60号 2004年12月 上顎洞炎

 

副鼻腔

 鼻の穴=鼻腔(びくう)の周囲の骨格には多数の空洞があります。鼻腔に通じているため、鼻腔の粘膜の続きによって内面が被われていて、副鼻腔(ふくびくう)と呼ばれています。その名の通り鼻腔の機能を補助していて、吸った空気を温め湿り気を与えたり、香りをしばらく溜めておくために存在しているという説もありますが、ただ単に頭蓋骨の軽量化のために存在しているという説もあります。

 副鼻腔は、以下の4つの空洞から成り立っています。

上顎洞じょうがくどう最大の副鼻腔で、鼻腔の下外側、つまり両側の頬の部分にあります。

篩骨洞しこつどう鼻腔の上方、つまり両目の間の部分にあり、蜂の巣のように複雑な小さな空洞から成り立っています。

前頭洞ぜんとうどう鼻腔の前上方、つまり額の部分にあります。

蝶形骨洞ちょうけいこつどう鼻腔の後上方にあります。

 

 

副鼻腔炎

 ウィルスや細菌(バイ菌)による急性鼻炎を起こすと、鼻腔と副鼻腔が通じているため、炎症が鼻腔だけでなく副鼻腔にもおよびます。この副鼻腔の粘膜の炎症を副鼻腔炎といいます。いわゆる“かぜ”の状態でも、多かれ少なかれ急性の副鼻腔炎になっているのです。

 副鼻腔に炎症がおよぶと、病的になった副鼻腔粘膜から膿が排出され、副鼻腔に膿がたまります。炎症の程度が軽い場合は、膿が自然に鼻腔に流れ出て、鼻汁(鼻水)として体外に排出されます。まさに膿のような黄色い鼻汁(鼻水)や、くさい臭いのある鼻汁(鼻水)が出てきます。

ところが、副鼻腔粘膜の働きが悪くなると排出できなくなり、副鼻腔に膿がたまってしまいます。いわゆる“蓄膿症”です。こうなると鼻づまりや、のどの方に膿が流れるようになり、次第に頭痛、頭を下げた時や飛び跳ねた時の鈍痛、頬や歯の痛み、目の奥の痛みを感じるようになります。

 

 

歯性上顎洞炎

 副鼻腔のうちの上顎洞粘膜に炎症が生じたものが上顎洞炎です。8〜9割の上顎洞炎は鼻腔粘膜から炎症がおよぶため、鼻性(びせい)上顎洞炎といいますが、1〜2割の上顎洞炎はが原因で起こるため、歯性(しせい)上顎洞炎といいます。

 上あごの臼歯(奥歯)は上顎洞の直下に存在するため、歯の根の先は上顎洞に非常に近接していて、なかには上顎洞内に突出しているものもあるほどです。そのため、これらの歯が進行したむし歯歯周炎(歯槽膿漏)になって、歯の根の先に膿がたまると、上顎洞にまで炎症がおよんでしまうのです。これが歯性上顎洞炎です。副鼻腔炎の症状だけでなく、原因となっている歯の痛みや、周囲の歯肉(歯ぐき)の腫れも生じることがあります。

 

 

治療法

 副鼻腔炎の治療は、まず抗生剤や消炎酵素剤などの薬の服用、鼻の穴からの上顎洞内の洗浄、場合によってはネブライザーも使用します。

歯性上顎洞炎の場合は歯が原因ですから、歯の治療も必須です。まれにその歯を残すこともできますが、上顎洞にまで炎症をおよぼしてしまうほどの歯ですから、抜歯することがほとんどです。抜歯すると、お口の中と上顎洞がつながってしまいますが、上顎洞内の膿も出やすくなります。その後の薬の服用と上顎洞内の洗浄で治れば、抜歯で通じた穴を閉じて終了ですが、治らない場合は、全身麻酔での上顎洞根治手術が必要になります。

 

 

 

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