ソフトウェアの開発で、何が一番大切なのでしょう?
高機能を付加することですか?、パッケージソフトと見間違うような洗練されたデザイン?、それとも、ユーザーの度肝を抜く斬新なアイデアでしょうか?
いいえ、違います。ソフトウェアで最も大事な部分、それはUI(ユーザーインターフェイス)です。
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UI(ユーザーインタフェイス)は、フォームやコントロールなど、まさにそのソフトウェアを使用するユーザーが直接見て、そして触れる部分です。
ではなぜ、UIがそんなに重要な意味合いを持つのでしょう?
その答えは明白です。なぜなら、ユーザーから見えるソフトウェアの姿(外観)は、まさにそのUI部分だけ。UIこそがユーザーにとって、そのソフトウェアそのものを表す部分だからです。
一度でも、ソフトウェアを開発したことがある方なら、すぐにお分かりだと思いますが、UIの部分はソフトウェアを構成する要素のほんの一部にしかすぎません。
実際にはソフトウェアは、その奥の目に見えないところで様々な処理を行い、ユーザーに多様な機能を提供しているのです。
しかし、どんな複雑で高機能な処理をソフトウェアが行おうが、ユーザーにしてみればそんなことは知らないし、どうでもよい部分です。
ユーザーは単に、自分が望む処理をソフトウェアがきちんと処理してくれさえすればよいわけです。
まさにそのとき、最も重要な役割を果たすのが前述のユーザーインターフェイスの部分です。
つまり極論すれば、どんなに高機能で斬新なアイデア満載の優れたソフトウェアでも、UIが悪ければ、使ってももらえない。
使ってもらえなければ、どんなに優れていても良い評価を得ることができない。ということになります。
そして不思議なことに、"卵が先か鶏が先か"の話ではありませんが、UIの優れたソフトというのは、ほとんど機能的にも優れたソフトです。
いや、機能的に優れたソフトのUIは、必ずユーザービリティ(使いやすさ)に優れているというべきでしょうか…。
現に、今まで何百というフリーソフトを試してきましたが、機能の優れたソフトでユーザビリティが悪いというソフトウェアに出会ったことがありません。
これはおそらく、優れたソフトウェアを開発できる人間は、当然、それを使用するユーザーの事を想定してソフトを開発しているのでしょう。
ユーザーがこのソフトに何を求めていて、一番良く使うであろう機能はどれで、どのようなUIを設計すれば、ユーザーが迷うことなく、簡単かつ効率的に目的の処理を実行できるか…。そういったことを、開発の時点ですでに頭の中に描いているわけです。
それに対して、ユーザビリティのかけらもないソフトを開発する人は、概して独りよがりで、これ見よがしなコードや機能のオンパレード。必然的に完成したソフトウェアも、機能的にイマイチだったり、バグが潜んでいたりと、完成度の低いものしか開発できないようです。
ではいったい、この"ユーザビリティ"の正体ってなんなんでしょう?どうすれば、ユーザーが使いやすく、完成度の高い優れたソフトウェアを開発することができるのでしょう?
このあたりの部分はこのあと、「ユーザビリティを考えよう!」や「ヘルプの不要なソフトが理想」の章で、詳しく述べていきたいと思います。
ソフトウェアの第一目的は、あくまで"ユーザーに使ってもらう"というところにあります。
これを履き違えた、独りよがりで使いにくいソフトウェアがまん延する今日、これからフリーソフトを開発される方には、必ずこの部分をきちんと理解して開発をしていただきたいと切に願っています。
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