29号 2002年5月 口内炎

 

 食事の時に痛くて十分噛めなかったり、イライラや不眠の原因にもなってくる口内炎とは、一般的に頬やの内側、、歯肉(歯ぐき)などの、口の中の粘膜にできる炎症を総称したものです。これは症状の名前で、病気の名前ではありません。それだけに、さまざまなタイプの口内炎がありますが、ほとんどは治療しなくても、10日〜14日ほどで自然に治ってしまいます。しかし、なかには炎症が長く続いたり、全身性の病気の症状のひとつとして口内炎ができるもの、あるいはガン化する可能性が高いものもあるので注意が必要です。

 

 

アフタ

 

 「アフタ(Aphtha)」という用語は、ヒポクラテスも使用した、言葉としては非常に古いものです。その意味は小潰瘍で、主として口の中の粘膜の軟らかいところにできる、直径2〜5mm程度の白っぽい潰瘍で、周囲が赤くなっているものを指していることが多いようです。

原因はよくわかっていません。口の中は消化管の入り口で、胃や十二指腸がただれた時に、その延長上として口の中もただれるという説や、神経質な人にできやすいことから、ストレスが関係しているという説、月経異常やビタミン不足、ウィルスによる可能性も考えられています。

 治療としては、軟膏やうがい薬もありますが、唾液が出ている口の中では洗い流されてしまうため、シールタイプの薬が有効です。その理由は、薬が持続的に効くだけでなく、さまざまな刺激が遮断されるからです。

 このアフタが数個、しかも繰り返しできるものを「再発性アフタ」といいます。これは、全身性の病気である「ベーチェット病」のひとつとしてみられることもあります。

 

 

ヘルペス性口内炎

単純ヘルペスウィルス1型の初感染が原因です。主に3歳までの乳幼児にみられ、1歳にピークがあります。

高熱が3〜5日続きます。直径1〜3mmの丸い小潰瘍が唇や口角部分にできやすく、歯肉は赤く腫れ出血しやすくなります。

食べ物や飲み物がとてもしみるので、食欲が低下し、水分が十分に取れないと脱水症状を起こすこともあるので、注意が必要です。

 

 

手足口病

その病名(てあしくちびょう)のとおり、手・足・口のなかに水疱ができる病気で、1959年に hand-foot-mouth disease と名づけられた、小児の伝染性皮膚粘膜疾患です。接触感染によって地域的に流行し、夏〜秋にかけての発症が多いです。

原因は、コクサッキーウィルスA16型またはエンテロウィルス71型の感染といわれていますが、年によって、コクサッキーウィルスであったりエンテロウィルスであったりします。80%は5歳までの乳幼児ですが、学童、まれに成人も感染します。

3〜6日間の潜伏期間の後、38℃前後の発熱とともに、平たい楕円形で、直径1〜5mmの白い水ぶくれが、手のひらや足の裏、口の中にできます。手のひらや足の裏の水ぶくれは、比較的破れにくいのですが、口の中の水ぶくれは破れやすく、数多くできて破れた場合は食べ物や飲み物がしみるので、食事を摂ることが困難になる場合もあります。

全身症状は比較的軽く、手や足の皮膚の水疱、口の中の水疱とも7〜10日程度で治りますが、やはり食べ物や飲み物がしみるので、脱水に注意が必要です。

 

 

                                   へルパンギーナ

原因はコクサッキーウィルスA群(主としてA4)の感染で、夏〜秋にかけて流行します。90%は5歳以下の乳幼児で、1歳にピークがある、こどもの夏かぜの代表的な病気です。

2〜4日間の潜伏期間の後、突然の高熱が3日前後出て、口の中の痛みのため食べられなくなるのが主な症状で、のどの痛みもあります。のどの近くの口蓋垂(こうがいすい:いわゆるのどちんこ)周囲に、直径2〜5mmの丸い小水疱が数多くでき、まもなく破れて潰瘍となり、のどは赤く腫れます。

発熱は3日前後で、口の中の水疱は1〜2週間程度で治りますが、やはり食べ物や飲み物がとてもしみるので、脱水に注意が必要です。

 

 

                                      褥瘡性潰瘍

褥瘡(じょくそう)性潰瘍とは、合わない入れ歯があごにくい込んでただれたり、むし歯や欠けた歯、合っていない被せものなどによって、頬や唇の内側や舌がただれてできる潰瘍です。あまり長期に刺激が続くと、ガン化することもあります。原因である合っていない入れ歯やむし歯、被せものを調整すれば数日で治るので、直ちに歯科医院を来院しましょう。

 

また、「リガ・フェーデ病」は、乳児にみられる褥瘡性潰瘍です。出生時、または生後4週以内に生えた乳歯を、「先天性歯(せんてんせいし)」といいますが、一般に下の前歯に多くみられるため、哺乳時に舌の裏である舌小帯付近を傷つけてしまうのです。これもまた、原因である先天性歯を丸めるか、場合によっては抜けば、数日で治ります。

 

 

 

予防対策

@       合っていない入れ歯やむし歯、被せものがある場合は、直ちに歯科医院を来院して調整しましょう。

A       口の中を清潔に保ちましょう。その際、ブラッシングにより歯肉をマッサージすることは大切ですが、強い力で傷つけないように注意しましょう。

B       規則正しい生活をしましょう。不規則な生活は、肉体的にも精神的にもストレスがたまります。胃腸にも負担をかけるので、過労をさけ、睡眠を十分取るようにしましょう。

C       バランスのよい食事を心がけましょう。ビタミンだけでなく多くの食品を摂り、熱い物や香辛料などの刺激物や、度数の強いアルコールはさけましょう。

 

 

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