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4、授業を分析する。

 この「一つの花」の授業を「向山型一字読解指導B型」10の原則(椿原氏の改正 東田)を基に分析する。

【前提条件】

 原則1:目的は、「問い」と「答え」の基本定着、基礎読解力育成の2つである。

 「答え方」について、甘かったところがある。

 例えば、第5問の「ゆみ子のはっきり覚えた最初の言葉は何ですか。」
 (「一つだけちょうだい。」です。)
 「そうです。かぎかっこはあってもなくても正解です。」
 私はこのように言ったが、句読点のことは言ってない。

 例えば、第16問の「『おまんじゅう』と『まんじゅう』ではどのように違いますか。」
 (「おまんじゅう」の方がていねいです。)
 「その通り。『おまんじゅうの方がていねい。』と書きなさい。」
 私はこのように言ったが、正確に言えば、「おまんじゅうの方がまんじゅうよりていねい。」と答えなければならない。2つの物を比べているからである。

 第17問もそうである。「飛行機」より「敵の飛行機」の方が、よりいい答えである。 
 「問い」と「答え」の整合性を、教師が事前にきちんと捉えておく必要がある。

 原則2:問いは、見開き2ページで100の発問づくりの中から選び出せ。

 70問で挫折した。言い訳ができない。
 次にやる時は達成したい。

 原則3:テストの解き方基本(15)パターンにある程度配慮せよ。

 「発問」と「テストの解き方基本(15)パターン」を合わせてみる。


 第1問。 題名は何ですか。「7、設定を問う問題」
 第2問。 作者は誰ですか。「7、設定を問う問題」
 第3問。 誰が出てきますか。「7、設定を問う問題」
 第4問。 「1つだけちょうだい。」は、なぜ「かぎ」がついているのですか。「理由・目的を問う問題」
 第5問。 ゆみ子のはっきり覚えた最初の言葉は何ですか。「7、設定を問う問題」
 第6問。 「ゆみ子の」の「の」をまるで囲みなさい。「ゆみ子の」の「の」を言い変えると「ゆみ子」なんになりますか。ひらがな1文字で書きます。「11、書き直し問題」
 第7問。 「最初の言葉でした。」に線を引きなさい。「最初の言葉でした。」と「最初の言葉です。」はどのように違いますか。「13、言葉の意味に関する問題」
 第8問。 「これが」の「これ」に線を引きなさい。「これ」は何を差しますか。「9、指示語の問題」
 第9問。 この場面はいつの頃のお話ですか。「7、設定を問う問題」
 第10問。 「そのころ」に線を引きなさい。「そのころ」とはどのころのことですか。「9、指示語の問題」
 第11問。 このころは、どんなものが食べられなかったのですか。3つ書きなさい。「4、どんな〜」「どういう〜」「どのような〜」と問う問題
 第12問。 「おまんじゅう」と「キャラメル」と「チョコレート」だけなかったのですか。そう思う人は○、違うと思う人は×とノートに書きなさい。「7、設定を問う問題」
 第13問。 「そんなもの」に線を引きなさい。「そんなもの」とはどんなものですか。「9、指示語の問題」
 第14問。 どこへ行ってもなかったものは何ですか。「7、設定を問う問題」
 第15問。 おいもや豆やかぼちゃは、どのようにして手に入れたのですか。漢字2字で書きなさい。「どのように(して)」「どうやって」と問う問題
 第16問。 「おまんじゅう」と「まんじゅう」ではどのように違いますか。「13、言葉の意味に関する問題」
 第17問。 毎日何が飛んできましたか。「7、設定を問う問題」
 第18問。 飛行機は何を落としていきましたか。「7、設定を問う問題」
 第19問。 町はどうなりましたか。「6、述語を問う問題」
 第20問。 「次々に焼かれてはいになった。」をA。「はいになった。」をBとします。AとBどちらがいいですか。AかBか書きなさい。「6、述語を問う問題」

 前述した通り私は、「1、書き抜き問題」「2、要約する問題」「15、漢字・文字の読み書き問題」は、「向山型一字読解B型」では、扱わなくていいと主張している。
 実際、それは入っていない。
 他に「3、理由、目的を問う問題」「8、文章構成に関する問題」「14、熟語や文字に関する問題」が1問もないことになる。
 これはよくない。入れるべきである。
 代案として次の3問を入れる。

 @ なぜ町は次々に焼かれてはいになったのですか。(毎日、敵の飛行機が飛んできたから。)「3、理由、目的を問う問題」
 A ここまでの形式段落はいくつありますか。(6つ)「8、文章構成に関する問題」
 B 「給」を使った熟語を作りなさい。(給食)「14、熟語や文字に関する問題」


 原則4:学期に1,2度程度の実施で十分である。

 この授業は2学期2回目の「向山型一字読解B型」だった。
 ちなみに、1学期はしていない。

 【授業】

 原則5:易しい問題をテンポよくリズムよく出せ。


テンポとリズムが悪くなった「問い」があった。
次の2問である。

 第7問。  「最初の言葉でした。」に線を引きなさい。
        「最初の言葉でした。」と「最初の言葉です。」はどのように違いますか。」
 第16問。 「おまんじゅう」と「まんじゅう」ではどのように違いますか。」

いずれも「言葉の意味に関する問題」である。
子どもたちがこのような問いに慣れてくれば、テンポもリズムも悪くならないように思う。しかし、現段階では難しい問いであった。
ただ、この2問を外すと、「言葉の意味に関する問題」が全くなくなる。
そこで代わりの発問である。

  「おまんじゅう」と同じように、「お」がついてていねいになる言葉を書きなさい。(お米、おもちなど)

 原則6:1問ずつ答え合わせをせよ。
  
 これは、この通りできた。

 原則7:間違ったらその場で正しい答えを写させよ。
 
 これも全員のノートを見たが、全員できていた。

 原則8:「ワンポイント説明」を重視し、「話し合い・説明」は絶対にするな。

 「話し合い・説明」はしていない。

 原則9:教材文の流れにそって問え。

 これもできた。問いは教材文の流れにそってできた。

 原則10:教師が説明したいことや詰めは、リズムをくずさないようにするために、次の問題にせよ。
   

  第19問。町はどうなりましたか。

 (次々に焼かれてはいになった。)(はいになった。)
 「どちらも正解です。」

  第20問。「次々に焼かれてはいになった。」をA。「はいになった。」をBとします。

 AとBどちらがいいですか。AかBか書きなさい。
 「Aと思う人?・・・」(全員手を挙げる。)「Bと思う人?・・・Aが正解ですね。」

 ここは、我ながら「原則10」の流れでよくできたと思った。
 しかし、もう1つ「原則10」をすべきところがあった。
 次の問いのところである。

 
 第17問。毎日何が飛んできましたか。

 (「敵の飛行機」です。)
 「その通り。『飛行機』でもいいです。」

  ここはこのように詰めるべきであった。
   
  第18問。「敵の飛行機」と「飛行機」どちらがいいですか。書きなさい。

文責 東田 昌樹

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