37号 2003年1月 帯状疱疹

 

帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは、神経支配領域にそって、帯状に水疱(水ぶくれ)ができるウイルス感染症です。

 

原因

 水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。水痘(すいとう)とは、こどもの頃にかかる「水ぼうそう」のことで、水痘が治った後も神経節という神経組織の中にこのウイルスが潜んでいて、疲労や高齢、悪性腫瘍、ステロイド剤使用、ストレスなどでからだの抵抗力が落ちてきたときに発症します。

 

水痘・帯状疱疹ウイルスが潜んでいるのが神経組織のため、発疹はその神経支配領域にそってみられ、できやすいのは、胸部、頚部、顔面です。顔面は三叉(さんさ)神経への感染によりますが、三叉神経はその名の通り3つに枝分かれしているので、その発生頻度は、第1枝である眼(がん)神経で約40%、第2枝である上顎(じょうがく)神経で約25%、第3枝である下顎(かがく)神経で約20%、第1枝と第2枝、第2枝と第3枝の合併例も約10%あるとされています。

 

症状

 からだの抵抗力が落ちると、神経節に潜んでいたウイルスが増殖して、その知覚神経にそって広がるので、からだの左右どちらか片方に、ズキズキする痛みやしびれがでます。その後神経の支配領域にそって、皮膚が赤く腫れ、水疱(水ぶくれ)になってきます。小水疱は1〜3mmで、最初は透明ですが次第に濁って黄色くなり、全体として帯状に並んで見えます。そしてそれらが破れてかさぶたとなり、通常3〜4週間で治ります。

三叉神経の第2枝・第3枝、つまり上顎神経・下顎神経が侵されると、口の中の粘膜にも、神経の支配領域にそって多くの小水疱ができ、さらにアフタのような潰瘍ができることもあります。

 

治療

 水痘・帯状疱疹ウイルスに効果のある抗ウイルス剤の内服か点滴、痛みが強ければ痛み止めを使いますが、発症後早期に始めなければ効果的ではありません。

そしてまず安静が第一です。消化のよい食事による十分な栄養と睡眠をとり安静にしましょう。また水疱が破れていなければ、入浴も可能です。入浴でからだが温まり血液循環がよくなると、痛みを和らげ、また後の帯状疱疹後神経痛の予防にもなります。

帯状疱疹が他人にうつることはまれですが、水痘(水ぼうそう)にかかったことのない人は、水痘になる可能性があるので、接触しないほうがよいでしょう。

 

帯状疱疹後神経痛

 高齢者や治療開始が遅れたり、痛みや皮膚の発疹が重症な場合は、皮膚の発疹が消失しても痛みが残る場合があります。これを帯状疱疹後神経痛といい、ウイルスにより神経が傷つけられたことによると思われています。発疹が出ているときとは違って、ピリピリとか、電気がはしる、焼けるようなと表現される痛みとなります。

 薬物療法や神経ブロックを行いますが、残念ながら完治が難しいため、痛みとじっくり上手につきあっていく必要があります。まず疲労やストレスをためず、入浴回数を増やしたり、患部への刺激を避けるため、包帯を巻いた上に衣類を着たり冷房に直接あたらないようにするとよいでしょう。

 

 

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