前コンテンツの「ReadMeなんか誰も読まない!」と、若干内容がかぶりますが、ヘルプファイルもやはり、読んでもらえないファイルの代表格です。
ヘルプを読まなければならない事態というのは、往々にしてアプリケーションの操作中に「次に何をしていいのかわからない」とか「この設定をするにはどうすればいいんだっけ」とか「ここの設定をいじくると、結果にどう影響するんだろう?」なんてときに、参照されることが多いと思います。
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しかし逆にいえば、これらの事態は本来、起こることが望ましい事態とは言えません。ヘルプなんか読まなくても、スラスラと使えちゃうソフトこそが理想的なソフトだと言えるでしょう。
じゃあどうすればヘルプなしで、快適な操作ができる、わかりやすいソフトウェアが作れるのか。これを考えてみなくてはなりません。
その際、一番"かなめ"になるのは、なんといってもユーザーインターフェイスでしょう。おそらく、一番使いやすいソフトというのは、一番多くつかわれているソフトウェアの操作に限りなく近い操作性を持ったソフトです。
では一番多く使われているソフトウェアっていったいなんでしょう?ピンポーン。勘のいい人はもうお気づきですね。
そうです。一番頻繁に使われているソフトは、OS(基本ソフト)、つまり"Microsoft Windows"です。
つまりWindowsの操作に限りなく近づけることが、一番わかりやすく、ユーザーを迷わせることのない操作を実現できるのです。逆に、Windowsとかけはなれたユーザーインターフェイスは、よほど合理的な理由がない限り、採用すべきではありません。
皆さんもご存じの"Microsoft Office 2007"、UIをリボンインターフェイスに変更してしまったばっかりに、もう世界中のOfficeユーザーから非難ゴーゴーです。
もっとも、リボンインターフェイスを非難している人のほとんどは、既存のOfficeユーザーがほとんどで、新しく2007からOfficeを使用した方には、リボンインターフェイスはなかなか好評のようです。
Microsoft社が練りに練って考え出した、新しいインターフェイスでさえこの始末ですから、我々が新しいインターフェイスを考えだし、ユーザーに迷うことなく使わせることの難しさがわかります。
ではインターフェイスを限りなく直感的に操作できるようにし、さらにインターフェイスを限りなく一般的なもの(Windows OSなど)に近づければ、ヘルプファイルは不要になるのでしょうか?
おそらく、それでもヘルプファイルは必要です。
詳細な設定内容に関することなど、やはりヘルプファイルなしでユーザーに理解させるのは至難の業でしょう。でも大丈夫、そこまでソフトを使いこみ、さらに詳細な情報を求めてくるユーザーなら、ヘルプファイルくらい喜んで読んでくれるでしょう。
肝心なことは、ソフトを初めて使ってみたけれどヘルプファイルなしではどーしていいのかさっぱりわからず、そのソフトの使用をあきらめてしまった…というユーザーを出さないことです。
せっかくDLして、使ってくれた自作のフリーソフトを、分かりにくいと理由だけで、真価も見極められずにアンインストールされてしまう。これは、フリーソフトの作者にとって悲劇です。
苦労して作った、フリーソフトを多くの方に使ってもらうためにも、できるだけヘルプに依存しないソフトウェアの設計に苦心すべきです。
そして、それ以上にヘルプファイルの内容はわかりやすく使いやすくあるべきです。よくありますが、ヘルプのさらにヘルプが必要…なんていうのは、それこそ笑い話にもなりませんから。
なにはともあれ、ヘルプを読んでもらえるほどに使いこんでもらえたソフトウェアというものは、それなりにユーザーの評価を得たソフトであり、そのソフトウェアの作者にとって光栄なことであるといえるでしょう。
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