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[国語][6年][海のいのち]
[赤ねこ漢字スキルを他の先生たちに広めるには・・・。][寺山修司の短歌を授業する] [与謝蕪村第1時][第2時]

6年国語「海のいのち」授業プラン(9時間扱い)
1、単元の目標
 

  教材文「海のいのち」の主題をとらえることができる。

2、授業の流れ

 @ 全員がすらすら読めるような「音読練習」と、「問題づくり」をする。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間

  合計10回は読ませたい。バリエーションを工夫して、子どもが飽きないようにする。
  教師の範読、追い読み(教師が一文節や一文読み、その後を子どもが一斉に読む方法)、2人組1文交代読み、班で1文交代読み、全員で1文交代読みなどである。
  その後、学習問題をつくる。

  光村出版から出ている「赤ねこ漢字スキル」がいい。
  「指書き」→「写し書き」→「なぞり書き」の順に書かせる。教師は「空書き」させ、チェックする。

 B 子どもが作った学習問題の発表と検討をする。「登場人物」、「主役」を考える。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間

  子どもが作った問題を発表させ、その問題について検討する。
  「作者は誰ですか?」→「立松和平さんです。」等、簡単な問題である。
  あとで、授業に使う問題は保留にする。また、難しい問題は教師が答える場合もある。
  「登場人物は誰ですか?」(太一、父、母、与吉じいさ、瀬の主(クエ)、村のむすめ(太一の妻)、男の子・女の子(太一の子ども))
  「主役は誰ですか?」(太一)
  「登場人物」「主役」のいずれも、子どもにとってそう難しい問題ではないので、ここで取り扱う。特に「主役」は「主題」につながるので、どの物語文でも必ず考えさせるようにする。また、この後授業で取り扱う発問は、当然単元の目標にあるように「主題」に関わる発問をしていく。
  尚、できるだけ授業のはじめは音読を入れる。また、授業の最初は、新出漢字の「空書き」から入りたい。

 C 「事件」、「クライマックス」を考える。瀬の主であるクエを「イメージ」する。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間

  私は次の10の「事件」を考えた。

  @ 太一は父にあこがれ、漁師になろうと決める。
  A 太一はクエと戦った父を亡くしてしまう。
  B 太一は与吉じいさの弟子になる。
  C 太一は与吉じいさに村一番の漁師と言われる。
  D 太一は与吉じいさを亡くしてしまう。
  E 太一は母に心配される。
  F 太一は父が死んだ瀬に飛び込む。
  G 太一は瀬の主に会う。
  H 太一は瀬の主を殺すことをやめる。
  I 太一は家族と共に幸せに暮らす。

  これを、子どもたちの意見を大事にしながら、考えていく。事件の内容があっていれば、少々表現が違ってもいい。(文がおかしいのはだめだが。)
  最初は教師が答えを出しながら進めていく。子どもたちが慣れてきたら、自分のペースで最後までやらせる。早くできた子どもに黒板に書かせ検討する。
  この「事件」を考える学習は、物語の流れをつかむのに重要な学習である。

   発問  クライマックスは、何番ですか?

  Hである。Gも少し山場があるので、GとHの2つというのも間違いとは言えない。
  討論させてもおもしろいだろう。
  クライマックスの討論が白熱すれば、1時間では終わらないだろう。
  次は、「クエ」のイメージを考えさせる。

   発問  この「クエ」について、どんな呼び方がありますか。

  「瀬の主」「青い宝石の目」「魚」「岩そのものが魚」「百五十キロはゆうにこえている」「まぼろしの魚」「父を破った瀬の主」「大魚」「海のいのち」「巨大なクエ」

   発問  この「クエ」はどんなイメージですか?

  「すごい」「大きい」「強い」「神様」「特別」「主人」「いのち」など。

 D 「父と太一は、どちらがすごい漁師か。」を考え、「主題」をとらえる。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2時間 

  まず1文交代で全員で音読をさせる。
  そして、次の発問である。

   発問  父と太一、どちらがすごい漁師でしょうか。

  立場をはっきりさせて、理由も書かせる。次のような理由が考えられる。
  「父」の理由                       「太一」の理由
  ・ 誰ももぐれない瀬にもぐったから。       ・ クエのいのちを守ったから。
  ・ クエに挑戦したから。               ・ 家族を幸せにしたから。 
  ・ 太一のあこがれだから。             ・ 村一番の漁師と言われたから。
  子どもたちに理由を黒板に書かせ、発表させる。その際、「反論を考えておきなさい。」と言って、発表を聞かせる。
  「質問や意見を発表してください。」このように言って、討論させる。教師は論点がずれないように適宜修正する。
  「太一が『村一番の漁師』とあるけど、P15のL2に、父も『村一番のもぐり漁師』だったと書いてあります。だから、父も『村一番の漁師』であると言えます。」など、「村一番の漁師」が話題になるだろう。そこで、この発問をする。(もちろんこの話題にならなくてもする。)

   発問  村一番の漁師とは、どんな漁師ですか。

  この発問は主題につながる。
  「いのちを大切にする漁師」「必要な数だけ魚をとる漁師」「千びきに一ぴきしか魚をとらない漁師。」
  このような意見が正しい。
  「どんな魚でもとろうとする漁師。」「何ごとにも勇敢に立ち向かう漁師。」
  これは違う。P19L7「太一は村一番の漁師であり続けた。千びきに一ぴきしかとらないのだから、海のいのちは全く変わらない。」という記述で明らかである。
  また次のことからも言える。太一は最初、与吉じいさに釣り糸をにぎらせてもらえなかった。しかし、何年もたつと作業はほとんど太一がやっている。これは、太一が与吉じいさのように「必要な分だけ魚をとる。いのちを大切にする。」ということがわかった証拠である。その太一を、与吉じいさは「村一番の漁師」と言っている。
  これらの意見が子どもから出されれば望ましいが、出なければ教師から説明する。

   発問  この「海のいのち」の主題を書きなさい。「人間は・・・」「世の中は・・・」という書き出しで書きなさい。

  この発問はもう2時間目であろう。
  私はこの主題を次のように考える。

   人間はいのちをいただかなければ生きていけない。だから命に感謝し、大切にしなければならない。

  主題は面である。点ではない。明らかに違うものは×であるが、「いのちを大切にする」というような内容が含まれていれば正解である。だから、検討するときは「この中でおかしいものはありませんか?」と子どもたちに聞く。
  尚、主題について説明する時、「ワシントンの話」をすれば、わかりやすい。(向山洋一氏の実践)更に「人間は・・・」「世の中は・・・」という書き出しで書かせると、主題らしくなる。

 E 今までの学習のことを振り返って、「評論文」を書く。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1時間

  「主役」「クライマックス」「父と太一、どちらがすごい漁師か」「主題」など、今まで学習してきたことをプロットにして、作文を書かせる。
  慣れないうちは、教師が書き方を教えながら書かせていく。極端な話、教師が黒板に書いたものを写させることから始める。


文責  東田 昌樹

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