立ち上がれキリハ!クロスハート奪回作戦

 脚本:三条陸 演出:土田豊 作画監督:高橋晃
★あらすじ

 恐るべき強さを発揮するドルビックモン。超進化を遂げたオメガシャウトモンすら敵いません。
 危機を救ったのはネネでした。彼女はデジモンに変装して情報を集め、竜デジモンたちの弱点が竜哭の花の花粉だと
 突き止めていたのです。ドルビックモンが痺れている間に撤収する一同。

 業を煮やしたドルビックモンは、捕らえていたバリスタモンたちの公開処刑を宣言しました。
 作戦を練るタイキたちを尻目に、独り臍を噛むキリハ。力の無さを誰より嘆いているのは、他ならぬ彼でした。
 超進化の力もなく、ドラコモンのように弱くても立ち向う気概すらない。自分は一体何なのかと。
 ドラコモンは語ります。ドルビックモンに従わないのは竜の誇りだと。その言葉がキリハを動かしてゆきます。

 果たして処刑当日、待ち構えていたドルビックモンらに一泡を吹かせたのはドラコモンでした。
 処刑場が背にしていた滝を爆弾で崩し、敵の陣形を一気に崩したのです。
 その間にタイキがバリスタモンらを救出するのですが、怒り狂ったドルビックモンは部下のすべてを取り込み、
 猛烈な追撃をかけてきました。X5Bも歯が立たず、一転大ピンチに陥る一同。

 恨みの矛先を向けられ、絶体絶命のドラコモンをキリハが救います。
 彼に残されたものは、ドルビックモンの力に決して屈さぬという誇り。それが頂点に達したとき、
 ついに超進化の力が発動しました。メタルグレイモンが黄金の光に包まれ、ジークグレイモンへ進化したのです。
 絶大なパワーがドルビックモンの技を封じ、巨大な爪がその体を遂に討ち果たすのでした。

 が、ドルビックモンはなおも嗤っていました。自分に苦戦するようでは、他の将軍たちには勝てないと。
 それでも次のゾーンへ向かうタイキたちの、そしてキリハの表情は晴れやかなものでした。
 希望はまだ残されている。圧倒的な闇を勇気と友情、そして誇りで切り裂いてゆける希望が…




★全体印象

 32話です。脚本は前回に続いて三条氏。
 作監の高橋氏は「スイートプリキュア♪」総作画監督のはずですが、こっちにもまだ参加していたとは驚き。
 あっちではキャラデザも兼任していたというのに、かなりの仕事量です。それともこれが最後でしょうか。

 今回からナレーションが変わり、草尾氏が俯瞰から語る形式に変わっています。
 そういえば、いまのところ番組構成もまた変わってますね。アバンパートが無くなっているじゃないですか。
 まあ、また途中からいきなり変わったりするかもしれませんが…右上テロップだけはしっかり残ってるし。

 お話はほぼ全面的にキリハが主役。実のところ、ここまでメインを張るのは初めてです。
 先週でどん底まで追い込んでおいたのを受け、這い上がる過程を詰め込みまくりつつも確実に描いていました。
 今回ばかりは、タイキもキリハの助けがなかったら危なかったでしょう。次はデジクロスですが、どう見せるかな。

 とはいえ、そんなタイキたちやネネもちゃんといいところは出しています。
 ネネが敵軍の弱点を探り、ドルビックモンが対策をしてくればドラコモンが崩し、まんまと他メンバーを救出。
 危機に陥ったのはドルビックモンが予想よりさらに力を上げたからであり、そこまでは完璧でした。
 最後に力という形で仕上げを加えたのがキリハというわけで、綺麗にオチがついてます。

 ひと段落ついたところでデスジェネラル篇のここまでの総括を述べると、予想以上にうまくやってくれてますね。
 アカリとゼンジロウが消えた代わりにネネをより明るく修正したり、キリハにドラコモンという仲間を加えたり
 路線変更なりの工夫はちゃんとしています。そこはさすがに三条氏と言わざるを得ません。

 ファンロンモンが手下キャラだったりとアゴが外れる設定もありますが、見続けるならいい加減慣れないと。
 一応、敵の強大さを示す意味で間違ってはいませんし。



★挿入歌

 新たに「Evolution&DigiXros ver.KIRIHA」が流れました。
 歌は谷本貴義氏。初参加の高取ヒデアキ氏に続き、ついに氏もデジモン復帰ですか。
 氏のこれまでの参加期間は意外に短く、これという歌もメジャーデビューの「One Vision」ぐらいなんですが、
 それだけで充分なインパクトを残しています。まあ、本当にブレイクしたのはフロンティアの後なんですけども。

 歌そのものは、谷本ボーカルらしい爽やかながらも激燃えなもの。
 どこか孤高の雰囲気を漂わせていた「BLAZING BLUE FLARE」と打って変わり、ガムシャラさが加わった感じです。
 キリハ本来のキャラである熱血漢が表に出てきた、と表現してもいいかもしれませんね。



★各キャラ&みどころ


・タイキ

 前回のシャウトモンに続き、今回は再登場で弾けまくりのネネと超進化デビューのキリハへ譲る形です。
 それでも自らとシャウトモンを囮にまんまとクロスハートの処刑を阻止するなど、見せ場はしっかり確保してますね。
 キリハに語った言葉は、そのままクロスハートの入軍条件といえるでしょう。

 彼とキリハは相容れぬようでいて、その実コンビを組ませると確かに効果的なんですよね。
 キリハはタイキを部下にしたがってましたけど、実際には戦士に近い彼がもっとも力を発揮できるのはむしろ
 タイキのようなタイプの男が後ろに控えている時ではないでしょうか。細かいことは任せて突っ込めるわけですし。
 …いや、仮にタイキが部下だったとしても同じことなのか。ほかの図式は想像しにくいです。


・クロスハートの仲間たち

 オメガシャウトモンもX5Bも、今回はあんまりいいところがありません。
 しかしまあ、ブルーフレアの方々はある意味もっといいところが無かったので今回ぐらいは我慢するべきでしょう。

 戦闘能力的にオメガシャウトモン>X5Bだとするとバリスタモンらの立場が微妙になると思っていましたが、
 金ピカ2体が出るのは今後たぶんボス戦に限られると思うので、あんまり心配はしなくていいのかもしれません。
 超進化については、まだ使いこなせていないという「発動条件不安定」カードも差さったままですし、
 シャウトモン抜きでの切り札を編み出す可能性も無くはないでしょう。確証はないけど。

 それに上記にも出たタイキの言葉が、さりげないフォローになってると思います。
 クロスハートにとって何よりもまず大切なものは、そう。心意気なのですから。


・ネネ

 クロスハートの一員としてどのような心意気を得たのか、芸風をガラリと変えて再登場。
 変装してハイビジョンモニタモンを伴い、敵地を探る姿は完全にクロスハート諜報部兼、イロモノキャラでした。
 誰一人としてツッコミを入れないところが笑いを誘います。アカリだったら絶対ツッコミを入れるでしょうけど。

 ゼンジロウだったらツッコミを入れるどころか、ショックで石になるかもしれませんが…
 あ、いけない。今「ここにいなくてよかったな、お前」って考えてしまった。おかしいな。

 しかし、いったい彼女に何があったんだ……それとも、あれが本来の彼女だったんでしょうか。
 今のネネだったら、ラブラブダンスだろうが何だろうが堂々とこなしてしまいそうです。ああ、そうか。
 いろんな意味で、今の彼女は天野ネネ(アカリ・ゼンジロウ吸収体)なのかもしれません。微妙に納得
 …していいんだろうか、納得。

 そんな彼女ですが、タイキとキリハの間をやんわり取り持つという重要なポジションにもいます。
 アレは確かに、ネネにしかできないことでしょう。コスプレしたまんまいい事言ったりするのもまた可笑しい。


・キリハ

 バグラ軍の幹部とやり合いつつも倒せていなかった彼ですが、今回ついに金星をあげました。
 相手は三元士より強いドルビックモンですから、価値ある勝利といえるでしょう。

 どういうふうに連合軍へ持ってゆくのか気になってましたが、ドラコモンを使ってうまいこと纏めてます。
 彼にとっての弱さとは力が無いことそのものではなく、無いことへの諦めだったのかもしれません。
 そこから脱するには具体的な力が必要な事実があって…だからこそ、病的に力を追い求める側面があったと。
 過剰なまでの攻撃性は、いわば弱さをカバーするための鎧だったというわけです。

 しかしそれでも、彼とバグラ軍を分ける決定的なものは残っていました。誇りです。
 負けた者は攻撃せず、弱者へ求めるものは強くあれという、ただそれだけ。罪の無いか弱さは憎まない。
 そして自分より強い者には決して尻尾を振らず、抑えつけようとする者には烈火のごとく立ち向う。
 これがきっとブルーフレアの信条です。ただ、皆が彼のように力を手に入れられるわけではありません。
 タイキは彼の秘めるものをどこか好ましく思いつつ、その理想には警鐘を鳴らし続けていました。
 
 ですが力で叩きのめされ続けて自らの立脚点を失いかけたとき、彼にも見えてくるものがあったようです。
 ドルビックモンの強さには誇りが無い。誇りが無い力は恐怖。キリハの求めるものがそれとは思えません。
 恐怖や孤独に負けぬ折れない心こそ、彼が本当に求めた原点なのでしょう。
 ドラコモンに感銘を受けていたのは、非力でもその気持ちを自分より持っていたからですね。

 負傷しながらも気を張り、痛みに堪えて限界を目指す姿は確かに一人のヒーローでした。
 路線変更によって最も得をしたのは、より明確な立ち位置を手に入れた彼なのかもしれません。

 あー、そうか。
 彼が女性には甘い理由のひとつが、なんとなくわかりました。か弱さに責任を問えないことと、
 それを逆に武器にできるからですね。ある意味、彼の考え方には収まりきらないケースです。
 無論、それだけじゃないと思いますけど。


・グレイモン&メイルバードラモン

 キリハの心情がクローズアップされてますが、彼らにも多少のフォローがあります。
 病み上がりでも構わない、戦わせてくれと頼むあの場面があるだけで、後のシーンがぐっと活きてきますね。


・ジークグレイモン

 金ぴか第2号。
 細身でスピード感のあるオメガシャウトモンの戦いに対し、豪快で重量感のあるバトルを得意としています。
 これはそのまま、両者の得意分野を表す特色。いかにもブルーフレアらしい進化体です。

 しかも、オメガシャウトモンが敵わなかったドルビックモンをも一気に倒すほどのパワーを発揮していました。
 実際、攻撃力と防御力はオメガシャウトモンより上でしょう。忘れてはいけないのは、グレイモンではなく
 メタルグレイモンから進化していることです。あれはデジクロス体でもあるんですよね。
 もう一つ言えば、左腕のアレはたぶんドラモンキラーの一種でしょう。勝因はいろいろ考えられます。

 というわけで、遂にクロスハート/ブルーフレア連合軍のツートップが出揃いました。
 が、こうなるとデッカードラモンやサイバードラモンがちょっと心配です。特にデッカードラモンが。
 あの爺ちゃん、ブルーフレアに行ったのはいいけどその後あんまり見せ場がないからなぁ……


・ドラコモン

 ブルーフレアに参加して同行することになりました。そうか、来るのか。
 予想とは違いましたが、仲間デジモンが増えるのは純粋に嬉しいことです。今はキリハも友軍の将ですし。
 とはいえネネの言った通り、明確なチームとして行動するわけではないはず。キリハ寄りではあるにしても。

 何度も強調されていたように力はありませんが、かわりに智慧と誇りがあります。
 爆弾でバグラ軍を総崩れにし、死を目の前にしてもドルビックモンにタンカを切る場面はある種の象徴。
 そして彼はタイキが救って見出し、キリハの前に現れた者です。それがブルーフレアの奮起に繋がった。
 なんだかんだで、タイキが齎したものはいきなり大きかったようですね。

 彼はいわば現在の代弁者、そして未来の象徴でもあります。将来有望といえましょう。
 キリハを助けるため、スレイヤードラモンへ超進化する展開があっても不思議ではない気がしてきました。
 あれこそまさに、ドルビックモンと対をなす姿ではありませんか。


・ベタモン&ガニモン

 ドラゴンランドの一般デジモン。ネネに情報を提供します。
 クロスハートを秘かに応援していたようで、現状に消沈していました。

 変装したネネを見てのリアクションは、視聴者にもそのまま通じるものです。そりゃ、ああいう反応するしかないわな。


・ドルビックモン

 苛烈であるがゆえ意外と簡単に激してしまう性格、執拗なまでに恨みを晴らそうとする器の小ささなどなど、
 通して見るとその戦闘力以外はあまり格の高いボスではありませんね。強キャラとしての演出はタクティモンが上です。
 おまけに、オメガシャウトモンとデジクロスすらしていないジークグレイモン単体に倒されるありさま。うーん。

 本人の証言が確かなら、今後相対的にどんどん格が下がることでしょう。
 もっとも終わってみれば演出上、実はあん中じゃ強かったんじゃないの? という印象を抱ける可能性もありますね。
 一番手というのは得てしてそういうものですし。夜叉一族の壬生攻介なんかがいい例です。

 気になるのは、倒されたときにそのデータが吸収される描写があったことです。
 かの「D5」においては、七将軍すらただの礎に過ぎないということなのでしょうか? でも、あり得る話です。
 そこらへんに疑問を抱いて反逆する将軍もいるかもしれませんね。アポロモンとか。


・新生バグラ軍のみなさん

 驚いたことにファンロンモンが無事でした。
 つまりオメガシャウトモンの攻撃にも堪えたということなので、この時点でかなり強く設定されています。
 格の高いデジモンだという設定は当然スタッフも知ってるはずですから、配慮といってよいでしょう。

 その後は将軍の指揮のもと、滝を背に陣形を組んでいましたがそれが仇になって総崩れ。
 怒り狂ったドルビックモンに全員まとめて吸収されてしまったため、そのあとの出番はありません。
 つまり主だった残党もいなくなったということなので、手間が省けたとも言えます。




★名(迷)セリフ


「わたしはオハナモン!!」(ネネ)

 本人、めっちゃ大真面目です。序盤からのキャラが良くも悪くも完全崩壊した瞬間。
 そのわりに案外と違和感がないのは何故なんだろう。それが個人的にいちばん不思議です。


「非力かどうかは関係ない。ドラコモンには戦う意志がある。それで充分だ。
 それに彼はこのへんの地理にくわしい。事実、昼間もそのおかげで助かっただろ?」(タイキ)


 弱いデジモンに力を借りることを拒むキリハに。
 現状を何とかしようという強い気持ちがあれば、力のある無しで区別をしないのがクロスハート流です。
 キリハとさえ一緒にやろうと何回か言ってるんですが、そういう時は常に突っぱねてきたのがキリハでした。
 意味はずいぶん違いますが一緒にやろうぜと最初に言った側なのに、まったくもって素直じゃありません。

 しかもド正論ときています。
 キリハという少年はこれにうまいこと反論できる術も持っていなければ、捻くれてもいません。
 嫌なもんは嫌なの! とその場を去るしかないわけです。さすがに自己嫌悪してましたが。


「弱さは…悪だっ…!」(キリハ)

 勝てる根拠も、策も見出せずに喚き散らすしかできぬ自身を嘆きながら。
 本当は彼にもわかっていたのかもしれません。本当の弱さとは、心の弱さだということに。
 克服しようと選んだ方策こそ、力を求めることでした。そうしなければ癒せない何かを抱えているのです。

 小さなドラコモンは、キリハにとって過去の自分に重なるところがあるのでしょう。
 でも決定的に違うのは、力がなくても決して強い者に媚びたり、嘆くだけで終わってはいないことですが。
 そんなことができるはずがないと、あの時はああするしかなかったと、どっかでそう思いたいのかも。

 とはいえ自己分析ができていないわけではなく、今の自分に超進化は無理だと言い切っています。
 タイキにだけは弱みを見せたくないみたいですが、相手がネネならやっぱり多少融通がきくみたいですね。


「嫌いじゃないかも、そういうの。きっと、今より強くなる男の子だから…」(ネネ)

 そんなキリハに。
 彼女からみれば、足掻きたいのに術を見つけられず焦ったり悔しがったりするのは悪いことではなく、
 もっと言うと諦めていない証拠でもあるんでしょう。どうでもいいと思ってるなら感情など乱しません。
 一度は悪行に手を染めてでも弟を救おうとした彼女だからこそ、わかることもあります。

 タイキが勇気と友情を連れて帰ってきた絆の男であり、キリハが強者に屈しない誇りの男であるなら、
 ネネはどんなに辛くても、報われるときはきっと来ると信じる希望の色を担っていたのかもしれません。
 ダークナイトモンと組んでいたときはそれが悪いほうへ発露し、我執へ変わっていたってわけですか。

 そう考えると、キリハという男は以前からずっとある意味真っ直ぐに生きてきたってことですね。
 だって、彼のクロスローダーは青いままなのですから。


「わかんないよ……でもたとえ弱くても、ボクにだって竜のプライドがある。
 だって、そうでしょ? ほんとうに竜が一番強いデジモンなら、国のデジモンみんなを大事にしてあげなきゃ。
 だから、ドルビックモンは間違ってる。ボクは、やつと戦うみんなの手助けがしたい!」(ドラコモン)


 キリハをふたたび燃え上がらせる火種となった言葉。だって強さは愛だもの。
 単純に自分より弱いものを叩きのめすのは悪いことだというだけでなく、強者にとっての恥だという考えですね。
 ドルビックモンの強さは底が浅い。そう感じているからこそ、絶対に従えないというわけです。

 うまいこと表現はできずにいましたが、キリハも考えていることは同じはずなのです。
 頭を冷やしたとはいえ、やり取りを交わした場面がドラコモンと二人きりというのは彼らしいところですが。

 グレイモンらの心意気も受け、その胸の炎が少しずつ蒼を増してゆきます。


「オレの名はキリハだ! 憶えておけ、ドラコモン!」(キリハ)

 ドラコモンを救い、「ブルーフレアのジェネラル」と呼ばれた場面で。
 自分の名を憶えさせるというのは距離を縮めるということで、相手を一個人として認めた証拠でもあります。
 すなわち、ドラコモンをひとりの戦士とみなしたということです。力はなくても、強さと誇りを持っているから。


「力はない…だが、オレには残されたものがある! …誇りだっ!」(キリハ)

 再び圧倒的優位に立ち、驕れるドルビックモンに。
 バグラ軍にコードクラウンを奪われた悔しさもあったでしょうが、彼がずっと戦い続けていた理由は
 やっぱりここにあると思います。バグラ軍の強さには誇りがない。これは断じて自分の求めた世界ではない。
 そう感じていなければ、戦い続けられるものではありません。


「立て、メタルグレイモン!
 ドラコモンは教えてくれた…強さを求めるのなら、まず揺るぎない誇りが必要だということを!!
 これが、オレたちの誇りだあぁっ!!」(キリハ)


 だから、彼の中にはずっと眠っていたのでしょう。超進化へのエネルギーが、そのトリガーを待って。
 ドラコモンはいま必要なものが何なのか、ハッキリとした形で彼に教えてくれたのです。
 あの小さな竜の存在は、ブルーフレアの転機をも担った非常に大きなものとなってくれました。

 ところで、オメガシャウトモンを発動させたものはアカリとゼンジロウの心。
 ジークグレイモンはキリハ自身。よく考えてみたら、タイキを媒介に発動したことがありません。
 赤のジェネラルの心がより輝いたそのときこそ、軍団を越えたデジクロスが生まれるときなのでしょうか。


まだだ! そんなものでは折れぬ!
 心の腐った竜などに! オレたちのプライドを折れるものかあぁぁっ!
」(キリハ)


 熱すぎるセリフです。本来の熱血漢ぶりが遺憾なく発揮されていますね。
 それでいて「折れぬ」なんて妙にしゃっちょこばったセリフ廻しをするところが彼流であり、三条流です。
 どんなに激しても言葉は崩さないところからみて、もとは結構いいとこの坊ちゃんだったんですかね。

 寄らば斬ると言わんばかりな狼の顔が目立った彼ですけど、こういう激しさも魅力のひとつです。
 それに、狼はもともと群れをなすものなのですから。もっとも、漫画版では虎と評されてましたけど。


「…ああ…!」(キリハ)

 ラストシーン、ドラコモンの呼びかけに応えて。
 ぎこちないながらもどこか嬉しそうな、爽やかな表情です。「スターダスト・アイズ」を流したくなる。



★次回予告

 月光のネオヴァンデモン登場。中の人は誰かな。楽しみです。
 ヴァンパイアランドというだけあり、暗黒系デジモンのオンパレードが見られそうですね。こっちも楽しみです。
 そしてロップモン来たーっ。誰と絡むのでしょう。やっぱりネネかな?

 …ひと段落したことだし、誰かアカリやゼンジロウはどーしたとか誰か言ってくれるかなあ。くれない気がするなぁ。