ここのところ続けて取り上げるコメツブケイソウ(コッコネイス)だが、傾いているものを撮影すると@Aになる。平面ではなく強く折れているように見えるが、顕微鏡画像だけに解釈が難しい。 困ったときのネット頼みで珪藻図鑑を見ると、Cocconeis pediculusの電子顕微鏡画像があった。 それを参考にして描いたのがBである。付着の様子は珪藻図鑑にはなかったが、他のサイトで見つけたので併せて描いた。どうも、アオミドロのような極細の水草に付着している珪藻らしい。しかも、付着する面にピッタリするように体を湾曲させたようである。 興味深いことはまだあって、Aの面は大きな胞紋がぱらぱらとあるだけだが、珪藻図鑑ではこのようなものの他にBのような微少の胞紋のものもあった。Aに薄く縞状の影があるのは、この微少胞紋のせいだろう。 これからはまったくの想像だが、胞紋の大と小の面が二つあり二重構造になっているのは他に例があるので不自然ではない。曲面の形もあって、流れの速いところでもしっかりと付着できて、栄養塩だけを効率よく吸収する巧妙で頑丈な体に進化させた優れものなのだ。
前回の画像が不本意だったので、裏表が分離したのを写そうとSEK-01(小川)を覗いた。 ところが、意外にも分離したものがなかなか見つからない。やっと見つけても裏だったりしたが、裏があれば表は必ずあるはずだとさらに探すと、見つかりました。でも、変に傾いていて前回のようには撮れない。 粘りが足りないが、あきらめて、くっついた奴で撮ったのだが、これだと、まあ裏表が違うのが分かるだろうと思うのだ。 端部の影の出方を見ると輪帯照明でも中心がずれているのが分かるが、それが幸いしたのかもしれない。
これも横0.03mm縦0.025mmの範囲いっぱいの極微少珪藻で、コメツブケイソウ(コッコネイス)の一種だろうが、MWSのSEK-01(小川)に入っていたものだ。珍しく上下に分かれないでそのまんまの姿をしているみたいだったのでピントを変えながら撮影したのだ。 上面でピントを合わせたのが@で、下面に合わせたのがAになるのだ。 コメツブケイソウとは殻の溝は表の面だけにある楕円型の珪藻というのだから、@は溝なしの裏、Aは溝ありの表で間違いなしと胸を張りたいところだが、こうしてキチンと画像にしてみるといまいち不鮮明だなあと反省させられる。 これは検鏡の腕のせいだともいえるが、検体のせいでもあるかもしれない。この照明は輪帯照明だが球状で透明なものを周り中の斜め下から照らしているのだから、@では下の影が避けられないのだろう。それで、溝らしきものがあるような、ないような紛らわしいものに見える。 などと苦しい言い訳を考えてみたわけだ。
5月25日に出したアリバチを横からスケッチしたので、既出のものと写真を合わせて比較した。 スケッチは乾燥標本で、姿勢も良くないし腹が凹んでしまっているしで生きているときとは大違いだが、形を見極めるために描いているわけだ。 一方、写真の方は密閉空間に閉じ込めた時のものだから、これも自然のままとは言い難いしで、どちらも中途半端なものではある。 しかし、こうやって並べて見ていると前脚の基節が体にピッタリ付いたり付かなかったりしているのとか、腹の断面は丸くなくて平べったいのだとかに気づかされる。 複眼も随分大きいなと思いながら描いたのであるが、絵を見るとそうでもないので見方が甘いななどと反省させられるしで、成果はいまいちでも勉強にはなるのだ。
ライレラの一種でしょうけど、MWSのKRS-01(沿岸)に入っていたもの。 横0.03mm縦0.025mmの範囲いっぱいの極微少珪藻だ。 DL-TESTやJシリーズなら水平面を維持しているが散らしプレパラートなのでわずかに傾いている。 ピントをずらしながら12枚撮影してペストショットのつもりだが、どうなのだろうか。
プレウロシグマの一種でしょうけど、MWSのDL-TESTに入っていたもの。 @からBは輪帯照明でピント位置をわずかに下げていって撮影し、中央部をトリミングしたものだ。 全体に綺麗な個体であるが、矢印のところにわずかに傷があった。 このようなものに会うとピント位置を正確に判断できないかと頭を巡らすことになる。 @は表面のわずか上のピントで開口部は黒く写っていて、胞紋は規則正しく配置されているものの、なにか乱れも感じられる。 Aは矢印先の濃い黒穴がピント位置ではないだろうか。中央部の被殻の中にピントがあると思う。@では見えていなかった白点があるところはピント面より上側かもしれない。 Bは黒かった胞紋が一部白くなっているが、その変わり目のところがピント位置で、白いところはビンと面より上、黒いところはピント面よりしただと思う。 なぜそう思うのかは今までの経験で、胞紋が黒丸から白丸に変化するのを沢山見ていて、どうもピント面からの位置の違いしか考えつかないからだ。 判断を迷うのは濃い黒丸である。上に薄い皮膜やめくれ上がったものがあって光が回り込まないのでひときわ濃くなるのではないかとも思うがどうだろうか。
絵の具を重ねるにつれ下描きのライトレッドが消えてくる。 だが厚みはまだまだだ。 形も靄がかかっている。 絵の具を重ねても重ねてもこの状態は長く続く。 そして、突然しっかりした形と厚みがあらわれてくる。 楽しく描ければよいのだが、そこまでは長く苦しい道のりだ。
今描いている油絵だ。 始めたばかりのようにも見えるが延べ五日もかかっている。 何回か塗り重ねていくと、しっかりした形が浮き上がってくるが、そこまで行くのに時間は掛かるし、しんどいものであるが避けては通れない。 しんどい中でも楽しみもある。タッチの荒さと形の不明瞭さが思わぬ躍動感を生み出す。それこそ、感情のままにといったところだ。 描く手を休めてこの絵を眺めていたら、現代美術風に描いたものを代表に感情が感じられない。と言われたことを思い出した。 絵とは本来感情がてで来るものだよなと思う。そうだとしたら感情を感じてもらえなかったのは、感情抜きで頭で描いていたのがもろに出たということだ。 構成を単純化した現代美術風の作品は、これをどうしても描きたいという強い気持ちを持てるかどうかにかかっているのだろう。この絵も最後まで感情を感じられるように描きたいものだし、この後は感情を感じられる現代美術風作品に再挑戦をしよう。
5月1日に捕まえた0.7センチメートルの黒いハチ。 ヒメバチとかコマユバチとかの寄生蜂とはえらく形が違っていてアリのようにも見えたので、アリバチでネット検索したら沢山見つかった。 それも、人を刺す室内害虫の記事ばかりだった。室内にいる甲虫の幼虫に寄生するハチで雌は翅もなくアリのような形で人を刺すというのである。ただし大きさは2,3ミリで絵の奴とは違う種類のようだった。 写真ではコメツキの幼虫に寄生している1センチくらいはあるのが出ていたので、いろいろな甲虫に寄生する種類がかなり居るみたいである。絵の奴はその一種だろうが同じものは探せなかった。 ところで、絵は標本化したままを描いたものである。腹部が縮んでしまったし、脚もバラバラなままだ。胸部の彫刻が素晴らしかったので片翅を取ってよく見えるようにした。棘毛は省略してある。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリムシ科フトカミキリ亜科ヒトオビアラゲカミキリで間違いないようだ。体長1センチメートル。 5から7月にかけてあらわれる広葉樹の枯れ枝に宿るカミキリだそうだ。ついこないだ近くの森の縁で捕まえたもの。草の上にいたから冬眠から醒めて出てきたところだろうか。小生の標本にされてしまって運の悪い奴だ。 ゴマフカミキリみたいにミカンの害虫だと真鶴の住民にエイと見つけ次第踏みつぶされる運命なのだが、こいつは生木ではなく枯れ木を食するみたいで自然界の掃除人で感心なものだ。 ちゃんとした絵を描こうと思っていたが、どうもこの頃気力体力衰え気味で、下絵の段階でギブアップしてしまった。 で、完成品は標本の深度合成写真でお茶を濁すのであった。
サビヒョウタンゾウムシ、あるいはトビイロヒョウタンゾウムシを角度を変えて描いたものだが、どこまで真に迫っているのかは、はなはだおぼつかない。シンプルな形は難しいのだ。 前胸の一部が欠けていて珍しいのでそれは描いた。結構生きてきた個体だろう。 前回、地中で越冬するので土が付いているような書き方をしたが、土中を住まいにしているアリやモグラに土の付いたのを見たことはない。ミミズを掘り出しても土は付いていなかったような気がする。 土の中にいても土が付かないのが普通なのではないかと思えるが、そうだとするとこのムシは何なのだということになる。 他愛のない疑問が又出来てしまった。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ科サビヒョウタンゾウムシ、あるいはトビイロヒョウタンゾウムシのようだ。体長0.8センチメートル。 薄茶色の目だたない小さなゾウムシだが家の近くには良く現れる。小さいので見分けにくいが土にまみれていて、地中にいるのでもあるまいし不思議なことだと思っていた。 ネットで検索すると千葉で研究されていた。にんじん、ごぼう、落花生の大害虫だったのだ。そして、ねぎ、大根、ほうれん草、こまつなまで被害が拡大しているとのことだった。 ここ 研究内容は幼虫と成虫の土壌中の越冬状態で、おおざっぱに言うと、幼虫は30センチメートルぐらい、成虫は10センチメートルぐらいで越冬しているそうだ。ただ、ゴボウが残置していると80センチぐらいでも幼虫、成虫とも居たそうだ。 収穫した後30センチぐらいのところまで何らかの措置をすれば退治できるということらしい。
前に出した絵だが手直しをした。 多少絵らしく背景に色を入れたり地面の感じを出したりしている。 アリそのものにも色を足しているので賑やかな感じになった。
ラミネートフィルムで小箱を作り、ハエを入れてガラスの蓋をする。言葉にすると簡単だがここまでくるのに随分試行錯誤したものだ。 その小箱を実体顕微鏡で観察して撮影するわけだ。昆虫は天井、壁、床の区別無く自在に動き回りなかなか止まってくれないので往生するが、止まるときは何処ででも止まる。その時が撮影チャンスで壁に止まっているのを撮ると左の画像になるが周りが白だけではどう見ても床に止まっているとしか思えないだろう。 それはさておいて、観察を重ねてくるとハエの姿勢のとり方もいろいろあるのに気付いてくる。これは、中型のハエだが支持面に対して尻は下がっているもののほぼ水平に体を保持し、時に応じて低く構えたり高く構えたりする。 低く構えている時は、強い照明を突然浴びるなど観察を初めた時が多いみたいで、警戒モードのような気がする。そう思うからかも知れないが、なんとなく周りの様子をうかがっているようにも感じられるのだが本当はどうなのだろう。 ハエに聞くわけにもいかないし、暢気に想像するだけだ。
MWS本日の画像に、Cの小さい珪藻くらいな0.01mm程度の超微小珪藻を並べたプレパラートを作った話がでていた。 ここの4月23日の記事 MWSさんはごく小型の珪藻に関心があるのはいくつかの記事が過去にもあったので承知していて、最近実体顕微鏡下の拾い上げの画像が出たのはあまり驚きはしなかったが、今回のプレパラートとして完成し納品までされていたのには正気の沙汰でないような気分にもなった。本当に出来るのだろうかと疑いの気持ちを持っていたに違いない。それが実現したのだから驚くのも当然だ。 この程度のものは顕微鏡の目視では対物100倍でも華々しい絵面になってくれないので、積極的に見ようとしてこなかったが、webカメラを顕微鏡用に改造してパソコンのモニターで見るようになって俄然興味が湧いてきている。 @は0.01mm目盛りのマイクロメーターを対物レンズ40X,Na=0.95でモニターした画像で、0.03×0.025mmの範囲を見ることになる。 だから、0.01mmはともかく 0.02から0.03mm位の大きさの珪藻はAからEのようにモニター上に大きく映し出されるので、顕微鏡を肉眼で覗いているのとは大違いになって、0.1mmから0.2mmの大型のものを見ている感じになるのだが胞紋の見え方が全く違ってくる。大型のものは細かくなりすぎて見にくいが小型のものはEのように適度な大きさと間隔で実に見やすい。FはEのピクセル等倍の画像だが胞紋も点として解像している。 ただ、AからDになると胞紋を点として解像するのは至難の技になる。光学顕微鏡の限界に近づいているからだ。 MWS超微小珪藻プレパラートは、限界胞紋解像の力強い味方に違いない。
ハエもいろいろだが、今まで描いてきたものを合成した。 上から、クロバエ、ハモグリバエ、ヤドリバエ、キノコバエ、そしてキモグリバエだろうか。 体長1.2センチメートルから0.2センチメートルぐらいの大きさだ。 ハエにはカブトムシやクワガタのような超大型のものはいないようだが、それでもキモグリバエからすればクロバエは巨大な怪物だ。
前回のニッチアは本当に裏返しで、さらに傾いているのか確かめてみた。ピントの位置を慎重に下げてどう変化したかを見れば分かる。 水平ならば全面にピントが合うが、傾いていれば一部分しか合わないし、合う位置の動きを見れば上下も分かるわけだ。 左の画像を見れば傾いているようには見えないが、明らかにビントの合う範囲が変化しているので傾いているのは間違いない。 次は輪帯照明と偏斜照明の違いを見た。下側に並んでいる条線が輪帯は真っ直ぐで偏斜は右傾きと左傾きになると思ったのであるが、妙な結果になった。 紙と糸で手作りした部品をコンデンサに付けて輪帯照明と偏斜照明にしているので、その粗末さが原因かなとも思うが悩ましいところだ。 最後は右上からの青色LED偏斜照明で胞紋が見分けられるか試した。 威張れるほどの絵ではないが確かに点々になっている。 水平を保って整然と並べられているMWSのJシリーズやDL-TESTではこんな経験はできない。散らしプレパラートならではの楽しみなのだ。
ARK-01(干潟)のニッチアは胞紋が点にならなくて悔しい思いをしたのでwebカメラで再挑戦をした。 @は肉眼でかろうじて点状の胞紋に見えているニッチアで、撮影してもはっきり点状を確認できる。 問題はAのニッチアだ。位置を記録していなかったので、探すのに手間取ってしまった。18ミリ角の範囲なのだが、顕微鏡では広大なものになるので大変なのだ。 今回は緑のLEDで照明しているので多少は有利になっているだろう、緑からモノクロ変換をしているので白黒だがBが撮影できた。はっきりではないが赤点のように点が連なっているように見えなくもない。 この点の並びは@のものともほぼ重なるので同じ種類のようだ。どうもBは裏返しで、かつ傾いているようだ。わざわざ難しいのを選んで撮影していたのだと言える。へそ曲がりな人なのであった。
ヤフオフをよく見ているとオリンパスBH2の撮影用アタッチメントが時々出てくる。一年ほど前だが、U−PMTVCというのを入手した。ニコン1がびったりとのことであったが、正確な使い方も分からないままに落札したので乱暴なものであるし、カメラはAPS−CサイズのソニーNEX5なので視野が欠けて図のように緑丸内だけが写るという結果になった。 それで、撮像素子を変えるとどうなるか試したのが今日の画像だ。 フォーサーズも欠けるが、T型は実に旨く入っている。ヤフオフの説明は嘘ではなかった。
MWS珪藻プレパラートARK-01(干潟)はニッチアやギロシグマが沢山入っている濁りのない美しいものだが、これはその中のニッチアの一つをニコンアポクロマート40X,Na=0.95で撮影したものだ。 他のニッチアは胞紋がかろうじて点に解像できたが、これは条線になってしまった。胞紋なので本当は点にならなくてはいけない。 ピントの位置もこれで良いのか迷うところだが、元の姿がわからないので判断できない。一見シンプルなようだが複層の複雑な姿をしてるような気がする。 アポクロマートは三つ以上の波長の光について、色収差を補正したレンズだから色がついているのはおかしいのだが、撮影レンズがオリンパスで組合せが正しくないせいらしい。微妙なところで本来の性能が出ないわけだ。 LED照明に改造してあるので緑や青の単色に変えてモノクロ変換すればよいのだが、しかし、小生は絵を描くのでこの色合いも好きである。この色調で描いたものがいくつもあるのだ。
ハチの触覚を手入れをしているところだ。甲虫は口器でしていたが前脚を使っていた。 写真@からBの順に、脚を上からかぶせて下に動かすと同時に頭も持ち上げて手入れしている。脛節の根元には距という棘状のものがあるが、ハチやアリの前脚はブラシ状のものになっている。 このブラシを使っているのではないかと思うが、動きが速くて見極められなかった。漠然と見ているのは簡単で楽しいものだが、正確かつ詳細な観察はなかなかできないものである。
カミキリモドキ科のキバネカミキリモドキみたいだが、手持ちの図鑑と形も色もいまひとつ合わない。ネットで調べ直したが、ハムシダマシ科のナガハムシダマシみたいだ。色は変異が多いみたいでピッタリではないものの形は合っているし、附節の数が前、中脚が5節、後脚が4節なのでハムシダマシ科は間違いないだろう。体長1.3 1.1センチメートル。 甲虫の触覚掃除をしているところ第二弾で、今度は絵だ。 上から見ていて肝心なところは見えないので詳細は不明のままだが、クワハムシと違って前脚を触覚の下にあてがっていた。 同じ動きをすると思っていたので意外だった。個体差なのか種によって違うのか気になるところだ。
甲虫は、長い触覚の手入れは口器でするようだ。その証拠のクワハムシが手入れをしているところだ。 口器をくちゃくちゃして根元から先端まで順送りにして綺麗にしていく。 小あご髭と外葉を使っているようだったが、正確には見分けられなかった。残念。
甲虫の口器もなかなか複雑だ。クワハムシを水で柔らかくして口器の写真を撮ったが分かりませんね。 やはり、絵にしないといけない。しかし絵にするのは見慣れない形なので、偉い草臥れる。ここに載せないのなら放棄してしまいそうだった。 大あご、小あご、下唇と、描いてないが上唇の四つの部品からなっているみたいだ。小あごは枝分かれしているし、つついて一つ一つを確認しないとごちゃごちゃしているだけに見分けられないものだ。 大あごの形を見るとパワーショベルを彷彿させる。桑にぐさっと食いつき切り取りかいこむのだろうか。小あごには外葉の奥が幅広くなっていてくわえ込んだものを取り込みやすくなっている。 昆虫の祖先はあるひとつの節足動物らしいが、さまざまに形を変えてきて元が一つとは信じられないほどだ。
ラミネートフィルムで箱を作りガラスでフタをすると昆虫観察器だ。 このハエはそれで観察したもので箱の隅に水分があるので唇弁をガラスに押しつけて吸っているところだ。 ハエの口器が伸びきったところはいつ見ても素晴らしい。これだけの大きさのものが頭の中に良く格納できるものだと感心するのだ。 この状態で標本化できれば嬉しいのだがそうはいかない。 下は動けなくなって翌日のものだが複眼の色は失われている。この後どんどん縮んで来る可能性も高い。 「ままにならぬは人生よ」などということもあるが、「ままになってよハエの標本」だ。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科クワハムシのようだ。体長0.6センチメートル。 藍色金属光沢の上翅が美しいムシだ。触角間に短い盃状の1角状突起があるのでクワハムシの雄に違いはないだろう。時期になると大抵捕まえることができる。真鶴では栄えてるわけだ。 頭部にも特徴があって、ドーベルマンのように口先が尖っている。ここの仕組みをキチンと描けなくてはいけないが、ごちゃごちゃになってしまった。簡単に描けそうで難しいのだ。
3月8日からは銀座で新作家春季展だ。 会場が小さいので、会員だけでF50縦までの大きさ制限がある。この絵はP50なのでオーケーだ。 今回の絵はシンプルな構成だ。頭をひねくり返して考え出したものではなく、単純に並んでいる珪藻の部分を描いてるだけだ。 神経を使ったのは、切り取る範囲と傾きである。 描く手を休めて離れて眺めていると不思議な絵だなぁと感ずる。自分の絵を不思議な感じがするなどというのはおかしいかも知れないが、淡々と描いていて意図して不思議さをだそうとしているのではないので意外な感じがするわけだ。 ミクロサイズまで体を小さくして珪藻の世界に入って絵を描くとしたらこの絵のようにはならない。ガラス質の透明なものだし、胞紋は綺麗な開口を開けている。想像をたくましくしてリアルなガラス細工にすると美しい絵になるだろう。 しかし、この絵はあくまで顕微鏡下のものだ。その証拠は、左の珪藻の胞紋は上端が黒丸でその他は白丸になっていることだ。これは、上端が膨らんでいる珪藻なのだろう。上端にピントを合わせると他はピンぼけになる。ピントのあったところの開口は暗色になり、ピンぼけの開口は明色になる顕微鏡像の特色なのだ。
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリモドキ科キバネカミキリモドキというようだが、ネットの画像では前胸の凸凹が目だたないのばかりだったので違うかもしれない。体長0.8センチメートル。 2012年5月に捕まえたものを今頃になって描いたものだ。 ハエが続いたので甲虫にしたが、この頃捕まえていないので昔の標本を出してきたのだ。
昆虫の微細構造を見るには電子顕微鏡が一番だろう。個人でも500万円ぐらいで用意できるらしく、ネットでもそんな人のサイトがある。 小生はとても用意できないので金属顕微鏡で見ている。ピントの合う範囲が狭いので形を読み解くのがなかなか困難で間違う可能性も多々あるのだがあっているかどうかで悩むのも楽しみの一つではある。 今日の画像はキノコバエの頭部の頭楯と前口(?)の対物40Xでの深度合成写真でどこまでこの通りだかいまいち自信はない。 意味は分からないがハエは全身が微小毛で覆われている。それに長さと太さはいろいろだが剛毛がある。 上の頭楯は微小毛だけで剛毛はない。下の前口は大きさの違う剛毛があるが、小さいのは寝そべっているが大きいのはやや立っていたので、いじくっている内にとれてしまってソケットだけが残ったようだ。意外に簡単にとれるので元の儘で標本化するのは難しいものだ。 剛毛のとれたソケットにみえても鐘状の突起がついている鐘状感覚子というのがあるそうなので、それが混じっている可能性もある。剛毛も神経がつけば毛状感覚子になるし、ただの毛か感覚器官かは内部を調べて神経が付いているかを確認しなくてはいけないとか、どんどん複雑さが増していくのだ。
キノコバエの1種みたいだ。体長0.5センチ弱のかわいらしいものだ。 黒っぽい体に白の腹帯と脚の基節が白くて大きい。さらに前屈みの姿勢で特徴あるムシである。 玄関先に植えたカラーの葉をちょこまかと歩き回っているのを見ると、ああ来たなと思うようになった。 捕まえて実体顕微鏡で確認するとこいつに間違いがない。ということになる。 剛毛は目だたないが、微少な毛を全身に纏っている。肉眼は当然、実体顕微鏡でも分からないが、金属顕微鏡で対物40Xで見ると分かる。 外骨格に彫り込みを入れて寝かせるように透明な毛が一面にある。見事なものであるが、どんな意味があるのだろうか。
子供の頃は家の中にハエは普通にいるもので、ハエたたきなるものも常備品だったものだ。 ハの字をした翅のズングリしたクロっぽい目だつムシで、まとわりついてきてうるさいいやなムシだった。 このハエも美しいとは言えかねる不細工なものだが、0.5センチぐらいの小さなものだし、翅も2枚重ねてキチンと腹の上にある。ハナバエのようだが、そうであれば子供の頃忌み嫌ったハエとは違う生き方で不潔なものではない。 水の表面張力はすごいので飲み込んだ水を出すと、口先に水玉ができる。どんな意味があるのかわからんが、出たり引っ込んだりを見ているのは楽しいものだ。
毎度のことだが名前が分からん。 ヤドリバエのようでもあるが、脚が長いのでアシナガヤドリバエか。などとノー天気なものだ。 哺乳類は牛などの草食動物がいて、それを食べる肉食動物がいる。たくさんの草食動物がいてこその肉食動物だ。 昆虫もその点では哺乳類と同じだ。草食の昆虫がたくさんいて、それを捕食する昆虫がいるし、卵を産み付けたりする寄生昆虫もいる。 生命はどこかしら繋がっていると思うとおもしろいものだ。 このハエはヤドリバエならば寄生ハエで、ある昆虫を退治するためにいるとも言えるだろう。
MWS珪藻プレパレートDL-TESTのキンベラ(クチビルケイソウ)だ。 DL-TESTは精製された優良個体を精密に並べたプレパラートで、この珪藻はその中でも大型で見栄えがするものだ。細かく見ていくと中央部の胞紋とそれ以外はかなり違うし、両端もなにやら黒ずんで微細構造が予想できるし、検鏡の腕が上がると新しい世界に突入できる種類なのが分かる。 照明法は、自作部品をコンデンサにはめ込んだ輪帯照明だが、中心があわなくて影の出方が偏っているので、輪帯偏斜照明だなどと開き直って掲載するのだが、もちろん負け惜しみだ。
去年のこの日は和紙に狩り蜂を描いたものをだしているが今年もそれに倣おう。 水張りなしで描いて皺になって懲りたので、今回は水張りしている。スキャンしても綺麗に平面が出て気持ちがよいものだ。 ハチの名前はさっぱり分からずだが、尾に長い産卵管があるし、胸に接続している腹部が細長くて体を二つ折りできる体制を持っているので狩り蜂は間違いない。
MWSのKMR_TDP(沿岸 )は小さい珪藻がほとんどで、目視だと細かいところがいまいちなのでウェッブカメラでピントの位置をずらしながら沢山撮影してモニターでしっかり見ると言うことをした。 ピント位置の差で形が変わるが、それで元の形を想像するわけだ。 @はハリケイソウだと思うが大きめのヤツで半分しか写らないので全体をスケッチしたもの。 ABCは上から下へピント移動した画像だ。内側を上向きにしてU字溝を置いたようなものだと思う。 Aを見ると両端の立ち上がり部が片方は単純な板、片方は穴あき板の様に見える。 BではAの明確なスリットが消えてなにやら傾きのある様子がうかがえるしCは不透明物体なら見えないはずの表面にちがいないのでスリットの様子が内外で違うのが考えられる。 というので考えたのがDの断面図で凝った形であるが、練達の人が見たらにやっと笑って、おしいけど違うけどね。などと言われそうだが、小生の現在の画像解析力はこんなものだ。 ついでにもうひとつ想像すると、胞紋が見えないくらい小さいのと、頑丈な二重構造の殻からすると、泥質で浪の激しい海岸に翻弄されいてる珪藻の姿が浮かんで、なんか楽しくなってくる。
国立科学博物館に展示されているカンブリア紀〜オルドビス紀の節足動物の生痕化石である。 生物の上陸は、シルル紀半ばに初めて植物が上陸し、その後に昆虫が続いた。というふうに思っていたが、 国立科学博物館の解説では「有害な紫外線をさえぎるオゾン層が形成されるにつれ、生物は海中から陸上へ進出していった。この生態系の変化は、生物進化における大事件であった。オルドビス紀中期(4.6億年前)に植物が、その4000万年後のシルル紀後期には昆虫が上陸を果たした。しかし、5億年前の地層から、陸上進出した節足動物の足跡化石が発見されておりまだなぞは多い。」とあり、 「この足跡化石は、砂丘堆積物から発見され、左右の足跡の幅やそれらの間に見られる引きずり跡から、かなり大型で尾をもった節足動物(広翼類)のものと考えられている。植物の上陸以前に、菌類や藻類が水辺に広がり、それらをエサにした小動物と小動物を捕食する動物の生態系ができていたのかもしれない。」とあった。 意外と早くから上陸を目指していたようだ。というより、水辺で出たり入ったりをしていたのだろう。昆虫の祖先の節足動物は偉いものだ。ということになるのだろうか。もちろん、早々と上陸した昆虫も偉いが。
今年の年賀状に使ったもの。いつまでたってもオリジナルの山水は描けないのと勉強になるので、李成の「茂林遠岫図」の部分模写をした。 李成(917〜967)は唐が滅びて五代の戦乱時代を生きた人で、芥子園画伝では「字は咸煕(かんき)出身地の営丘(山東益都)に因み李営丘≠ニ呼ばれる。儒者の家柄の出身で、五代後周の枢密王朴に招かれて開封にのぼったが仕官を遂げず、淮陽(河南)の客舎で酔死した。遙かな山水の眺望に士大夫の高邁な理想を象徴した平遠山水≠フ画風を創始した。」とあった。 原画は遼寧省博物館にあり高さ45.4センチ幅141.8センチの横長の大きなもので絹本の悠然とした山水である。模写したのはほんの一部でしかない。 黄河の作った沖積地から見晴らした台地と、そこを流れ落ちる川共々画家の眼に見えたままに描かれたものだろう。日本の山河からは想像しにくいが千百年か弐百年前ぐらいの華北の偽りのない姿だと思う。 日本は藤原時代で、この時代の画家は巨勢派の金岡以後の相覧、公忠、公望、弘高らが活躍したそうであるが、名のみ残り実物は残らなかったのと較べると、李成の絵が残っているのは素晴らしい。大事にされていた証拠だ。
2016.07.05
ここのところ続けて取り上げるコメツブケイソウ(コッコネイス)だが、傾いているものを撮影すると@Aになる。平面ではなく強く折れているように見えるが、顕微鏡画像だけに解釈が難しい。
困ったときのネット頼みで珪藻図鑑を見ると、Cocconeis pediculusの電子顕微鏡画像があった。
それを参考にして描いたのがBである。付着の様子は珪藻図鑑にはなかったが、他のサイトで見つけたので併せて描いた。どうも、アオミドロのような極細の水草に付着している珪藻らしい。しかも、付着する面にピッタリするように体を湾曲させたようである。
興味深いことはまだあって、Aの面は大きな胞紋がぱらぱらとあるだけだが、珪藻図鑑ではこのようなものの他にBのような微少の胞紋のものもあった。Aに薄く縞状の影があるのは、この微少胞紋のせいだろう。
これからはまったくの想像だが、胞紋の大と小の面が二つあり二重構造になっているのは他に例があるので不自然ではない。曲面の形もあって、流れの速いところでもしっかりと付着できて、栄養塩だけを効率よく吸収する巧妙で頑丈な体に進化させた優れものなのだ。
2016.06.30
前回の画像が不本意だったので、裏表が分離したのを写そうとSEK-01(小川)を覗いた。
ところが、意外にも分離したものがなかなか見つからない。やっと見つけても裏だったりしたが、裏があれば表は必ずあるはずだとさらに探すと、見つかりました。でも、変に傾いていて前回のようには撮れない。
粘りが足りないが、あきらめて、くっついた奴で撮ったのだが、これだと、まあ裏表が違うのが分かるだろうと思うのだ。
端部の影の出方を見ると輪帯照明でも中心がずれているのが分かるが、それが幸いしたのかもしれない。
2016.06.25
これも横0.03mm縦0.025mmの範囲いっぱいの極微少珪藻で、コメツブケイソウ(コッコネイス)の一種だろうが、MWSのSEK-01(小川)に入っていたものだ。珍しく上下に分かれないでそのまんまの姿をしているみたいだったのでピントを変えながら撮影したのだ。
上面でピントを合わせたのが@で、下面に合わせたのがAになるのだ。
コメツブケイソウとは殻の溝は表の面だけにある楕円型の珪藻というのだから、@は溝なしの裏、Aは溝ありの表で間違いなしと胸を張りたいところだが、こうしてキチンと画像にしてみるといまいち不鮮明だなあと反省させられる。
これは検鏡の腕のせいだともいえるが、検体のせいでもあるかもしれない。この照明は輪帯照明だが球状で透明なものを周り中の斜め下から照らしているのだから、@では下の影が避けられないのだろう。それで、溝らしきものがあるような、ないような紛らわしいものに見える。
などと苦しい言い訳を考えてみたわけだ。
2016.06.20
5月25日に出したアリバチを横からスケッチしたので、既出のものと写真を合わせて比較した。
スケッチは乾燥標本で、姿勢も良くないし腹が凹んでしまっているしで生きているときとは大違いだが、形を見極めるために描いているわけだ。
一方、写真の方は密閉空間に閉じ込めた時のものだから、これも自然のままとは言い難いしで、どちらも中途半端なものではある。
しかし、こうやって並べて見ていると前脚の基節が体にピッタリ付いたり付かなかったりしているのとか、腹の断面は丸くなくて平べったいのだとかに気づかされる。
複眼も随分大きいなと思いながら描いたのであるが、絵を見るとそうでもないので見方が甘いななどと反省させられるしで、成果はいまいちでも勉強にはなるのだ。
2016.06.15
ライレラの一種でしょうけど、MWSのKRS-01(沿岸)に入っていたもの。
横0.03mm縦0.025mmの範囲いっぱいの極微少珪藻だ。
DL-TESTやJシリーズなら水平面を維持しているが散らしプレパラートなのでわずかに傾いている。
ピントをずらしながら12枚撮影してペストショットのつもりだが、どうなのだろうか。
2016.06.10
プレウロシグマの一種でしょうけど、MWSのDL-TESTに入っていたもの。
@からBは輪帯照明でピント位置をわずかに下げていって撮影し、中央部をトリミングしたものだ。
全体に綺麗な個体であるが、矢印のところにわずかに傷があった。
このようなものに会うとピント位置を正確に判断できないかと頭を巡らすことになる。
@は表面のわずか上のピントで開口部は黒く写っていて、胞紋は規則正しく配置されているものの、なにか乱れも感じられる。
Aは矢印先の濃い黒穴がピント位置ではないだろうか。中央部の被殻の中にピントがあると思う。@では見えていなかった白点があるところはピント面より上側かもしれない。
Bは黒かった胞紋が一部白くなっているが、その変わり目のところがピント位置で、白いところはビンと面より上、黒いところはピント面よりしただと思う。
なぜそう思うのかは今までの経験で、胞紋が黒丸から白丸に変化するのを沢山見ていて、どうもピント面からの位置の違いしか考えつかないからだ。
判断を迷うのは濃い黒丸である。上に薄い皮膜やめくれ上がったものがあって光が回り込まないのでひときわ濃くなるのではないかとも思うがどうだろうか。
2016.06.05
絵の具を重ねるにつれ下描きのライトレッドが消えてくる。
だが厚みはまだまだだ。
形も靄がかかっている。
絵の具を重ねても重ねてもこの状態は長く続く。
そして、突然しっかりした形と厚みがあらわれてくる。
楽しく描ければよいのだが、そこまでは長く苦しい道のりだ。
2016.05.30
今描いている油絵だ。
始めたばかりのようにも見えるが延べ五日もかかっている。
何回か塗り重ねていくと、しっかりした形が浮き上がってくるが、そこまで行くのに時間は掛かるし、しんどいものであるが避けては通れない。
しんどい中でも楽しみもある。タッチの荒さと形の不明瞭さが思わぬ躍動感を生み出す。それこそ、感情のままにといったところだ。
描く手を休めてこの絵を眺めていたら、現代美術風に描いたものを代表に感情が感じられない。と言われたことを思い出した。
絵とは本来感情がてで来るものだよなと思う。そうだとしたら感情を感じてもらえなかったのは、感情抜きで頭で描いていたのがもろに出たということだ。
構成を単純化した現代美術風の作品は、これをどうしても描きたいという強い気持ちを持てるかどうかにかかっているのだろう。この絵も最後まで感情を感じられるように描きたいものだし、この後は感情を感じられる現代美術風作品に再挑戦をしよう。
2016.05.25
5月1日に捕まえた0.7センチメートルの黒いハチ。
ヒメバチとかコマユバチとかの寄生蜂とはえらく形が違っていてアリのようにも見えたので、アリバチでネット検索したら沢山見つかった。
それも、人を刺す室内害虫の記事ばかりだった。室内にいる甲虫の幼虫に寄生するハチで雌は翅もなくアリのような形で人を刺すというのである。ただし大きさは2,3ミリで絵の奴とは違う種類のようだった。
写真ではコメツキの幼虫に寄生している1センチくらいはあるのが出ていたので、いろいろな甲虫に寄生する種類がかなり居るみたいである。絵の奴はその一種だろうが同じものは探せなかった。
ところで、絵は標本化したままを描いたものである。腹部が縮んでしまったし、脚もバラバラなままだ。胸部の彫刻が素晴らしかったので片翅を取ってよく見えるようにした。棘毛は省略してある。
2016.05.20
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリムシ科フトカミキリ亜科ヒトオビアラゲカミキリで間違いないようだ。体長1センチメートル。
5から7月にかけてあらわれる広葉樹の枯れ枝に宿るカミキリだそうだ。ついこないだ近くの森の縁で捕まえたもの。草の上にいたから冬眠から醒めて出てきたところだろうか。小生の標本にされてしまって運の悪い奴だ。
ゴマフカミキリみたいにミカンの害虫だと真鶴の住民にエイと見つけ次第踏みつぶされる運命なのだが、こいつは生木ではなく枯れ木を食するみたいで自然界の掃除人で感心なものだ。
ちゃんとした絵を描こうと思っていたが、どうもこの頃気力体力衰え気味で、下絵の段階でギブアップしてしまった。
で、完成品は標本の深度合成写真でお茶を濁すのであった。
2016.05.15
サビヒョウタンゾウムシ、あるいはトビイロヒョウタンゾウムシを角度を変えて描いたものだが、どこまで真に迫っているのかは、はなはだおぼつかない。シンプルな形は難しいのだ。
前胸の一部が欠けていて珍しいのでそれは描いた。結構生きてきた個体だろう。
前回、地中で越冬するので土が付いているような書き方をしたが、土中を住まいにしているアリやモグラに土の付いたのを見たことはない。ミミズを掘り出しても土は付いていなかったような気がする。
土の中にいても土が付かないのが普通なのではないかと思えるが、そうだとするとこのムシは何なのだということになる。
他愛のない疑問が又出来てしまった。
2016.05.10
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ゾウムシ科サビヒョウタンゾウムシ、あるいはトビイロヒョウタンゾウムシのようだ。体長0.8センチメートル。
薄茶色の目だたない小さなゾウムシだが家の近くには良く現れる。小さいので見分けにくいが土にまみれていて、地中にいるのでもあるまいし不思議なことだと思っていた。
ネットで検索すると千葉で研究されていた。にんじん、ごぼう、落花生の大害虫だったのだ。そして、ねぎ、大根、ほうれん草、こまつなまで被害が拡大しているとのことだった。 ここ
研究内容は幼虫と成虫の土壌中の越冬状態で、おおざっぱに言うと、幼虫は30センチメートルぐらい、成虫は10センチメートルぐらいで越冬しているそうだ。ただ、ゴボウが残置していると80センチぐらいでも幼虫、成虫とも居たそうだ。
収穫した後30センチぐらいのところまで何らかの措置をすれば退治できるということらしい。
2016.05.05
前に出した絵だが手直しをした。
多少絵らしく背景に色を入れたり地面の感じを出したりしている。
アリそのものにも色を足しているので賑やかな感じになった。
2016.04.30
ラミネートフィルムで小箱を作り、ハエを入れてガラスの蓋をする。言葉にすると簡単だがここまでくるのに随分試行錯誤したものだ。
その小箱を実体顕微鏡で観察して撮影するわけだ。昆虫は天井、壁、床の区別無く自在に動き回りなかなか止まってくれないので往生するが、止まるときは何処ででも止まる。その時が撮影チャンスで壁に止まっているのを撮ると左の画像になるが周りが白だけではどう見ても床に止まっているとしか思えないだろう。
それはさておいて、観察を重ねてくるとハエの姿勢のとり方もいろいろあるのに気付いてくる。これは、中型のハエだが支持面に対して尻は下がっているもののほぼ水平に体を保持し、時に応じて低く構えたり高く構えたりする。
低く構えている時は、強い照明を突然浴びるなど観察を初めた時が多いみたいで、警戒モードのような気がする。そう思うからかも知れないが、なんとなく周りの様子をうかがっているようにも感じられるのだが本当はどうなのだろう。
ハエに聞くわけにもいかないし、暢気に想像するだけだ。
2016.04.25
MWS本日の画像に、Cの小さい珪藻くらいな0.01mm程度の超微小珪藻を並べたプレパラートを作った話がでていた。 ここの4月23日の記事
MWSさんはごく小型の珪藻に関心があるのはいくつかの記事が過去にもあったので承知していて、最近実体顕微鏡下の拾い上げの画像が出たのはあまり驚きはしなかったが、今回のプレパラートとして完成し納品までされていたのには正気の沙汰でないような気分にもなった。本当に出来るのだろうかと疑いの気持ちを持っていたに違いない。それが実現したのだから驚くのも当然だ。
この程度のものは顕微鏡の目視では対物100倍でも華々しい絵面になってくれないので、積極的に見ようとしてこなかったが、webカメラを顕微鏡用に改造してパソコンのモニターで見るようになって俄然興味が湧いてきている。
@は0.01mm目盛りのマイクロメーターを対物レンズ40X,Na=0.95でモニターした画像で、0.03×0.025mmの範囲を見ることになる。
だから、0.01mmはともかく 0.02から0.03mm位の大きさの珪藻はAからEのようにモニター上に大きく映し出されるので、顕微鏡を肉眼で覗いているのとは大違いになって、0.1mmから0.2mmの大型のものを見ている感じになるのだが胞紋の見え方が全く違ってくる。大型のものは細かくなりすぎて見にくいが小型のものはEのように適度な大きさと間隔で実に見やすい。FはEのピクセル等倍の画像だが胞紋も点として解像している。
ただ、AからDになると胞紋を点として解像するのは至難の技になる。光学顕微鏡の限界に近づいているからだ。
MWS超微小珪藻プレパラートは、限界胞紋解像の力強い味方に違いない。
2016.04.20
ハエもいろいろだが、今まで描いてきたものを合成した。
上から、クロバエ、ハモグリバエ、ヤドリバエ、キノコバエ、そしてキモグリバエだろうか。
体長1.2センチメートルから0.2センチメートルぐらいの大きさだ。
ハエにはカブトムシやクワガタのような超大型のものはいないようだが、それでもキモグリバエからすればクロバエは巨大な怪物だ。
2016.04.15
前回のニッチアは本当に裏返しで、さらに傾いているのか確かめてみた。ピントの位置を慎重に下げてどう変化したかを見れば分かる。
水平ならば全面にピントが合うが、傾いていれば一部分しか合わないし、合う位置の動きを見れば上下も分かるわけだ。
左の画像を見れば傾いているようには見えないが、明らかにビントの合う範囲が変化しているので傾いているのは間違いない。
次は輪帯照明と偏斜照明の違いを見た。下側に並んでいる条線が輪帯は真っ直ぐで偏斜は右傾きと左傾きになると思ったのであるが、妙な結果になった。
紙と糸で手作りした部品をコンデンサに付けて輪帯照明と偏斜照明にしているので、その粗末さが原因かなとも思うが悩ましいところだ。
最後は右上からの青色LED偏斜照明で胞紋が見分けられるか試した。
威張れるほどの絵ではないが確かに点々になっている。
水平を保って整然と並べられているMWSのJシリーズやDL-TESTではこんな経験はできない。散らしプレパラートならではの楽しみなのだ。
2016.04.10
ARK-01(干潟)のニッチアは胞紋が点にならなくて悔しい思いをしたのでwebカメラで再挑戦をした。
@は肉眼でかろうじて点状の胞紋に見えているニッチアで、撮影してもはっきり点状を確認できる。
問題はAのニッチアだ。位置を記録していなかったので、探すのに手間取ってしまった。18ミリ角の範囲なのだが、顕微鏡では広大なものになるので大変なのだ。
今回は緑のLEDで照明しているので多少は有利になっているだろう、緑からモノクロ変換をしているので白黒だがBが撮影できた。はっきりではないが赤点のように点が連なっているように見えなくもない。
この点の並びは@のものともほぼ重なるので同じ種類のようだ。どうもBは裏返しで、かつ傾いているようだ。わざわざ難しいのを選んで撮影していたのだと言える。へそ曲がりな人なのであった。
2016.04.05
ヤフオフをよく見ているとオリンパスBH2の撮影用アタッチメントが時々出てくる。一年ほど前だが、U−PMTVCというのを入手した。ニコン1がびったりとのことであったが、正確な使い方も分からないままに落札したので乱暴なものであるし、カメラはAPS−CサイズのソニーNEX5なので視野が欠けて図のように緑丸内だけが写るという結果になった。
それで、撮像素子を変えるとどうなるか試したのが今日の画像だ。
フォーサーズも欠けるが、T型は実に旨く入っている。ヤフオフの説明は嘘ではなかった。
2016.03.30
MWS珪藻プレパラートARK-01(干潟)はニッチアやギロシグマが沢山入っている濁りのない美しいものだが、これはその中のニッチアの一つをニコンアポクロマート40X,Na=0.95で撮影したものだ。
他のニッチアは胞紋がかろうじて点に解像できたが、これは条線になってしまった。胞紋なので本当は点にならなくてはいけない。
ピントの位置もこれで良いのか迷うところだが、元の姿がわからないので判断できない。一見シンプルなようだが複層の複雑な姿をしてるような気がする。
アポクロマートは三つ以上の波長の光について、色収差を補正したレンズだから色がついているのはおかしいのだが、撮影レンズがオリンパスで組合せが正しくないせいらしい。微妙なところで本来の性能が出ないわけだ。
LED照明に改造してあるので緑や青の単色に変えてモノクロ変換すればよいのだが、しかし、小生は絵を描くのでこの色合いも好きである。この色調で描いたものがいくつもあるのだ。
2016.03.25
ハチの触覚を手入れをしているところだ。甲虫は口器でしていたが前脚を使っていた。
写真@からBの順に、脚を上からかぶせて下に動かすと同時に頭も持ち上げて手入れしている。脛節の根元には距という棘状のものがあるが、ハチやアリの前脚はブラシ状のものになっている。
このブラシを使っているのではないかと思うが、動きが速くて見極められなかった。漠然と見ているのは簡単で楽しいものだが、正確かつ詳細な観察はなかなかできないものである。
2016.03.20
カミキリモドキ科のキバネカミキリモドキみたいだが、手持ちの図鑑と形も色もいまひとつ合わない。ネットで調べ直したが、ハムシダマシ科のナガハムシダマシみたいだ。色は変異が多いみたいでピッタリではないものの形は合っているし、附節の数が前、中脚が5節、後脚が4節なのでハムシダマシ科は間違いないだろう。体長1.3 1.1センチメートル。
甲虫の触覚掃除をしているところ第二弾で、今度は絵だ。
上から見ていて肝心なところは見えないので詳細は不明のままだが、クワハムシと違って前脚を触覚の下にあてがっていた。
同じ動きをすると思っていたので意外だった。個体差なのか種によって違うのか気になるところだ。
2016.03.15
甲虫は、長い触覚の手入れは口器でするようだ。その証拠のクワハムシが手入れをしているところだ。
口器をくちゃくちゃして根元から先端まで順送りにして綺麗にしていく。
小あご髭と外葉を使っているようだったが、正確には見分けられなかった。残念。
2016.03.10
甲虫の口器もなかなか複雑だ。クワハムシを水で柔らかくして口器の写真を撮ったが分かりませんね。
やはり、絵にしないといけない。しかし絵にするのは見慣れない形なので、偉い草臥れる。ここに載せないのなら放棄してしまいそうだった。
大あご、小あご、下唇と、描いてないが上唇の四つの部品からなっているみたいだ。小あごは枝分かれしているし、つついて一つ一つを確認しないとごちゃごちゃしているだけに見分けられないものだ。
大あごの形を見るとパワーショベルを彷彿させる。桑にぐさっと食いつき切り取りかいこむのだろうか。小あごには外葉の奥が幅広くなっていてくわえ込んだものを取り込みやすくなっている。
昆虫の祖先はあるひとつの節足動物らしいが、さまざまに形を変えてきて元が一つとは信じられないほどだ。
2016.03.05
ラミネートフィルムで箱を作りガラスでフタをすると昆虫観察器だ。
このハエはそれで観察したもので箱の隅に水分があるので唇弁をガラスに押しつけて吸っているところだ。
ハエの口器が伸びきったところはいつ見ても素晴らしい。これだけの大きさのものが頭の中に良く格納できるものだと感心するのだ。
この状態で標本化できれば嬉しいのだがそうはいかない。
下は動けなくなって翌日のものだが複眼の色は失われている。この後どんどん縮んで来る可能性も高い。
「ままにならぬは人生よ」などということもあるが、「ままになってよハエの標本」だ。
2016.03.01
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)ハムシ上科ハムシ科クワハムシのようだ。体長0.6センチメートル。 藍色金属光沢の上翅が美しいムシだ。触角間に短い盃状の1角状突起があるのでクワハムシの雄に違いはないだろう。時期になると大抵捕まえることができる。真鶴では栄えてるわけだ。
頭部にも特徴があって、ドーベルマンのように口先が尖っている。ここの仕組みをキチンと描けなくてはいけないが、ごちゃごちゃになってしまった。簡単に描けそうで難しいのだ。
2016.02.25
3月8日からは銀座で新作家春季展だ。
会場が小さいので、会員だけでF50縦までの大きさ制限がある。この絵はP50なのでオーケーだ。
今回の絵はシンプルな構成だ。頭をひねくり返して考え出したものではなく、単純に並んでいる珪藻の部分を描いてるだけだ。
神経を使ったのは、切り取る範囲と傾きである。
描く手を休めて離れて眺めていると不思議な絵だなぁと感ずる。自分の絵を不思議な感じがするなどというのはおかしいかも知れないが、淡々と描いていて意図して不思議さをだそうとしているのではないので意外な感じがするわけだ。
ミクロサイズまで体を小さくして珪藻の世界に入って絵を描くとしたらこの絵のようにはならない。ガラス質の透明なものだし、胞紋は綺麗な開口を開けている。想像をたくましくしてリアルなガラス細工にすると美しい絵になるだろう。
しかし、この絵はあくまで顕微鏡下のものだ。その証拠は、左の珪藻の胞紋は上端が黒丸でその他は白丸になっていることだ。これは、上端が膨らんでいる珪藻なのだろう。上端にピントを合わせると他はピンぼけになる。ピントのあったところの開口は暗色になり、ピンぼけの開口は明色になる顕微鏡像の特色なのだ。
2016.02.20
甲虫(鞘翅目)目多食亜目(カブトムシ類)カミキリモドキ科キバネカミキリモドキというようだが、ネットの画像では前胸の凸凹が目だたないのばかりだったので違うかもしれない。体長0.8センチメートル。
2012年5月に捕まえたものを今頃になって描いたものだ。
ハエが続いたので甲虫にしたが、この頃捕まえていないので昔の標本を出してきたのだ。
2016.02.15
昆虫の微細構造を見るには電子顕微鏡が一番だろう。個人でも500万円ぐらいで用意できるらしく、ネットでもそんな人のサイトがある。
小生はとても用意できないので金属顕微鏡で見ている。ピントの合う範囲が狭いので形を読み解くのがなかなか困難で間違う可能性も多々あるのだがあっているかどうかで悩むのも楽しみの一つではある。
今日の画像はキノコバエの頭部の頭楯と前口(?)の対物40Xでの深度合成写真でどこまでこの通りだかいまいち自信はない。
意味は分からないがハエは全身が微小毛で覆われている。それに長さと太さはいろいろだが剛毛がある。
上の頭楯は微小毛だけで剛毛はない。下の前口は大きさの違う剛毛があるが、小さいのは寝そべっているが大きいのはやや立っていたので、いじくっている内にとれてしまってソケットだけが残ったようだ。意外に簡単にとれるので元の儘で標本化するのは難しいものだ。
剛毛のとれたソケットにみえても鐘状の突起がついている鐘状感覚子というのがあるそうなので、それが混じっている可能性もある。剛毛も神経がつけば毛状感覚子になるし、ただの毛か感覚器官かは内部を調べて神経が付いているかを確認しなくてはいけないとか、どんどん複雑さが増していくのだ。
2016.02.10
キノコバエの1種みたいだ。体長0.5センチ弱のかわいらしいものだ。
黒っぽい体に白の腹帯と脚の基節が白くて大きい。さらに前屈みの姿勢で特徴あるムシである。
玄関先に植えたカラーの葉をちょこまかと歩き回っているのを見ると、ああ来たなと思うようになった。
捕まえて実体顕微鏡で確認するとこいつに間違いがない。ということになる。
剛毛は目だたないが、微少な毛を全身に纏っている。肉眼は当然、実体顕微鏡でも分からないが、金属顕微鏡で対物40Xで見ると分かる。
外骨格に彫り込みを入れて寝かせるように透明な毛が一面にある。見事なものであるが、どんな意味があるのだろうか。
2016.02.05
子供の頃は家の中にハエは普通にいるもので、ハエたたきなるものも常備品だったものだ。
ハの字をした翅のズングリしたクロっぽい目だつムシで、まとわりついてきてうるさいいやなムシだった。
このハエも美しいとは言えかねる不細工なものだが、0.5センチぐらいの小さなものだし、翅も2枚重ねてキチンと腹の上にある。ハナバエのようだが、そうであれば子供の頃忌み嫌ったハエとは違う生き方で不潔なものではない。
水の表面張力はすごいので飲み込んだ水を出すと、口先に水玉ができる。どんな意味があるのかわからんが、出たり引っ込んだりを見ているのは楽しいものだ。
2016.01.30
毎度のことだが名前が分からん。
ヤドリバエのようでもあるが、脚が長いのでアシナガヤドリバエか。などとノー天気なものだ。
哺乳類は牛などの草食動物がいて、それを食べる肉食動物がいる。たくさんの草食動物がいてこその肉食動物だ。
昆虫もその点では哺乳類と同じだ。草食の昆虫がたくさんいて、それを捕食する昆虫がいるし、卵を産み付けたりする寄生昆虫もいる。
生命はどこかしら繋がっていると思うとおもしろいものだ。
このハエはヤドリバエならば寄生ハエで、ある昆虫を退治するためにいるとも言えるだろう。
2016.01.25
MWS珪藻プレパレートDL-TESTのキンベラ(クチビルケイソウ)だ。
DL-TESTは精製された優良個体を精密に並べたプレパラートで、この珪藻はその中でも大型で見栄えがするものだ。細かく見ていくと中央部の胞紋とそれ以外はかなり違うし、両端もなにやら黒ずんで微細構造が予想できるし、検鏡の腕が上がると新しい世界に突入できる種類なのが分かる。
照明法は、自作部品をコンデンサにはめ込んだ輪帯照明だが、中心があわなくて影の出方が偏っているので、輪帯偏斜照明だなどと開き直って掲載するのだが、もちろん負け惜しみだ。
2016.01.20
去年のこの日は和紙に狩り蜂を描いたものをだしているが今年もそれに倣おう。
水張りなしで描いて皺になって懲りたので、今回は水張りしている。スキャンしても綺麗に平面が出て気持ちがよいものだ。
ハチの名前はさっぱり分からずだが、尾に長い産卵管があるし、胸に接続している腹部が細長くて体を二つ折りできる体制を持っているので狩り蜂は間違いない。
2016.01.15
MWSのKMR_TDP(沿岸 )は小さい珪藻がほとんどで、目視だと細かいところがいまいちなのでウェッブカメラでピントの位置をずらしながら沢山撮影してモニターでしっかり見ると言うことをした。
ピント位置の差で形が変わるが、それで元の形を想像するわけだ。
@はハリケイソウだと思うが大きめのヤツで半分しか写らないので全体をスケッチしたもの。
ABCは上から下へピント移動した画像だ。内側を上向きにしてU字溝を置いたようなものだと思う。
Aを見ると両端の立ち上がり部が片方は単純な板、片方は穴あき板の様に見える。
BではAの明確なスリットが消えてなにやら傾きのある様子がうかがえるしCは不透明物体なら見えないはずの表面にちがいないのでスリットの様子が内外で違うのが考えられる。
というので考えたのがDの断面図で凝った形であるが、練達の人が見たらにやっと笑って、おしいけど違うけどね。などと言われそうだが、小生の現在の画像解析力はこんなものだ。
ついでにもうひとつ想像すると、胞紋が見えないくらい小さいのと、頑丈な二重構造の殻からすると、泥質で浪の激しい海岸に翻弄されいてる珪藻の姿が浮かんで、なんか楽しくなってくる。
2016.01.10
国立科学博物館に展示されているカンブリア紀〜オルドビス紀の節足動物の生痕化石である。
生物の上陸は、シルル紀半ばに初めて植物が上陸し、その後に昆虫が続いた。というふうに思っていたが、
国立科学博物館の解説では「有害な紫外線をさえぎるオゾン層が形成されるにつれ、生物は海中から陸上へ進出していった。この生態系の変化は、生物進化における大事件であった。オルドビス紀中期(4.6億年前)に植物が、その4000万年後のシルル紀後期には昆虫が上陸を果たした。しかし、5億年前の地層から、陸上進出した節足動物の足跡化石が発見されておりまだなぞは多い。」とあり、
「この足跡化石は、砂丘堆積物から発見され、左右の足跡の幅やそれらの間に見られる引きずり跡から、かなり大型で尾をもった節足動物(広翼類)のものと考えられている。植物の上陸以前に、菌類や藻類が水辺に広がり、それらをエサにした小動物と小動物を捕食する動物の生態系ができていたのかもしれない。」とあった。
意外と早くから上陸を目指していたようだ。というより、水辺で出たり入ったりをしていたのだろう。昆虫の祖先の節足動物は偉いものだ。ということになるのだろうか。もちろん、早々と上陸した昆虫も偉いが。
2016.01.05
今年の年賀状に使ったもの。いつまでたってもオリジナルの山水は描けないのと勉強になるので、李成の「茂林遠岫図」の部分模写をした。
李成(917〜967)は唐が滅びて五代の戦乱時代を生きた人で、芥子園画伝では「字は咸煕(かんき)出身地の営丘(山東益都)に因み李営丘≠ニ呼ばれる。儒者の家柄の出身で、五代後周の枢密王朴に招かれて開封にのぼったが仕官を遂げず、淮陽(河南)の客舎で酔死した。遙かな山水の眺望に士大夫の高邁な理想を象徴した平遠山水≠フ画風を創始した。」とあった。
原画は遼寧省博物館にあり高さ45.4センチ幅141.8センチの横長の大きなもので絹本の悠然とした山水である。模写したのはほんの一部でしかない。
黄河の作った沖積地から見晴らした台地と、そこを流れ落ちる川共々画家の眼に見えたままに描かれたものだろう。日本の山河からは想像しにくいが千百年か弐百年前ぐらいの華北の偽りのない姿だと思う。
日本は藤原時代で、この時代の画家は巨勢派の金岡以後の相覧、公忠、公望、弘高らが活躍したそうであるが、名のみ残り実物は残らなかったのと較べると、李成の絵が残っているのは素晴らしい。大事にされていた証拠だ。