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第6学年3組 国語科学習指導案
次の短歌を授業する。
列車にて遠く見ている向日葵は少年のふる帽子のごとし 寺山修司 |
この短歌について、猿渡功氏(鹿児島市立東谷山小学校)は、次のように授業で説明している。
(向山洋一教育実践原理原則シリーズO「一文を知的に授業する」(明治図書)より)
先生は、遠く見ているのは、「向日葵」だと考えます。これは、『列車にて』で二つに切れると考えます。 話者が列車に乗っていた。すると少年が帽子を自分に振ってくれているように見えた。しかし、それは、遠くを見ながら揺れる向日葵だったんだよという歌だと考えます。 Bさんが言ったように、もし遠くを見ているのが、話者だったなら、「遠くに見える向日葵」と書くはずだと考えたからです。 では、向日葵が遠くを見ていた先には何があると思いますか。・・・・・・そうです。太陽です。 向日葵は、太陽の方を見ていたと思います。 この歌の作者は、寺山修司という人です。劇を書いたり小説を書いたり、短歌を作ったりします。この歌が発表されるちょっと前まで、ネフローゼという重い病気にかかって入院していました。夏に退院し、一度生まれ故郷の青森まで帰っています。その頃の歌だと考えられます。 |
私は、次のように考える。
「遠く見ている」のは話者である。猿渡氏は、それなら、「遠くに見える」と書くはずだと述べているが、「列車にて私(話者)が遠く見ている」と考えていい。 逆に「遠く見ている」のが向日葵だったら、「列車にて(遠く見ている)向日葵」となり、「列車の中に向日葵がある」という表現になる。 更に、「遠く見ているからこそ、向日葵が少年の振る帽子のように見えた」のではないだろうか。向日葵を近くで見ると、果たして向日葵が少年の振る帽子に見えるだろうか。 これは「列車にて遠く見ている」で切れる。その視線の向こうに「向日葵」がある。その「向日葵」が風に揺れている様が、「少年の振る帽子」に見えたのである。 |
猿渡氏が述べているように、話者である作者は病気の身であったが、退院し、生まれ故郷に向かう列車の中で、この短歌を詠んだと解釈できる。
「向日葵」「少年」は共に元気なイメージである。病気の自分自身を「がんばれ」と応援するようにこの短歌を詠んだのではないだろうか。
クラスの子どもたちには、この短歌を正しく読み取らせるとともに、この作者の心境も解釈させたい。
子どもたちの読みの不備、誤りとして、次のことが考えられる。
・ 季節がわからない。 ・ 比喩が読み取れず、少年、帽子が実在する。 ・ 話者が列車の中にいない。 ・ 話者と向日葵の距離が遠いことに気がつかない。 |
これを発問により診断し、話し合わせ、正しい読み取りへと導きたい。
また、発問、話し合いにより、次のことを子どもたちにイメージさせたい。
・ 向日葵のイメージ。 ・ 少年が帽子を振っているイメージ。 ・ 話者は誰か。 ・ 話者の状況は。 ・ 話者の心境は。 |
○ 本時の目標
短歌「列車にて遠く見ている向日葵は少年の振る帽子のごとし」を正しく読み取り、自分なりにイメージを膨らませて詠み味わうことができる。
○ 本時の展開
時間 | 発問・指示・説明 | 指導上の留意点 |
5 30 10 |
指示1 全員起立。2回読んだら座りなさい。 指示2 ○列起立。読みなさい。 指示3 全員起立。1番いい読み方で3回読みなさい。 指示4 学習問題を作ります。5つできたらノートを持ってきなさい。 発問1 季節はいつですか。 発問2 この短歌では、何が見えますか。 発問3 話者はどこから見ていますか。この短歌を簡単な絵にして、話者の目玉を書きなさい。 発問4 遠く見ているのは誰ですか。 発問5 向日葵はどんなイメージですか。 発問6 少年が帽子を振っている様子は、どんなイメージですか。 発問7 話者はどんな気持ちで、向日葵を見ていたのだろうか。 説明 この歌作者、寺山修司という人は、劇を書いたり小説を書いたり、短歌を作ったりします。この歌が発表されるちょっと前まで、ネフローゼという重い病気にかかって入院していました。夏に退院し、一度生まれ故郷の青森まで帰っています。その頃の歌だと考えられます。 指示5 この短歌の評論文を書きなさい。 |
・ 指示1の後、教師が2回範読する。 ・ 合計5回読ませる。 ・ 自力で読み取る時間となる。 ・ 発問はできるだけ子どもが作った学習問題にからめる。 ・ できるだけ子どもたちの主体的な話し合いに任せる。 ・ 発問1、2、3、4については、教師が子どもたちの意見をまとめ、答えを出す。 ・ 発問5、6、7については、子どもたちのイメージに任せる。 |
文責 東田 昌樹
赤ねこ漢字スキルを他の先生たちに広めるには・・・。
「海のいのち」の授業
「与謝蕪村」の俳句の授業第1時
第2時
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