49号 2004年1月 上皮真珠

 

お口のなかにできる真珠?

 乳歯が生える前の乳児の、歯肉(歯ぐき)部分にできる、小真珠のようなこぶを上皮真珠といいます。

 

原因

 歯の発生は、胎生第6週に、歯が並ぶ位置に相当する部分の、お口のなかの粘膜上皮が分裂して厚くなることから始まります。こどもができたかもしれないと、お母さんが初めて気づくような早い時期です。この上皮の肥厚部分は、将来の歯肉の形と同じような馬蹄形に並んでいて、その伸びだした突起のことを歯堤(してい)といいます。この歯堤の先端部分の細胞が分裂増殖して、将来は歯のエナメル質になるのです。

 お口のなかの粘膜上皮と歯を連結している歯堤は、通常は歯の発育過程中に吸収されてしまうのですが、吸収されずに一部が残存し、同心性に集まり角化して、歯肉に現れたものが上皮真珠です。

 

 

症状

 新生児期には80%程度にみられるといわれていますが、異常に気づく乳児期には2〜3%と低率です。

米粒〜小真珠くらいの大きさで、白色ないし黄白色の光沢をもった、半球状の硬いふくらみです。上の前歯の、歯肉の外側(唇側)にできやすく、数個〜多数みられることがあります。数多く広範囲に発生した場合は、歯肉の表面が著しく凸凹の状態になっているものが多いです。

通常、自覚症状はありません。

 

 

治療法

 乳歯が生える頃までには、自然に消失することがほとんどのため、一般的には治療を必要としません。

 

 

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