デジモンハント大繁盛! 商店街のスゴ腕ハンター!

 脚本:村山功 演出:岩井隆央 絵コンテ:八島喜孝 作画監督:浅沼昭弘
★あらすじ

 ある日、商店街で出し抜けにレジが狂いはじめました。
 そこに小型デジモンのゼニモンが絡んでいると気付いたタギルはデジクォーツに突入して後を追うのですが、
 見知らぬ少年ハンターが駆っ攫うようにハントします。彼の名は真下ヒデアキ。
 タコ焼き屋開業の夢を叶えるため、デジモンハンターとして活動している変わり種の少年でした。

 彼によると最近、商店街にゼニモンが大量発生。その仕業を食い止めるたび、ヒデアキはお駄賃をせしめていました。
 最初こそ横取りに腹を立てていたタギルですが、デジモンハントを通じての小遣い稼ぎに興味を抱き、
 誘いを受けてゼニモン退治へ乗り出しました。ヒデアキとも次第に意気投合してゆきます。

 そんな中、二人はゼニモンを回収したいと語るガネモンに出逢います。
 ゼニモンの位置を感知できるという彼のおかげでますます荒稼ぎとなるのですが、やがて異変が起こりました。
 商店街じゅうのレジがいっせいに狂いはじめたのです。しかも大量のゼニモンが関与しているではありませんか。

 犯人はガネモンでした。人の強欲を食らうこのデジモンがゼニモンを放ち、金を奪っていたのです。
 まんまと利用された形のタギルとヒデアキはガネモンに挑むのですが、相手は奪った金でパワーアップ。
 放ってくる大量のゼニモンがひとつの生き物のように襲いかかり、少年ハンターたちを梃子摺らせます。
 そこで、アレスタードラモンとヒデアキのドーベルモンがデジクロスを敢行。
 速度でゼニモンの群れを捌き、ガネモンを制するのでした。

 ガネモンを子分に加えたヒデアキは金儲けのポリシー上、事件で稼いだ金をすべて返却。
 骨折り損の形となったタギルは、もうハントで商売はこりごりだと嘆くのでした。



★全体印象

 62話です。脚本は村山氏。演出の岩井氏も同様に、プリキュアへの関与が目立ちます。
 そういえば58話といい、正面切って説教じみたタンカを切る場面があるのはなんかプリキュアっぽい気がしますね。

 今回で新キャラの真下ヒデアキが登場したわけですが、その性格はちゃんと確立されていたもののやはり地味でした。
 ヘタすると今後ほとんど出ない可能性すらあります。セミレギュラーになるぐらいが関の山でしょう。
 前期までと違い、さまざまな動機でデジモンに関与している人物がいて、タギルならばそれを受け入れられる……
 それがよりハッキリしたのは収穫でしたが。

 また、ルールさえ守ればハンター同士でのデジクロスが可能と明示されたのも大きいですね。
 つまりガムドラモンとシャウトモンのデジクロスも可能ということで、この事実は何かのカギになるかもしれません。
 問題はデジクロス体を一体とカウントして上乗せしていくことが可能かどうか、ですが……

 全体的にこれといってどうという話ではないんですけど、出来は悪くないです。
 ヒデアキの主張や、それを擁護するタギルも過去のシリーズからはちょっと類がない形なのですが、ソツもない。
 少なくとも「いや、そのりくつはおかしい」の域には一応達してなかったと思います。唐突気味ではあるにせよ。



★各キャラ&みどころ


・タギル

 今回あらためて、タイキやユウとの考え方の違いが浮き彫りにされてたと思います。
 彼には彼なりの一線というものがあって、そこに則ってさえいれば興味のあることなら何でもできるんですね。
 だから、彼ならヒデアキの考え方を受け入れられるし、とにかくやってみるの精神で突っ走ることができるのです。

 人助けのために動き見返りは求めないタイキや、過去の経験から無闇なハントを律しているユウとはそこが違うんですね。
 タギルであれば大抵の事態に自分から首を突っ込んでくれるので、勝手に目立ってくれるというわけです。
 その意味においては確かに、彼でなきゃ今期の牽引役はつとまらないのかもしれません。

 たとえ未熟でも、タイキやユウにはなかなかできないことができる。それが彼の人物としての本質なんですね。
 02でも実は先輩と後輩とで考え方が違ってた節があるんですが、こちらではそれがよりハッキリしてきてます。


・ガムドラモン→アレスタードラモン

 前回かなり目立ってたこともあり、出番は控えめ。戦闘でも単体ではあまりいいところがないです。
 しかしながら彼もタギル同様、その行動にタブーが少ないですね。
 極論、悪行でさえなきゃどんなことにでもチャレンジしていくことができそう。


・クロスアップ・アレスタードラモン

 ドーベルモンとのデジクロス体です。
 もともと圧倒的なスピードを誇るドーベルモンと合体したことで、大幅にスピードアップしつつ自前のパワーを維持。
 両者のいいところが合わさった、理想的なクロスアップのひとつでしょう。出番が少なそうなのが惜しい。

 デザイン的には腰から下がドーベルモンそのものとなった感じで、前期のX5Bを思い起こさせる姿ですね。
 ビジュアルライン的にはケンタルモン+サジタリモンがしっくり来る表現です。


・タイキとユウ

 前期までの常識が通じない話が続いたためか、今回もほとんど活躍らしい活躍をしていません。
 タギルの暴走を生暖かい目で見守る構図がなんだか板についてきました。
 まあ、この二人が特別な理由なしに金儲けへ興じるとキャラ崩壊になっちゃうから、仕方ないですね。
 気になることがあって、その調査のため報酬度外視で参加というのならわかりますけれど。

 戦闘においては後から駆けつけたものの、割とすぐにタギルたちが対策を講じるため目立つ暇はなし。
 ダメモンなどはしばらくぶりの戦闘参加なのに。かといって、三人で戦うほどの敵じゃないのですが……


・真下ヒデアキ

 新キャラにしてデジモンハンターです。真下耕一と高取ヒデアキ(敬称略)をデジクロスさせたような名前。
 その生きざまゆえ、ベッタベタの関西弁を操ります。クロスローダーの色は紫。

 彼はいろんな意味で「時ハン」ならではの存在です。
 クロスローダーが今や特別なものではなく、素質とキッカケがあれば誰でも持てるという生きた証人であること。
 また動機が人助けやデジモンとの絆やゲームではなく、金儲けであること。金儲けができればハントする必要すらないのです。
 にも関わらず、タギルのおかげもあってその流儀が否定されてはいないこと。いろんな意味で新しいタイプの男です。

 金儲けといってもすでに一定のポリシーを持っており、人様をだましたり迷惑をかけての稼ぎは決して行いません。
 その姿勢は知らぬことといえ、ガネモンの片棒を担いだとして稼ぎをすべて返上するほど徹底しています。
 検証してみても彼がゼニモンを故意に使ってレジをおかしくしたわけではないし、どうやってレジを直したかは話してませんが
 正常に動くよう働きかけたのは確かです。言ってないことはあるけど、それは言わなくても客にデメリットが無いだけ。
 つまり、詐欺を働いていたわけではありません。デジモンのことを言っても、俄には信じてもらえないでしょうしね。

 そんな人物ですが、やはりどうにも地味というかモブっぽさが拭い切れないのは難点です。
 一話完結形式ならば使いではあるでしょうけど、縦軸にはまるっきし絡めないタイプの人物といえるでしょう。
 なんらかの見返りがなければ動かないでしょうし…タギルたちの手助けをしたら1000万円、などの条件付きであれば
 リスクを承知で参戦してくる可能性はあるのですが、そこまでできるかどうかというと微妙。
 もっと言えば、そこまでしてメインメンバーに随伴させるメリットがある人物とも思えません。今のところは。

 とはいえ、実利第一でそれなりに立ち回りもできますからお話で動かすぶんには使いやすそうなキャラです。
 情報提供など、できることはたくさんあるでしょう。有料でしょうけど。

 中の人は阪口周平氏。これまた阪口大助と藤沢周(敬称及び後略)。大阪出身なので、それ系の人物をよく演じるそうです。
 じゃパンの関西弁のアイツと言えば、それなりに「ああ」となってくれる人は多そうですね。
 発音がどの程度ネイティブかは、私には判断がつきません。

 関西弁でコスチュームが緑というところから、パーやんを思い出したのは秘密です。


・ドーベルモン

 ヒデアキのパートナー。味方としての登場はテイマーズ以来の10年ぶり。その立場でまともに戦ったのは初めてです。
 ほとんど言葉を発しませんが、受け答えはしていたので単に無口なタイプなのでしょう。
 無駄口をたたかないと書けば、猟犬デジモンっぽいと言えるかもしれません。

 持ち味はスピード。疾風のように現れ、一撃でゼニモンを仕留めた初登場シーンが象徴しています。
 デジクロスを遂げることにより、アレスタードラモンのパワーにその疾さをそのまま付加することができます。
 いや、単体では捌けなかった群体ゼニモンを躱したところからみて合体前以上かもしれません。

 タギル以外の新キャラ達同様、どのようにしてヒデアキと出逢ったのかは不明となっています。描かれるかも怪しい。
 文字通りの忠犬として、ヒデアキの指令を完璧にこなすことが誇り…ですかね。


・ガネモン

 公募デジモンの本編登場一発目。
 重要な役割ではありませんがなかなかに剣呑な能力と狡賢い性格を併せ持ち、一時は主人公らも煩わせました。
 考案したファンにとってみれば、悪くない待遇かもしれません。
 ヒデアキの存在とこのガネモンの存在、どちらがどちらを活かすために設定されたのでしょうね。

 好物は人間の強欲。その象徴である硬貨を食らうことによって力をつけ、体躯もどんどん巨大化してゆきます。
 そうして世界中の人々の欲を食いまくるつもりだった模様。タギルとヒデアキはまんまと利用された形です。
 かつてトーマ・H・ノルシュタインが言っていたように、デジモンと人の七罪は相性が良いようですね。
 決して描かれることはないでしょうが、たぶん性欲にも引き寄せられるのでしょう。

 さて、パワーアップとはいっても本人の戦闘力はそこまで高いわけではありません。
 その代わり携えたカバンの中に無数のゼニモンを隠し持っていて、彼らを自在に操り攻防一体の盾とします。
 どこまでも他者を利用する、そのセコい性格がよく現れてる戦い方と言えましょう。

 タギルたちにKOされた後はヒデアキに捕まってその子分のような立場となり、騙したぶん働かされることに。
 つまり今後も再登場の可能性があります。出ないかもしれないけど……
 中の人は龍田直樹氏。昔妖魔司教ザボエラを演じていたことからわかる通り、卑屈な小物を演じさせたら
 まず右に出る者が少ないであろう名バイプレイヤーです。デジモンシリーズには確か初登板。

 ちなみに最初は銅貨を思わせる赤銅色のカラーをしていましたが、力を得て黄金色となりました。
 ところが力を失っても、色はなぜかそのまま。変化した体質まで前に戻ったわけではないようです。


・ゼニモン、コゼニモン

 ガネモンの子分たち。デジモンとしてはガネモンの進化前にあたるであろう存在です。
 あるいは彼らの誰かがガネモンとして進化し、群体を指揮するリーダーとなるのかもしれませんね。

 戦い方は上述の通り、数をたのみにしたもの。
 単体では逃げ足しか取り柄がなく、商店街のレジをひとつ狂わせるぐらいしかできないのですが、
 無数の同種と連携することで脅威へと早変わりします。戦いは数だよ、兄貴。

 群れをなすと統率の取れたひとつの生き物のような一糸乱れぬ振る舞いを見せ、敵に襲いかかります。
 その殺到をまともに受けたら、遥かに巨躯を誇るアレスタードラモンさえ弾き飛ばされてしまうほど。
 しかも攻撃を受けた際は素早く散開してしまうため、なかなか有効打を与えられません。
 その上、一体や二体たたき落としたところで意味が無いのです。

 が、さすがに攻撃と防御を一度にはできないのか、回避から反撃へ転じる際に一瞬の隙ができます。
 ここをクロスアップによる速度強化によって衝かれ、敗れることとなりました。
 頭であるガネモンがやられてしまっては、どうにも行動のしようがなくなってしまうようです。

 どことなく「ジョジョ」4部に登場するスタンド「ハーヴェスト」を思い出させる戦い方ですね。
 あっちは更にえげつないことをしてましたが、見た目以上に厄介なのは同じ。
 件のスタンド同様、細かいものを隅から隅まで探すには最適の能力でしょうね。
 出番があるとすれば、このあたりの長所を買われてだと思います。


・リョーマ、アイル、レン

 今回は出番なし。まあ出しようがないので、仕方ありません。
 一話完結の場合、彼らのようなライバルキャラは意外と活躍させづらいのかもしれません。
 ヘタをするとタイムボカンの三悪みたいになってしまう。彼らは愛されてるからいいんですが。

 ちなみにアイル役の潘めぐみ氏だけは、モブ役で出演していたりします。



★名(迷)セリフ


「デジモンハントを商売にするなんて、お断りだ!」(ユウ)

 タイキ同様、そもそもハントらしいハントを一度もしたことがない少年から一言。
 彼らしいハッキリとした、かつ頑なセリフです。以前逆の意味でそうだったように、思い込みの激しさは相変わらずですね。
 しかもタギルに何度も口を酸っぱくして忠告しています。しまいには言い返されるほど。

 タイキでさえ手を焼くタギルですから、彼が説得しようとしてもなかなかうまくいかないのは明白なんですが
 それでも言い続けるあたり、彼なりにタギルを気にかけているということでしょう。


「そんな人様に迷惑かけて盗んだ金なんて欲しくない! お断りや! オレは、ちゃんと自分で働いて稼ぐ!」(ヒデアキ)

 我々は同類のようなもの、と嘯くガネモンに。お断りパート2。
 がめつい人物ほど明確な目的意識を持っているものですが、彼の夢は世界一のタコ焼き屋というより具体的なものでした。
 それも、訪れる客がみんな笑顔になるような店を目指すのだそうで。お客様は神様です、ということですね。

 ガネモンには一笑に付されていましたが、その情熱はかなりのもの。
 金を稼ぐということは人に代価を強いるわけで、そういう事をしている以上ポリシーが無ければ意味もない。
 手段が目的と変わらないガネモンとはそこが違うことになります。

 タギルの擁護も含め、このあたりのやり取りはちょっとプリキュアぽかったですね。


★次回予告

 ジェネラルの嫁が再登場。良かった、いなくなったわけじゃなかったんだ。剣道の時はたまたまいなかっただけか。
 このぶんだと情報通り、ゼンジロウも再登場するでしょうね。
 それにしても前髪が気になる。