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中学受験専門 国語・社会 プロ家庭教師 西村卓也:個人・直接契約

時事問題の対策は必要?

 毎年11月になると、いろいろな出版社や進学塾から、中学入試の時事問題の対策問題集が出版されます。また、進学塾では12月に時事問題の対策授業を行います。それぞれの出版社や進学塾では、その年のどのニュースが中学入試に出題されるかを予想し、さながら「予想合戦」の様相を呈します。

 私もご家庭の要望に応えて時事問題の対策はしますが、どのニュースが入試に出題されるかを予想するのはもうギャンブルの域を出ないというのが実情です。国政選挙が行われた年は選挙のことが出題される傾向にありますが、時事問題としてその年の選挙の投票率を聞くよりは、公職選挙法や選挙管理委員会の存在など、選挙のしくみそのものを聞いてくることが多いのです。

 入試において時事問題のウェイトはそれほど多くはありません。しかし、各出版社や進学塾から出される時事問題集の分量は膨大で、受験生は過剰な負担を強いられているとしか思えません。

 そもそも、学校側は受験生に時事問題の対策をしてほしくて、入試で時事問題を出題しているのでしょうか? そうではなく、受験生が普段から社会の出来事に関心を持って目を向けているかをチェックしたいと考えるのが妥当だと思います。

 学校が入試で図りたいのは受験生の学力であることはもちろんですが、受験生の知的好奇心を図りたいというマインドもあるでしょう。学習に実利だけを求めて、知的好奇心に乏しい子どもを学校は求めるでしょうか? 実際はそうではないかと思える学校もあるのですが、大半の学校は知的好奇心に富んだ子どもの入学を望んでいるはずです。

 時事問題の対策そのものを否定はしませんが、それよりも大事なのは普段から社会の出来事に関心を向けることだと思います。

ニュースに目を向けよう!

 普段から社会の出来事に関心を向けるためには、新聞を読むことやテレビのニュースを見ることが大切です。しかし、最近では新聞を定期購読せず、テレビもないご家庭が多いようです。

 近年では、ネットでニュースをチェックする人が増えていますが、ネットは有害だということで、パソコンやスマホから子どもを遠ざける保護者が多く見受けられます。その結果、新聞もテレビもネットもチェックできない、いわゆる「ニュース難民」と化している子どもたちが生まれています。

 あらゆるメディアから子どもを遠ざけることは子どもの成長を阻害すると思います。例えば、包丁は調理に欠かせない利器ですが、人を殺す凶器にもなります。だからといって、包丁の存在そのものを否定して子どもから遠ざけてしまえば、その子は全く料理のできない大人になってしまうでしょう。

 テレビやネットを否定して遠ざけるのではなく、テレビやネットとどのように適切につき合うかを子どもに教えることが大人の役割だと思うのです。テレビやネットは有用な情報源です。情報は過多になると人を混乱させますが、情報がない限り何事も判断することはできません。

 特に情報があふれる現代社会では、その情報が正しいか正しくないかを見極めるメディアリテラシーを高めなければなりません。そのためには、小学生のうちから多くの情報に触れさせる必要があると思います。

 テレビやネットでも優れた番組やサイトがたくさんあります。視覚に訴えてくる内容なので、子どもたちの印象にも残りやすいでしょう。テレビやネットに抵抗があるならば、小学生新聞を定期購読することをおすすめします。毎日のニュースに関心を持っていれば、特別な時事問題対策は必要ないのです。