中学受験専門 国語・社会 プロ家庭教師 西村卓也:個人・直接契約
国語は”Simple is best”
一部の国語の先生が「本文を読む前にまず設問文を一通り見よ」と言っていますが、そのやり方は果たして有効でしょうか?
国語が得意な子どもにはそのやり方は有効でしょうが、そうでない子どもには無意味な作業になる可能性が高いと私は思います。問題の内容を把握した上で問題文を読むことの有効性は認めますが、国語が不得意な生徒は読解力が高くないので、短時間で問題の内容を正確に把握するのは難しいと考えます。
ですから、まずは問題文を読んだ後に問題を解くことに移行する流れの方が無難だと思います。受験は失敗できませんから、無難な方がむしろいい結果を生みます。
国語という科目の基本は、「文章の内容を正確に把握する」ことに尽きます。そのためには読解力を高めるしかありません。読解力を高める努力を工夫もしなければいけませんが、なかなか一朝一夕にはいきません。限られた期間で受験を突破する得点力を高めるためには国語の問題に臨む戦略を身につける必要があります。しかし、その戦略は奇をてらったものでは決してありません。
受験に臨んでいるときの子どもの精神状況は平穏ではありません。受験のときにあれをやりなさい、これをやりなさいと事前に教えても、子どもは混乱するだけです。ですから、戦略は簡潔なものであるべきです。“Simple is best”なのです。
これから私が申し上げる主な戦略は3つしかありません。国語が苦手なお子さんは戦略が全くないまま、国語の問題に臨むことがほとんどです。3つの戦略を意識して問題に臨むだけで、全く違う結果が生まれます。国語は勉強しても仕方がない科目ではありません。戦略を身につければ、国語は苦手科目ではなくなります。一緒に志望校合格に向けてがんばりましょう!
中学受験国語「3つの法則」
①「『物語文』か『物語文以外』かを見分ける」
まず出題された文章を読みながら、その文章が「物語文」か「物語文以外」なのかを判断しましょう。「物語文以外」は説明文、論説文、随筆文があります。その中で、随筆文は小説家などが書いた物語に近い内容のものと科学者などが書いた説明文や論説文に近いものに分類できます。人間について書かれた随筆と自然科学について書かれた随筆ともいえますが、前者は「物語文」、後者は「物語文以外」で分類して差し支えないものと考えます。おおまかな言い方ですが、人間が登場して、何らかの出来事について語られている文章が「物語文」、人間が全く登場しない、またはあまり登場せず、何らかのことを説明していたり、筆者の意見が述べられたりしている文章が「物語文以外」ということでしょうか。
②「『物語文』だったら、登場人物に注目!」
「物語文」が出題された場合、登場人物の心情に関する問題が主体となります。ですから、どういう登場人物がいるか文章を読みながらマークしつつ、登場人物同士が親子なのか、友達なのかなど、その関係性を把握することが大切です。「心情描写に線を引く」という指導を多くの塾でしていますが、「うれしい」、「悲しい」などの心情語は注目すべきですが、そのような直接的な心情表現は多くなく、線を引くことそのものがルーティンワーク化して、問題を解く際に生かされないことが多いので、あまり気にしなくていいと思います。
③「『物語文』以外だったら、文中にたくさん出てくる言葉=キーワードをマーク!」
いろいろな参考書や塾で言われていることではありますが、これをおざなりにしている子どもが多いです。キーワードがその文章のテーマとなり、テーマをおさえることが解答の上で重要なので、やはり大切な作業です。マークの仕方は丸でかこむなり、マーカーで線を引くなり、何でもいいかと思います。
当たりまえのことを当たりまえにやるために
中学受験国語の3つの戦略があまりにありふれているので、拍子抜けされた方もいらっしゃるかと思います。確かに「当たりまえのこと」なのですが、多くの子どもはそれができません。できないから結果が出ないのです。
受験勉強に関して、子どもに「当たりまえのこと」をさせるのが塾や家庭教師の役割です。現実として、塾にも家庭教師にも頼らずに中学受験を成功させた子どもはほとんどいないでしょう。では、家庭教師は中学受験を突破するために必須の存在でしょうか?確かに、塾での学習だけで中学受験を突破する子どもは多く、私も中学受験をする全ての子どもに家庭教師が必要だとは思いません。一方で、家庭教師がいたからこそ中学受験で成功する子どもがいることも確かなのです。
小学生の段階ではセルフコントロールが難しく、特に高学年ともなると多感な年頃となり、なかなか親の言うことを聞かなくなります。そういうときに、家庭教師が子どもの傍らにいて、「当たりまえのこと」をしっかりやっているかをチェックすることは中学受験対策として効果的だと思います。
また、間違った勉強のやり方をしていないかをチェックするのも家庭教師の重要な役割です。たとえば、間違った問題の解答をただ漫然と写すやり方は無意味です。どうして間違ったのかをフィードバックし、どのような道筋をたどれば正解にたどり着けるかを確認する。それは子どもが自力でやることが難しいので、家庭教師が正解への道筋の案内役として適していることは間違いありません。
自分の子どもの個性を見極め、学習方法をカスタマイズするのが親の役割だと考えます。合格への道筋は一通りではありません。それぞれの子どもの「合格への最短距離」を見つけ出していきましょう。