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第10回 プレトニェフ/ライヴ・アット・カーネギーホール
      プレトニェフ(ピアノ) [DG]


 これがプレトニェフを聴くのが初めてだが、案外凄いピアニストだと思った(自分の不勉強に反省だな)。まず、ブゾーニが編曲したJ.S.バッハのシャコンヌから、シャコンヌをこんなにギトギトのヴィルトゥオーゾに編曲しなくてもというものではある。彼は速い部分と低音で響かせるところをうまい使いこなすかのように弾いている。実に鮮やかに聞こえる。一番の聴き所はボーナスCDのアンコール群である。特に最後のバラキエフの「イスラメイ」なんて、ライヴの高揚感を最も表しているような気がする。最後の方なんて乗りに乗っているという感じで終わってくれる。あとベートーヴェンのピアノソナタ32番もいい演奏です。(01/05/23)



第9回 ヴォーン・ウィリアムズ:オーボエ協奏曲、テューバ協奏曲 他
     エルガー:序奏とアレグロ、弦楽セレナード、序曲「コケイン」
     ロスウェル(ob) バルビローリ指揮 ハレ管弦楽団、ロンドン交響楽団 他 [EMI]


 このCDは2枚組でなおかつ輸入盤です。ロスウェルとの「オーボエ協奏曲」から、この曲はかなりゆったりとしていてほのぼのとさせられる。オーボエと弦楽器との掛け合いは特筆すべきものがある(と言葉で片づけるのは容易いが)。とても澄んだ演奏である。さらに「テューバ協奏曲」というあまりお目に掛かりにくい組み合わせのものも含まれている。
 他のCDで収録されているが、エルガーの「序奏とアレグロ」は弦楽器だけのせいか、バルビローリの特徴がよく表れている。私がバルビローリが好きなのは、この弦の音のためと言ってもいいくらいである。よく彼の人柄の良さが引き合いにして出されますが、実際は知らないのでたいしたことは言えませんが、彼の演奏を聴くと確かに優しさのようなものが伝わってくる気がするので不思議である。
 他にもいろいろな曲が収録されている。ちなみに序曲「コケイン」のコケインはロンドンの古い呼び名だそうで、ロンドンを賛美した曲とされている(副題は「ロンドンの下町」)。(01/04/11)




第8回 ラロ:スペイン交響曲 他
     ハイフェッツ(vn) スタインバーグ指揮 RCAビクター交響楽団 [RCA]


 凄いことは確かだが、なぜだかあまり人気がないようなと私が勝手に思っている人である。このラロのスペイン交響曲を聴いてみると、一音一音丁寧に弾いている感じで凄いテクニックで弾きこなしているように感じさせる演奏である。ハイフェッツ自身がみなから失敗しないかという目で見られるのが嫌だったというような話があるように、 性格かつ丁寧でしかも速いというここまでそろわれちゃ確かに人間味を感じないというのも無理からぬ所だろうが、このラロのスペインでは結構抒情的に弾いているように感じるのだ。最近ナクソスからRCAから出ているよりも古い録音が出てきている。この演奏は間奏曲が省略されている。昔はこれが普通であったらしい。
 ちなみに私愛用の三省堂の「クラシック 音楽作品名辞典」によると、スペイン交響曲はヴァイオリン協奏曲第2番にあたるとのことで、彼は全部で3曲書いている(ちなみに3番はロシア協奏曲だそうな)。なぜ協奏曲なのに交響曲としているのかは疑問である。それについて触れているものも見たことがない。(01/04/03)




第7回 ブラームス:ピアノ協奏曲第1番(+第2番)
     ホロヴィッツ(ピアノ) トスカニーニ指揮 ニューヨークフィル [APR]


 ワルターとの共演がM&Aで出ているが、この録音はそれよりも1年前の1935年のものである。音は決して良くないが、ホロヴィッツの演奏のすごさは充分に分かる。1楽章の終わりのほうなんてオケがよく合わせるなーと思うくらい。その暴れぶりは3楽章にもさらに展開されるが、よく破綻なく演奏できたものだ。彼の録音にはチャイコフスキーの1番とかラフマニノフの3番も何種かありますが、どれが一番凄いのでしょうか。海外の某雑誌では両方共にバルビローリ盤を挙げていましたが。
 ちなみにこの曲のベストを挙げるとすると、アンスネス・ラトル盤(EMI)だけど。こちらはかなり洗練られていている印象を受ける。(今自分の在庫から探したけど見当たらない)
 2番のほうは2テイクあるが、39年のルツェルンのものと48年のNBCとの録音があるが、音質・演奏共に後者のほうがよいと思う。(01/03/20)




第6回 モーツァルト:歌劇「ドン・ジョバンニ」
     フリッチャイ指揮 ベルリン放送交響楽団 [DG]

 グラモフォンのオリジナルスシリーズより先日復刻されたCD。なんと言ってもタイトルロールにフィッシャー=ディースカウが歌っているのだから。私が想像するにお堅いドン・ジョバンニでは合わないという声がかなり聞かれそう。とはいってもこのオペラを指揮したフリッチャイがかなりの曲者で、序曲からネットリ系のメロディーで喜劇感を薄めているのだ。これが最後まで続くのだ。この曲想に合う人こそフィッシャー=ディースカウだったのだ。決してレポレロと同一人物に見立てた効果を狙ったのでないと思う。(そういう考えは捨てきれない)
 ゆったりとしたテンポでCD3枚分充分に聴かしてくれる。フリッチャイは作品を冷静に奏でるところに他とは違ったおもしろさを感じさせてくれる。もう少し長生きすればということになるのだろう。ちなみに私はフィッシャー=ディースカウがお堅い人というイメージを持って作品に臨むのが好きではない。イメージでその人の可能性を固定化させたくないのだ。彼の適役とされるアルマヴィーヴァ伯爵だってスザンナに手を出そうとしたただのエロおやじではないのか。(01/02/27)


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