黄金昆虫! メタリフェクワガーモンの謎
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脚本:三条陸 演出:中村亮太 絵コンテ・作画監督:八島善孝 |
★あらすじ
突如現れた黄金のクワガタを求め、昆虫マニアたちが集う森に居合わせたタギル。
クワガタには興味がなかった彼ですが、デジモン絡みらしいと知ってヒデアキと共に後を追います。
ところが昆虫マニアのクラスメイト・金田がデジクォーツにまでついてきてしまいました。
彼はタギルたちが金目当てにクワガタを売り飛ばそうとしていると思い込み、付け回していたのです。
そこへ、メタリフェクワガーモンが現れます。黄金のクワガタはこのデジモンの端末でした。
タギルたちは敵の強さに苦戦を強いられ、金田を人質に取られて逃走を許してしまいます。
タイキたちが合流した時には後の祭りでした。挽回に燃えるタギルとヒデアキは、今一度ハントに挑戦。
金田を救出し、メタリフェクワガーモンもダウンに追い込みます。
しかし、なぜか捕獲することができません。メタリフェクワガーモンは語ります。自分を捕獲することはできないと。
彼はあるハンターによって邪悪なる存在への生贄とされ、ほとんどのデータを食いつくされていたのでした。
そのハンターの名が告げられようとした時、突如上空から降ってきた光によってメタリフェクワガーモンが消滅。
続いて、山のように巨大で得体の知れぬ何かが姿を現しました。これが邪悪なるものの正体なのか……!?
駆けつけた一同がその威容に怯んだ隙を衝くように、妖邪がタギルとアレスタードラモンを捉えます。
動けないまま取り込まれそうになった時、突然に二人の味方が現れました。
八神太一とウォーグレイモン。大門大とシャイングレイモン。タイキもタギルも、二組が何者かわかりません。
しかし知っている。私たちは、彼らが何者かを知っているはずです!
二大グレイモンの同時攻撃により大ダメージを受けるも、なお荒れ狂う妖邪。
閃光がアレスタードラモンを捉えたとき、秘められたさらなる力が遂に開放されます。
その名もアレスタードラモンスペリオルモード。圧倒的な力で、恐るべき敵を打ち倒すのでした。
その頃、香港ではネネとキリハが牧野留姫と太刀川ミミの援護を受け、妖邪の眷属を撃破していました。
自分達はハンターじゃない、とクロスローダーとは全く違うデバイスを示す留姫たち。
世界で今、何が起ころうとしているのでしょうか。
★全体印象
76話です。脚本は三条氏。
演出の中村氏はパグモン篇以来の担当です。デスジェネ篇までは演出助手だった模様。
絵コンテと作監はデジモン一作目からずーっと関わってる八島氏です。勝手知ったるところでしょう。
さて、予想はしていましたが怒濤の勢いで話が動きましたね。
しかも前回までのメインだった日常主軸のエピソードから、急激にクライマックス前夜へとなだれこんでゆく流れ。
お話が全世界、いや、デジモン的には全次元規模に膨らんでゆく過程を十二分に描いてくれています。
もっと言えば、このお話は日常主体エピソードとの別れを象徴しているのでしょう。
それにしてもこの詰め込みっぷり、尋常じゃありません。
上記の要素に加え、リョーマの本気フラグにラスボス周りのお披露目、太一とアニキの参戦。さらにさらに
アレスタードラモンスペリオルモードのお披露目までこなしているのですから。
それでいてどの要素も多少のツッコミは無視できるほどのインパクトがあるので、唸らされます。
まあ詰め込んだ分、唐突感を否めない箇所も散見されますが……
あと、留姫とミミのサプライズ参戦は文字通り完全に不意打ちを食らう形でした。
テロップで折笠氏の名前を見て「ん?」となり、提供を見て「え…ちょ、なに? え? 留姫出るの?」
とリアルで口走ってしまったほどのものです。あれはびっくりした。
オールスターや競演はどうも昨今、東映のトレンドというか…猫も杓子もデジモンもという感じなんですが、
生粋のファンともなると既に、もう一度見られただけで幸せになってしまうものみたいです。
なんというお手軽な……私みたいな向きが食いつくとなれば、そりゃ乱発もするというものかもしれません。
釣られるとはこういうものか、という実感を今味わっております。
なんだかんだ言って、私はやっぱりデジモンが大好きみたいですね。
この気持ちを再確認させてくれただけでも、時ハン篇は大きな価値があったと思います。
大袈裟な言い方をしてしまっていますけど、本当にそう思っているんだから仕方ありません。
★各キャラ&みどころ
・タギル
前半ではタイキをまんまと囮にしてハントに向かうという、年頃らしく適度にズルいところを発揮しています。
その結果として事態が悪化したのは、巡り合わせが悪かったとしか言いようがありません。
先週までのノリなら「お前なぁ」と呆れられるだけで済むのでしょうけど。
三条氏は割とタギルのこーゆーところも描きます。というか、こういう面も込みでタギルなんでしょう、やはり。
その代わり、失敗も全力でリカバーしようとしますからね。
後半では、初代と先代主人公のエールを受けるという恩恵に与りました。
このあたりの流れはさすがに唐突なんですが、幸いなことに今期は彼とガムドラモンがメインの話なら
枚挙に暇が無いので、裏付けそのものは充分でしょう。再三ながら唐突感の横溢が惜しい。
というか前後編にしてもおかしくない内容じゃないですかね、今回は。
そこでもう少しじっくりとベツモン篇で出た内容を反芻しておけば…やはり構成がキツかったってことか。
しかも三条氏はフォーゼにも引っ張られてってるんですし。たしか今週はあっちでも書いてたぜ…?
・ガムドラモン→アレスタードラモン
前半はそこまで特筆するほどの出番があるわけじゃないんですが、後半でピンチから一転、
太一たちの励ましを受けてスペリオルモードに覚醒しています。失敗と助けられた分を挽回する活躍ですね。
覚醒のための伏線がベツモン回にしか無いのでやっぱり突然というか、滑り込み感が甚だしいですが。
せめてもう少し演出にタメがあればなあ。
山ほど流れたタギルとの思い出は、数なら他の主人公にも負けていませんでしたけど。
二段進化は当然最初からの予定でしょうから、彼らの描写に注力していたのも意図的なのでしょう。
…そーいえば、55話ではこれでオレもハントする側だぜなんて少々不穏なセリフを吐いていたので
最初はタギルを利用してのし上がるつもりだったけど、そのうち真のパートナーになってゆくのかと
そう予想していた頃が私にもありました。あのセリフは一体なんだったんだろう。
まあ、最初は本当にそう思っていた部分があったのかもしれません。
でも私が予想していたような取り沙汰はされなかったというだけのこと、とも言えます。
その線は無いなと確信したのは、確かフレイウィザーモンのあたりだったかと。
・アレスタードラモン・スペリオルモード
アレスタードラモンが潜在力を開放、超進化を越えた新たな力を手に入れた姿です。
封印が解かれたかのようにガバッと開いた口をはじめ、全体的にトゲトゲと攻撃的な姿になりました。
大きく開いた羽根でシルエットも変化しましたが、全体のイメージやカラーはそこまで変わってません。
どっちかと言えばバーストモードに近い変化です。いや、変化幅ではバーストモードより小さいかも。
翼により、これまでは然程得意じゃなかった空中戦も強力にこなせるようになりました。
もはや単体で65話時点のハーピモンに勝てそうです。
それどころか、ウォーグレイモンとシャイングレイモンの同時攻撃でも倒し切れなかったあのデカブツを
一気呵成に撃破してしまうのですから、どえらいレベルで戦闘力が跳ね上がりました。
これが限定解除というものか……
一応終盤における目玉のひとつなので、バンクも気合の入ったものが用意されています。
通常アレスターの超進化はそれほどインパクトのある演出じゃなかったんですが、こっちは凄いですね。
・タイキ
珍しく、タギルへ開口一番レベルで雷を落とす場面がありました。本当に珍しい。
タギルが単にデジモンを取り逃がしたというだけなら、あそこまで怒らなかったと思います。
自分から首を突っ込んできたとはいえ金田を巻き込んだこと、その金田を人質に取られてしまったこと、
ヒデアキもいたとはいえ勝手に突っ走りすぎたこと、などなど理由が複合しすぎていますからね。
タイキでなくてもそりゃあ、何やってんだお前ってツッコみたくもなりましょう。
まあ、落ち込むより先にリカバーへ走るタギルを見て思わず頬を緩めたりもしているのですが。
釘を刺したなら刺したなりに、次は必ず結果を出すのがタギルとガムドラモンなのだと知っていますからね。
事実、あの二人は戦いの中で単体二段進化という王様もびっくりな荒業を発揮しています。
後半は実のところ驚いてるだけで、ほぼ客演組とタギル組に活躍を譲る恰好。
シャウトモンも進化はしてますが、ウォーグレイモンが出張るのもあってかあまり喋ってません。
次回では二人して大活躍しそうですが、この段階でX7ということはやはり……
・ユウ
タイキの優秀な後輩。回にもよりますがいつも一緒にいるので、助手みたいな雰囲気もあります。
ごく短い間とはいえ、ともに決戦を駆け抜けた仲というのもあって、タイキからはタギルと別の意味で
全幅の信頼を置かれているように見えますね。
ツーカーでタギルの補助に回った場面は最たるもので、信頼関係が非常によく伝わりました。
あまりにも短い場面なので流してしまいがちですが、中盤ではスーパースターモンの端末を使って
いち早くメタリフェクワガーモンの潜伏場所を発見、ヒデアキも加わった三人で先制攻撃を仕掛けるという
重要な役割を果たしています。彼が同行していなかったら、事はもっと長引いたでしょう。
タイキが頑張りすぎずに済んでるのは、このユウの存在が大きいと思います。
タギルとユウが組んで行動していればとりあえず安心、という心理がタイキにはありそうです。
実際、突進系+補助・スピード系なのでタギルとユウの相性はかなり良好ですから。
本人同士も、なんだかんだで戦闘では結構連携してみせますしね。
そんなユウも後半はパートナー共々驚き役に徹しており、デカブツとの戦闘にも貢献していません。
シリーズ全体で見れば、これでもタイキより活躍回は多い方なんですが。
・ヒデアキ
よく考えてみたら、ヴォルクドラモン回以来登場してなかった人。
今回も出るには出たものの、金田救出に一枚噛んだぐらいで大したことはしてないんですよね。
スタンスの独自性と関西弁キャラらしいアクの強さから、他のサブハンターより存在感はあるんですが。
ってか、ヘタすっとレンあたりより存在感があるんじゃないでしょうか。
やはり、タギルと悪友関係にあるというのが大きいんでしょうね。
考え方の違いもあり、タイキやユウとは良好な関係じゃないのですが、タギルと絡みやすいことでカバーしてる。
性格的な相性も割といいので、二人して悪ノリする図式が容易に想像できてしまうんですよね。
これは同時に、タギルのタイキたちとは違う価値観すら補完していることになります。
より直接的表現をすれば「元クロスハート組以外のデジモン持ちの友人」ですね。これだけで人間関係が広がる。
想像を働かせやすくなるんですよね。その意味において、ヒデアキという人物はタギルをイメージするにあたって
大変重要な人物と考えています。マミにももうちょっと頑張ってくれよと言いたいですね。もう遅いけど。
そういえば、タギルとヒデアキはバトル面での相性も良いんでした。
ドーベルモンとのクロスアップをもってすれば、地上戦ならそこらの相手に引けは取らないでしょう。
・リョーマ
ここへ来ていきなりラスボスとの関連を匂わせてきました。
ミスリードも疑ってみたんですけど、メタリフェクワガーモンが「あるハンター」と言ってしまっているし
その名前がひとつのフォーカスだったので、まあ十中八九彼でしょう。
それに、今さら新キャラを出すとも思えません。歴代はとりあえず除外としても。
そういえば彼、そもそもアスタモン以外の手持ちを全然出してないんですよね。
イコール手のうちを曝してないということですから、何が飛び出して来ても不思議ではありません。
アスタモンがいきなりベルフェモンに化けたとしても、驚くには値しないでしょう。
ただ、これまでの回でそれなりに人間味のあるところも出してしまってるからなぁ……
それどころか、ギャグ顔や悪いヤツじゃない面も見せてますし。あるいはそれも仕込みなのでしょうか?
でも、ガムドラモンが彼のクロスローダーに間借りしてたことを私は忘れていません。
無論リョーマが奥の手を隠していたとか、いくらでも辻褄は合わせられるでしょうけど。
ああ、そうか。ガムドラに長居されちゃ困るからさっさと返した、と考えることもできますね。
総合して言えることは「お前、今まで何やってたんだ?」です。
より正確に言えば構成ミスというか……ライバルらしいことをさっぱりしていない。本当に初期だけです。
たまーに出てきたかと思えばアイルはおろか、レンにさえ出番を取られがちでしたし
(それであの空気力を誇るレンは別の意味で凄いですが……)。
流れ的には次の77話で本性を現し、78話でタギルに敗れ、最終話で再起というルートが予想されます。
タイキが負傷すると聞きましたが、それもこのリョーマの行動と大きく関わってきそうですね。
・アイルとレン
ライバルチームで最も優遇された人物と、最も存在感のない人物。
アイルの方はやっぱり女の子というのが大きく、ライバルチーム最多登場をもって華を添えていたのですが
レンは本当に悲惨です。大抵のことに無関心、という雰囲気を纏っている他はこれという特徴がないですし。
せいぜい進化バンクにおける奇矯なポーズが一瞬だけ話題になった程度でしょうか。
しかもタギルを見送る場面では、いつのまにかレンまで絆されてる演出でした。お前、いつそんなキャラに……
結局二人とも、3on3という設定を作るにあたって用意されただけの人物だったのかもしれません。
女キャラという記号すら無いレンがどういう扱いにされるかは、考えてみれば自明の理だったわけです。
ゼブラチームで言えばモーターマンみたいなもんだ。インパクトの点ではそれ以下かも。
ここまで地味だと、もはや「実は太眉の女の子だった」「ベレー帽を脱ぐと髪がばぁーっと」とか
ネットで冗談半分に流れてるテコ入れを真剣に検討するしかないのかもしれません。OVA版早乙女元気か。
だが「その全てを記すにはあまりにも時間が足りない」というこの現実は厳しい。実に厳しい。
・金田イサム
タギルのクラスメイトにして、昆虫歴12年を自称する筋金入りの昆虫マニア。
昆虫に関する入れ込みっぷりはタギルすらドン引きするほどで、噂の黄金昆虫捕獲に執念を燃やしていました。
もっとも、ヒデアキから見ればタギルも人のことは言えないそうですが。
彼の執念は猛烈な行動力へ繋がっており、異例の早さでデジクォーツに行こうとするタギルたちを発見、
勢い余って諸共にかの世界へ突入してしまいました。結果として、一時的に人質とされてしまう災難に遭います。
デジモンに関する知識が全く無い状態から、一足飛びで事件に巻き込まれるという珍しい人物ですね。
しかも自分から首を突っ込んだも同然。恐らく最後のゲストにして、レアケース保有というわけですね。
その上次回にも顔を出していたので、このまま最後まで続投という可能性もゼロではないかもしれません。
ネクラな外見と粘着質な性格や言動が目立ちますが、目にも止まらぬスピードで飛び回っている黄金昆虫
(正しくはメタリフェクワガーモンの端末)を虫取り網一発で捉えたり、自分を攫った張本人のはずの
メタリフェクワガーモンを慮ったりと、特技や根の優しさも描写されています。
もしデジモンハンターになったら、きっと昆虫系のデジモンを連れて行動するのでしょう。
中の人は吉田小南美氏。02のマイケルですね。セイバーズにもゲーム版でピヨモン役として出演しています。
男の子っぽさを強く出した喋り方は「ガッシュベル」で聞いた以来かも。
同時期の同番組で別のレギュラーもやってたはずですから、ガッシュの代役は本当に急遽決まったのでしょう。
・メタリフェクワガーモン
時ハン篇における実質的死亡者第一号。
その死は捕獲のためのバトルとの別れ、ひいてはクライマックスに向けた戦いの激化を如実に示すものでした。
というか、劇中ではこれといって悪行らしいことをしていません。
むしろ粗筋にある通り彼は逃亡者で、自分を捕らえようとする相手には抵抗しますが好戦的ではありません。
攻撃させないために金田を盾には使ったものの、実際には危害を加えませんでした。
接し方も紳士的だったので、攫われた当事者のはずの金田の方が気を遣ってしまったほどです。
結果的には邪悪なるものの存在を示唆し、そいつと裏で繋がっているハンターの名を告げようとしたところで
命を奪われることとなりました。あるいは、文字通り食われたのかもしれません。
日常回とクライマックスの架け橋となった、ある意味では最重要人物のひとりと言えるでしょう。
それにしても、なぜああも大っぴらに偵察用端末を飛ばしていたのでしょうか。
デジモンハンターがそこらじゅうにいることをまさか知らないとは思えませんし、それならば
あんな目立つやり方をしなくてもコッソリ飛ばすとか、やり方はあったんじゃないでしょうか……
それとも端末が人々の注目を集める理由を知らなかったとか?
…あるいは、リスクを承知の上でやったことだったのでしょうか。
既に長くはなかったようですし、それなら敢えて衆目を集めてデジモンハンターたちを呼び寄せ、
邪悪なる者の存在を一人でも多くに伝えようと考えたのかもしれません。
善意のハンターが来るかどうかは賭けだったでしょうが、そういう目的なら半分は達成できたのかな。
だったらあそこで逃げなきゃよかっただけの話なんで違う気も大いにしますが……
それに善意といっても、取っ捕まえて時にはムリヤリ働かせてると考えると結構えげつないですけど。
無論、捕獲した中には札付きの悪党が多いのも確かで、タギルの手持ちにはそういうヤツが多いです。
そいつらに関しては言わば「逮捕→強制社会奉仕」という構図が成り立つかもしれません。
それとは別にエカキモンみたく単に間借りしてる手合いもいるので、クロスローダーの中はなんというか
体のいい刑務所兼駆け込み寺に例えられそうですね。中はワイズモンによると快適だそうですし。
閑話休題。中の人は堀内賢雄氏です。ついこないだ終わった「スイートプリキュア」で
悪のボスから娘を溺愛するパパまで、いろんな演技を披露していたのが記憶に新しいところです。
昔はプレイボーイ役やイケメン役が多く、今回の演技はそっち寄りの端正なもの。
メタリフェクワガーモン自体がクワガ−モン系ではかなりのイケメン系なので、それゆえの人選でしょう。
そして実力も相当のものでした。二戦目にタギルたちの先制が成功したことや、本調子じゃなかったことなど
もろもろのハンデ案件を加味すると、相当の実力者と見積もって間違いありますまい。
だからこそ生贄として狙われたのでしょう。
・クォーツモン?
OPにも出ていた巨大な敵。
単なるイメージ映像かと思ったら本当にそのまんま出てきたので、さすがにちょっと驚かされました。
なんだかデ・リーパーにも似てますが、あっちのほうがまだデジモンに近かった気すらしますね。
で、なぜ名前に?をつけているかというと、こいつが所謂ラスボスそのものとは思えないからです。
出てくるときに聴こえた声は本人(?)なのかもしれませんが、結局は単なる分身じゃないでしょうか。
分身という表現を使わないなら「欠片」とでも表現すべきですかね。
同じのが香港にも現れているので、他にも山ほどあーゆーのがいると思われます。
しかし分身と考えてもその戦闘能力は高いものがあり、生半可な攻撃は通用しない上に
高速で延ばしてくる触手に捕まると、その体に取り込まれてしまいかねません。まるでマシンセルだ。
しかも触手はたいへん丈夫にできているのか、アレスタードラモンでも振りほどけませんでした。
単純に考えて、ガイアフォースとグロリアスバーストの同時攻撃を受けてもなお倒れないというのは
一介の分身レベルの力じゃありません。デモンゴーネかお前らは。
この強さがわらわら同時展開する可能性大となると、倒せる倒せないは置いて単純に手が足りなさすぎます。
なればこその「助っ人」なんでしょう。戦いは数だよ、兄貴。
このクォーツモンという名は字幕などで確認できますが、クォーツといえば時計などに使われるだけでなく
コンピュータや携帯にも欠かせない最重要部品の根幹をなすものです。
時を越えるというテーマ、デジモンという存在を語る上でこれほど相応しい名は無いかもしれませんね。
・太一
言わずと知れた「デジモンアドベンチャー」主人公。別の世界では「Vテイマー01」の主人公も務めています。
大ピンチに陥ったタギルを激励とともに助けるという、王道ながら美味しすぎる登場を飾りました。
TV本放送に出たのは実に11年ぶりですが、ファンの間ではずっと大人気です。初代主人公は伊達じゃない。
セリフそのものはさほど多くなく、その内訳もレジェンド枠らしい余裕に満ちあふれたものばかり。
ために、言葉以上の強い「客演」印象を受けました。この世界において、彼らはやはりゲストなのです。
そのぶん、カッコいいところしか押し出してこないということですけど。
気になるのは、1作目の見慣れた星入りシャツとゴーグルで参戦していること。
この姿だと小学生なので、本当はタギルより年下ということになるはずなんですがスルーされています。
これはつまり「パートナーが最も強く進化している時期の太一」を連れて来たってことなんですかね。
オメガモンになれるのが本当なら、紋章の力をデジタルワールドに注ぐちょっと前ぐらいでしょうか。
というか、そこ以外に来られそうなタイミングがありません。大輔とはどういう関係になってるんだろう。
とどのつまり、ニチアサにディケイドが持ち込んだ多元世界解釈がデジモンにも来たということです。
思えばアレを皮切りに、次々とオールスター作品が生まれました。世界観の壁が緩くなったのです。
仮面ライダーディケイドという男は、そういう意味においては確かに破壊者だったのかもしれません。
中の人は当然藤田淑子氏ですが、最近はナレーター中心にシフトしていたせいもあってか
叫びにおいて違和感がありました。年齢よりも役柄的なブランクの長さが原因なのかもしれません。
・ウォーグレイモン
太一のパートナーとして登場。14話ではアグモンの姿だったので、ワープ進化の類を行うものと思われます。
中の人も当然というかまさかのというか、オリジナルキャストの坂本千夏氏です。やったね!
ということは、タイキが会ったのは別個体ですね。声もゼンジロウの岸尾氏だったし。
戦闘ではシャイングレイモンと息の合ったバトルを展開。
ガイアフォースとグロリアスバーストの同時攻撃により、敵に大ダメージを与えています。
まさかこの二体の同時展開が見られるだなんて、生きててよかった。
ところでオメガモンが控えていて、留姫やミミまでいるということは……
ヤマトの登場も期待していいってことですかね? 元のデバイスで来てるなら、いないと進化できないし…
・大
先代主人公として五年ぶりにTV出演。
大幅に違うキャラデザを時ハンのデザインと折衷しているため、全体的に顔がマイルドです。
パートナーが既に進化していたせいもあり、トレードマークの殴ってデジソウル発動は残念ながら無し。
まあ、アレは世界観に直結した行動でもあるので話がややこしくなりかねません。仕方ないのかも。
でも小〜中型のデジモンを殴り倒すぐらいのことはやってくれるかもしれないので、一応期待しときます。
彼も太一同様、いかにもレジェンド枠なセリフを宣ってるのですが端々にキャラが滲み出てますね。
時計屋のおやじから話に聞いたり、時にはもしかすると直接見たりしているのでしょうか、
タギルやガムドラモンのことをある程度知っているような口ぶりもありました。
いずれにしても、タギル組と彼の相性は結構良さそうです。
中の人は当然、保志総一郎氏。主人公担当としては唯一の男性です。
特徴ある叫びも健在。美少年役が多数派だった10年前と比べ、大のような役柄も定着した感がありますね。
大がイケメンじゃないという意味ではなく。
・シャイングレイモン
大の舎弟にしてパートナー。元は太一と同じアグモンなので、Wアグモンが成立しました。
最初と直前の主人公だから一緒に出たそうですが、この状況の美味しさも人選理由のひとつでしょうね。
それでいて、進化するとちょっと違う姿になるところがいいのです。
戦闘力はもちろん折り紙つき。ラスボス級の眷属を前に一歩も退きません。
おまけに大さえいればバーストモードになれるはずなので、いざとなったら披露してくれる可能性があります。
まあ、出すとしてもラスボスへの一斉攻撃で使う奥の手みたいな扱いでしょうけれど。
中の人はこれも当然のように松野太紀氏です。前にルーチェモンも演じていたので、クロスウォーズ的には
これが2度目の出演になりますね。今回は正真正銘、主人公サイドでの登板というわけだ。
ところでセイバーズ本放送の頃から気になってたんですけど、なんで目の下が水色なんだろう?
・キリハ
68話以来の登場。いつのまにか香港にいました。ネネの救援要請を受けて飛んで来たと考えるのが自然かも。
そして、いつのまにかネネといい感じになっています。お前ら、ちょっと見てない間にいつそんなことに。
ゼンジロウがどう思うかは、何となくスルーされるような気がしてきました。
登場場面には下記の三人に加えてメルヴァモンまでいたので、すっかりハーレム状態でした。
初対面というのもあって、留姫たちへの態度も超紳士的且つスッキリ爽やかです。お前、変わったよな……
クロスウォーズと言う作品において、良くも悪くも一番変わった男かもしれません。
たぶん初期しか見てない状態でこの回を見たら「何があったんだ、一体……!?」と思うこと請け合いでしょう。
漫画版では良くも悪くも全然変わらなかったので、ある意味好対照をなしてます。
・ネネ
こちらは64話以来の登場です。
開口一番でキリハを怒った時の口ぶりからみて、孤軍奮闘を強いられていた可能性が大。
先に留姫たちの救援を受け、それからやっとキリハが来た流れかもしれません。なるほど、確かに遅い。
メルヴァモンはグロッキー状態での登場でした。
ハーピモンの時といい、今期は本当にいいとこなしです。
・留姫
サプライズ参戦その1。なんとオリジナルキャストの折笠富美子氏まで登板しています。
彼女が示したDアークにより、客演キャラたちはそれぞれの世界観を背負ったまま来ていることが判明しました。
しかも最も強く進化した時期と考えると…サクヤモンですか。ゴクリ。シャツのハートは割れてますけど。
それにしても、彼女たちの登場には本当にビックリしました。てっきり主人公だけかと思っていたので。
これで顔出しレベルかどうかは置いといて、他のキャラが登場する可能性も増したわけですね。
進化要員だけと考えてもヤマト、賢ちゃん、源兄弟に友樹、泉、純平と結構いますけど。
友樹はガムドラの渡辺氏と声が同じなので、一言ぐらいはあるかもしれません。
・ミミ
サプライズ参戦その2。残念ながら声はありませんが、01当時の懐かしい姿で参戦してくれています。
こちらはリリモンで参加ですかね。同種がシャウトモンの幼馴染にして、クロスハートの隠れた実力者でしたっけ。
フラウカノンのバンクが使い回されそうな予感もちらりと。
そういえば、デジヴァイスがどういうわけか緑でした。常に完全体進化時バージョンということになります。
何らかの理由で紋章の力が最大限に発揮されているとか、そんな状態になってるんでしょうか?
無論、そのくらいでなければ全次元規模の戦いに参加はできないんでしょうけれど……
留姫とは太一&大と同様、案外いいコンビを形成していそうな雰囲気。
そしてどうでもいい事かもしれませんが、現役も入れてネネ・ルキ・ミミと名前が全員二文字です。語呂がとてもいい。
さしずめ、デジモン界のチャーリーズ・エンジェルですね。
★名(迷)セリフ
「…みんな揃って、義理がたいこと」(アイル)
失敗の責任を取るために率先して先行するタギルと、後を追ったヒデアキやユウの後ろ姿を見ながら。
画面上で主人公チームと関わるケースが最も多く、とりわけユウに何度も助けられたことがあるアイルには
このセリフを口にする資格があります。半分惚れてるようなもんだし。
その隣で「同感」とでも言いたげなレンが気になって仕方ありません。
かといって、別にレンもタギルたちと決定的に対立してるわけじゃないのですが。現実主義的と言った方が正しい。
…ああ、だから影が薄いのか。
「…死んだのか。…デジモンが…!」(タギル)
上空からの不意の一撃を受け、メタリフェクワガーモンが消滅したのを見て。
今までどんな悪党デジモンでも捕まえるにとどまっていた彼にとっては、初めてと言える経験です。
デジモンがそう簡単に死ぬはずがないという認識も感じられます。
この時をもって、遂に「戦い」が始まりました。
「行こう!」(太一)
「ああ! この喧嘩、オレたちが買った!!」(大)
タギルを助け、敢然と巨悪に立ち向かう時のやり取りです。
セリフの中身とかどう見ても小五が中二にタメ口とかそんな細かいことは割とどうでもよく、
この二人の掛け合いが公式で見られただけでここに書く価値があります。
オールスターが世の流れとはいえ、デジモンでもそれが見られるとはファン冥利につきるところ。
純粋に近いファンであればあるほど釣られやすいということを、身をもって証明してしまいました。
「パートナーとの絆… …! そうだ…! オレのタギルに、キズひとつ付けさせるもんか!!」
(アレスタードラモン)
閃光の中、太一たちの激励を受けて。バックでは過去の映像が猛烈な勢いで流れています。
彼とタギルは、確かに他の主人公たちよりも活躍期間が短いかもしれません。
ましてや、時ハン篇自体が一種のボーナストラックのようなものなのかもしれません。
それでも彼らが過ごした時間、ともに冒険した記憶は決して他の皆に劣るものではないはずです。
たとえデジモンが人からすればデータだとしても、それは誰が何と言おうとリアルな体験です。
血肉となるかどうかはそれ自体の本質ではなく、己の心が決めるものなのですから。
どうでもいいですけど「オレの」の部分が気になって仕方ありません。
ドルルモンの時といい、三条氏は天然でこういうセリフを書くことがあるのでしょうか。
「男を見せてもらったぜ!」(大)
去りゆく直前のセリフ。相変わらずの兄貴です。
スペリオルモードの時の激励といい、タギルたちのことをずっと見ていたとしか思えませんね、やっぱり。
それに、帰るとき掻き消える風だったのも気になります。完全にこの世界には属していないのでしょうか。
そうだとすれば、やはり文字通りの「客演」ってことになりますね。
「ハンターじゃない。助っ人…かな。日本でも決戦が近いみたいね」(留姫)
香港にて、ミミと共にそれぞれのデバイスを示しながら。
口ぶりからすると、最も重要だという日本については主人公組が、海外にはそれ以外が来ているのかもしれません。
喋りはちょっと抑えたテンションです。そういえば、留姫はややローテンションなセリフ廻しをするんでしたっけ。
★次回予告
ネネ&キリハの合流とともに、ようやくベルゼブモンが再登場。決戦ムードが高まってきましたね。
タイトルバックで対峙してるのはX7と…ディアボロモン?