145号 20121月 先天性欠如歯

 

歯の異常

の異常には大きく分けると、数の異常、形の異常、位置の異常、噛み合わせの異常があります。

 

数の異常:

歯数過剰(過剰歯)

 

歯数不足(欠如歯、無歯症)

形の異常:

大きさの異常(巨大歯、矮小歯)

 

癒着歯、癒合歯

 

歯内歯

 

異常結節

 

異常根(過剰根、樋状根、台状根、歯根の弯曲・屈曲)

位置の異常

 

噛み合わせの異常

 

 

 

歯数不足

 歯の発生がみられないことを、先天的な欠如といいます。一部の歯が先天的に欠如している場合を部分性無歯症、全部を欠如している場合を全部性無歯症といいます。

 

 全部性無歯症は非常にまれで、全部の歯を欠如、つまり1本も歯がない状態です。汗腺の形成不全または無形成、毛髪の発育不全も伴うことがほとんどです。

 

 部分性無歯症の頻度は、永久歯に比べて乳歯は少なく大体1%以下、永久歯でも2〜5%ほどと言われてきました。

 

 

永久歯の先天性欠如

日本小児歯科学会が201136日に発表した内容です。親知らずを除いた、上下あわせて28本ある永久歯のうち、1〜数本が生えない「先天性欠如」が、小児歯科を受診するこどもの10人に1人いることが、初の全国調査でわかりました。

調査は、7大学の付属病院小児歯科が協力して、2007年から2年間、先天性欠如以外の理由で受診した、12都道府県の7歳以上のこども、15,544人分の線画像を分析しました。これは、7歳の段階の線写真で、永久歯の歯胚(しはい:芽)が確認されないと、約99%の確率で欠如するとされるからです。

その結果、1本以上の永久歯の先天性欠如は1,568(10,1)、男子が9,1%、女子が11,0%でした。

 

 

 

先天性欠如の頻度は、上あごの4,4%より、下あごの方が7,6%と多いものの、左右差はほとんどありませんでした。

 

 部位的には、顔の中央から5番目に生える第2小臼歯(奥歯)と、2番目に生える側切歯(前歯)で多く認められました。

 

 

原因と対策

 先天性欠如の原因は、遺伝や内分泌疾患、栄養神経障害、妊娠中の母体栄養欠如などが考えられていますが、はっきりしたことはわかっていません。そのため予防法もありません。

 

 永久歯が欠如していると、噛み合わせが悪くなり、むし歯歯周病になりやすくなります。そのため噛み合わせを治す矯正治療や、ブリッジやインプラントなどの治療が必要になりますが、その多くが自費治療のため高額になります。

 本来永久歯は、乳歯が脱落したその真下から生えてきます。しかしその永久歯が欠如していると、乳歯は脱落せず、30代、場合によっては40代まで残ることがあります。乳歯は、永久歯に比べてむし歯や歯周病が進行しやすいですから、永久歯以上に予防対策が重要になります。

 

 

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