フッ化物洗口 Q&A 8020運動の推進や国民に対する歯科保健情報の観点から、従来のフッ化物歯面塗布法に加え、より効果的なフッ化物洗口法の普及を図るため、平成15年1月14日、厚生労働省より「フッ化物洗口ガイドライン」が通知されました。 その「フッ化物洗口ガイドライン」のなかに、フッ化物応用に関するより詳細な情報として、厚生労働科学研究「フッ化物応用に関する総合的研究」班が作成した「う蝕予防のためのフッ化物洗口実施マニュアル」があり、その第4章フッ化物洗口Q&Aの抜粋を以下に掲載いたします。 (フッ素洗口とは慣用語で、正確にはフッ化物洗口といいます。また、う蝕とはむし歯のことです。) フッ化物洗口はいつ頃から始めればよいのでしょうか? また、大人が洗口しても効果がありますか? Ans 永久歯のむし歯予防の場合には、永久歯が生える直前から始めると効果的です。また、大人になってからでも効果的ですから、できれば、自分の歯のある方は一生涯継続するとよいでしょう。 子どもにフッ化物洗口を実施させたいのですが、強くブクブクすることができません。それでも効果はありますか? Ans フッ化物洗口は、歯の汚れを落とすために行うものではありませんので、強くブクブクする必要はありません。 お茶にはフッ素が多いと聞きました。お茶を利用して、むし歯予防ができませんか? Ans お茶には比較的多くのフッ素が含まれていますが、それでも濃度が薄すぎて、むし歯予防効果を十分に期待することはできません。またお茶にはカフェインが多く含まれていますので小児にはおすすめできません。 病気によっては、フッ化物洗口禁忌のものがありますか? Ans フッ化物洗口は、うがいが適切に行われる限り、身体が弱い人や障害をもっている人が特にフッ化物の影響を受けやすいということはありません。また、アレルギーの原因となることもありません。 自然のフッ素とう蝕予防のフッ素は同じものですか? また、工業用のフッ素とどこが違うのですか? Ans う蝕予防に用いられるフッ化物は、フッ化ナトリウム(NaF)が多く使われますが、これは蛍石や氷晶石などの鉱物に含まれるものから精製された、無機のフッ化物です。さらに、このようなフッ化ナトリウムは、水に溶けるとイオン化してフッ化物イオンとなりますが、これは自然のお茶に含まれるフッ化物イオンと全く同じものです。ただし、工業用のフッ化物としては、フッ化水素酸(HF)という強い酸性をもった化合物がよく使われますが、このような強酸性のフッ化物は、う蝕予防には使われません。 フッ化物洗口で歯に色が着くようなことはありませんか? Ans フッ化ナトリウムの水溶液は、無色透明、無味無臭の中性域にある溶液であるため、この溶液による洗口で、歯の色素が沈着するようなことはありません。乳歯の初期う蝕の「進行止め」として使われるフッ化ジアミン銀溶液は銀の作用でむし歯の部分が黒くなりますが、健康な歯に「う蝕予防」として用いるフッ化物では、着色しません。 フッ化物洗口は、本当に安全ですか? Ans フッ素(フッ化物)は自然環境物質で、私たちの日常生活の中で飲食物と共に常に摂取しています。日頃、日本人(成人)が飲食物から摂取するフッ化物量は約1〜3mg程度とされていますが、フッ化物洗口で口に残る量は約0.2mgと、日内誤差の範囲内です。このような量のフッ化物で人体に弊害が起こるとすれば、普段摂っている飲食物からフッ化物を取り除かなければならないということになりますが、そのような事実はありません。 |
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