臨床実習では、まず最初に、これから担当する患者さんが紹介されます。 紹介は、先生と二人で患者さんのところまで出向いていって行われます。

このとき患者さんは、たいていの場合、医学生の君が一時的に診察を担当することを あらかじめ知っています。主治医などから臨床実習に協力していただきたいとの申し出を受け、 それに了承しているからです。

しかし、医学生の君がどんなに診察の仕方に慣れていないか、また君が 医学について未だほんの部分的にしか学んでいないか、などについては まったく知りません。 将来腕の立つ医者になってほしい、という心からの願いで先生の要望を受け入れただけです。

あるいは、ただ単に申し出を断りにくかったためにすぎないかも知れません。

このような患者さんの立場や負担を考えると、紹介を受けた直後の挨拶と 自己紹介がいかに大切か、ということが十分理解できるはずです。

紹介を受けた直後に行う挨拶は、
「はじめまして」
「4年生の蓮村と申します。これからどうぞよろしくお願いします」

で始めます。

最初の出会いは、誰でもお互い緊張するものです。慣れない病歴聴取(インタビュー)や 身体所見の医学的観察を始めなければならないと考えるとなおさらです。
でも、過度の緊張は避けるべきです。
緊張感は自然に相手へと伝わり、これからの作業を大変 ぎこちないものにします。臨床実習の終了後に、患者さんは「ドォーッと疲れが出た」と言って、 協力したことを悔やむことになりかねません。

そこで、新人らしく、控えめに、しかし心からお願いしているという自然な気持ちの表現が きわめて大切となってくるのです。

これはそんなに難しいことではありません。あらかじめここで何度も練習をしておけば 大丈夫です。「備えあれば憂えなし」です。
練習は、いますぐに始めます。



声を出して、心を込めて、話しかけて下さい。
  • 「はじめまして」

  • 「4年生の蓮村です。これからどうぞよろしくお願いします」

  • 「これから診察をさせていただきますが、まだそんなに慣れてはいません。

     少し時間がかかるかも知れませんが、もしご気分が悪くなったらおっしゃって下さい」


  • 「それでは、よろしいでしょうか」



何度も繰り返して声に出して言って下さい。そうです。何度もです。

なにも大声を出す必要はありません。しかし、口先だけでボソボソ言ってはいけません。
あまり早口で言わないように。ゆっくりと、言葉をかみしめるような感じで。

声が出ましたか。その声は、相手の人にはっきりと聞き分けられる声ですか。

もし、君のパソコンに録音機能が付いていたら、それを起動して録音してみて下さい。 再生してみて、どうですか。

こんなのは実にくだらない、時間の無駄とハナから馬鹿にして、練習をさぼらないで下さい。 いつかきっと役に立ちます。

分かりやすく話すこと、そのうえで初対面の人と心の通った言葉を交わすこと、 これらは次ページの病歴聴取に不可欠です。 また、その次のページでふれる身体の観察でも必要となってきます。

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