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2011年■飛翔■P50

作品2011年01

キャンバスに油絵の具

阪本文男先生に師事していたとき、先生の絵は灰色の画面に幾つかのものがリアルに描いてあるものだった。
その、ものの位置がなかなか決まらないと言われた。5,6センチかなと思ったが、ミリもないようなごくわずかなものだと聞いてたまげたことがあった。
先生が亡くなられて、職美で先生のような絵を描いた人がいたが、似て非なるものだなと感じた。表面を真似しただけの絵を見ることにより、先生の作品は、ものとものとが緊密に関係し合い灰一色の画面が濃密な空間になっているのが明確に理解できた。

このごろの私の絵は阪本先生の絵を真似しているような気がしてきた。
もののリアルな表現にこだわってきたが、いつのまにか、ものと空間の関係になったようだ。

ある人に、君のこの頃の絵はものの置き方に意味が感じられないと指摘されたが、核心を突かれたのだろう。
前途多難である。

第10回隗展に出品