第60号 2004年12月 上顎洞炎 副鼻腔
副鼻腔炎 ウィルスや細菌(バイ菌)による急性鼻炎を起こすと、鼻腔と副鼻腔が通じているため、炎症が鼻腔だけでなく副鼻腔にもおよびます。この副鼻腔の粘膜の炎症を副鼻腔炎といいます。いわゆる“かぜ”の状態でも、多かれ少なかれ急性の副鼻腔炎になっているのです。 副鼻腔に炎症がおよぶと、病的になった副鼻腔粘膜から膿が排出され、副鼻腔に膿がたまります。炎症の程度が軽い場合は、膿が自然に鼻腔に流れ出て、鼻汁(鼻水)として体外に排出されます。まさに膿のような黄色い鼻汁(鼻水)や、くさい臭いのある鼻汁(鼻水)が出てきます。 ところが、副鼻腔粘膜の働きが悪くなると排出できなくなり、副鼻腔に膿がたまってしまいます。いわゆる“蓄膿症”です。こうなると鼻づまりや、のどの方に膿が流れるようになり、次第に頭痛、頭を下げた時や飛び跳ねた時の鈍痛、頬や歯の痛み、目の奥の痛みを感じるようになります。 歯性上顎洞炎 副鼻腔のうちの上顎洞粘膜に炎症が生じたものが上顎洞炎です。8〜9割の上顎洞炎は鼻腔粘膜から炎症がおよぶため、鼻性(びせい)上顎洞炎といいますが、1〜2割の上顎洞炎は歯が原因で起こるため、歯性(しせい)上顎洞炎といいます。 上あごの臼歯(奥歯)は上顎洞の直下に存在するため、歯の根の先は上顎洞に非常に近接していて、なかには上顎洞内に突出しているものもあるほどです。そのため、これらの歯が進行したむし歯や歯周炎(歯槽膿漏)になって、歯の根の先に膿がたまると、上顎洞にまで炎症がおよんでしまうのです。これが歯性上顎洞炎です。副鼻腔炎の症状だけでなく、原因となっている歯の痛みや、周囲の歯肉(歯ぐき)の腫れも生じることがあります。 治療法 副鼻腔炎の治療は、まず抗生剤や消炎酵素剤などの薬の服用、鼻の穴からの上顎洞内の洗浄、場合によってはネブライザーも使用します。 歯性上顎洞炎の場合は歯が原因ですから、歯の治療も必須です。まれにその歯を残すこともできますが、上顎洞にまで炎症をおよぼしてしまうほどの歯ですから、抜歯することがほとんどです。抜歯すると、お口の中と上顎洞がつながってしまいますが、上顎洞内の膿も出やすくなります。その後の薬の服用と上顎洞内の洗浄で治れば、抜歯で通じた穴を閉じて終了ですが、治らない場合は、全身麻酔での上顎洞根治手術が必要になります。 |
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