ダブルクラッチ・ノークラッチシフトチェンジ編
なんか良く検索に引っかかるので、ちょっとリメイクしてみます。ホント好きですねダブクラ。
・ダブルクラッチとは → 今は不要不急の技法
ダブルクラッチ・・・聞きなれない言葉ですね。
今ではミッションの中にシフトチェンジの手助けをする機構「シンクロ」があるから、そんな操作は不必要なんですが、昔はその「シンクロ」はありませんでしたのでダブクラという今となっては特殊なシフト法を必要としたのです。
普通、シフトチェンジ(シフトダウン・シフトアップ)するときは一回だけクラッチ操作をしますよね? あたりまえの事ですけど。
ですかダブルクラッチは、シフトチェンジするときは二回もクラッチ操作をすることからダブルクラッチという名前が付きました。
なぜ、二回もクラッチ操作をしなければならないか? それは同調作業を行う為です。
「同調=シンクロ」とは…そうですねぇ、ミッションにはいくつかのギヤがありますよね。1stギヤとか2ndギヤとかです。これらはギヤ比が違っており、ギヤ比の数字が低いほど高いギヤです。このギヤ比が違うからこそ「変速」があるのですが、シフトチェンジでは逆に災いとなってしまいます。
キヤ比が違う=各ギヤの回転速度が違う訳ですので、違うギヤに入れるのには人間が入れる各ギヤの回転速度にどうにかして同調=合わせなくては、ギヤが入らないものなのです。
ですが、今では人間に代わって「シンクロ」がこの役目を果たしてくれるので何の意識もしないでもギヤがスムーズにチェンジ出来るのです。
ダブルクラッチの真意はと言うと・・そうですね、まずはここを見てからにしましょう。「回転を合わせる」ということも書いてあります。
・・・・見てきました?
長い文で疲れたかもしれないですが、そういった理由で回転を合わせなければいけないのです。
そこで説明した通り回転を合わせるのですが、回転差の見分け方もそこに書いてありますので参照しておいてください。
繰り返しになりますが、まずダブルクラッチの意義は機械の「シンクロ」に変わって人間が「シンクロ(同調)」してやることです。本来それ以上の意味は無いのです。だって今の車は「シンクロ」ありますし。
・ダブルクラッチのやり方と心意義
やり方としては、シフトアップ・ダウンする際に一旦途中のニュートラルでクラッチを繋いでアクセルを煽り、希望する回転まで上がったらもう一度クラッチを切ってギヤを入れる作業がダブルクラッチです。一回のシフトで2回クラッチを踏むからダブルクラッチといいます。
ちなみにダブクラが真価を発揮するのはシフトダウン時でしょう。シフトアップ時は結構簡単で、アクセルを煽るどころか回転落ち待ちもあったりします。
あとですね、車速とその時の各ギヤ選択時の回転数も把握しましょう。最後のクラッチを繋いだときにタコメーターが踊るようでは論外。目的のギヤに繋いだときにタコメーターが泳ぐようではやってる意味がありません。最終的には「感覚」で出来るようにならないと。
多少はタコメーターの針が動くのはしょうがない事だとしても、ちゃんと合ってるなら微動だにしませんよ。実はヒール&トーの時も同じことが言えます。あれはあれでデリケートで正確な操作が要求されてるんです。だってとても大切な進入時に実行しますからね。
ちょっと横道外れましたが、こうしてダブルクラッチをすることで回転を合わせているわけです。
ダブルクラッチの副産物として、とてもスムーズでシフトショックの無いシフトチェンジができます。
これは当然です。回転差が無いわけですから。
え?シフトショックはあったけど、ダブルクラッチは出来た?
できますよ。でもそれは偽ダブルクラッチです。シンクロが仕事しているからシフトできたんです。シンクロが無ければギヤ鳴りしてシフトがはじかれますよ?普通は。シフトショックのないダブルクラッチこそ本当のダブルクラッチです。
でも正直、ダブルクラッチが出来ても自慢にはならないんですよね。昔の人は当たり前に出来てましたし。それこそタバコ吸いながらでも。
・ダブルクラッチは無条件でシンクロを労われるか? → 多分無理
また、ダブルクラッチをやろうとする人は、たいがい「シンクロを労わりたいから」と言います。
確かに「確実」に出来ていればの話です。本人は出来ているつもりでも実際には影でシンクロが仕事している場合は非常に多いですよ。たぶん98.76%ぐらいシンクロが仕事してます。これは後述します。
へたなダブルクラッチをすると、いたわるはずのシンクロをコキ使っているハメになっていますので、くれぐれも本末転倒にならないよう注意してください。特に気にしないで普通にシフトした方がシンクロを労わっているかもしれませんね。
といいますか、シンクロがダメになりかけてダブクラするぐらいならカッコつけてないで修理に出しましょうよ。
また、シンクロがついている車に対して全くシンクロを使わないでシフトするというもの無理な話です。
構造上、ギヤ部の手間にシンクロリングがあって、その溝の先端にスリーブが触れるだけでシンクロ動作のきっかけになってしまうのですから。つまりシフトレバーを動かすだけでもシンクロが動き出すという事です。
絶対にシンクロリングを使わないのであれば、こういうシフトになるはず。
シンクロナイザーリングの溝とスリーブの溝とコーン部の溝が一致するか否かの刹那の時、電光石火のシフトでリングの溝とコーンの溝をスリーブの溝で何も触れずに串刺しにする・・・・
リングとコーン部が同回転で回っているなら出来そうですが、常に同回転するものじゃないですからね。
実際ここまでシビアじゃないでしょうけど、シンクロを本当に使わないでシフトするというのは神業に違いですね。
シンクロがいよいよダメになってシフトが出来なくなったからダブルクラッチを実践する。シフトショックの無いシフトダウン・アップを敢行※する。これが現代のダブルクラッチ活用法ですね。
あ、そうそう素早く確実なダブルクラッチを使うと、シフトダウンにかかっている時間が減りますよ。やってみればわかります。特に2nd→1st。
ついでにですが、「シンクロ」がある現代の車において、シフトショックの無いシフトダウン・アップを敢行するだけならダブルクラッチは不必要です。シフトチェンジの途中でクラッチ切ったままのN状態があると思いますが、そこでアクセルを煽って回転を合わせるだけで実現できます。
・ノークラシフトできるのはMT熟練者か?
ノークラシフト・・・ノークラッチシフトチェンジのことですね。
某漫画で知っている方もいるかと思います。
これを実践できる人は確かに回転の合わせ方をマスターしていると言えるでしょう。
まずはやり方です。
シフトするときに回転を合わせるのは同じです。ただクラッチを一回も切らないだけのことです。
例として4速から3速にノークラシフトするときの模様を説明しましょう。ダブクラもそうですが、あんまりギヤ比が離れていないギヤでやるとより簡単ですよ。
まず、シフトを抜きニュートラルにします。これはアクセルを抜いたときに一緒にシフトを抜きます。それはその一瞬だけミッションに力が掛からなくなるからです。ここだけはワイヤーリンケージを使っているFF車は分かりにくい所でもあります。
ここで必要ならアクセルを煽り回転を合わせます。回転がドンピシャなら3速にスコッと入ります。
ここでガリとかなったり、なかなか入らなかったら回転があっていないということです。
1発でスコッと入らなかったときは、シンクロ、コーン、スリーブを傷めています。
順番が逆になりましたが、シフトアップ時のほうが簡単に出来るんですよ。これは必然と言っても良いでしょうね。
また、レバーをゲートに押し当ててギヤが入るのを待っているのはシンクロを必要以上に使っています。これなら熟練者でなくても初心者でも簡単に出来ます。ちゃんと合わせられていたらスコンと瞬間的に入ります。
なぜシンクロを使ってしまうのかはやっぱりここで理解していればわかると思います。
ベスモとか見ていてもノークラシフトやっているレーサーはいませんから、現代においてこれを実践するのは、クラッチが切れなくなったとかのトラブル発生からなんとか脱出するためとか、友人に自慢するためのテクあるいは遊び用みたいな所もあります。
そうそう、レース車ではミッションが市販とは違っていて、ドグミッションの場合があります。これはバイクでも同じですが、シフトアップ時にはクラッチ切らないでチェンジが可能ではあります。これは構造上の差と言うかなんと言うか。詳細は自分でお調べください。