1月の「今日」  幕末日誌文久2 テーマ別日誌 開国-開城 HP内検索  HPトップ

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文久2年12月12日(1863.1.31)
【江】高杉晋作、久坂玄瑞、井上聞多ら、品川御殿山英国公使館焼き討ち。
【江】勝海舟、松平春嶽に海路を説明/
【江】幕政改革:幕府、塩谷・安井・芳野登用

■長州藩士の英国公使館焼き打ち
【江】文久2年12月12日、長州藩士高杉晋作、久坂玄瑞、井上馨(聞多)らが、品川御殿山(幕府が外国公使館敷地に提供)に建設中の英国公使館を焼き討ちしました

○御楯組
高杉・久坂らは11月にも横浜で外国人襲撃を計画していました。世子毛利定広や勅使三条実美らの説諭などで計画は中止したのですが、あきらめない(懲りない)んですね、この元気な人たちは(笑)。事件後、長州藩桜田藩邸で謹慎していましたが、そのときに「御楯組」という急進的尊攘結社を組織しています。(久坂玄瑞起草の血盟文はこちら)

結成メンバーは高杉晋作、久坂玄瑞、志道聞多(井上聞多・井上馨)、赤根武人、松島剛蔵(水長盟約の当事者ですね)、山尾庸三、大和弥八郎、寺島忠三郎、品川弥二郎、長嶺内蔵太、有吉熊次郎ら11人。横浜の襲撃計画参加者はみな含まれています。

○焼き討ち実行
横浜襲撃計画を止めた勅使は7日に、世子も9日に江戸を発っていました。江戸に留まっていた高杉らは、制止を心配する必要もなく、12月12日、公使館に潜入して火薬をしかけたそうです。公使館は全焼。建設中だったので幸い死人は出ませんでした。

○英国側からみた公使館焼き討ち事件
あう・・・時間ぎれです。「余話」にUPしたいです〜(こればっかりや^^;)

<ヒロ>
『修訂防長回天史』では事件について、誰かが焼き討ちしたと短く記されているだけでした(笑)。やっぱり、マズイんですかね、『維新史』には書かれてるのになぁ。

ところで、8日に前土佐藩主山内容堂が知らせた情報では、麻布の米国公使館か横浜居留区が危ないとなっていました。実際に外国人が居住している場所です。ところが、実際は品川御殿山に建設中の英国公使館でした。「攘夷」というにはちょっと中途半端な気がします。高杉らは幕府の警戒が厳重になったことを察して襲撃先を、警戒の薄い品川に変えたのでしょうか??それとも、建設中の公使館を襲撃することに意味があったのでしょうか??(勉強不足でよくわかりません)。『維新史』では「一方に攘夷の朝旨を奉承しながら、一方に外国公使館の建築工事を継続するを憤慨し、之を焼き討ちして攘夷実行の狼煙火を揚げ、又横浜襲撃計画の失敗を償おうと企てるに至った」としてあるのですが・・・。御殿山の公使館建設差し止めについて、勅使が幕府に何か申し入れていたんでしょうか?そういう申入れがあって幕府が無視していたというのなら、わかるのですが・・・。

なお、御殿山の公使館建設については、京都守護職に任命された会津藩主松平容保も、天皇の攘夷の意思を尊重するためにとして、反対していました(こちら)。三港外閉鎖の件といい、実は、会津と長州(激派)は協調できる関係だったんじゃないかな・・・と思ったりもするのですけれど。少なくとも、会津と幕閣の間よりは、近いような気がしません^^;?

関連:◆文久2年11月12日(1.1):薩摩藩高崎猪太郎(高崎五六)、山内容堂に長州藩士横浜襲撃計画を告げる ◆11月13日(1.2):【江】高杉晋作・久坂玄瑞ら長州藩士11名、世子毛利定広の説得で横浜襲撃中止 ◆12月8日(1.27):容堂、幕府に長州藩士による外国人襲撃を警告/ ◆12月12日(1.31):高杉、久坂ら、品川御殿山に建設中の英国公使館焼き討ち

参考:『修訂防長回天史』・『維新史』三・『高杉晋作』(2004.1.31)

■後見職・総裁職の上京
【江】文久2年12月12日夜、軍艦奉行並勝海舟が招かれて越前藩邸に松平春嶽を訪ねました。春嶽には10日に来春早々上京の内命がありましたが、順動丸で海路上京したいと願っており、海舟にいろいろ尋ねたのだそうです。

参考:『続再夢紀事』一(2004.1.31)

■幕政改革
【江】文久2年12月12日、幕府は儒者の塩谷宕陰、安井息軒、芳野金陵を昌平黌教授に抜擢しました。この三人を「文久三博士」といいます。

<ヒロ>
ちなみに芳野金陵の息子、芳野桜陰は御陵衛士頭取伊東甲子太郎の友人で、1周忌に七言絶句を詠んでいます。

関連:◆9月1日(10.23):反改革(1)芳野金陵、改革の失業者によるテロを警戒し、春嶽に登城中止を忠告 ◆9月4日(10.26):反改革(2)桂小五郎、越前藩に横井小楠の他出中止を忠告/ ◆9月11日:周布、春嶽に反改革派の動きを忠告 ◆9月14日:周布ら、越前藩に安井息軒ら反改革派の動き・京都の攘夷確定等を告げる/ 
参考:『徳川慶喜公伝』2、『維新史』三(2004.1.31)
関連サイト:ひむか学 安井息軒

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