大会11日 第1試合 桐生第一(群馬) 4‐3 静岡(静岡)

ヤジが飛んだのは、それまでリードしていた静岡高校が投手を木から市川に交代し、逆転された場面でした。
マウンド上の市川投手は、抑えがきかず球がうわずる自らの投球内容に、そして観客席の観衆は突然動いた
試合の内容に、表情が曇ります。その時、バックネット裏から観客の声が一際大きく響いたんです。
「高木に戻せーーー」

「ヤジは野球観戦につきもの、高校野球もそれは同じ」
甲子園に行くまで、僕はずっとそういうものだと思ってました。
プロ野球の試合ならヤジは日常茶飯事のようだしそれが高校野球にあっても不思議じゃないと思ったからです。
でも高校野球って違うんですね。観客席から聞こえるのは、お客さんどうしの話し声、それから売り子の掛け声。
ヤジは全く無く、純粋に野球に集中しているお客さんが集まる空間でした。
僕は今回のバイトでこの環境が好きになっていました。
それだけに、この試合で聞こえたヤジが印象に残りました。

マウンドの市川投手に、ファーストに移っていた高木選手に
聞こえていたとしたらどんな気持ちになるか、それを考えるととても複雑です。
高校野球にヤジはふさわしくない!でも、そう思っているはずなのに、それでもなぜか、
あのヤジを許せてしまう複雑な気持ちになってしまいます。


もし、売り子でなく、観客としてあの場所にいたら僕自身が叫んでいたのかもしれない。
あのとき一番叫びたかったのは、自分だったような気がします。

 
 
     
   
 

試合前の水撒き