47号 2003年11月 線維腫

 

 線維腫とは、線維組織の増殖からなる良性腫瘍のことですが、お口のなかの場合は、本当の腫瘍はきわめて少なく、慢性刺激に対する反応性の増殖物であるものが多いです。

 

 

原因

 局所に加わる刺激、例えば、その部位を故意に噛み続けるような癖や、誤ってよく噛んでしまうことが続いたり、合っていないつめものやかぶせもの、入れ歯による機械的な慢性刺激が重要な原因と考えられています。

 線維組織の増殖からなるため、頬や唇の内側の粘膜、、歯肉(歯ぐき)、あごの骨など、お口のなかのあらゆる部位にできます。

 

症状

 粘膜にできる線維腫は、境界のはっきりした半球状またはポリープ状のふくらみで、線維組織の増殖のため、表面粘膜は滑らかな正常色で、硬さも正常組織と同様ですが、大きくなると色はやや白っぽくなり、硬さも硬くなってきます。

 粘膜だけでなく、あごの骨にできる線維腫もありますが、上あごより下あごにできやすいようです。

 どちらも緩慢に発育・増殖し、ほとんどは痛みや出血などの症状が一切ありません。

 

 

治療法

 慢性刺激に対する反応性の増植物で軽度の場合は、原因を除去すれば消失することもありますが、原則的には外科的に切除します。あごの骨の中にできたものは、周囲の骨も含めて切除します。

 

 

義歯性線維腫

義歯(ぎし:入れ歯)の刺激によってできる線維腫を義歯性線維腫といいます。

合っていない入れ歯による機械的な刺激が主な原因ですが、入れ歯の材料による化学的な刺激が原因の場合もまれにあります。上の前歯部分や入れ歯のふちがあたる粘膜部分など、刺激を受けやすい部分にできやすいです。

 さまざまな形態がありますが、やや赤く軟らかいことが多いです。これまた無症状のことが多いので、患者さんが気づかない間に、かなり大きくなってしまうことがあります。

 放置すると、さらに入れ歯の安定が悪くなるので、義歯性線維腫は切除し、原因となった入れ歯の調整も必要です。

 

 

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