仏教で用いられる音楽を採り入れている平家詞曲は、 高い声を使ったり、低い声を使ったり、朗読のように語ったり、歌のように語ったりと、 いろいろな旋律の形式があります。その形式が変わる時、琵琶を弾きます。 この音楽は、日本の音楽の基礎となり、能や歌舞伎の音楽にも影響を与えました。
平家琵琶は、上流階級出身の盲人が中心となって、こんにちまで伝承されてきましたが、 17世紀以降は、眼の見える文化人たちも、教養として学びました。 『平家物語』を語れば、音楽・歴史・中国の故事・和歌・兵法などが、 一度に学べるからです。
『平家物語』には「諸本」と言って、いろいろな種類があります。 私たちは『平家正節(へいけまぶし)』という、 節のついた『平家物語』を使って、語っています。
「琵琶」にも、実は様々な種類があります。 「平家琵琶」は、「楽琵琶」とほとんど同じ楽器を使っています。
参照:◆琵琶について 平家詞曲の伝承 当道座(盲人職能団体)最高位の検校が、伝承の中心でしたが 江戸時代には、大名・武家・一流文化人(いずれも晴眼者)も伝承に関わっています。 江戸末期の弘前藩では、藩政の一貫として 参勤交代の折に 藩主や藩士たちが平家詞曲を身につけ 藩主の命により 藩士楠美家(私の先祖)が平家詞曲伝承の家となりました。 参照:◆伝承者について 平家詞曲の音楽性 雅楽(ががく)と声明(しょうみょう)が基礎となっています。 のちに謡曲や浄瑠璃などに影響を与えました。 琵琶は曲節の導入などに弾くのみ、2オクターブ余りの声域で「語る」ものなので、 とても素朴です。 「曲節」とは、節回しのパターンのことです。 朗読調に語ったり、旋律を重んじたり、勇ましかったり 高い音を使ったり低い音を使ったりします。 参照:◆曲節について 平家詞曲の分類 曲節の特徴で分類する方法と、教習上の順番で分類する方法があります。 曲節上の分類 ・節物(叙情的、旋律的なもの) ・拾物(拾の曲節を持ち、叙事的で勇壮活発なもの) ・書簡や願書を 特殊な節で朗読するもの。 教習上の分類 ・平物 (『平家正節』一之上下〜十五之上下 161句) ・伝授物(揃物、炎上物、読物、灌頂など 33句) ・秘事 (大小秘事 5句) ・その他(八坂流「訪月」 以上200句) 参照:◆譜本について Copyright:madoka 初版:2000年3月31日 免許皆伝者の呼び方 古くは当道座の「宗匠」が、現代では館山家が発行する免状に記されているのは 前田流平家詞曲相伝 です。 「前田流」は流派、「平家詞曲」は平家琵琶、「相伝」は免許皆伝の意味です。 江戸末期以降の「平家正節」による平家琵琶は「荻野流」または「正節流」と 呼びたいところですが、免状には「前田流」となっています。 平家琵琶は、本来「平家」と呼ばれていましたが、 江戸時代頃からは目で読む本「平家物語」と区別するため、しだいに 平語、平曲などと呼ばれるようになり、免状にも「平家詞曲」とあります。 「平家正節」は199句、これに「八坂流」とされる伝承句を加え 200句すべてを修得し、免許皆伝と認められると「相伝」となります。 古い記録を見ていますと、習得の過程において免状を出すことも可能で、 例えば100句習得の時点で「百句相伝」の免状を許すことがあるのですが、 修得ではありませんので、肩書きは「百句済」となります。 免状が無い場合は、「相伝」「百句済」などと名乗ることはできません。 Copyright:madoka 初版:2006年5月13日
江戸末期の弘前藩では、藩政の一貫として 参勤交代の折に 藩主や藩士たちが平家詞曲を身につけ 藩主の命により 藩士楠美家(私の先祖)が平家詞曲伝承の家となりました。
参照:◆伝承者について
雅楽(ががく)と声明(しょうみょう)が基礎となっています。 のちに謡曲や浄瑠璃などに影響を与えました。
琵琶は曲節の導入などに弾くのみ、2オクターブ余りの声域で「語る」ものなので、 とても素朴です。
「曲節」とは、節回しのパターンのことです。 朗読調に語ったり、旋律を重んじたり、勇ましかったり 高い音を使ったり低い音を使ったりします。
参照:◆曲節について
曲節上の分類 ・節物(叙情的、旋律的なもの) ・拾物(拾の曲節を持ち、叙事的で勇壮活発なもの) ・書簡や願書を 特殊な節で朗読するもの。
教習上の分類 ・平物 (『平家正節』一之上下〜十五之上下 161句) ・伝授物(揃物、炎上物、読物、灌頂など 33句) ・秘事 (大小秘事 5句) ・その他(八坂流「訪月」 以上200句)
参照:◆譜本について