54号 2004年6月 姿勢

 

2004年6月4日〜10日は歯の衛生週間で、スローガンは「いつまでも すてきな笑顔と かがやく歯」でした。の寿命を延ばすことにより、からだの寿命も延びるのです。大切な歯と歯肉(歯ぐき)を守る正しいケアを、ぜひ今日から始めていきましょう。

 

 

 

 私がこどもの頃にも、小学校において、目は机から30cmは離すように言われ、なかには姿勢が悪いからと、背中に大きなものさしを入れられる友人もいましたが、今のこども達はさらに姿勢がくずれてしまっているようです。

 

 

良い姿勢とは

 ある小児整形外科学の教科書によると、正しい姿勢の条件として、

1)   あらゆる筋肉がバランスよく保たれ、緊張感のないリラックスした体位をとる

2)   比較的長時間、その体位を保持することができる

3)   他の臓器に影響を与えない

4)   他の部位に影響を与えない

5)   見た目に不自然でなく、美しい

6)   重心線が正しくひかれているほうが望ましい

と書かれています。

 

 筋肉への負担が少なく、安定していて、美しい姿勢とは、頭部をまっすぐに、胸を張り肩を後ろにひいて、腹部をひっこめて、ひざを伸ばした姿勢となります。

 

 

悪い姿勢を続けていると

 典型的な悪い姿勢:猫背、つまり肩を前に寄せ上方に持ち上げていると、胸がしぼんで腹部が前に突き出るので、骨盤は前下方に傾き、ひざを曲げてようやく立位を保っている、すると自然とあごを前方に突き出すようになります。からだはどこもひとつながりですから、たとえ最初は猫背だけであっても、最後はあごまでと、くずれは全身に及ぶのです。

 

良い声がでない

 声というのは、肺に吸い込んだ空気がコントロールされながら吐き出されて、声帯を振動されることによってでるものです。肩が前に出て上がっているような悪い姿勢の場合、胸が十分に膨らみません。すると吐き出す空気が不足するため、良い声がでません。お腹が出っ張っているということは、腹筋力が弱いということですから、息を吐き出す時に腹の底からの支えが頼りない、すなわちコントロールが不十分ということになりますから、安定した声がでないわけです。

 そのうえ、あごが上がり顔を前に突き出すような悪い姿勢だと、空気の通り道が曲がりくねるのですから、吐き出す空気の流れが乱れるうえに、出てくる声の反響が悪くなるので、遠くまで良く通る声がでないのです。

 

肩こりがおこる

 近頃、肩がこるというこどもが増えてきました。テレビゲームに熱中すると、目が画面に吸いつけられて、顔も前方へ出ていきます。あごが上がり頭部が前に出た猫背だと、重心線から外れたこの重い頭部を、地球の引力は容赦なしに下に引っ張りますから、ますます頭部が前下方に、そして背中が曲がります。これに逆らうために、首・肩・背中の筋肉が緊張を強いられて疲労し、肩こりがおこるのです。

 

腰痛がおこる

 お尻のすぐ上のあたりで、背骨が強く前方に反りだしている姿勢:腰椎前弯では、腰椎の骨をつなぎ支えている腰筋が疲労して腰痛がおこりやすいのです。このような姿勢になるのは背筋力が弱いためですが、腹筋が弱いため腹圧を十分に高めることができず、腰椎の前方への過度の弯曲を腹腔の内側から押し戻すことができないためでもあるといわれています。

 

蛋白尿が出やすくなる

 腰椎前弯のこどもは、起立の姿勢を続けていると、腰椎がいっそう前へ反りだし、腎臓からでてきた静脈を圧迫し、腎臓に充血がおこるため、尿に蛋白がでるようになります。

 

しっかり歩いたり走ったりできない

 悪い姿勢のこどもはからだが硬いことが多いので、動作がぎこちなくなりがちです。

 

顎関節症になりやすい

 先にも述べましたが、たとえ最初は猫背だけであっても、からだはどこもひとつながりですから、最後は自然とあごを前方に突き出すようになります。上あごに対して、下あごが前方に位置しているわけですから、顎関節に負担がかかり顎関節症になりやすいのです。

 

 

良い姿勢づくり

 良い姿勢をするには、背筋をしゃんと伸ばして、腰骨を立てることが大切ですが、これがなかなか持続できないのです。ならば、からだのあらゆる部分がつながり合っているのですから、どこかからだの一部でも良いことをしてやれば、全身にその効果が及ぶのではないでしょうか?

 

立ったまま靴下をはく

 一本足で立つということです。地球の引力に対してどのように対応するかの訓練です。いつも一本足で立つ訓練を積んでいれば、二本足では確実に立つことができますよね。朝に靴下をはき、夜に靴下を脱ぐ、これを立ったまま毎日続ければ、特別のことをせずとも、知らず知らずのうちに、一本足で立つ時のバランス感覚を養うことができるでしょう。

 

電車・バスのなかでも立っている

 地球の引力だけでなく、発車・停車時の加速や進行中の車の揺れが加わるので、これに対応できればさらに強力なバランス感覚を獲得することができます。それだけでなく、足腰・背筋・腹筋も鍛えられます。

自分は座席に腰掛けても、お子さんには立っているように言うことが本当のやさしさなのでしょう。もちろんご自身も立っていれば言うことはないですが。

 

利き手ばかりでなく両手を使う

 よく使っていれば柔軟に動いても、使わなければ硬くなります。柔軟性の左右のアンバランスで、からだのねじれとか傾きが生じるのです。サッカー選手が左足からのシュートを上達させるために、左手でを使う訓練をした話は有名です。箸は無理でも、できるだけ両手を使うようにしましょう。

 ちなみに理由は違いますが、私は右利きですが高校2年時から左手で箸を使用しています。知人に「両手で箸が使えると、食べるの速くていいね」と言われたことがありますが、口は1つのためそうもいきません。

 

食べ物をしっかり噛む

 あごを前方に突き出していては、食べ物を噛みしめることはできません。逆に、あごを引きすぎたら口を開けにくくなります。つまり、首筋がまっすぐ伸びていなければしっかり噛めないのです。バランスよく栄養を摂るためにも好き嫌いせず、よく噛むことが大切なのです。

 

首をまっすぐ、さっそうと歩く

 二足直立歩行こそ人間の特質です。静止して立っている時の姿勢が良いだけでは不十分です。頭上に本をのせて落とさないように歩く、モデル養成の場面で必ずとりあげられますよね。首をまっすぐに伸ばして、大きく手を振り、さっそうと歩きましょう。

 

発声練習

 オペラ歌手は、マイクなしで劇場の隅々まで声をとどろかせます。発声練習の基本は、良い姿勢であることは言うまでもありません。広い場所で、遠くまで届く良い声を出せば、ストレス発散にもなるでしょう。

 

 

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