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[PM1:00 常磐自動車道]

トレセンを出て、もう1時間ほど。私は、福島へと向かう常磐自動車道を走っていた。
……もうすぐ、夏も終わる。そんな季節の寂しげな風を受けていると、がらでもなくセンチメンタルになってしまう。これから行こうとしている場所が場所だけに……。

……。

あの日。
何度も星にかけた願いがようやく叶うかも、と胸をときめかせた日。
でも……ふたを開けてみれば、願いが叶わなかったどころか、新しくそして大きな悲しみを抱えてしまった。

物事にこだわらない人というのはどこにでもいる。私もそのタイプだと思っている。
でも、自分のせいで人が……それも自分の一番大切な人が死にかけてしまったとして、気にせずにその後の人生を歩める人が、果たしてどれくらいいるものか。
それは、私だって例外じゃない。
普段はいつも通り明るく振る舞うようにしているけど、ひとりになって篠崎くんのことを考えたりすると、ため息が止まらなくなる。
篠崎くん本人の前、あるいは事情を知っている片山くん長瀬くんの前では、はしゃぎながらも、彼らに「反省の色がない」と思われたらどうしようと、本心から楽しめずにいる……。

楽しいはずが、何かが狂ったあの日。
星が沈み、私の何かも一緒に海に沈んでしまったあの日……。

覚えている。
決して、忘れ去ることはできない……。

 

 

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