2月の「今日」  幕末日誌文久2  テーマ別日誌 開国-開城 HP内検索  HPトップ

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文久2年12月24日(1863.2.12)
【京】守護職松平容保、入京
【京】将軍上洛延期運動(2)近衛関白・中川宮、薩摩藩島津久光の建白に同意
【江】水戸藩武田耕雲斎、後見職・一橋慶喜の補佐役として江戸出立/
【江】鵜殿鳩翁、浪士取扱役に任命される

■京都守護職の着任
【京】文久2年12月24日、明年2月に予定される将軍上洛に先立ち、会津藩主松平容保が京都守護職として入京しました

町奉行永井尚志・瀧川播磨守は三条橋東まで容保を出迎えました。これは老中・所司代の入京時と同じでした。容保は寺町本禅寺で衣服を改めると関白近衛忠熙を訪ねてに天機を伺ってから宿舎である金戒光明寺(黒谷)に入りました。黒谷には所司代牧野忠恭(備前守)・伏見奉行林忠交(肥後守)などが挨拶に来ました。

『京都守護職始末』によると、この日、守護職の行列(一里ほどの長さ)を見ようと蹴上から黒谷の道の両脇は鈴なりの人だったそうです。また、これまで京都の人は、京都所司代や京都守衛にあたっていた彦根藩士が浪士を鎮圧できないので、腰抜けと嘲笑しており、幕府とはそのようなものだと思っていたのが、容保の行列が立派であり、かつ関白のもとに立ち寄るという朝廷尊崇の姿勢をみせたことなどに、心を安んじたとのことです。(←旧会津藩士のの著述なんで鵜呑みは危険ですが・・・)。

参考:『会津藩庁記録』三、『七年史』一、『京都守護職始末』(2001.2.12、2004.2.12)
関連:■守護職小史「3-1 容保の入京と公用方設置■テーマ別:「容保上京の経緯」■守護職日誌文久2

■薩摩藩の将軍上洛延期運動
【京】文久2年12月24日、孝明天皇は薩摩藩の将軍上洛延期案に同意しました

文久3年1月2日に江戸越前藩邸を訪ねた薩摩藩士吉井幸輔によれば、この日、中川宮邸には近衛関白・中山忠能・正親町参上実愛の公武合体派3名が集まり、前日に大久保利通(一蔵)・吉井の提出した建白書について内談をもちました。即日、奏聞(天皇に言上)したところ、勅許したそうです。

<ヒロ>
将軍の2月上洛を確約されたと信じて上京の途についた容保ですが(こちら)、入京の日に、このようなことが起るとは・・・。もちろん、容保はまだこの動きを知りません。前途多難の予感ですね。

参考:『続再夢紀事』一(2004.2.12)
関連:■開国開城:「幕府の公武合体派連合(幕薩連合)策」■テーマ別薩摩藩の将軍上洛延期運動」 「京都武力制圧VS幕薩連合の公武合体派会議「薩摩藩の守護職任命運動」 ■薩摩藩日誌文久2幕末薩摩藩かけあし事件簿

■後見職上京
【江】
文久2年12月24日、水戸藩家老の武田耕雲斎が江戸を出立しました。15日に江戸を出立した将軍後見職・一橋慶喜に随従するためでした。

<ヒロ>
御三卿である一橋家には幕府からつけられた家臣がいましたが、譜代のものはいませんでした。慶喜は重要な任を帯びての上洛にあたって、実家である水戸藩を頼ったのです。水戸藩から慶喜に随従することになったのは家老武田耕雲斎を始め、原市之進(のちに慶喜の懐刀と呼ばれる)、梅沢孫太郎梶清次衛門らでした。耕雲斎は、安政の大獄で処刑された安島帯刀、茅根伊予之介亡き後、水戸藩尊攘激派の領袖とし有名であり、京都における尊攘派対策に欠かすことができないと考えられたからだといいます。

参考:『徳川慶喜公伝』2、『明治維新人名辞典』(2001.2.12)

■浪士組
【江】文久2年12月24日、浪士取扱として、鵜殿鳩翁が任命されました

<ヒロ>
約3週間前の12月9日には浪士募集を建策した松平忠敬(主税介)が取扱として任命されていました(こちら)が、鵜殿は諸事主税介と相談して勤めを果たすよう申し渡されています。(『改訂肥後藩国事史料』)。鵜殿は当時、隠居の身でした。これは将軍後継問題で一橋派に属しており、大老井伊直弼の就任に反対したため、安政の大獄の懲罰人事で左遷された上、免職・隠居を命ぜられたからでした。

ところで、鵜殿が一橋派=水戸藩シンパであったとし、彼が浪士組取扱となったのは水戸激派が浪士組を牛耳ろうとしていたからで、鵜殿は芹沢らともつながっていたのだとする説(八切氏@「官武通紀」)もあります。おもしろいと思うのですが、根拠の提示がなく、大胆な推理・・・としかいえないのが残念です。

ちなみに、浪士組と水戸藩の関係については同感です。清河と水戸藩の関係に鑑みてなんですけれど。その上、長州藩もからんでいると考えています。

参考:『徳川慶喜公伝』2、『明治維新人名辞典』(2001.2.12、2004.2.12)
関連:■「清河八郎」「文久2年(寺田屋事件〜浪士組募集決定

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