51号 2004年3月 メラノーマ

 

正式名は、悪性黒色腫malignant melanoma)といいます。

 

 日光浴で皮膚が黒くなるのは、メラニン色素が増えるからです。そのメラニン色素を作るメラニン産生細胞(メラノサイト)の異常増殖(悪性化)したものが、メラノーマです。数あるのなかでも、発生率はかなり低いものの、最もたちが悪い癌のひとつといわれています。

 

 

原因

 白人における発生率が高く、欧米では人口10万人あたり10人以上の発生数ですが、日本人では人口10万人当たり1,5〜2人程度といわれています。残念ながら日本を含め、世界的に年々発生数が増加傾向にあるようです。 こどもではきわめてまれですが、40歳以上、特に高齢になるほど発生率は高くなります。

 皮膚や粘膜に発生することがほとんどで、日本人では足の裏(約30%)や手のひら、手足の指の爪にできるタイプが多いです。

 主な発生原因は紫外線と考えられています。白人に多いのは、皮膚における色素が少なく防御力が弱いためといわれています。また過度の刺激もよくなく、足の裏に多いのはそのせいだと考えられています。お口のなかもさまざまな刺激が加わるため、全身のうち約10%はお口のなかに発生するといわれています。

 

 

症状

 お口のなかでは、上あごの天井部分である口蓋(こうがい)や、上あごの歯肉(しにく:歯ぐき)にできやすく、下あごの歯肉、、頬の内側の粘膜にもできることがあります。

 はじめは黒色、黒褐色あるいは黒青色のしみ程度で、次第にやや盛り上がってほくろのようになりますが、見えにくいところに発生するため気づかないことが多いです。しかし急速に拡大し、ふくらみが強くなったり、逆にえぐれて潰瘍を形成すると痛みを伴うため気づくようになります。

 早期に、肺、肝臓、脳などへの転移が認められるので注意が必要です。

 

 

治療法

 通常の癌であれば、再発予防のため癌の周囲2cm程度で切除します。しかしメラノーマは悪性度が高いため、以前は手の爪にできたものは手首から、足の爪にできたものは足首から切り落とすとまで言われていました。となると、お口のなかにできたものは首から・・・とはいかないため、放射線療法も併用します。抗癌剤や免疫療法を併用することもありますが、残念ながら効果は低いようです。

 お口のなかにできたメラノーマは、見えにくいところに発生するため発見が遅れやすく、脳に近いため切除手術も放射線療法も不完全になりやすく、残念ながら皮膚にできたものに比べて予後は悪いです。そのため早期発見は非常に重要で、むし歯歯周病予防のためにも、定期的な歯科健診は大切といえます。

 

 

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