フリーソフトには時として、とんでもないヒット作が生み出されることがあります。
今回は、そういった成功事例を2つご紹介したいと思います。
「ゆめにっき」ききやま氏がRPGツクール2003を使用して制作したアドベンチャーゲームです。"窓付き"という主人公の少女が、13におよぶ夢の世界をひたすら歩きまわり続けます。全24種類のエフェクトを集め、様々なイベントを体験しますが、これといったエンディングがあるわけでもありません。
このゲームの特筆すべきは、細部にまで綿密に作り上げられた独特の世界観と、果てしなく続くかに思われる広大なマップ、そして奇妙な映像と音楽によって醸し出される異形・異様なゲームの雰囲気です。
「プレイすると発狂する」という触れ込みで、ネット公開後爆発的にヒットしました。動画サイトには数々のプレイ動画がアップされ、2chには数々のゆめにっき専用スレッドがたちあげられました。残念ながらダウンロード数は公表されていませんが、推定数十万ダウンロードはいっているのではないかと思います。
残念なことに作者のききやま氏は謙虚な方のようで、作者の方からあまりこのソフトについて露出・宣伝しておりません。インターネットには有志の方が作成された非公式サイトが数多くあり、こちらのほうがソフトに関する情報が豊富です。
これだけの人気ソフト、出版社に攻略本の企画を持ち込んだら、かなりの確率でオファーが通りそうなんですが…。うまくいけば、アニメ化だって夢ではないように思います。
ききやま氏ホームページ http://www3.nns.ne.jp/pri/tk-mto/
非公式ゆめにっき http://www.usamimi.info/~emadotuki/
次にご紹介するのは、「やわらか戦車」ラレコ氏が制作したフラッシュアニメーションで、厳密にいえばフリーソフトではありません。
プロモーション活動にライブドア、ファンワークスがかかわった経緯もありますが、個人の制作した作品でこれだけの商業的成果を収めた作品は他に存在しないのではないでしょうか?
10を超える企業から、玩具、雑貨、映像、書籍など多岐にわたる商品化を企画され、発売されました。また、アーティストとのコラボレーション企画や、ネットアニメによる番組の配信なども行われています。制作のほとんどを作者のラレコ氏が担当している関係上、著作権的な問題がすべてクリアされていることも商品化しやすい要素の一つといえるでしょう。
また、第11回アニメーション神戸、AMDアワード2006、日本のメディア芸術100選、Web of the Year2006など、数々の公式コンテストで受賞している実績もあります。
フリーソフトとは若干ジャンルが違うものの、個人のクリエイターが目指す理想的な姿が、このやわらか戦車にはあると思います。
やわらか戦車公式サイト http://anime.livedoor.com/yawaraka/
ラレコ氏プロフィール http://anime.livedoor.com/theater/2.html
このようにフリーソフトがヒットし知名度が上がることで、様々なビジネスチャンスも生まれます。
フリーソフト開発者の方は決して"無欲"にならず、つかめるチャンスは"貪欲"につかんでほしい、そう願ってやみません。
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