キシリトールって何? Ans 天然素材の甘味料で、白樺や樫などの樹木から採れる成分を原料にして、主にフィンランドで生産されています。 どのようなものに含まれてるの? Ans 多くの果物や野菜に含まれています。たとえば、イチゴ100g(乾燥重量)中には362mg、ホウレンソウ100g(乾燥重量)中には107mgのキシリトールが含まれています。 キシリトールの甘さは? 味は? Ans 食卓用砂糖と同程度で、口のなかで溶けると、スッとしたさわやかな冷涼感があります。 キシリトールの効果は? Ans むし歯予防に役立つ効果として2つあります。 まず1つは、歯垢中のミュータンス菌(むし歯の原因菌)を減少させ、酸生成を抑制する効果です。ミュータンス菌は通常、糖を取り込みエネルギー源として酸を生成します。この酸がむし歯の原因となります。しかし、ミュータンス菌はキシリトールを取り込むことができないため弱ってしまい、酸も生成できなくなります。 2つめは、キシリトールの甘さにより唾液を出させる効果です。唾液量が増えることにより、歯の再石灰化を促進します。 キシリトールと他の糖ではどこが違うの? Ans 糖のなかにソルビトールのような低酸生成の糖もありますが、キシリトールのように天然素材の糖で、ミュータンス菌を減少させ、酸生成を抑制するものは、ほかにはありません。 キシリトールガムとタブレットでは効果が違うの? Ans ガムには噛むことで唾液を出す効果も期待できます。ガムを噛むことができない幼児・お年寄り・矯正歯科治療患者などは、タブレットを長時間口の中にとどめておくようにすると効果的です。 ガムに含まれるキシリトールの量によって効果は異なるの? Ans ガムに含まれる量が多いほど予防効果は高くなります。フィンランド歯科医師会では、キシリトール製品の推選条件として、使用されている甘味料の50%以上がキシリトールであり、総重量のほとんどがキシリトールで占められていることが規定されています。したがって、含有量が明示されている商品を利用する必要があります。ちなみに、当院で販売している商品は100%キシリトールのガムです。 キシリトールガムを噛めば歯みがきは必要ない? Ans 歯みがきはもちろん必要です。ただし、歯の表面についているネバネバした歯垢が、キシリトールによって落ちやすいサラサラになっていきます。そのため、歯みがきで簡単に取り除くことができるようになります。 キシリトールガムは1日にどのくらい摂ればいいの? Ans キシリトールを甘味料として100%使用したガムの場合、通常、1日3回食後、歯みがき前にキシリトールガムを1粒ずつ噛むと十分効果があります。 キシリトールガムは何分くらい噛めばいいの? Ans キシリトールの効果は数十秒から数分でなくなります。しかし、ガムは噛むことによって唾液を出す効果もあるので、味がなくなっても5〜10分間噛むことをおすすめします。 キシリトールはどのくらいの期間摂り続けると効果が出るの? Ans 2週間から1ヶ月程度で効果が現れるといわれています。さらに1〜2年摂り続けると、その後も効果が持続することがわかっています。 何歳くらいが最も効果的? Ans 歯が生える時期が最も効果的です。またガムを噛むことのできる方なら、何歳の方でも効果はあります。最近では、乳児を持つ母親がキシリトールガムを噛むことによりミュータンス菌の感染を防ぐという報告もあり、フィンランドでは、このような母親への使用を進めています。 フッ素入りの歯みがき剤との併用は? Ans フッ素とキシリトールを併用すると、効果がさらに増大し、新しいむし歯の発生を抑えます。フィンランドではキシリトール入りの歯みがき剤が一般に使用されています。 キシリトールは安全? Ans 天然甘味料なので安全です。すでにアメリカ・カナダ・EC諸国を始め世界各国で認可を受けていて、ガム・キャンディなどの食品が数多く販売されています。 また、FAO(世界食料農業機関)/WHO(世界保健機関)合同の規格委員会より、「1日の許容摂取量を限定せず」という最も安全性の高いカテゴリーとして評価されています。 キシリトールは海外ではどのくらい普及してるの? Ans 食品として開発されたフィンランドでは90%以上のガムにキシリトールが使用されています。スウェーデン・ノルウェーでも60%以上の使用率です。 災害時にキシリトールガム?2011年3月11日の東日本大震災以降、大型地震や洪水などの自然災害が、近年多発しています。そのような災害時には、日常的な口腔(こうくう:お口の中)清掃が困難な状況が起こりうることも考えられます。口腔のさまざまな細菌が増加することで口腔環境が悪化し、むし歯や歯周病だけでなく、誤嚥性肺炎やインフルエンザの発症にもつながりかねません。 九州大学の山下喜久教授らは、キシリトールガムを販売しているロッテ中央研究所との共同研究を行いました。その研究は、口腔清掃が困難となる野外演習に参加した陸上自衛隊員76名を対象に、キシリトールガムを噛むことで口腔環境の悪化を軽減できるのかを調べるための試験でした。 被験者を、キシリトールガムを噛む群と噛まない群に無作為に振り分け、ガムを噛む群の被験者は、1日につき7回、5分間ガムを噛むことを2日間行いました。 野外演習の前後で、被験者の唾液中に含まれる全細菌数を比較したところ、キシリトールガムを噛んだ群では細菌数の増加が、噛まなかった群に比べて有意に抑えられていました。 この試験のポイントは、歯みがきなどが困難となる野外演習中の自衛隊員を対象に行ったというところ。つまり、災害時など歯ブラシなどが用意できない、日常の歯みがきができない状態でも、キシリトールガムを噛めば、歯や口の中が不潔になることを防げることが証明されたというわけです。 被災してすぐは緊張から唾液が出づらくなることが想定されるため、キシリトールガムを噛むことで唾液の分泌を促すことは有効ですし、リラックス効果にもつながるはずです。 |
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