10号 2000年10月 味覚障害

 

私の住む長野県三郷村(当時)では、2000年10月から、毎月1日(ついたち)を「食の日」に定め、人間が生きる源としての「食」について家族で考えたり、「食」から広がるだんらんのあり方を見直そうとの取り組みを始めました。

そこで、今回はその「」に関する内容です。

 

味ちゃんと感じる?

 「食べ物の味が薄く感じる」「食べても味がしない」。1990年調査時、推計13万8575人だった味覚障害患者が、2003年6月調査で推計24万4858人と、1,77倍に増加しています。しかし、これまで中・高年層に多いと言われてきた味覚障害が若い世代にも広がっています。過度のダイエットや偏食など食生活の乱れが原因で、味を感じないことによる塩分や糖分の摂りすぎで、高血圧や糖尿病になるケースもあり注意が必要です。

 味がわからなくなる味覚障害は、高齢化や食生活の変化で増える傾向にあり、風邪、貧血、薬の影響などさまざまな原因が考えられますが、一番多いのはこれといった原因がないものです。どの場合でも共通しているのは、6割くらいの人で血液中の亜鉛が不足していることです。

 

の表面や上あごの奥には、味を感じる細胞が集まってできた味蕾(みらい)という器官が数千個あります。新陳代謝が激しく、10日くらいで新しい細胞に生まれ変わっているのですが、このときに亜鉛が必要なのです。偏った食事などで亜鉛が不足すると、細胞の数が減ったり、機能が落ちたりします。

味蕾

 

 高齢者に多いのは、年を取っていろいろな機能が衰えてくることが関係しています。直接的に影響するのは、味蕾が徐々に減って衰えてくることです。ほかに、食事量が減ったり、消化・吸収する機能が衰えたりすると、今まで通りの食事をしていても亜鉛の吸収量が減ってしまいます。高血圧や糖尿病で使う薬も、亜鉛不足を生む原因になることもあります。 また、唾液の分泌量の減少があります。亜鉛を十分摂っていても、唾液が渇きがち(ドライマウス)になると味を感じにくくなることがあります。唾液が味の分子を溶かして味蕾に届ける役割を果たしているからです。高齢者には濃い味つけを好む人が多いようですが、こうしたことによる味覚の低下と関係があります。

  

若い世代に広がる味覚障害

 しかし、最近は20代や30代の女性にも味覚障害が広がっています。それは、過度のダイエットや好きな物ばかり食べる、コンビニばかりの加工食品への依存が高いといった乱れた食生活で、亜鉛があまり摂られていないからです。

 厚生労働省は亜鉛の1日あたりの所要量を、成人男性で10〜12mg、女性で9〜10mgと定めています。亜鉛は、魚介類・海藻類・豆類やごま・抹茶や煎茶などに多く含まれていますので、それほど意識しなくても和風の食事をバランスよくすれば、十分な量が摂れるといわれています。.

 

亜鉛を多く含む主な食品  <魚介類> カキ、スルメ、数の子、煮干し、サザエ、ホタテ

                 <海藻類> あまのり、あおのり、ひじき

                     <豆・種実類> 黄な粉、豆味噌、カシューナッツ、アーモンド、ごま

                 <野菜類> パセリ、干しシイタケ、シソ

                 <飲料> 抹茶、煎茶、ココア

                 <穀物> そば粉、麩()、玄米、薄力粉 

 

 ただし、亜鉛をはじめミネラル分は、熱に強く水に溶けやすいという性質があるので、たとえばホウレンソウのごまあえはコンビニでも売っていますが、大量調理で浸水時間も増えて、ミネラル分が溶け出してしまうので、食べていると思っていても、意外に亜鉛が取れていないのです。

カキなら3・4粒食べるだけで1日の所要量が取れますが、多く摂取するにはシンプルですばやい料理法がよく、ホタテとチンゲンサイの炒め物などはおすすめで、最後に片栗粉でとろみをつければ、ミネラル分を余すことなく摂れます。また、おやつならトウモロコシをゆでないで、皮つきのまま電子レンジで5分ほど加熱すると、ミネラルの流失を防げおいしいです。

食品添加物の中には、亜鉛の吸収を妨げる働きをするものもあるので、加工食品に頼りすぎないことも大切です。

 

BACK<<

>>NEXT