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「松平肥後守京都守護職仰せ付けられ御満足思し召され候えども、島津三郎(島津久光)儀今般公武御一和の基本を周旋いたされ皇国に忠誠尽し候者にて此末公武の御為別してしかるべく思し食され候。かつ家督にも之なき故、京師守護も専一行届くべき儀と思し食され候に付、かたがた別段の叡慮をもって断然守護職仰せ付けられたき旨去月十二日おおせ越され候。方今の御時勢毎時因循時日推移候ては叡慮案ぜられず候間、早々取り計らい候様仕るべき旨御沙汰の旨猶また仰せ越され候趣畏れ奉り候。三郎儀京都守護職仰せ付けられ候儀、当地において御不都合の儀御座無く候。右に付先だって三条卿姉小路卿へ委細申し述べ候通り畏れ奉り候儀にごさ候。此段申し進み候。以上。 |