27号 2002年3月 唾石症

 

 胆のうにできる石を胆石、尿管にできる石を尿管結石といいますが、唾液腺(だえきせん)の中にできる石を唾石(だせき)といいます。この唾石により唾液がうまく流れなくなると、唾液腺が腫れたり痛みが出て、細菌が感染すると化膿して膿が出てくることがあります。唾石症はさほど多くはありませんが、特に珍しい病気でもありません。

 

 

唾液腺

 唾液を分泌する器官の総称を唾液腺といいます。その大きなものとしては、耳下腺(じかせん)、顎下腺(がっかせん)、舌下腺(ぜっかせん)と、顔のほぼ左右対称に三種類あって、三大唾液腺と呼ばれています。この三大唾液腺で、唾液分泌量全体の約90%を占めるといわれています。

耳下腺:耳の下にあり、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)で腫れるのがこの耳下腺です。粘り気の低いサラサラした唾液を分泌します。唾液腺分泌量の約30%弱を占めるといわれています。

顎下腺:あごの後方(いわゆる“えら”)の下で、その内側にあるのが顎下腺です。粘り気の高いネバネバした唾液と、粘り気の低いサラサラした唾液の両方を分泌します。唾液腺分泌量の約60%弱を占めるといわれています。

舌下腺:のすぐ下にあるのが舌下腺です。粘り気の高いネバネバした唾液を分泌します。

このほかにも、口の天井部分である口蓋(こうがい)の粘膜にある口蓋腺、くちびるの内側の粘膜にある口唇(こうしん)腺、頬の内側の粘膜にある頬(きょう)腺などの小唾液腺があります。

これら全ての唾液腺を合わせると、1日に1,500ml もの唾液が分泌されるといわれています。

 

 

唾石

唾石の成分は、リン酸カルシウムや炭酸カルシウムなどで、内部を見ると年輪状になっています。唾液腺にカルシウムが沈殿したり、死んだ細菌の塊や、唾液が通る管の上皮がはがれたものなどの、何か小さな異物が核になって唾石ができることがわかります。アコヤガイの中で真珠が大きくなるのと同じような仕組みで、大きさは多くが数oです。

唾石症は、唾液分泌量が多いことと、粘り気の高いネバネバした唾液を分泌することから、顎下腺での発生が最も多く、少ないながら耳下腺の場合もありますが、そのほかの唾液腺ではあまり見られません。

患者さんはほとんどが成人ですが、これは、こどもの場合唾液分泌量が多いので、たとえ唾石が作られ始めても、自然に排出されている可能性が高いからです。

 

 

診断・治療方法

診断方法:唾液が盛んに出る食事中に、唾液腺部分が腫れたり、「唾仙痛(だせんつう)」とよばれる激痛が出て、食後しばらくすると元に戻るという症状が典型的で、その部位のX線撮影をすればわかります。わかりづらいときは、コンピューター断層撮影(CT)で確認します。

治療方法:唾石がどこにあるのか、また何個あるのかによって治療方法が変わってきます。唾石が自然に外へ出てくることもたまにありますが、通常は治療が必要です。

顎下腺の場合は、出口に近い管にあれば簡単で、舌の下にあるその管を切って唾石を取り出します。顎下腺内部にありしかも複数個ある場合は、あごの下から切って顎下腺全体を摘出することもあります。

耳下腺の場合も、1個だけなら皮膚を切って唾石だけを取り出しますが、内部に多くある場合は耳下腺全体を摘出します。その際、耳下腺のところを顔面神経が通っているので、神経麻痺の可能性がゼロではありませんが、経験豊富な口腔外科医や耳鼻咽喉科医なら危険は少ないです。

 腎臓結石などでは、体の外から衝撃波を当てて石を破砕してしまう治療方法がありますが、唾石の場合は、脳や目など衝撃に敏感な器官がすぐそばにあるため技術的に難しく、まだ研究段階のようです。

 

 

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