アリーテ姫(ネタバレ)
映画の前半、アリーテ姫によって
宝を持ち帰った騎士が、その浅はかさを次々と指摘され、舌打ちを打つ場面。
この時、わずかの間挿入される、
泥まみれになっても宝を放さず、蛮族から逃げ惑う騎士の回想シーン。
この回想シーンによって、(私の中で)騎士という肩書きがトドメを刺されたように崩れ落ち
彼の大冒険の実態がムキ出しになるのが、凄く印象に残りました。
彼なりに、命懸けの冒険だったのだけど、アリーテ姫はそんな物、望んでいなかった。
きっと彼は、自分の足元も、自分の目的地も見定められないまま
突っ走ってしまい、その結果
目的地とはまったく別の場所に、たどり着いてしまったのだと思います。
心の封印を解き放ち、元に戻ったアリーテ姫が
魔法の指輪に頼らず、自力での脱出のため試行錯誤するところ。
指輪を受け取ったのは心を封印されてた時だから
指輪の力を知らなかったのかもしれませんが
脱出のために作った足場や穴が、たとえ外に通じて無くても
そこから新たな脱出の手がかりをつかみ
試行錯誤する姿に、外の世界へ出たいという、彼女の強い意思を感じました。
そしてアリーテ姫が、金の回路の途切れた部分に指輪をあてがって
壊れてた空飛ぶ乗り物を、再び空に舞い上がらせるシーン。
これ、私の実体験とも相まって、涙が出そうに…。
私も同じ事をビデオのリモコンでやった事があるんです。
タイマー予約はリモコンでしかできないビデオだったんですが
そのリモコンの内部の基盤のカドが割れて、壊れてしまった事が。
しかし、次の日からは旅行の予定。
なんとしてもタイマー予約を完遂せねばなりません(苦笑)。
そこで基盤のコーティングを紙ヤスリで削り
基盤が割れて、途切れてしまった配線部分をムキ出しにし
そこに銅線を当てて、電気の通り道のバイパスを作ってやりました。
基盤の割れたところが信号伝達用じゃなく
電源供給用の太い配線だったのも幸いし
徹夜明けの朝、ビデオ本体がリモコンの予約データを受け付けてくれた時は
凄く嬉しかった。
すでにそのビデオは現役引退してますが
手作りの配線がはみ出してる、そのリモコンだけは記念にとっておいてます。
知識と知恵と行動力で、自分の足元を未来に向けて切り開いていくアリーテ姫を見てると
本当に自分も何か行動してみたくなってきます。
自分は知識の方はてんでダメですが、知恵の方はどうなのか?と
自分を試してみたくなり、映画館からの帰り道で
思わず「知恵の輪」を買っちゃいました。
アリーテ姫の挑戦と比べると、随分見劣りしますがいいんです。
今後、この知恵の輪を見るたびに
きっとこの映画の事を思い出すようになるから。