしょう。

 今後はクロスローダーの中に落ち着き、恐らくコードクラウンの研究をするものと思われます。
 表に出てくることはあまり無いでしょうが、解説役としてはこれ以上ない人材を手に入れたことになりますね。
 困ったときには「知っているのか、ワイズモン!」の手が使えそうです。
 いや、冗談のつもりだったけど本当に言いそうだ。


・ダークドラモン

 バステモンが持っていたデジメモリより登場しました。
 なにげにかなり強力なデジモンです。まさかレジェンド入りしていたとはね……よかったな、聖。
 とはいえ既に状況が好転した段階での使用なので、もののついでという印象も少しありました。
 使用技はギガスティックランス。一撃でアルカディモンにかなりのダメージを与えています。


・バグラ軍のみなさん

 姿を現したバグラモンに三元士がお目通りしてました。
 コードクラウンの保有数はやはり圧倒的ですね。彼らだけで7割近くを掌握してる。
 この趨勢を引っくり返すには……三元士を倒すのが一番手っ取り早いですかね。体内に全部持ってそうだし。
 とはいえ、それはまだ難しいでしょう。どいつもまだ奥の手を見せていません。

 ブラストモンはどうやら、バグラモンに目通りするのは初めてのようですね。
 深い意味はなく、単に最高幹部としちゃ新参だからなんでしょうけど。恐らく最古参はタクティモンですね。
 刀に封印を施したのもバグラモンですから、相当古い付き合いなのかもしれません。

 いつにも増して悪辣な手を使ってみせたリリスモン。
 そんな彼女も、バグラモンに対してはかなり従順な態度と表情を見せていました。単純にメロメロなのか、
 あるいは後継者の座を狙っているのか……後者なら、それはたぶん無理でしょうけど。

 それにしても、バグラモンが後継者のことを考えていたとは。
 大魔王バーンに似た雰囲気を感じたのが気のせいじゃないなら、他にも何か考えていそうではあります。


・アルカディモン

 別の世界では超究極体と呼ばれる恐るべき個体。
 ご存知「Vテイマー01」のオリジナルにしてデーモン込みのラスボスでもあります。これでアニメ初登場。
 もともとカードにはなっていたのですがゲームには出てなかったので、けっこう驚きの選別でした。

 さて、漫画版ではうんざりするほど強かったこのデジモンですが、今回はそれほどでもありません。
 デジメモリで現れたダークドラモンに一撃食らったあげく、メテオインパクトで吹っ飛ばされて死亡してます。
 それでもデジタル空間内を平気で移動できる能力や、X5とも戦える戦闘能力はさすがというべきでしょう。
 恐るべきは、こんな凶悪なヤツでも手なづけてしまうリリスモンですね。彼女の最も警戒すべき点です。
 あるいはアカリに披露したように、任意の相手を意のままにできる能力があるのかもしれません。

 なおデザインが少々変わっており、あの姿には確か無いはずの顔があります。少なくとも目は隠れてたはず。
 そのため、究極体状態に幼年期の顔がくっついてるように見えました。
 (追記:と思ったら究極体でなく完全体での出演でした。思い込みって怖い)


・モニタモンの長老

 ラストで登場。こっちも菊池さんですか。そういえば、ダメモンが出てこなかったな。
 シノビゾーンとネネの療養にどんな関係があるんでしょう。次回が待ちきれません。


・デジタルワールドの謎

 ワイズモンは「人間がデジタルワールドの一部を利用している」と言っていました。
 私たちがふだん携帯やゲーム機、パソコンなどで情報のやり取りに使っているのは電波です。
 つまり気づかぬうち、情報が頭の上を行ったり来たりする世の中になったわけで……考えてみれば不思議ですよね。

 デジタルワールドはまさにその「頭の上で行ったり来たりしている世界」なのかもしれません。
 というより、デジタルワールドの一部を利用して情報を交換していると考えたほうがいいでしょうか。

 そして電波の割当に限界が出て来たと言われるぐらい、このやり取りが過密になってきました。
 これを解決するための手段のひとつが地上デジタルへの切り替えと言われてますが、もしこの猛烈な交信が
 デジタルワールドへ影響を与えていたとしたら……? ジジモンの言葉と繋がってきそうな気がするんですよね。
 実際はぜんぜん違う理由かもしれないけど。

 そう考えると、1話の頭のほうでスカイツリーが出たのもひとつの象徴かもしれません。
 こりゃ、人間界でのストーリー展開も充分にあり得る流れになってきました。あの待受も伏線ですかね。変だったし。




★名(迷)セリフ


「実に興味深い!」(ワイズモン)

 ワイズモンの常套句。この手の人物には欠かせないセリフです。
 主人公についてゆくのが個人的興味という、極めて私的なものだというのもたいへんお約束ですね。
 ただ一人称が「僕」なことと、妙なノリの軽さはかなり意外でした。言われてみればあの顔も描きようで愛嬌が出る。


「オレが……オレたちクロスハートが、その結論を変えてみせる!」(タイキ)

 覇権を獲るのはバグラ軍だと断言したワイズモンに。
 逆転のチャンスが絶無ではない限り、ひいては行動できる限り、彼が諦めることはないのかもしれません。
 そしてその行動こそが、天運を呼び寄せるのでしょう。足掻かぬものに結果はついてこないのですから。

 この言葉に何かを感じたのか、ワイズモンはタイキを開放します。そして……


「君にくらべれば、つまらないものだ。
 君はすごい。本当に君の言う通り、体が勝手に動いたんだ! これこそ『ほっとけない現象』だな!」(ワイズモン)


 研究所でもある本を犠牲にタイキを助けた場面で。
 ある種、フィリップの「亜季ちゃん、君は天才かもしれない!」に通じるセリフです。
 そしてこの言葉が真実なら、このデジモンは本質的に人?がいいということなのでしょう。というより善も悪もなく、
 それゆえ悪意などは持っていない類の人物だったのでしょうね。ある意味すっごく性質が悪いタイプだけど。
 ちなみに、タイキのことはまだ実験動物扱いのようです。




★次回予告

 忍びの里ということで、和風のデジモンが数多く登場します。
 「ニニンがシノブ伝」や「うる星やつら」にチラッと出てきたモブ忍者を思い出すなぁ。
 当然のようにシュリモンも出ますが、なんと悪役。しかも黒いしでけえ。虫系・植物系の主役級はけっこう扱いが悪いです。
 スティングモンとライラモンも実はあんまりいる意味がなかったし。

 ところで最後のアレは……まさかバリスタモンとバステモンが……?