ブレーキパッドの交換・ローテーション
きちんと完成できれば作業は簡単な部類ですが、失敗した時のリスクは大きいです。注意しましょう。
ここでは、フロートキャリパー式の交換手順を紹介します。また、車種により作業手順や付け方などが違う場合もありますので、注意が必要です。用意する物は基本セットにブレーキグリスです。
安全確保のためウマをかけてからの作業が望ましいです。ジャッキのみで作業する場合は万が一の時のために、はずしたホイールを写真のように下に置きます。
まずフロントからですが、キャリパーを固定しているボルトをはずし、キャリパーを上に持ち上げるか、取り去るかにします。このときゴムブーツがよじれすぎないようにします。
キャリパーを上げると下の写真のようにパッドが収まっています。パッドの上部を外側に広げるようにするとはずせます。このとき針金状の物などがある場合がありますので、気を付けて取り外して下さい。
社外パッドを使う際は針金状のものやウェアインジゲーター等は使わない事が多いので、取り付ける場所がなくても大丈夫です。ただその際には摩耗限界付近に来てもウェアインジゲーターは当然鳴らないのでパッド残はこまめにチェックしましょう。
ローテーションを行う意味は、パッドはどうしてもキャリパーの先側が早く減ってしまい、パッドを経済的に使うことが出来にくくなったり、パッドが片減りしキャリパー内部にあるピストン近辺に思わぬダメージが発生するのを押さえるのが目的です。
ローテーション自体は、簡単でローターの向こうに一対になっている左右のパッドを入れ替えれば完了です。
鳴き止め防止シムを組み込む時は、ブレーキグリスをパッドとシムの間に塗ります。ただし、パッドの摩材面とキャリパー内のピストン接触面には塗らないようにして下さい。また、薄くグリスをのばして下さい。
鳴き止め対策として、摩材面の外周部をヤスリで斜めに削ることによって対策が出来ますが、削りすぎには注意して下さい。ローターとの接触面が減り、制動力の低下になります。パッドにスリットが入っているときには、ここにパッドのカスがたまりますので、これを取り除きます。
パッドを組み込む手順は取り外した手順と逆で、パッドの下部をマウント部にはめ、上部をディスク側に押す事でパッドがはまります。
次にキャリパーのピストンを押し戻します。SST(専用工具)があれば楽ですが、ウォーターポンププライヤーでも代用できます。この時にピストンの根本付近にゴムリングがありますが、ピストン共々傷つけないようにして下さい。でないとここからブレーキフルードが漏れます。
リアも基本的には同じですが、ピストンの戻しかたが違います。下の写真で黄丸の箇所を、SSTかラジオペンチであてがい、ピストンを回して戻します。この時にはサイドブレーキを解除していないと大変戻りにくいので注意が必要です。
リアにはフロントにはない注意点があります。赤丸部の凸(実際の裏のパッドですが)と黄丸の切りかきの箇所をキャリパーを戻した際に合うようにします。そうしないと、キャリパーがきちんと収まりませんし、サイドブレーキも効きません。
キャリパーの固定ボルトを締め付けます。ただし、ブレーキは車にとって最も重要な部分ですので、締め付けはトルクレンチを用いた方がよいでしょう。
最後に走行前に必ず実際にフットブレーキを数回踏み、サイドブレーキも数回引いて作業終了です。