背筋ゾワゾワ! 月光将軍のヴァンパイアランド
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脚本:米村正二 演出:小村敏明 作画監督:大西陽一 |
★あらすじ
次なる国、ヴァンパイアランドへ向かうタイキたち。
ヴァンパイアランドは闇に支配された、負のエネルギーに溢れる国でした。そこで、タイキたちはロップモンに出逢います。
なぜか支配者のヴァンパイアはロップモンを捕まえ、連れ去ってゆくのです。つい先ほど進化した彼も標的になったのでした。
しかも追っ手のレディデビモンたちは不死身の生命力を持ち、次から次へと復活してきます。
別行動を取っていたキリハの連続攻撃でその場は凌いだものの、クロスハート組とブルーフレア組の連携は最悪。
あげくに敵は数で攻めてきます。いったん離脱する一同。
この国を落とすには、将軍である件のヴァンパイアを倒すしかありません。
タイキの作戦はレディデビモンに化けて潜入し、ヴァンパイアの城に巡らされたバリアを解除。
外で待機しているキリハと同時にデスジェネラルを叩くというものでした。が、将軍ネオヴァンデモンはこれを予測。
タイキのクロスローダーを奪うのですが、乱入したロップモンが奪回。X5がネオヴァンデモンを抑える間に、
バリア発生装置をも破壊します。
かくて総攻撃となるのですが、ネオヴァンデモンはやはり強敵でした。
しかも、熱くなったキリハとメタルグレイモンはスタンドプレーを取ってばかり。連続攻撃を叩き込むのですが、
レディデビモンらを消滅させた攻撃もネオヴァンデモンには通用しませんでした。
逆にネオヴァンデモンはダークネスローダーを使い、何とメタルグレイモンを取り込んでしまったのです!
唖然とするキリハ。果たして、メタルグレイモンの運命は…!?
★全体印象
33話です。脚本は米村氏。大西氏による作画はいつにも増して美麗で、動きや演出も素晴らしいものがありました。
しかしお話はどうにも残念というか、平板で盛り上がりに欠けると言わざるを得ません。
特にダメというほどでもないんですが、かといって特筆するべき箇所が多いわけでもないという…
まさに米村クオリティという他ありません。
それに、せっかく三条氏が上げてくれたキリハの株をアホな行動の連発で爆下げにするという
フォレストゾーン→ダストゾーンと同じような事をまたやらかしています。追われているゲストとの出会いという、
まんまドラゴンランドの繰り返しな導入も工夫があるとは言い難い。
後半を盛り上げるのが毎度毎度ヘタな米村氏ですが、今回はなんか前半から盛り上がってませんね。
一回しか書いてない木原氏や井上氏、田中氏のほうが印象がいいというのは一体どういうことなんだ…
25話からこっちは三条→米村→三条→米村と、山と谷が分かれてる感じです。
重要な回を三条氏がやり、そうでもない回を米村氏が担当して廻してゆくのでしょうか。吉田さんカムバック。
★各キャラ&みどころ
・タイキ
これといって大きな問題はないんですが、それほど印象に残ることもしてないです。
キリハのアホ度が上昇してるぶん、こっちがマトモなのは有難いんですが…極端すぎてちょっと困るかも。
猪武者なキリハを悪い意味で引き立ててしまってる気さえしてしまいます。
それにしても、あんな変装で大丈夫だと思った根拠がどこらへんにあるのか知りたい。
特撮ですが「シンケンジャー劇場版」の場合、ナナシ連中の自我が弱いので誤魔化せたんだろう、と想像できます。
でも、こっちはそこまで判断力が無いようには見えないんですが……
アンデッド化してるから頭が弱くなってるんだろうか、と類推できないこともないんですけどわかりづらい。
・クロスハートの仲間たち
「…あれ? アカリとゼンジロウは一緒じゃないキュ?」
「みなまで言うな、キュートモン。大人の事情ってやつだろうぜ」
さて、ワイズモンに多少出番があった他、チビカメモンもちょっと出ました。白石涼子氏の出番もまだ終わっていません。
チビカメモンだけとは思えないので、他にも誰か演じることになるんじゃないでしょうか。
まあ、チビカメモン自体に見せ場はありませんでしたが…
戦闘では無限再生の物量とネオヴァンデモンに押され気味。X5でデスジェネラルと戦うのはやはり分が悪いようです。
ベルゼブモンはそんなX5の露払いとして行動。敵が暗黒系ばかりだと、その異端さが際立ちます。
いつのまにかクロスローダーに入るようになってましたが、ランド間があんな風になってちゃ仕方ないですかね。
なんにせよ、X5の出番が思ったより減ってないのは何よりです。たとえ役割が前座であっても。
・ネネ
変装に潜入捜査という得意分野?を今回も発揮してますが、担当が途中で逆転したのでその後は合流するだけ。
レディデビモンをどうやって撒いたのかさえわからないままです。
まあ、彼女のことだからうまいことやったんでしょうけど…スパロウモンもいるし。
・キリハ
今回はいろいろと本当に残念です。残念ロンゲという表現が似つかわしい。
別行動を取ったことに何か考えがあるのかと思ったら、単にタイキの言う事を聞くのが嫌なだけだったっぽいし
不死身の兵士を攻略してポーカーフェイスでどやってましたけど、そんなに自慢するほどのこととは思えません。
あの程度だったら、そのうちタイキが思いついてましたよ。割とすぐに。
作戦ではオレがオレがと美味しいところを持っていきたがり、連携を取ろうともしません。
その上ジークグレイモンでやっと倒せたデスジェネラルにメタルグレイモンで向かってゆく無謀を発揮。
そうして突進一辺倒の戦術を取ったあげく、逆にデジクロス吸収されるという醜態をさらす有様です。
これを醜態と言わずして何と言いましょう。ベジータか君は。トランクスのくせに。
よりにもよって一番カッコよかった回の次がこれだもんなぁ……正直、キツいです。
まるで成長していない、と安西先生の言葉が浮かんでしまいますよ。キリハだけじゃない、米やんもだ。
・ブルーフレア組
キリハに比べればもともと超攻撃的で、一度熱くなると見境がなくなる感のあるパートナーたちは
まだマシな印象です。そこをうまく誘導するのが本来のジェネラルの仕事のはず。
タイキとネネがまともだからキリハに話を引っ掻き回してもらってるんでしょうけど、限度ってものがないですか。
・ロップモン
今回のゲストにして、鍵になるであろう人物。カワイイ部門ではキュートモンのライバルといえます。
ネオヴァンデモンが彼の同族を片っ端から捕まえてるのは、その中から予告のアレが現れるのを恐れてるから…かな。
自分の国の中に里があるのは、目の届く範囲に置いておきたかったからなんでしょう。たぶん。
それ以前に、攫った他のロップモンたちを使って何かしてるっぽいですが。
なんだかヴァンデモンVSテイルモンを思い出す展開です。
白というイメージからは容易にケルビモン善を思い出すのですが、どんな力を発揮するのでしょう。
中の人は西村ちなみ氏。「鬼太郎」四期でのねこ娘、「ガンダム08小隊」のキキ・ロジータ、
最近では「プリキュア5劇場版」のダークドリームと、15年ぐらい前から要所要所で印象的な役を演じています。
「おじゃる丸」では小西寛子氏が声優を引退したのち、主役を引き継いだといういきさつがあるので、
もし今後タケル(小2)が何らかのメディアに出るとなったらこの方が演じることになる…かも、しれませんね。
・ネオヴァンデモン
ヴァンパイアランドの支配者。
蝙蝠をあしらったマスクは確かにヴァンパイアなんですが、ヴァンデモン系と違って色が赤じゃないせいで
どっちかといえばベルゼブモンを思い出します。おかげで当初はベルゼブモンが変えられた姿かと思いました。
まあ、別にそんなことはなかったんだぜというやつですが。
性格はドルビックモンに比べ、やや物静かで知性的なイメージがあります。
タイキが来るまでバリア発生装置のそばでずーっと寝てるという、お茶目な一面も持ち合わせていました。
うまいこと読みが当たったからいいけど、タイキが来なかったらどうするつもりだったんでしょう。
内心寝オチにならなくて良かったと思っていたかもしれませんね。
その肉体は不死身なうえに強靭で、おそらく再生能力も手下とは比較になりません。
メタルグレイモンの連続砲撃を凌ぎ、逆に吸収してドラゴン状の肉体となります。ブルーフレア組の明日はどっちだ。
……まさか前回の続きからいきなりまたこのフレーズを書くことになるとは…
声は黒田崇矢氏。「ボウケンジャー」の闇のヤイバや「リングにかけろ」のドン・ジュリアーノと、
その声質からクールな中に黒いものを秘める悪役を演じることが多い方です。ネオヴァンデモンにはハマリ役。
「エレメントハンター」では味方側だったので、個人的に意外な驚きがありました。
・バグラ軍のみなさん
レディデビモンとデビモンが確認されています。
不死身+物量という効果的なコンボでクロスハートを苦戦させてましたが、消滅してしまうと再生はできない模様。
不死身の理由は不明ですが、あまり頭はよくありません。タイキたちの変装が通用したぐらいです。
最後はネオヴァンデモンに取り込まれることになります。数が減ってある意味手間が省けたと思いきや、
メタルグレイモンが吸収されて一転、やりづらくなりました。ブルーフレア組の明日はどっちだ。いやマジで。
ところで、中の人になぜか伊倉一恵氏というベテランが混じってました。何かの仕込み?
★名(迷)セリフ
「キリハには何か考えがあるんだろう。あれでこそキリハさ」(タイキ)
今回はあんまりいいセリフがないんですが、迷うの方なら多少はあります。
…工藤さん、蒼沼さんに夢を見過ぎじゃあござんせんか。ましてや今回は米村脚本だというのに。
「目の前で苦しんでいる連中を見たら、考える前に体が動くものさ。
出会って間もないが、ロップモンもチョコモンたちも…もうオレたちの仲間だ!」(タイキ)
一応こんなセリフもあります。ロップモンの勇気を奮い立たせた一言。
それほど強い印象はありませんが、タイキらしいセリフではありますね。吐いたときの状況はかなり悪いですが、
だからといってそこで退かないのもタイキという男ですから。
★次回予告
伝説の白いロップモンをめぐる戦い。…まさかシロップモンとか言うんじゃないでしょうね。
ネオヴァンデモンにとって、ロップモンという存在は諸刃の剣というやつなんでしょうか?
自らを支えると同時に弱点でもあるという、正しくアキレス腱といえる存在というか…
キリハの側は、残るデッカードラモンとドラコモンが鍵となるかならないかが見どころかもしれません。
特になんもなしでDXに漕ぎ着けたりしたらどうしよう。