妊婦健診
妊婦健診の周期
妊婦健診は、初診で妊娠がわかったあと、流産の可能性も高い初期には胎児心拍の確認や初期の血液検査など、1~2週間ごとに行います。
その後、12週くらいから妊娠6ヶ月(23週)までは4週間に1回、妊娠7~9ヶ月は2週間に1回、臨月(妊娠36週以降)は週に1回が基本です。予定日を超えると週2回になる場合もあります。ただし、出血やおなかの張り、痛みなど、心配なことがあれば、次の検診を待たずに受診してください。
初期(心拍確認するまで) | 1~2週間ごと |
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12週~妊娠6ヶ月(23週)まで | 4週間に1回 |
妊娠7~9ヶ月(35週)まで | 2週間に1回 |
臨月(妊娠36週以降) | 1週間に1回 |
各検査について
基本検査内容
尿検査
初診の尿検査は妊娠してるかどうかを調べることが主な目的になりますが、その後の妊婦健診では「妊娠糖尿病」や「妊娠中毒症」を調べる為の重要な検査となります。
尿検査によって腎臓が正常に働いているかがわかり健康管理の目安にもなります。出始めと終わりの尿には雑菌がまじりやすいので中間尿をとるように心がけましょう。
血圧測定
妊娠をすると赤ちゃんに栄養を送ろうとするため、普段よりも血圧は上がります。高血圧そのものが原因でお腹の赤ちゃんの発育が悪くなることはありませんが、妊娠がきっかけで高血圧になると、妊娠中毒症の恐れがあり、場合によっては赤ちゃんへの影響も懸念されます。高血圧の目安は、140/90mmHg以上です。
体重測定
初診時の体重は、妊娠中の体重の増減を知るための基準になります。妊娠中は体格に応じた適切な体重増加が必要です。体重の増え方が著しく多い場合は、妊娠高血圧症候群などが心配され、著しく少ない場合は、赤ちゃんの発育が順調でない可能性などが考えられます。
妊娠中の体重増加の目安は、やせ気味の人は9~12kg、標準体重だった人は7~12kg、肥満気味の人は5~7kgとなります。
初期に行う検査
問診
- 一般情報
- 年齢、身長、体重、家族構成、結婚の有無、経済状態、喫煙や飲酒の習慣、運動の状況、里帰り出産希望の有無など。
- 家族歴や遺伝的な素因
- 高血圧、糖尿病、結核、癌、血液疾患、精神疾患、先天異常などの有無。
- 既往歴や合併症
- 心臓病、糖尿病、甲状腺機能異常、高血圧、手術歴、アレルギー歴、産婦人科の病気の既往歴。
- 月経歴、妊娠歴、分娩歴
- 前回の妊娠経過や分娩経過は今回の妊娠経過に大きく関係することもありますのでとても大切な項目です。
全身所見と内診
母体の状態を把握するために、身長、体重、血圧、脈拍数、乳房の状態、甲状腺腫大の有無を診察します。内診では、膣分泌液の状態、子宮頚部の状態、子宮の大きさ、子宮筋腫やポリープの有無、卵巣の腫大の有無などを診察します。
子宮頚癌のスクリーニング
子宮頚部の細胞の検査をします。
血液検査
母体の健康状態を調べるため、血液検査を行います。血液は胎盤を介しておなかの赤ちゃんに酸素や栄養を送ったり、赤ちゃんからの老廃物を受け取って運び出すという重要な役目を帯びています。
白血球、赤血球、血小板の数、血液型、感染症(B型肝炎、梅毒、C型肝炎、HIV【エイズの原因ウイルス】)風疹抗体、不規則抗体スクリーニングなどは必須項目です。
そのほか、トキソプラズマ、サイトメガロウイルスは必要に応じて希望があれば行います。
妊娠初期の超音波検査
胎嚢の数(多胎か単胎か)、子宮外妊娠や流産の除外、妊娠週数の確認、胎児発育と心拍数のチェック、胎児奇形のスクリーニングを行います。また宮奇形、子宮筋腫、卵巣腫瘍の有無もチェックします。
CRLとは超音波検査で用いられる記号の一つで、「胎児頭殿長」という“胎児の頭の先からお尻までの距離”を指します。CRLは8週~12週頃までは個人差が少ないため、それを元に分娩予定日を割り出すことが可能です。
妊娠中期~妊娠後期(16週~35週)の妊婦健診
この時期の検診の目的は以下のようなものです。
- 流産、早産の予防
- PIH(妊娠高血圧症候群)の予防と早期発見
- 内科合併症などの予防と早期発見
- 胎児異常の早期発見と管理
早産の予知、予防
経膣超音波による子宮頚管の長さの測定を22週~24週あたりに行います。子宮頚部は通常40mm前後ありますが、この長さ30mmになると早産の頻度が4倍になると言われています。 子宮収縮がある場合はもちろん、また、なくてもこの時期に一度チェックすることで潜在的にある早産を早期発見するきっかけになります。
PIH(妊娠高血圧症候群)の発症の予防と管理
PIHは妊娠中に血圧の上昇、たんぱく尿、浮腫が発生し母児ともに危険な状態となります。発症の完全な予想は難しいのですが、ハイリスク因子をチェックして早期発見を目指します。PIHを発症しやすい因子(ハイリスク因子)には以下のようなものがあります。
- 遺伝的な高血圧体質
- 非常に若いもしくは高齢妊娠(20歳未満、40歳以上)
- 肥満(BMI25以上)やるいそう(やせ症)
- 初妊婦や前回妊娠時PIHの既往がある
- 多胎妊娠
- 糖尿病の合併
中期に行う必須検査
HTLV(白血病を起こすウイルス)、クラミジア抗原検査
希望があれば淋菌抗原検査も行います。
中期、後期の超音波検査
妊娠週数により超音波検査でもみるべきところが変わってきます。20週前後に主に胎児奇形などの形態異常がないかスクリーニングを行います。
妊娠28週以降あたりから胎児の推定体重に個人差が大きくなってきます。このころから胎児の発育状態、羊水量、胎盤や臍帯のチェックを行います。
妊娠末期(36週以降)の妊婦健診
この時期は母体の分娩準備のチェック、胎児の発育や胎児の元気の良さを評価しています。内診で子宮頚部の柔らかさ、胎児の下がり具合などをチェックします。
また、NST(ノンストレステスト)といって胎児の心拍を連続的に記録し胎児の元気の良さ、予備能力、胎盤機能を評価します。もちろん超音波検査で胎児の発育状態も見てゆきます。
必要に応じて行う検査
子宮がん検診
子宮頸がん検診は、母子健康手帳の交付を受けた妊婦さんは全員受けることができます。子宮頚ガンが見つかった場合は、ガンの進行度によって、妊娠中のケアや分娩時の方針を考えていきます。
腟分泌物検査
子宮頚管からの分泌物をとって検査します。産道感染と関連する、GBS(B群溶連菌検査)、クラミジア検査、かゆみがある時にカンジダ培養などを検査します。
経口ブドウ糖糖負荷試験
血糖値が基準値より もやや高い場合などに、、ブドウ糖水を飲んでもらい、その後の血糖値を時間ごとに測定します。
保健相談
医師の診察後、主に助産師から生活における注意や、バースプランなどをお話させていただきます。
子宮頸管長測定
妊娠中期に早産のリスクを評価するために腟式超音波検査で、子宮頸管(子宮の出口)の長さを測ります。25mm未満は早産リスクが高くなります。
NST(ノンストレステスト)
予定日前後に、20~40分ほど、赤ちゃんの心拍数パターンを測定し、赤ちゃんが元気であることを確認します。
骨盤X線検査
予定日近くで、児が下がってこない、骨盤が狭い時などに撮影します。児頭骨盤不均衡の評価や狭骨盤の診断を行います。
性別判断
ご希望によりお答えします。診察の際医師にその旨お伝えください。
羊水検査
当院では行っておりません。ご希望の場合、病院を紹介させていただきます。