荻野検校が安永5(1776)年に整譜・編纂した規範譜『平家正節』199句と、
特別に伝承されてきた「八坂流」1句の計200句について 教習課程順に記しました。 荻野検校以来現代まで、相伝(免許皆伝)を受けた者は、 以下の順番に200句を稽古し、平家詞曲を修得してきました。 状況によって、若干の順不同や謝礼金額の変動は生じます。 |
入門 | |
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(入門) | 入門式 起證文提出、束修の礼(金額に定めは無いが入門料を納める)
上日(紅葉) (巻之六) 「中音」一節のみ 桜(我身栄華) (巻之一) 「中音」一節のみ 小朝拝 (巻之九) 江戸時代の盲人の場合 小原御幸 (灌頂巻) 江戸時代の晴眼者の場合(三島自寛以降) |
平物(ひらもの) | |
一之上 | 1 鱸 巻之一
2 卒都婆流 巻之二 3 無紋沙汰 巻之三 4 厳島還御 巻之四 5 月見 巻之五 6 紅葉 巻之六 |
一之下 | 7 竹生嶋詣 巻之七
8 宇佐行幸 巻之八 9 宇治川 巻之九 10 海道下 巻之十 11 那須与一 巻之十一 12 土佐坊被斬 巻之十二 |
二之上 | 13 殿上闇討 巻之一
14 蘇武 巻之二 15 足摺 巻之三 十五句済(習得済)で「琵琶伝」(琵琶習得を許可)、免状(銀二枚) 16 鵺 巻之四 17 文覚強行 巻之五 18 祇園女御 巻之六 |
二之下 | 19 青山沙汰 巻之七
20 征夷将軍院宣 巻之八 21 敦盛最期 巻之九 22 横笛 巻之十 23 鶏合 巻之十一 24 泊瀬六代 巻之十二 |
三之上 | 25 額打論 巻之一
26 徳大寺厳島詣 巻之二 27 少将都還 巻之三 28 高倉宮園城寺入御 巻之四 29 新都沙汰 巻之五 30 葵前 巻之六 |
三之下 | 31 忠度都落 巻之七
32 水嶋合戦 巻之八 33 生好 巻之九 34 大嘗会沙汰 巻之十 35 先帝御入水 巻之十一 36 平大納言被流 巻之十二 |
四之上 | 37 二代后 巻之一
38 一行阿闍梨 巻之二 39 金渡 巻之三 40 信連合戦 巻之四 41 都還 巻之五 42 小督 巻之六 |
四之下 | 43 経正都落 巻之七
44 那都羅 巻之八 45 老馬 巻之九 46 熊野参詣 巻之十 47 内侍所都入 巻之十一 48 吉田大納言沙汰 巻之十二 |
五之上 | 49 鵜川合戦 巻之一
50 小松教訓 巻之二 五十句済で「読物祝詞」(康頼祝詞の習得を許可)、免状(銀一枚) 51 燈籠 巻之三 52 厳島御幸 巻之四 53 咸陽宮 巻之五 54 喘涸声 巻之六 |
五之下 | 55 福原落 巻之七
56 緒環 巻之八 57 二度懸 巻之九 58 千寿前 巻之十 59 逆櫓 巻之十一 60 判官都落 巻之十二 |
六之上 | 61 殿下乗合 巻之一
62 新大納言被流 巻之二 63 有王島下 巻之三 64 宮御最期 巻之四 65 五節沙汰 巻之五 66 洲胯合戦 巻之六 |
六之下 | 67 実盛最期 巻之七
68 山門御幸 巻之八 69 木曽最期 巻之九 70 藤戸 巻之十 71 嗣信最期 巻之十一 72 大地震 巻之十二 |
七之上 | 73 我身栄華 巻之一
74 烽火 巻之二 75 法皇御遷幸 巻之三 76 競 巻之四 77 東国下向 巻之五 78 廻文 巻之六 |
七之下 | 79 火燧合戦 巻之七
80 猫間 巻之八 81 濱軍 巻之九 82 維盛入水 巻之十 83 弓流 巻之十一 84 重衡被斬 巻之十二 |
八之上 | 85 禿童 巻之一
86 少将請乞 巻之二 87 法印問答 巻之三 88 橋合戦 巻之四 89 富士川 巻之五 90 飛脚到来 巻之六 |
八之下 | 91 維盛都落 巻之七
92 室山合戦 巻之八 93 落足 巻之九 94 戒文 巻之十 95 能登殿最期 巻之十一 96 六代被斬 巻之十二 |
九之上 | 97 御輿振 巻之一
98 阿古屋松 巻之二 99 医師問答 巻之三 100 鼬沙汰 巻之四 百句済で「都遷」(習得を許可、弟子は正装のこと)、免状(銀三枚) 101 文覚被流 巻之五 102 新院崩御 巻之六 |
九之下 | 103 主上都落 巻之七
104 太宰府落 巻之八 105 三草合戦 巻之九 106 維盛出家 巻之十 107 大坂越 巻之十一 108 紺掻 巻之十二 |
十之上 | 109 鹿谷 巻之一
110 山門滅亡 巻之二 111 大臣流罪 巻之三 112 若宮御出家 巻之四 113 物怪 巻之五 114 慈心坊 巻之六 |
十之下 | 115 篠原合戦 巻之七
116 鼓判官 巻之八 117 忠度最期 巻之九 118 北方出家 巻之十 119 壇浦合戦 巻之十一 120 六代乞請 巻之十二 |
十一之上 | 121 妓王 巻之一 これより長物。平家正節十之上下を習得済の者に限る。
122 願立 巻之一 |
十一之下 | 123 坐主流 巻之二
124 西光被斬 巻之二 125 小教訓 巻之二 126 新大納言死去 巻之二 |
十二之上 | 127 許文 巻之三
128 御産巻 巻之三 129 頼豪 巻之三 130 僧都死去 巻之三 131 つじかぜ 巻之三 132 行隆沙汰 巻之三 |
十二之下 | 133 大庭早馬 巻之五
134 入道逝去 巻之六 135 経嶋 巻之六 136 横田河原合戦 巻之六 |
十三之上 | 137 北国下向 巻之七
138 倶利伽羅落 巻之七 139 聖主臨幸 巻之七 140 一門都落 巻之七 |
十三之下 | 141 瀬尾最期 巻之八
142 法住寺合戦 巻之八 |
十四之上 | 143 小朝拝 巻之九
144 河原合戦 巻之九 145 樋口被斬 巻之九 146 六箇度合戦 巻之九 147 一二懸 巻之九 |
十四之下 | 148 坂落 巻之九
149 盛俊最期 巻之九 150 重衡生捕 巻之九 151 小宰相 巻之九 |
十五之上 | 152 頸渡 巻之十
153 内裏女房 巻之十 154 三日平氏 巻之十 |
十五之下 | 155 勝浦合戦 巻之十一
156 志渡合戦 巻之十一 157 遠矢 巻之十一 158 一門大路被渡 巻之十一 159 平大納言文沙汰 巻之十一 160 副将被斬 巻之十一 161 大臣殿誅罰 巻之十一 |
伝授物(でんじゅもの) | |
揃物 | 162 朝敵揃 巻之五 これより揃物。平家正節平物すべてを習得済の者に限る。
163 源氏揃 巻之四 164 公卿揃 巻之三 165 三草勢揃 巻之九 166 大衆揃 巻之四 |
五句物 | 167 大塔建立 巻之三 これより五句物。揃物より先に習うとする伝もある。
168 高野巻 巻之十 169 還亡 巻之七 170 城南離宮 巻之三 171 都遷 巻之五 例外として、百句習得時に稽古が許されている。 |
炎上物 | 172 三井寺炎上 巻之四 これより炎上物。揃物済・五句物済に限る。
173 清水炎上 巻之一 174 奈良炎上 巻之五 175 内裏炎上 巻之一 176 善光寺炎上 巻之二 |
読物 | 177 八嶋院宣 巻之十 これより読物。炎上物済に限る。
178 康頼祝詞 巻之二 例外として、五十句習得時に稽古が許されている。 179 木曽願書 巻之七 180 文覚勧進帳 巻之五 181 腰越 巻之十一 182 請文 巻之十 183 南都牒状 巻之四 184 木曽山門牒状 巻之七 185 山門返牒 巻之七 186 山門牒状 巻之四 187 南都返牒 巻之四 188 平家連署願書 巻之七 189 伊豆院宣 巻之五 読物修得後、「間ノ物」、八坂流「訪月」の稽古を許すとする伝もある。 |
灌頂巻 | 190 女院御出家 灌頂巻 これより灌頂巻。読物済に限る。師弟とも別火(精進潔斎)、正装で臨む。
191 小原入御 灌頂巻 192 小原御幸 灌頂巻 193 六道 灌頂巻 194 御往生 灌頂巻 灌頂巻、灌頂撥(琵琶の奏法)済で「間ノ物」、「語換」、免状(銀五枚) ★ 灌頂済の者は、後継者の指導が許される。 |
*八坂流 | 200 訪月 (巻之五) 別伝故、灌頂済に限る。便宜上、番号は200とする。 |
小秘事 | 195 祇園精舎 巻之一 これより小秘事。灌頂済に限る。
196 延喜聖代 (巻之五) 小秘事、一部の撥(琵琶の奏法)を修得、免状(銀七枚) |
大秘事 | 197 宗論 (巻之十) これより大秘事。小秘事を修めた者に限る。
198 劔之巻 (巻之十一) 199 鏡之巻 (巻之十一) 大秘事修得、免状(銀十枚)。 ★ かつて「相伝」は検校・勾当・大名に限られた。 現代では、強い使命感、家族の協力、総合的な能力、師匠の許可を有する者が該当する。 ★ 「相伝」になると、後継者に対して免状を発行できる。 |
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