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甲虫目(鞘翅目)カブトムシ亜目
テントウムシ科
クチビルテントウムシ亜科
ヒメアカホシテントウである。
黒い体に赤星2つだから、間違い無いだろう。
体長3.5から5mm程度で、カイガラムシを食べるそうだ。肉食である。
今回は絵ではなく、口器と腹部の気管?の写真を見てもらおう。
NO.1の枠で囲ったのが、下から見た口器であるが、これが口だとは、動くところを見ないと、実感はわかないのではないだろうか。
武器になる堅く尖った大あごは、この写真ではよくわからない。中央上の皿状の下が濃い茶になっているのがそうで、弓形に細く鋭い形で、カイガラムシをぶすりと突き刺せそうであった。
その下の房は、小あごひげ、下唇ひげなどである。
カイガラムシを下唇とひげで押え込んで、大あごでぶすりだろうが、その後はどうするのだろう。細かくして飲み込むのが普通だとも思うが、大あごの鋭さを見ると、傷つけて体液を吸うとも思える。素人の悲しさで、これ以上はなかなかわからないのだ。
NO.2は腹節の接続部がオレンジになっていたので、よく見たら、外骨格が透明になっていて、内部が見えていた。
昆虫は人間と違って血液で酸素を運ばないそうだ。そのかわり、気門から空気を取り入れ、気管を全身に張り巡らして、空気から直接酸素を取り入れるのだそうだ。
効率が良く、強力で素早い動きができるらしいが、反面、大きさの制限がきついらしい。昆虫はすべて小さいが、外骨格と気管の影響で、大きくなれないそうだ。
昆虫の体は、なかなか複雑である。
拡大して見ても、なかなか理解できない。
という訳で、蟻の頭を解剖して見た。
外骨格が丈夫なのがわかった。なかなか割れてくれなくて、思うようには奇麗に解剖できなかった。道具と腕がないといけないということだろう。
口器に腕がいくつもあるのは変な感じではあるが、昆虫の特色だそうだ。
大あごで、くわえたり噛み切ったりして、小あごひげと下唇ひげで掻き込むというわけだ。
前回に採集した昆虫は、目に入るか入らないかのようなものもあった。
水に浮かんでいた黒い点、二個を掬い上げたのと、鉢のへりに居たのが同じ虫で、今回取り上げた奴である。
肉眼では黒い細長い点に白い物がついている程度しか分からないが、実体顕微鏡で見ると、胸部の後ろ側が二つに割れていたし、後翅もあるので、甲虫目にちがいない。
しかし、変な虫ではある。普通の甲虫は腹部まで固い前翅で被われていて、後翅もすっぽり納まっているが、こいつは、中途半端である。
後翅を自由に動かせるので飛翔力は十分だが、全身は中半端な甲羅で防備は不十分。甲虫としては、進化の程度が低いのか、などと考えてしまった。
ついでに、巨大化してのそのそ歩いているところを、想像してみた。
9日は2月というのに異様に暖かかった。しかも強風が吹いていた。
夕方の散歩から帰ると、玄関先の水鉢に小さな物が動いたのが見えた。
水に落ちて動けなくなっているのも居た。
さっそく、入れ物を持ってきて採集である。水に溺れていても死んではいなかった。
今年始めての標本である。とはいえ、4mmしかない。
生きているのをスケッチするのは、4mmではお手上げである。下の白黒の2点は、思い出して描いた。翅を畳んでせわしなく歩き回っていたのである。
死んでしまうと、腹がぺちゃんこになるなど、ちぢんでしまうので、今回は、バルサ材に小さな穴を開けて、標本をいれ、カバーグラスで蓋をした。ゆっくりと乾燥するに違いない。
2日たっても腹ペチャにならなかった。しかし、翅が上に開いたり、脚が変に曲がってしまったり、生きている時の姿とはほど遠い。
甲虫目(鞘翅目)ハンミョウ科ハンミョウ亜科ナミハンミョウである。
金属光沢の派手派手しい虫なので、間違いはないだろう。
斑猫と書き、獰猛なハンターらしい。蟻とか、ミミズ、蝶の幼虫などを食べているそうだ。
確かに、大あごは大きくて鋭く、根元に三つの爪もついている。
挟まれたら一巻の終わりだ。
脚は細くて長く、いかにも、早く走れそうだ。
そっと忍び寄るなどはせず、派手な恰好で脱兎のごとく走り寄り、あっという間に捕まえてしまうのだろうか。
フィールドノートもどきの2回目である。
ある程度大きさがある虫は、肉眼でも、細部の詳細は無理でも、それなりに描くことができる。
しかも、そうやって描いたほうが、顕微鏡で細部を確認してしっかり描きこんだものより、生き生きしているようだ。
絵を批評されてがっくりくるものに、一生懸命にやったものと、お気楽にやったものを並べると、お気楽のほうの評価が高いことがある。それも、しばしばある。そのたびに、またかとがっくりを繰り返すことになる。
ああ、いつになったら逆の評価になるのだろうか。
昆虫を捕まえたら記録しておかないと、なにがなんだか分からんようになる。
それで、帰ってきてから、A4サイズのコピー用紙に、書付けるようになった。
フィールドノートのようなものだが、文字はオリジナルは手書きである。パソコンは簡単に消したり付け加えたりできるので、便利であるが、オリジナルの見分けはほとんど不可能である。怪しい世界なのだ。
上のハエのことは、すっかり忘れていた。
どこから来たのか、腹ペチャのものなんか見たことがなかったし、不思議に思ったのを思い出した。
それで、たいてい、下の程度にしか描かないが、丁寧に描いたとみえる。
妻がメダカを飼っていて、卵が孵ったが、そのままにしていると食べられてしまうので、小さな鉢に入れて大きくしていた。
しばらくすると、水際が緑の帯になってきた。
その緑のものを取って顕微鏡で覗いたのが、左の写真である。
緑の正体は、サヤミドロというらしい。緑藻の仲間で、光合成をする。酸素が供給される訳だ。
そのまわりには、動物性プランクトンがいた。ちょこまかと活発に動いている。
イタチムシというらしい。0.1ミリもないような小さな物で肉眼では分からない。
水道水に稚魚を移し変えたのだが、どっから来たのだろう。微生物というものは神出鬼没である。
ところで、通常生物顕微鏡は下からの透過照明で見ている。上の写真のように、立体感はない。
それが、横からの光を当てると、立体感が出て来る。
印象が、がらりと変わるのだ。
双翅目は、ハエ、アブ、カなどからなっている。絵にしたものは、ネットで調べたが、分からずじまい。
翅が2枚なので、双翅目は間違いがない。2センチ近くあって、ハエとしたら大きい。アブは大きいのもいるので、アブで探したが、似たものはなかった。
この仲間の進化程度は、昆虫では一番らしい。
目立つのは、
@ 複眼が巨大で、かつ、複眼のひとつ、ひとつが小さくて、数が多い。よって、視覚が勝れているに違いない。
A 触角は短いが、根元に袋状のものがある。よって、臭覚に敏感に違いない。
B 翅は2枚だけで、後翅は棍棒状に小さくなっていて、バランスを取っている。よって、自由自在に飛行できるに違いない。
獲物や配偶者を見つける能力が高く、素早く飛び回れるので、餌の確保や、敵の攻撃にも強く、生きのびる力が強い。などと、勝手に想像してみたが、あたっているのだろうか。
しかし、ハエやカ、アブは嫌われものではあるが。
MWSの作成した珪藻プレパラートから、今回は対物レンズの違いをお見せしよう。
倍率は、接眼レンズが10倍で、対物レンズが40Xだと400倍、100Xで1000倍になる。
見える範囲は、私のもっている顕微鏡では、40Xで直径0.5ミリ、100Xで直径0.2ミリである。
40Xと100Xの違いは、倍率で2.5倍にしかすぎないが、細部を見分ける力は、桁違いである。
写真は、長さが0.1ミリメートル程度の、フナガタ珪藻と、ヒシガタ珪藻などである。
40Xでは、広い範囲が見え、密に封入された珪藻が、にぎやかで楽しいが、細部の詳細は、条線が目につく程度であ。
しかし、100Xで見た、フナガタ珪藻は、ひとつひとつの胞紋が見分けられるし、ヒシガタ珪藻は、縦だけでなく横方向にも条線があることがわかる。
100Xの世界は、別世界のようである。
我が恩師の、川上尉平先生が千葉館山の洲の崎で描いた作品である。
日付がないが、晩年の作品だと思う。
先生は、徹底した現場主義であった。この絵も、冬の寒風吹きすさぶ中にキャンバスを立てて描かれたに違いない。
夕方近くの鮮やかな光に、富士の峰はほのかに赤く、強風に波頭が立ち、雲が飛んでいく。まるで、自分がその場に立ち尽くしているようだ。
先生が亡くなられて30年近くなり、油絵の実物は見れないものとあきらめていたが、2007年1,2月に熊本現代美術館で、纏まった展示があり、先生の代表作を沢山見れた。
それから、しばらくして、先生の10号が手に入った。
若い私は生意気だった。先生の絵は古臭いと思っていた。自然をありのままに描いてどうするんだと思っていた。
しかし、今、実物を見て思う。先生の絵は不思議な絵だ。離れて見ると、リアルな写生画だが、近寄ると、分厚いタッチだけになってしまう。画集では絶対に分からないのだ。
「尉さんは、芯から絵が好きだった。彼の作品に見るマチエールには、執拗なまでの対象への追求がある。存在との対話が重く塗り込められている。純白なキャンバスに重ね置かれる色彩こそ、寡黙な彼のモノローグで、頑なまでの情念なのだ。川上尉平こそ真の肥後モッコスであり、独り黙って酒を呑む姿こそ、彼に相応しい構図はあるまい。」
(川上尉平画集記載尾竹親氏の文より)
念ずれば通ず。今、先生の作品を手元に置き、日々見ることができるのは、幸運としか言いようがない。
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