「個人年金」と「終身保険」 選択のポイントは?


 更新:2011年4月8日


老後(長生きしたときのリスク)が心配な方の選択肢として、すぐに思いつく保険が「個人年金保険」です。
でも、「死ななくても、現金として老後に活用できる保険」は、個人年金だけではありません。
もう一つ、「終身保険」(保険料払込を終了した後で「年金支払移行」を行った場合)という選択肢もあるのです。
そして、現在の金融環境から検討すると、下記で比較したように、必ずしも個人年金が有利なわけでもないことがお分かりいただけると思います(ただし、どんな終身保険でも有利なわけでもありませんので、お間違えのないように)。
あわせて、終身保険には死亡保障が加入時から確保できますが、個人年金の場合は死亡した時点(年金を受け取った後で亡くなった場合には、年金の権利が遺族へ相続されます)での既払込保険料相当額が死亡保障となる点も、留意すべきでしょう(つまり、死亡保障もある終身保険の方が、年金としても役に立つ、ということがいえる場合があります)。

またよく、個人年金なら「生命保険料控除」(所得控除額:上限5万円)と別枠に「年金保険料控除」(所得控除額:上限5万円)があるという理由で、個人年金を選択される方もいらっしゃいますので、それを織り込んでみた上で、本当に個人年金が有利なのかどうかも考えてみました(ただし、平成24年1月1に以降に加入した契約については、所得控除額が4万円に変更となります)。
ちなみに、下記の差以上にお考えいただきたい点は、「生命保険料控除」および「年金保険料控除」は、その制度がいつまで続くかわからないということです。
とくに、毎年のように税制見直しで廃止が検討され、そのため生命保険協会が生命保険料控除の存続のための署名活動を行うといったことが繰り返されていることからも、遅かれ早かれ、直接税と間接税の比率(直間比率)直しに伴って、大きな変更(おそらく、廃止または縮小の方向で)が起こると考えられます。
したがって、個人年金を選択するとしても、その理由が「年金保険料控除」のためというのは、私はやめた方がいいと思います(そのような理由で、現時点で個人年金を勧めるセールスがいたら、私はその方の見識に疑問を感じます)。
税制によるメリットは、所詮、その税制が有効な間しか役に立たないからです。

もう一つ、蛇足ですが、「年金保険料控除」の要件についても、注意点をあげてみます。

1.年金の受取人は、保険料(掛金)を払い込む人、本人かその配偶者であること。
  → したがって、例えばお母さんが自分の子どもを年金の受取人にして個人年金に加入しても、
    「年金保険料控除」の対象外です。
2.保険料の払込期間は最低でも10年以上で、定期的に支払う契約であること。
  → したがって、一時払いの契約や、払込が10年未満の契約は、「年金保険料控除」の対象外
    です。
3.年金の支払は、受取人が満60歳になって支払われるもので、支払期間が10年以上の年金
  か、あるいは終身年金であること。

  → 受取期間が5年間の個人年金は、「年金保険料控除」の対象外です。

つまり、個人年金に加入したからといって、必ず「年金保険料控除」の対象になるわけではないということに、注意が必要です(ただし、生命保険料控除の対象にはなります)。


78万円の年金を10年確定で受け取る場合の例
個人年金(5年ごと利差配当付)
終身保険(5年ごと利差配当付低解約返戻金型)

年金額(受取総額)

78万円(780万円)
約78万円(約780万円)※1

受取期間

10年(確定)

契約年齢(性別)

30歳・男性

保険料払込年齢

60歳(30年払込)

月払い保険料

18,166円
17,560円

保険料累計額

6,539,760円
6,321,600円

保険料累計額の差

218,160円(終身保険の方が支払保険料が少ない)

年金保険料控除を活用した場合のメリット(所得税の軽減額)

5,000円×30年=150,000円

課税される所得が330万円未満の場合(所得税率10%)、所得税の軽減額は15万円となります。

なし(生命保険料控除のみ)

年金保険料控除を加味した上での保険料累計額の差

68,160円(終身保険の方が支払保険料が少ない)

死亡保障額(保険料払込終了まで)

既払込保険料相当額(死亡時点での)※2
1,000万円

※1:年金支払移行を活用した場合の年金額については、年金支払移行時点の予定利率によって確定します。したがって、契約時点では確定していないため「約」を付けて表記しています。ただし、予定利率(この試算では1.75%)が今後大きく引き下げられる可能性より、むしろアップする可能性の方が高いと考えられますので、試算が大きく変動することはないと考えます。
※2:1000万円の定期保険(男性30歳加入・60歳満期)の保険料は、例えば月払いで3,800円、保険料累計額で1,368,000円となり、それを個人年金の保険料累計額へ加算すると、保険料累計額の差はさらに拡大します。
※3:住民税は年末調整がありませんので、軽減額は、考慮しておりません。


なお、将来のインフレについて変額保険でしか対応できないといった、実は根拠もなにもない感想(“そんな気がする”といったレベルでしかありません)で、変額保険を勧めるFPや雑誌、書籍がありますが、騙されないように(うまくいかなかったときの言い訳のために、投資対象が何種類も用意されているんです。「あなたの選択こそが間違っていた」と言い訳するために)。
投資でも、「長期間であればあるほどリスクが少ない」、そんな正反対のことが堂々と話したり、書いたりしてありますが、それにも根拠はありません(長期になればなるほどリスクが高まるからこそ、預金金利でも国債でも金利が高くなるわけで、そのことからだけでも根拠がないということははっきりしているはずなのに)。
ご注意ください(後でその通りにならなかったとしても、お金の全額は戻ってきませんから)。

”解約返戻金(払戻金)”を比較する際の注意ポイント
   http://www4.plala.or.jp/anshin/kaihenkin.html
■「終身保険の貯蓄としてのお役立ち度」
  http://www4.plala.or.jp/anshin/shushin_chochiku_oyakudachi.htm
■「終身保険」選択のポイントは?
  http://www4.plala.or.jp/anshin/shushin_hoken_sentaku.html
■積立利率変動型と利差配当の比較例
  http://www4.plala.or.jp/anshin/haito_tsumitate.html
■予定利率は高い方がいい?
  http://www4.plala.or.jp/anshin/yoteiriritsu.html
■こんなFPは×(バツ)だ!
  http://www4.plala.or.jp/anshin/konna_fp.html


具体的なプランの相談や質問は、下記のコンサルティングをご利用ください。



終身保険活用の応用編は、こちらから

”年利回り1%”を確定できる「終身保険」活用例




HOME

生命保険のコンサルティング あんしん配達通信

毎週水曜・木曜・土曜・日曜

無料 生命保険コンサルティング」


実施中(神田小川町・町田)

あんしん配達通信 Blog版

 
heroknight0126をフォローしましょう