今描いているP50の珪藻の絵である。 まだ始まったばかりのラフな段階であるが、形の捉え方に無駄が少なくなってきているような感じをもてた。 それと、初めの下描きは見えたとおりに残らず描いたものの、左上の薄く残っているところなど省略した方がいいのではないかと思えるところが出てきた。 ひたすら見たとおりに描いてきたのに限界を感じ始めているので、画面全体を冷静に見るようになっているのかもしれない。 今年最後の「あれこれ」である。2009年1月から初めたので5年ほど続けたわけだ。 320回目になるが、よくも話題がつきなかったと我ながら感心する。 これも拙い小生のサイトにお付き合い頂いてる方々のお陰と感謝いたします。
MWSのJシリーズは誰でもが所有する資格はないように思う。 小生はかなり粗忽な性格である。室内も埃が舞っている状態だ。顕微鏡がかなり使えるなと思えるようになった時は、いかに身の回りは埃だらけであるかに気づいたときでもあった。プレパラートも手垢にまみれ、埃だらけにし、拭き取っても元の清浄な状態には戻らない。 なので、Jシリーズは敷居が高かった。 ところが、22日はいつもより早い時間にネットサーフィングを始めたら、Jシリーズの発売直後の「本日の画像」を見ることになった。すでに販売済みのものもある。これは天の配剤だと勝手に都合よく解釈して2点申し込みしてしまった。 注文のメールをして、サイトの更新をしたら、まだ大丈夫であったはずの1点はすでに売れてしまっていた。もう1点の方は、類似のが3点あったので1点は売れていたが、なんとか入手できたわけだ。 24日に届いたので早速検鏡した。1.5×1.0mmの範囲に何の汚れもなく73点もの珪藻が整然と並んでいる驚異の眺めだ。 並べるだけでも驚異だが、それを液体を流して、あるいは流さないのかもしれないが封入するわけだ。しかも珪藻を動かすことなしにするわけだ。 想像もつかない技術が使われているのだろうと夢見るような気持ちで見ていたのが今日の画像だ。
背景を格子にして撮影すると、大きさの違うアリを一目で比較できる画像がデジタルだと簡単にできる。 ひと枡1ミリメートル角なので、0.15センチから1センチまでの5匹である。 長さで7倍、体積で300倍ぐらいの違いがあるわけだ。 アリ科といってもいろんな形と大きさがあるのがこれだけ見ても感じられるようだ。 一番大きいのがムネアカオオアリ、小さいのがサクラアリ。 残りは左からオオハリアリ、トビイロシアアリの女王、そして色が黒くないのが気になるがクロヤマアリだと思う。 サクラアリの女王も脇にいる女王とおなじような感じで働きアリより随分大きいが、どちらも脚の長さは短いので不格好に見える。空中で交尾した後は巣に籠もったきりで卵を産み続けるのだろうから、長い脚は必要ないわけで女王の特徴なのかなとも思うがどうなんだろう。
甲虫(鞘翅)目ハネカクシ科のなんとか。体長0.4センチメートル。 ネットの微少昆虫を取り上げているサイトで朽ち木の樹皮下にいる昆虫シリーズのなかにこれとよく似たハネカクシでチビカクコガラシハネカクシとあった。 とはいえ、地味なムシで研究が進んでいないそうだが、種数の多い甲虫のなかでも多さを誇る成功したムシで、日本だけでも2300種ぐらい知られているそうだ。素人が正確な種名など分かるはずもない。でハネカクシのなんとか。 ハネカクシの名の由来は小さな固い前翅の下に長い後翅を納めているが、一見、翅を持っていないように見えるからだそうだ。初めてこの種を見たときは、ハサミのないハサミムシかと思ったぐらいで、翅のある甲虫とは全く思わなかった。 下の写真は矢印のところを金属顕微鏡対物20Xで撮影したものだ。 小さな黒丸が棘毛の根元で、毛が寝ているものは見えるが立っているものは見えない。表皮に刻まれた溝は部位によって形や深さが微妙に違っているようだ。 小生の興味の中心はどうもこのような微細構造にあり、これが見て取れる昆虫図を描きたいと願っているのだが、電子顕微鏡でアリを観察し100号で描いている人が、数センチ角で一日かかったので微細構造はあきらめたと言われたのを聞いて、本当だよなと感じたこともある。 果たして実現できるだろうか。今はまだ全く手が出ない状態だ。
前回のハエヤドリコマユバチの頭を大きく描いてみた。 見えなかった大アゴがしっかり見えるというわけだ。 昆虫の消化器系の先端も人間と同じで筒の先が開口している。人と違うのは唇の代わりに襞や刷毛状のものが付いていたり、小アゴ肢や下唇肢のような腕状のものが付いていることだろうか。 大アゴはさしずめ歯の代わりであろうが、このムシでは噛み合わせられないので、はてなと言うことになるわけだ。
ハチ(膜翅)目コマユバチ科ハエヤドリコマユバチの1種らしい。体長0.25センチメートル。 この絵では下になり見えないが、大アゴが頬の外側について先が合わせられない妙な口元である。この特徴と触角が非常に長いのがこのハチの特徴なので多分あっていると思うが、ネットで見つけたのは黒いハチで飴色でなかったのは気がかりではある。 葉っぱの中に蛹を作るハエを「あれこれ」E2010.03.16で取り上げたが、このての蛹に寄生するようだ。 幼虫はそれでいいとして、成虫は妙な大アゴで何を食べているのだろうか、何の役にも立っていないとも思えないが。
ハエ(双翅)目キノコバエ科ナガマドキノコバエの1種らしい。 体長0.3センチメートル。 小さなものはプロポーションが変わっているのも多い。 このコバエも頭を下げて胸と一体化してるような感じと、巨大な脚が目立った。 大慌てのラフスケッチでプロポーションが狂ったようなので、どのくらいの脚の長さか計測してみた。 直接測るのは難しいので、1ミリ格子の用紙の上に置いて撮影し、フリーのキャドソフトJW_WINで計測した。 JW_WINに画像を貼り付けて縮尺を合わせるのはテクニックがいるが慣れると時間はかからない。 キャドは計測すると細かい数字がでてくる。しかし、縮尺を合わせる基準の格子が太くてムラがあるおおざっぱなものなので精度は悪い。この程度だと思ってもらいたい。 中段に表にしたが、全長は前、後でかなりの違いがある。これは腿節と脛節に大きな違いがあるせいだが、絵をみるとその違いを描き分けてないのがわかる。 がっくりくるが実力のほどがしれるわけだ。 ところで、格子は四角に見えるが実は画像ソフトで修正したもの。元画像は逆樽型の歪みがある。歪み補正も正しいのかも疑問があるし、格子が精密になれば歪みを取り切れないかもしれない。 また、この格子はJW_WINで1ミリ格子の表を作図してインクジェットで印刷したもので明らかにおおざっぱなものだが、お金を出せば精密な格子が手に入る。 小生の立場では必要ないが、だんだん欲しくなってくる。
新作家展の森の絵で受けた批評で「工芸品にならないように気をつけなさい。」というのがある。 すでになりかかっているのを軟らかく表現したものだろう。その時はあまり感じなかったが時間がたつにつれて重くのしかかってきた。 緻密に緻密にとばかり思い詰めて描いてきたが、よい方向には行かずに悪い結果を残しているのだろう。たとえば、細部の変化を見逃さない観察が失われパターン化の方向にずれてきたとか、全体のバランスがおろそかになっているなどだ。 今度の珪藻の絵はそれを反省して描いている。荒い描き方を復活させ、死んだ珪藻の抜け殻とは言え、動きや生気を感じさせるものを目指しているのだが、よい結果を願うばかりだ。
前回のアリは、同じ場所で禾本科の種をくわえたのを見つけたのでクロナガアリは正しかった。 ひとつの大きな獲物に群れをなして集まるアリはよく見ていたものだが、一匹だけで、しかも植物の種をくわえて巣に戻っているアリを見るのは初めてだった。 考えてみれば、成熟して散らばった種を集めるのには群れをなすこともないわけだ。 ところで、見る角度で印象が随分違うものだ。荒々しさが消えてかわいらしくなったし、名前のように長い体つきになった。
ハチ(膜翅)目フタフシアリ科のクロナガアリではないだろうか。体長0.45センチメートル。 禾本科の種を餌にしていて、9から11月にかけて餌集めをする以外は巣にこもっているらしい。 その巣は驚異的に深く、垂直に4メートルをこえているのもあるらしい。 小さなアリだが、腹部以外はシワシワで、長い毛を全身にまとい、大きな頭に大きな大アゴをしていて、なかなか強面な感じがある。 大アゴも太くがっちりしていて、獲物を捕らえる武器というよりは土を掘削する土木機械のようだ。と思うがどうだろうか。
真鶴は石の産地でもある。自宅のすぐ後ろの山に入っていくと採石場があるし、石屋さんの加工場とか石置き場もすぐ近くにある。 絵に描いたものは、石置き場で拾ってきた真鶴石の欠片だ。 箱根を作っている安山岩というらしい。 採石場を見たとき、大きな岩の固まりがあると思っていたら、以外と小さく割れていたし、がさがさに屑れているところもあった。そして、鉄分が流れて付着したのだろうか表面は褐色だった。 それを割ると青灰色で白や黒のつぶつぶやすじが入っている石になる。 マグマが地下深くゆっくり固まると花崗岩などの深成岩、地表や地表近くで早く固まると安山岩などの火成岩になる。 安山岩は、珪酸分が52〜66パーセントで構成鉱物は斜長石、角閃石、斜方輝石、単斜輝石、磁鉄鉱からなり、石英を含むこともある。などと、ここまでは独習できるが、これから先が大変である。 下の絵は、小石をカットして表面を磨き上げ顕微鏡で見たものだ。 結晶になる暇が無かったところが地の部分で石基、模様の部分が結晶したところで班晶と分類される。 この班晶の大きさは0.6ミリくらいだが、青いのが輝石とか角閃石、白いのが斜長石とか石英とかだろう。というのが最近やっとわかるようになった。 結晶の出来具合や、造岩鉱物の種類などをじっくりと見ていると、その石がどんな経過をたどってきたのかわかるらしいが、そのとっかかりにやっとすがりつけたと言うことだろうか。
だいぶ前の個展でのことだと思うが、仕事をしながら絵を描いてた仲間が見に来てくれて、いろいろの話をした。もう亡くなってしまった先輩がなにげに言った。絵は最後は人が出てくると。あるいは、人格と言ったか人柄と言ったかもしれない。 そのときはそんなものかなと軽い気持ちで聞いたが、森の絵の後では怖い言葉だと感ずる。 ここのところ昆虫以外の絵から離れていたのはそのせいもあるかもしれないが、そうもいっていられないので20号で小さいものの、珪藻の絵を描き始めたのだ。
残酷だと顰蹙されてしまうが、時々昆虫の解剖をしている。子供に返ったというか、昆虫の内部がどうなっているか好奇心が抑えられないのである。 しかし、簡単ではない。小さくてうまく切り離せないし、壊してしまって何が何だか全くわからなくなるのが大抵である。 今回はエタノール漬けにして日をおいて頭部以外の消化系を取り出した。色が無くなってしまったが形はあまり崩れなかったようだ。 体長1.6センチのハナアブだが消化器の長さは3センチ近くある。赤丸で囲んだ以外のものが腹部にとぐろを巻いているわけだ。 ハエ目で不思議なことは、前腸は、のど元で二つに分かれる。分岐した管が中腸に繋がっているが、真っ直ぐ伸びているのは腹部に入って二つの袋(そ嚢?)になっている。中にイガイガのある丸い玉がぎっしり詰まっていたので食べた花粉だと思う。 中腸は吸収と分泌が主な役目らしいが、まだ中身が残っていたので画像では不鮮明だが顕微鏡では二重構造がよくわかった。 また気持ち悪いことを書くが、この虫は捕まえるときも緩慢な動きだったし、すぐに死んだので変だなと思いながら、水中で解剖を始めたところ線虫の泳いでいるのが見えた。透けている腹部をよくよく見たらどうも線虫がうごめいているようである。即エタノール漬けにして日をおいての作業にしたが、内部に沢山の線虫の死骸が見つかった。 人間は特にそうだが、ほ乳類は少ない子供しか作らないので、テレビなどで子供が死ぬ場面を見ても深い悲しみを感じる。しかし、生物一般は子供は死ぬのが当然で、それでも子孫を残すには大量に子供を作る。むだが多い非効率のものが生命の本質だ。と、どこかで読んで頭にこびり付いているが、線虫に寄生されたハナアブを見て、生き物は生を全うするのは実に難しいのだと、またまた実感させられた。
前回のハチのスケッチである。ヒメバチと思っていたが、寄生バチのサイトを見たら翅脈からするとヒメコバチコマユバチのようだ。体長0.28センチメートル。どちらにしても寄生バチは変わらない。 産卵管は0.16センチメートルの長さだが体に比べれば随分長いので肉眼でも目立つ。この長い産卵管で体をくの字に曲げて樹皮下の何かの幼虫に卵を産み付けるのだろう。 翅は羽ばたくとき以外は重ねて腹部の上において動き回っているが、細腰の様子が不鮮明になるので持ち上げているように描いた。
ヒメバチの仲間だと思うがこのハチも前回と同じ場所で、葛の葉の裏にいた。 3ミリにも満たないような小さなものである。しかし、こういう小さいものには立派な彫刻を身にまとっているものがいる。このハチは、頭と腹部の大部分はつるりとあっさりしたものだが、その他は複雑なものであった。 実体顕微鏡では細かいところは見分けられないので金属顕微鏡を持ち出して記録した。金属顕微鏡はピントの合う範囲が狭いし立体感もないので、見たとおりに描くと全体はまるでわからないものになる。それでピントをずらしながら想像力で本来の形を復元する作業になる。時間はかかるが正しいかどうかは定かでないものができあがるというわけだ。それでも出来あがったものをしげしげと見ていたら、角や縁は梁を渡し、内部は小梁を掛けたところもあり凹凸をつけているところもあるのがわかった。たいした造形力である。 自然は意味のないことはしないだろうから、何かわけはあるに違いない。非常に薄い外骨格なので補強でいれた。というのはすぐに思いつくが、小さいものでもつるりとしたものもいるし、このハチでも全身に彫刻されてはいないので違うような気もするが、胸は翅を動かすために筋肉がびっしり入っていて強烈な力を受けるので、そうかもしれないなどと下手な想像を巡らした。
ヌカカを捕まえた場所は気長に待っていると小さいものが捕まえられる。これもそのようにして捕らえたハエ。 0.35センチしかないからごく小さいが、ズングリしてハエとすぐわかる。全体に赤い色で珍いが、翅脈を見るとどうもフンバエのようだ。 卵から幼虫時代は糞の中で過ごし、成虫になると肉食の生活をしているらしい。 汚物の掃除屋さんと思えば感心なムシだということになるのであるが、やはり一度持ったイメージは変えられず有り難くない獲物だったという気分になる。
昆虫をひたすら見て描くことを続けているわけだが、パーツをしっかり認識しないと見損なったり、効率が悪かったりするのにやっと気付いた。 今頃気付くのものんびりしたものだが、図@タマバチの1種の側面図(北驫ルの学生版昆虫図鑑)と昔描いた図Aと図Bを比較してみた。 図Aは横正面なのでなんとなく分けられているように見えるが、図Bは中胸側板、後胸側板と前伸腹節などの関係が曖昧なのがはっきりわかる。仕組みを理解してないのが歴然だ。 昆虫の翅を動かす仕組みは2種類あるそうだ。一つはトンボのように翅の基部に着いた筋肉で翅そのものを動かすもの。もう一つは外骨格の形を変形させて翅を動かすもので、ハチは後者であるそうだ。 働きアリは飛ぶのをあきらめているのでハチのように胸部のパーツが動く必要はない。逆にがっちり付いていた方が力が出せそうだ。それで融合して境がいまいちわからなくなったようだ。 それでも前胸だけは別にして、向きをわずかに変えたりなど細かい動きに対応しやすいので、残りの部分と切り離しておいたので、その境はよくわかる。などとまたしても妄想を繰り広げてしまった。
前回のはヌカカ(糠蚊)の一種らしい。とても小さくて網戸もくぐり抜け、人や動物を刺すけしからん奴だった。 絵に描いたのは0.25センチだから網戸はくぐれないし、また、雄でもあるので刺されることはないが、雄がいれば雌もいる道理だから捕まえた場所は安心は出来ないのだ。 花穂に頭を突っ込んでいる写真もあったから、成虫は花密を餌としているのだろうが、幼虫は水の生活でボーフラのようではなく線虫のような形態だというからごく小さいプランクトンや細菌などを食べているのだろうか。 今回も小さくて0.25センチしかない。イエバエとハナバエの翅脈の違いを克明に解説していたサイトがあったが、ハナバエのものと一致するようなのでハナバエの一種だろう。幼虫は植物の根などを食べる害虫との解説もあった。 このハエは暗色のところはビロードの感じがある。透明な細かい毛にびっしり覆われているからだと思われるが、頭の一部を拡大してみた。長い刺毛は溝が掘られており根元はしっかり補強されている。昆虫の体は拡大すればするほど素晴らしい。
翅が2枚に平均棍が2本だからハエ(双翅)目だけは確かだが、そこから先がちんぷんかんぷんである。カやユスリカの雄のように触角がフサフサしているから、これも雄だろう。体長0.25センチメートルと、肉眼では点に近い。 体の特徴は長い触角、短い吸収式の口器、丸っこい胸部に細長い腹部とユスリカに似ているが脚が短いのが違う。草むらに葛が被さったところで捕まえたがどんな生活史をもっているのだろう。脚の短いところにヒントがあるのかもしれない。 脚は全体に短いものの、後脚はある程度の長さはある。脚先を中心に引き寄せて伸ばせば尻はかなり上げられそうだ。前脚を同時に縮ませれば口先を地表にうまくつけられ、地表にある餌を効率よく取れるようにも想像してみたがどうだろうか。あるいは、小さな花にとりつき花粉を食べているのかもしれない。附節をよく見ると内側に曲がっていてしがみつくのに便利そうではある。
大きく描いたものが0.8センチ、小さいのが0.2センチの大きさだ。同じようなハチだが大きさは随分違う。 小さいのはもう少し大きくしたものを右下に載せたので細かいところも多少はわかるが、どのみちラフスケッチなので大まかにしかわからないが。 昆虫の種類を見分けるのは至難な技で、追求するのはすっかりあきらめている。いいかげんなものだが、小生の実力はそんなものである。 このラフスケッチは、大がヒメバチ、小がコマユバチだろうと大きさで判断をするぐらいの力しかないので、前回のはヒメバチだろうとしてクモバチとはまったく思わなかったわけだ。 しかし、よく見ると胸部と腹部の付き方など随分違う。そこを追求すればよかったのだが、今回もヒメバチやコマユバチだとの確かさも、実はないのが悩ましいところなのだが。と反省もなく、がばっかりだ。
前回のハチはどんな姿か想像がつかないと思うので、横から描いてみた。 この姿勢も自然ではない。翅を分かりやすくするために立ててある。本来は畳んで胸と腹の上にあるわけだ。 ハチの脚は短いのもいるが長いのが多いようだ。このハチは長い。この絵では腿節を横にして体を高くしているが、腿節、脛節を立てて低く構えるのが普通みたいである。前後で違う動きをすれば、頭を上げたり尻を上げたりも自由自在だ。そして、飛行中は体にぴたっと付けているようだ。 それらの調節ができるのは基節が自在に動かせるのも大きいようだ。また、絵ではうまく描けなかったが、微妙に凹凸があって腿節をより近くに納められるようになっている。 脚が長いのには意味があるに違いないと思うのだ。 09.21追記 このハチはクモバチ科のミイロツメボソクモバチとのご教示を川島逸郎氏より頂いた。有り難いことである。 クモハンターのベッコウバチを改めてクモバチとしたそうである。 子育てのためのクモを求めて間知ブロックの上を動き回っていたのだった。 自然界は喰いつ喰われつである。昆虫を餌としているクモも、また、クモバチの子を育てる餌でもあったのだ。
ハチ(膜翅)目細腰亜目ヒメバチ科のなんとかと思う。体長0.8センチメートル。 つい先頃、近所の間知ブロックの上をせわしなく動き回っていたのを捕まえた。卵を産み付ける相手を探していたのかもしれないが、それらしき相手は見えなかったので不思議な感じではあった。 翅を広げてこちらを警戒しているようなポーズで描いたが、こんなポーズは実際はしない。翅は行儀よく体の上に重ねている。 頭と胸部は黒いが、腹部は飴色なのを強調したくて不自然だが広げたように描いたわけだ。
カメムシ(半翅)目サシガメ科のなんとか。体長1.6センチメートル。 サシガメを初めて見たときは凶悪そうなやつだなと思った。頭は小さいが細長くて蛇的なところもあるし、脚も長くて蜘蛛的だし、一番不気味だったのは、見つけられても逃げないで正面をこちらに向けることだった。 拡大してみると、口器が吸収式だが普通のカメムシに比べるとやけに立派であった。また、体は凸凹が多くて異様な感じである。 やはり凶悪な体つきだったのだ。 ネットで調べると、昆虫ハンターで、こいつに刺されると飛び上がるほどの痛さだとあった。 初見の第六感はあたっていたわけだ。
9月1日から7日まで新作家展に展示されているが、自宅の狭い場所で見ているよりも、東京都美術館の天井が高く広い空間で見たほうが、作品の持つ力を判断しやすい。離れて見たときに特にそうである。 協会賞の今井氏の「コア」は ここ 近くでは細部のうねるような小さな形が連続としてているのに引きつけられるが、離れると気付かなかった全体の明暗の調子が強く意識された。 本人の受賞の挨拶では、時間はかからずスッと出来てしまった作品なので賞をもらって善いものだろうか、などと謙虚な言葉であったが、長い間内部に溜め込んでいたものがスッと出てきたのだと思う。 それに比べ小生のは離れると無残なものであった。仕上げの最後になって焦ったこともあるが、凡夫の浅ましさで、賞を取りたいなどと世俗の功名心が頭をもたげたせいに違いない。
アブラゼミの殻を分解して気門の位置を確かめてみた。 気門の上はカバーがかかっていて、それを外さないと見えない。 考えてみれば地中で生活しているのだから、気門に泥や黴菌が付かないためには必要なことだと思う。 土の中は空気中に比べれば黴菌の数はとんでもなく多いだろう。のんびりしていれば善い餌食にされるのは目に見えているので身を守るのには必死なわけだ。 万が一入ってきても、免疫力で駆逐するのだろう。人間だと血液中の白血球やマクロファージなどがあるが、昆虫でも体液中にいろいろな抗体があって免疫力の元になっているわけだ。 気門の数は、胸部が3個、腹部が7個で間違いがなかった。大きさは水色の線で囲んだように前胸部が特に大きくて、中胸、後胸と小さくなっていた。腹部は一番小さくて皆同じ大きさだった。 巨大な前脚には大きな気門と言うわけだろう。 ついでに腹部の気管を切り離して撮影した。 中段の写真が正面から見たものと横から見たものだ。気門に近い下側が大きくて、気門から離れているので上側のは小さくなっている さらに拡大して対物レンズ40Xで撮影した。一見ジャバラ管のようになっているが、内側が滑らかなようにも見えるので薄い膜に太い骨が入っているようになっているのかもしれない。 いずれにしても、曲がりやすく伸び縮みしやすいのは確かだろう。
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目コガネムシ上科クワガタムシ科クワガタムシ亜科コクワガタだと思う。クワガタの先から尻まで4センチメートルほどあるからかなり大きい。 これも田舎道に転がっていたもの。積極的に昆虫採集をしていないのでこんな大物は滅多にない。 樹液が餌のようなので肉食のオサムシと違ってどことなくのんびりしているように感じる。 眼も子供の愛くるらしさがあると思うがどうだろうか。
夏はセミである。抜け殻を取ってきた。体長3.3センチメートル。 川島逸郎氏のサイトで尻の形で雄雌の区別を(8月11日)触角の形で種類の違いを(8月8日)図示してあった。 ここ それによるとアブラゼミの雄のようだ。 成虫が抜け出した前胸の割れ目から白っぽい管が覗いていた。どこで読んだか思い出せないが、脱皮するときは外骨格の他に気管も脱ぎ捨てるとあったのを思い出した。 それで二つに割って内部をみたのが下の図だ。 胸節から太い管が3本、腹節からは細い管が7本?割れ目に向かって真っ直ぐ伸びていた。 幼虫ながら気管の主要な全体を初めて見たことになる。思わぬところで大発見だった。 しかし、不正確な絵だ。科学者にはなれませんと改めて思ったのだ。
昨年の「覆い尽くす」と、この絵の元の写真は2006年に撮ったものだ。 すぐに作品にしなかったのは、杉に絡んだ蔦や杉そのものをしっかりと感じさせる描写力がないと感じたためだった。 しかし、いつかは絵にしたいと執着していた。 昆虫のスケッチも5年近く続けているが、昆虫の体は頭と胸と腹に6本の脚、4枚の翅、2本の触角が基本で、丸かったり平べっかったり、細長かったりと変化に富んではいるものの大きく見れば単純なものである。 基本は単純な形だが細部は微妙な変化がたくさんある。また左右対称の体はわずかの狂いでもすぐに分かる。実物の感じを余すことなく表現するにはわずかの狂いも排除するデッサン力が必要なのが分かってきた。 「あれこれ」に載せるための昆虫画だったがデッサン力の強化に役立っていたわけだ。 勤勉とは言えないが休まずにこつこつと続けていたことがこの絵に繋がったのだろう。 天賦の才能は乏しくとも「継続は力なり」と改めて思うのだ。
この絵も締め切りが近づいてきた。 木の葉を粗っぽく描いているだけだからサクサクと筆が進んでいるようにしか見えないが、遅遅として進まない。思うに、植物の形をしっかりと頭に入れ成長の仕組みを理解していれば、幹から枝、そして葉っぱへと次ぎから次ぎに描き出せるのではなかろうか。そうなれば快適に早くできるというものだが、それにはしっかりした記憶力は最低の能力だろう。 しかし、昆虫でも実物を見てスケッチしたものを記憶で描いてみると、ばくぜんとした形が出てくるだけで細部などはほとんど覚えていない。お粗末な絵が出来てくる。どうも小生の記憶力は貧弱なようだ。 そのせいでキチンとした描写をするためには写真を撮り、それを克明に写すということになるわけだ。 冷静に考えると、こんなごちゃごちゃしたところを克明に描くのは実に馬鹿げている。それを、しんどいといいながら忍耐の一字でへとへとになりながら描いているのだから、やっぱり小生は馬鹿なんだろうな。と思うこの頃です。
甲虫(鞘翅)目オサムシ亜目オサムシ科オサムシ亜科アオオサムシだろう。体長2.8センチメートル。 田舎道は昆虫が転がっていることがままある。アリに食われて中身がなかったりするが、運がいいと無傷のものに出会える。 昆虫は死ぬ前にエネルギーが足らなくなるのか動けない時期があるようだ。道に転げ出たまま動けなくなったりするわけで、それをありがたく頂戴するわけだ。 このアオオサムシはそうして手に入れたものだが、あまりにきれいすぎて羽化したてのようにも見えた。 原因はなにか。・・・・・うーん気になる。
甲虫(鞘翅)目ゴミムシダマシ科スナゴミムシダマシの仲間のようだ。体長0.8センチメートル。 平べったい砂をまぶしたような褐色の地味なムシで、前回のキマワリと同じ科と思えないほど印象が違う。 似ているところは、大アゴが朽ち木など腐食質のものをかみ砕くのにふさわしいような短くて太いがっちりしたものとか、触角の上が庇状に出ていること、それに附節の数が後脚だけが1ヶ少なくて4ヶになっていることだろうか。 頭に比べて体が大きいのも特徴だが、腐食質のものが餌ならあんまり頭はつかわなくても餌にありつけるが、腐食しているとは言え消化の悪い植物を食べるのだから、消化器官は立派でなくてはいけないわけだなどと考えたがどんなものだろうか。
甲虫(鞘翅)目ゴミムシダマシ科キマワリ亜科キマワリで間違いないだろう。体長1.6センチメートル。 真っ黒の丸っこいボディーに長い脚で勢いよく歩いている特徴あるムシである。 和名は「木廻」で、木の廻りをよく回っているかららしい。幼、成虫共に朽ち木が餌だそうだ。 前にも描いてEの中程に載せてあるが、そのときは真横から描いたので顔つきに気づかないまま描いていた。体に比べて小さい頭なので注意が向かなかったようだ。 しっかり見ると、大きな複眼が正面を向いていて髑髏を思わせる不気味なものだった。 植物食で穏やかなムシのはずだがご面相は凄みをきかせていたわけだ。
林の絵も少しずつ進んでいる。 ごちゃごちゃした絵だから適当に筆を振るえばいいというわけでもない。 実際の感じがでれば問題ないが、絵空事になって終わりだ。と思う。 それで愚直な描写に徹するわけだが、徹しきれると大いなる力を持つと信じて進めているわけだ。
このムシは体長0.4センチしかないが、散歩の途中で蔓性の葉の根元にいた。黒い点に細い脚が線のように出ていたのをめざとく見つけて、プラケースを慌ててかぶせたので飛び立たれてしまった。しまったと後悔したがすぐに戻ってきた。今度は慎重にかぶせてめでたくゲットしたわけだ。 ゾウムシの仲間のようだったが鼻が短かったり、体がズングリしていて少し違う感じもあった。 ネットで調べるとゾウムシ上科オトシブミ科ルリオトシブミ属らしい。 いろいろな木や草につくらしい。葉を食べる植物食性だが作物は食べないので害虫扱いにはなっていないようだ。しかも、葉を切って巻いた揺籃で幼虫を育てる平和なムシだった。 CombineZPの深度合成で小刻みに動いている触角はぶれた。
顕微鏡を覗いてすごいなあと思うのは今日の画像のような構造に気付くときだ。 ハチの翅はバラバラに動いているんじゃないんだ。と驚かされるわけだ。 CombineZPで合成したが、いまいち鮮明でないのは残念だが、後翅の前縁に立ち上がったフックは後ろに丸くなっているが、先端は前方に向きを変えている。なかなか芸が細かい。 上のフックは7本で0.27mmの長さの間に並んでいた。ここには載せないが、相手側の前翅のまくれている長さは1mmであったので、左右に引っかける長さ程度の余裕をもっているのもわかった。 生命はじつに素晴らしいものである。
2013.12.30
今描いているP50の珪藻の絵である。
まだ始まったばかりのラフな段階であるが、形の捉え方に無駄が少なくなってきているような感じをもてた。
それと、初めの下描きは見えたとおりに残らず描いたものの、左上の薄く残っているところなど省略した方がいいのではないかと思えるところが出てきた。
ひたすら見たとおりに描いてきたのに限界を感じ始めているので、画面全体を冷静に見るようになっているのかもしれない。
今年最後の「あれこれ」である。2009年1月から初めたので5年ほど続けたわけだ。
320回目になるが、よくも話題がつきなかったと我ながら感心する。
これも拙い小生のサイトにお付き合い頂いてる方々のお陰と感謝いたします。
2013.12.25
MWSのJシリーズは誰でもが所有する資格はないように思う。
小生はかなり粗忽な性格である。室内も埃が舞っている状態だ。顕微鏡がかなり使えるなと思えるようになった時は、いかに身の回りは埃だらけであるかに気づいたときでもあった。プレパラートも手垢にまみれ、埃だらけにし、拭き取っても元の清浄な状態には戻らない。
なので、Jシリーズは敷居が高かった。
ところが、22日はいつもより早い時間にネットサーフィングを始めたら、Jシリーズの発売直後の「本日の画像」を見ることになった。すでに販売済みのものもある。これは天の配剤だと勝手に都合よく解釈して2点申し込みしてしまった。
注文のメールをして、サイトの更新をしたら、まだ大丈夫であったはずの1点はすでに売れてしまっていた。もう1点の方は、類似のが3点あったので1点は売れていたが、なんとか入手できたわけだ。
24日に届いたので早速検鏡した。1.5×1.0mmの範囲に何の汚れもなく73点もの珪藻が整然と並んでいる驚異の眺めだ。
並べるだけでも驚異だが、それを液体を流して、あるいは流さないのかもしれないが封入するわけだ。しかも珪藻を動かすことなしにするわけだ。
想像もつかない技術が使われているのだろうと夢見るような気持ちで見ていたのが今日の画像だ。
2013.12.20
背景を格子にして撮影すると、大きさの違うアリを一目で比較できる画像がデジタルだと簡単にできる。
ひと枡1ミリメートル角なので、0.15センチから1センチまでの5匹である。
長さで7倍、体積で300倍ぐらいの違いがあるわけだ。
アリ科といってもいろんな形と大きさがあるのがこれだけ見ても感じられるようだ。
一番大きいのがムネアカオオアリ、小さいのがサクラアリ。
残りは左からオオハリアリ、トビイロシアアリの女王、そして色が黒くないのが気になるがクロヤマアリだと思う。
サクラアリの女王も脇にいる女王とおなじような感じで働きアリより随分大きいが、どちらも脚の長さは短いので不格好に見える。空中で交尾した後は巣に籠もったきりで卵を産み続けるのだろうから、長い脚は必要ないわけで女王の特徴なのかなとも思うがどうなんだろう。
2013.12.15
甲虫(鞘翅)目ハネカクシ科のなんとか。体長0.4センチメートル。
ネットの微少昆虫を取り上げているサイトで朽ち木の樹皮下にいる昆虫シリーズのなかにこれとよく似たハネカクシでチビカクコガラシハネカクシとあった。
とはいえ、地味なムシで研究が進んでいないそうだが、種数の多い甲虫のなかでも多さを誇る成功したムシで、日本だけでも2300種ぐらい知られているそうだ。素人が正確な種名など分かるはずもない。でハネカクシのなんとか。
ハネカクシの名の由来は小さな固い前翅の下に長い後翅を納めているが、一見、翅を持っていないように見えるからだそうだ。初めてこの種を見たときは、ハサミのないハサミムシかと思ったぐらいで、翅のある甲虫とは全く思わなかった。
下の写真は矢印のところを金属顕微鏡対物20Xで撮影したものだ。
小さな黒丸が棘毛の根元で、毛が寝ているものは見えるが立っているものは見えない。表皮に刻まれた溝は部位によって形や深さが微妙に違っているようだ。
小生の興味の中心はどうもこのような微細構造にあり、これが見て取れる昆虫図を描きたいと願っているのだが、電子顕微鏡でアリを観察し100号で描いている人が、数センチ角で一日かかったので微細構造はあきらめたと言われたのを聞いて、本当だよなと感じたこともある。
果たして実現できるだろうか。今はまだ全く手が出ない状態だ。
2013.12.10
前回のハエヤドリコマユバチの頭を大きく描いてみた。
見えなかった大アゴがしっかり見えるというわけだ。
昆虫の消化器系の先端も人間と同じで筒の先が開口している。人と違うのは唇の代わりに襞や刷毛状のものが付いていたり、小アゴ肢や下唇肢のような腕状のものが付いていることだろうか。
大アゴはさしずめ歯の代わりであろうが、このムシでは噛み合わせられないので、はてなと言うことになるわけだ。
2013.12.05
ハチ(膜翅)目コマユバチ科ハエヤドリコマユバチの1種らしい。体長0.25センチメートル。
この絵では下になり見えないが、大アゴが頬の外側について先が合わせられない妙な口元である。この特徴と触角が非常に長いのがこのハチの特徴なので多分あっていると思うが、ネットで見つけたのは黒いハチで飴色でなかったのは気がかりではある。
葉っぱの中に蛹を作るハエを「あれこれ」E2010.03.16で取り上げたが、このての蛹に寄生するようだ。
幼虫はそれでいいとして、成虫は妙な大アゴで何を食べているのだろうか、何の役にも立っていないとも思えないが。
2013.11.30
ハエ(双翅)目キノコバエ科ナガマドキノコバエの1種らしい。
体長0.3センチメートル。
小さなものはプロポーションが変わっているのも多い。
このコバエも頭を下げて胸と一体化してるような感じと、巨大な脚が目立った。
大慌てのラフスケッチでプロポーションが狂ったようなので、どのくらいの脚の長さか計測してみた。
直接測るのは難しいので、1ミリ格子の用紙の上に置いて撮影し、フリーのキャドソフトJW_WINで計測した。
JW_WINに画像を貼り付けて縮尺を合わせるのはテクニックがいるが慣れると時間はかからない。
キャドは計測すると細かい数字がでてくる。しかし、縮尺を合わせる基準の格子が太くてムラがあるおおざっぱなものなので精度は悪い。この程度だと思ってもらいたい。
中段に表にしたが、全長は前、後でかなりの違いがある。これは腿節と脛節に大きな違いがあるせいだが、絵をみるとその違いを描き分けてないのがわかる。
がっくりくるが実力のほどがしれるわけだ。
ところで、格子は四角に見えるが実は画像ソフトで修正したもの。元画像は逆樽型の歪みがある。歪み補正も正しいのかも疑問があるし、格子が精密になれば歪みを取り切れないかもしれない。
また、この格子はJW_WINで1ミリ格子の表を作図してインクジェットで印刷したもので明らかにおおざっぱなものだが、お金を出せば精密な格子が手に入る。
小生の立場では必要ないが、だんだん欲しくなってくる。
2013.11.25
新作家展の森の絵で受けた批評で「工芸品にならないように気をつけなさい。」というのがある。
すでになりかかっているのを軟らかく表現したものだろう。その時はあまり感じなかったが時間がたつにつれて重くのしかかってきた。
緻密に緻密にとばかり思い詰めて描いてきたが、よい方向には行かずに悪い結果を残しているのだろう。たとえば、細部の変化を見逃さない観察が失われパターン化の方向にずれてきたとか、全体のバランスがおろそかになっているなどだ。
今度の珪藻の絵はそれを反省して描いている。荒い描き方を復活させ、死んだ珪藻の抜け殻とは言え、動きや生気を感じさせるものを目指しているのだが、よい結果を願うばかりだ。
2013.11.18
前回のアリは、同じ場所で禾本科の種をくわえたのを見つけたのでクロナガアリは正しかった。
ひとつの大きな獲物に群れをなして集まるアリはよく見ていたものだが、一匹だけで、しかも植物の種をくわえて巣に戻っているアリを見るのは初めてだった。
考えてみれば、成熟して散らばった種を集めるのには群れをなすこともないわけだ。
ところで、見る角度で印象が随分違うものだ。荒々しさが消えてかわいらしくなったし、名前のように長い体つきになった。
2013.11.15
ハチ(膜翅)目フタフシアリ科のクロナガアリではないだろうか。体長0.45センチメートル。
禾本科の種を餌にしていて、9から11月にかけて餌集めをする以外は巣にこもっているらしい。
その巣は驚異的に深く、垂直に4メートルをこえているのもあるらしい。
小さなアリだが、腹部以外はシワシワで、長い毛を全身にまとい、大きな頭に大きな大アゴをしていて、なかなか強面な感じがある。
大アゴも太くがっちりしていて、獲物を捕らえる武器というよりは土を掘削する土木機械のようだ。と思うがどうだろうか。
2013.11.10
真鶴は石の産地でもある。自宅のすぐ後ろの山に入っていくと採石場があるし、石屋さんの加工場とか石置き場もすぐ近くにある。
絵に描いたものは、石置き場で拾ってきた真鶴石の欠片だ。
箱根を作っている安山岩というらしい。
採石場を見たとき、大きな岩の固まりがあると思っていたら、以外と小さく割れていたし、がさがさに屑れているところもあった。そして、鉄分が流れて付着したのだろうか表面は褐色だった。
それを割ると青灰色で白や黒のつぶつぶやすじが入っている石になる。
マグマが地下深くゆっくり固まると花崗岩などの深成岩、地表や地表近くで早く固まると安山岩などの火成岩になる。 安山岩は、珪酸分が52〜66パーセントで構成鉱物は斜長石、角閃石、斜方輝石、単斜輝石、磁鉄鉱からなり、石英を含むこともある。などと、ここまでは独習できるが、これから先が大変である。
下の絵は、小石をカットして表面を磨き上げ顕微鏡で見たものだ。
結晶になる暇が無かったところが地の部分で石基、模様の部分が結晶したところで班晶と分類される。
この班晶の大きさは0.6ミリくらいだが、青いのが輝石とか角閃石、白いのが斜長石とか石英とかだろう。というのが最近やっとわかるようになった。
結晶の出来具合や、造岩鉱物の種類などをじっくりと見ていると、その石がどんな経過をたどってきたのかわかるらしいが、そのとっかかりにやっとすがりつけたと言うことだろうか。
2013.11.05
だいぶ前の個展でのことだと思うが、仕事をしながら絵を描いてた仲間が見に来てくれて、いろいろの話をした。
もう亡くなってしまった先輩がなにげに言った。絵は最後は人が出てくると。あるいは、人格と言ったか人柄と言ったかもしれない。
そのときはそんなものかなと軽い気持ちで聞いたが、森の絵の後では怖い言葉だと感ずる。
ここのところ昆虫以外の絵から離れていたのはそのせいもあるかもしれないが、そうもいっていられないので20号で小さいものの、珪藻の絵を描き始めたのだ。
2013.10.30
残酷だと顰蹙されてしまうが、時々昆虫の解剖をしている。子供に返ったというか、昆虫の内部がどうなっているか好奇心が抑えられないのである。
しかし、簡単ではない。小さくてうまく切り離せないし、壊してしまって何が何だか全くわからなくなるのが大抵である。
今回はエタノール漬けにして日をおいて頭部以外の消化系を取り出した。色が無くなってしまったが形はあまり崩れなかったようだ。
体長1.6センチのハナアブだが消化器の長さは3センチ近くある。赤丸で囲んだ以外のものが腹部にとぐろを巻いているわけだ。
ハエ目で不思議なことは、前腸は、のど元で二つに分かれる。分岐した管が中腸に繋がっているが、真っ直ぐ伸びているのは腹部に入って二つの袋(そ嚢?)になっている。中にイガイガのある丸い玉がぎっしり詰まっていたので食べた花粉だと思う。
中腸は吸収と分泌が主な役目らしいが、まだ中身が残っていたので画像では不鮮明だが顕微鏡では二重構造がよくわかった。
また気持ち悪いことを書くが、この虫は捕まえるときも緩慢な動きだったし、すぐに死んだので変だなと思いながら、水中で解剖を始めたところ線虫の泳いでいるのが見えた。透けている腹部をよくよく見たらどうも線虫がうごめいているようである。即エタノール漬けにして日をおいての作業にしたが、内部に沢山の線虫の死骸が見つかった。
人間は特にそうだが、ほ乳類は少ない子供しか作らないので、テレビなどで子供が死ぬ場面を見ても深い悲しみを感じる。しかし、生物一般は子供は死ぬのが当然で、それでも子孫を残すには大量に子供を作る。むだが多い非効率のものが生命の本質だ。と、どこかで読んで頭にこびり付いているが、線虫に寄生されたハナアブを見て、生き物は生を全うするのは実に難しいのだと、またまた実感させられた。
2013.10.25
前回のハチのスケッチである。ヒメバチと思っていたが、寄生バチのサイトを見たら翅脈からするとヒメコバチコマユバチのようだ。体長0.28センチメートル。どちらにしても寄生バチは変わらない。
産卵管は0.16センチメートルの長さだが体に比べれば随分長いので肉眼でも目立つ。この長い産卵管で体をくの字に曲げて樹皮下の何かの幼虫に卵を産み付けるのだろう。
翅は羽ばたくとき以外は重ねて腹部の上において動き回っているが、細腰の様子が不鮮明になるので持ち上げているように描いた。
2013.10.20
ヒメバチの仲間だと思うがこのハチも前回と同じ場所で、葛の葉の裏にいた。
3ミリにも満たないような小さなものである。しかし、こういう小さいものには立派な彫刻を身にまとっているものがいる。このハチは、頭と腹部の大部分はつるりとあっさりしたものだが、その他は複雑なものであった。
実体顕微鏡では細かいところは見分けられないので金属顕微鏡を持ち出して記録した。金属顕微鏡はピントの合う範囲が狭いし立体感もないので、見たとおりに描くと全体はまるでわからないものになる。それでピントをずらしながら想像力で本来の形を復元する作業になる。時間はかかるが正しいかどうかは定かでないものができあがるというわけだ。
それでも出来あがったものをしげしげと見ていたら、角や縁は梁を渡し、内部は小梁を掛けたところもあり凹凸をつけているところもあるのがわかった。たいした造形力である。
自然は意味のないことはしないだろうから、何かわけはあるに違いない。非常に薄い外骨格なので補強でいれた。というのはすぐに思いつくが、小さいものでもつるりとしたものもいるし、このハチでも全身に彫刻されてはいないので違うような気もするが、胸は翅を動かすために筋肉がびっしり入っていて強烈な力を受けるので、そうかもしれないなどと下手な想像を巡らした。
2013.10.15
ヌカカを捕まえた場所は気長に待っていると小さいものが捕まえられる。これもそのようにして捕らえたハエ。
0.35センチしかないからごく小さいが、ズングリしてハエとすぐわかる。全体に赤い色で珍いが、翅脈を見るとどうもフンバエのようだ。
卵から幼虫時代は糞の中で過ごし、成虫になると肉食の生活をしているらしい。
汚物の掃除屋さんと思えば感心なムシだということになるのであるが、やはり一度持ったイメージは変えられず有り難くない獲物だったという気分になる。
2013.10.10
昆虫をひたすら見て描くことを続けているわけだが、パーツをしっかり認識しないと見損なったり、効率が悪かったりするのにやっと気付いた。
今頃気付くのものんびりしたものだが、図@タマバチの1種の側面図(北驫ルの学生版昆虫図鑑)と昔描いた図Aと図Bを比較してみた。
図Aは横正面なのでなんとなく分けられているように見えるが、図Bは中胸側板、後胸側板と前伸腹節などの関係が曖昧なのがはっきりわかる。仕組みを理解してないのが歴然だ。
昆虫の翅を動かす仕組みは2種類あるそうだ。一つはトンボのように翅の基部に着いた筋肉で翅そのものを動かすもの。もう一つは外骨格の形を変形させて翅を動かすもので、ハチは後者であるそうだ。
働きアリは飛ぶのをあきらめているのでハチのように胸部のパーツが動く必要はない。逆にがっちり付いていた方が力が出せそうだ。それで融合して境がいまいちわからなくなったようだ。
それでも前胸だけは別にして、向きをわずかに変えたりなど細かい動きに対応しやすいので、残りの部分と切り離しておいたので、その境はよくわかる。などとまたしても妄想を繰り広げてしまった。
2013.10.05
前回のはヌカカ(糠蚊)の一種らしい。とても小さくて網戸もくぐり抜け、人や動物を刺すけしからん奴だった。
絵に描いたのは0.25センチだから網戸はくぐれないし、また、雄でもあるので刺されることはないが、雄がいれば雌もいる道理だから捕まえた場所は安心は出来ないのだ。
花穂に頭を突っ込んでいる写真もあったから、成虫は花密を餌としているのだろうが、幼虫は水の生活でボーフラのようではなく線虫のような形態だというからごく小さいプランクトンや細菌などを食べているのだろうか。
今回も小さくて0.25センチしかない。イエバエとハナバエの翅脈の違いを克明に解説していたサイトがあったが、ハナバエのものと一致するようなのでハナバエの一種だろう。幼虫は植物の根などを食べる害虫との解説もあった。
このハエは暗色のところはビロードの感じがある。透明な細かい毛にびっしり覆われているからだと思われるが、頭の一部を拡大してみた。長い刺毛は溝が掘られており根元はしっかり補強されている。昆虫の体は拡大すればするほど素晴らしい。
2013.09.30
翅が2枚に平均棍が2本だからハエ(双翅)目だけは確かだが、そこから先がちんぷんかんぷんである。カやユスリカの雄のように触角がフサフサしているから、これも雄だろう。体長0.25センチメートルと、肉眼では点に近い。
体の特徴は長い触角、短い吸収式の口器、丸っこい胸部に細長い腹部とユスリカに似ているが脚が短いのが違う。
草むらに葛が被さったところで捕まえたがどんな生活史をもっているのだろう。脚の短いところにヒントがあるのかもしれない。
脚は全体に短いものの、後脚はある程度の長さはある。脚先を中心に引き寄せて伸ばせば尻はかなり上げられそうだ。前脚を同時に縮ませれば口先を地表にうまくつけられ、地表にある餌を効率よく取れるようにも想像してみたがどうだろうか。あるいは、小さな花にとりつき花粉を食べているのかもしれない。附節をよく見ると内側に曲がっていてしがみつくのに便利そうではある。
2013.09.25
大きく描いたものが0.8センチ、小さいのが0.2センチの大きさだ。同じようなハチだが大きさは随分違う。
小さいのはもう少し大きくしたものを右下に載せたので細かいところも多少はわかるが、どのみちラフスケッチなので大まかにしかわからないが。
昆虫の種類を見分けるのは至難な技で、追求するのはすっかりあきらめている。いいかげんなものだが、小生の実力はそんなものである。
このラフスケッチは、大がヒメバチ、小がコマユバチだろうと大きさで判断をするぐらいの力しかないので、前回のはヒメバチだろうとしてクモバチとはまったく思わなかったわけだ。
しかし、よく見ると胸部と腹部の付き方など随分違う。そこを追求すればよかったのだが、今回もヒメバチやコマユバチだとの確かさも、実はないのが悩ましいところなのだが。と反省もなく、がばっかりだ。
2013.09.20
前回のハチはどんな姿か想像がつかないと思うので、横から描いてみた。
この姿勢も自然ではない。翅を分かりやすくするために立ててある。本来は畳んで胸と腹の上にあるわけだ。
ハチの脚は短いのもいるが長いのが多いようだ。このハチは長い。この絵では腿節を横にして体を高くしているが、腿節、脛節を立てて低く構えるのが普通みたいである。前後で違う動きをすれば、頭を上げたり尻を上げたりも自由自在だ。そして、飛行中は体にぴたっと付けているようだ。
それらの調節ができるのは基節が自在に動かせるのも大きいようだ。また、絵ではうまく描けなかったが、微妙に凹凸があって腿節をより近くに納められるようになっている。
脚が長いのには意味があるに違いないと思うのだ。
09.21追記
このハチはクモバチ科のミイロツメボソクモバチとのご教示を川島逸郎氏より頂いた。有り難いことである。
クモハンターのベッコウバチを改めてクモバチとしたそうである。
子育てのためのクモを求めて間知ブロックの上を動き回っていたのだった。
自然界は喰いつ喰われつである。昆虫を餌としているクモも、また、クモバチの子を育てる餌でもあったのだ。
2013.09.15
ハチ(膜翅)目細腰亜目ヒメバチ科のなんとかと思う。体長0.8センチメートル。
つい先頃、近所の間知ブロックの上をせわしなく動き回っていたのを捕まえた。卵を産み付ける相手を探していたのかもしれないが、それらしき相手は見えなかったので不思議な感じではあった。
翅を広げてこちらを警戒しているようなポーズで描いたが、こんなポーズは実際はしない。翅は行儀よく体の上に重ねている。
頭と胸部は黒いが、腹部は飴色なのを強調したくて不自然だが広げたように描いたわけだ。
2013.09.10
カメムシ(半翅)目サシガメ科のなんとか。体長1.6センチメートル。
サシガメを初めて見たときは凶悪そうなやつだなと思った。頭は小さいが細長くて蛇的なところもあるし、脚も長くて蜘蛛的だし、一番不気味だったのは、見つけられても逃げないで正面をこちらに向けることだった。
拡大してみると、口器が吸収式だが普通のカメムシに比べるとやけに立派であった。また、体は凸凹が多くて異様な感じである。
やはり凶悪な体つきだったのだ。
ネットで調べると、昆虫ハンターで、こいつに刺されると飛び上がるほどの痛さだとあった。
初見の第六感はあたっていたわけだ。
2013.09.05
9月1日から7日まで新作家展に展示されているが、自宅の狭い場所で見ているよりも、東京都美術館の天井が高く広い空間で見たほうが、作品の持つ力を判断しやすい。離れて見たときに特にそうである。
協会賞の今井氏の「コア」は ここ 近くでは細部のうねるような小さな形が連続としてているのに引きつけられるが、離れると気付かなかった全体の明暗の調子が強く意識された。
本人の受賞の挨拶では、時間はかからずスッと出来てしまった作品なので賞をもらって善いものだろうか、などと謙虚な言葉であったが、長い間内部に溜め込んでいたものがスッと出てきたのだと思う。
それに比べ小生のは離れると無残なものであった。仕上げの最後になって焦ったこともあるが、凡夫の浅ましさで、賞を取りたいなどと世俗の功名心が頭をもたげたせいに違いない。
2013.08.30
アブラゼミの殻を分解して気門の位置を確かめてみた。
気門の上はカバーがかかっていて、それを外さないと見えない。
考えてみれば地中で生活しているのだから、気門に泥や黴菌が付かないためには必要なことだと思う。
土の中は空気中に比べれば黴菌の数はとんでもなく多いだろう。のんびりしていれば善い餌食にされるのは目に見えているので身を守るのには必死なわけだ。
万が一入ってきても、免疫力で駆逐するのだろう。人間だと血液中の白血球やマクロファージなどがあるが、昆虫でも体液中にいろいろな抗体があって免疫力の元になっているわけだ。
気門の数は、胸部が3個、腹部が7個で間違いがなかった。大きさは水色の線で囲んだように前胸部が特に大きくて、中胸、後胸と小さくなっていた。腹部は一番小さくて皆同じ大きさだった。
巨大な前脚には大きな気門と言うわけだろう。
ついでに腹部の気管を切り離して撮影した。
中段の写真が正面から見たものと横から見たものだ。気門に近い下側が大きくて、気門から離れているので上側のは小さくなっている
さらに拡大して対物レンズ40Xで撮影した。一見ジャバラ管のようになっているが、内側が滑らかなようにも見えるので薄い膜に太い骨が入っているようになっているのかもしれない。
いずれにしても、曲がりやすく伸び縮みしやすいのは確かだろう。
2013.08.25
甲虫(鞘翅目)目カブトムシ亜目コガネムシ上科クワガタムシ科クワガタムシ亜科コクワガタだと思う。クワガタの先から尻まで4センチメートルほどあるからかなり大きい。
これも田舎道に転がっていたもの。積極的に昆虫採集をしていないのでこんな大物は滅多にない。
樹液が餌のようなので肉食のオサムシと違ってどことなくのんびりしているように感じる。
眼も子供の愛くるらしさがあると思うがどうだろうか。
2013.08.20
夏はセミである。抜け殻を取ってきた。体長3.3センチメートル。
川島逸郎氏のサイトで尻の形で雄雌の区別を(8月11日)触角の形で種類の違いを(8月8日)図示してあった。 ここ それによるとアブラゼミの雄のようだ。
成虫が抜け出した前胸の割れ目から白っぽい管が覗いていた。どこで読んだか思い出せないが、脱皮するときは外骨格の他に気管も脱ぎ捨てるとあったのを思い出した。
それで二つに割って内部をみたのが下の図だ。
胸節から太い管が3本、腹節からは細い管が7本?割れ目に向かって真っ直ぐ伸びていた。
幼虫ながら気管の主要な全体を初めて見たことになる。思わぬところで大発見だった。
しかし、不正確な絵だ。科学者にはなれませんと改めて思ったのだ。
2013.08.15
昨年の「覆い尽くす」と、この絵の元の写真は2006年に撮ったものだ。
すぐに作品にしなかったのは、杉に絡んだ蔦や杉そのものをしっかりと感じさせる描写力がないと感じたためだった。
しかし、いつかは絵にしたいと執着していた。
昆虫のスケッチも5年近く続けているが、昆虫の体は頭と胸と腹に6本の脚、4枚の翅、2本の触角が基本で、丸かったり平べっかったり、細長かったりと変化に富んではいるものの大きく見れば単純なものである。
基本は単純な形だが細部は微妙な変化がたくさんある。また左右対称の体はわずかの狂いでもすぐに分かる。実物の感じを余すことなく表現するにはわずかの狂いも排除するデッサン力が必要なのが分かってきた。
「あれこれ」に載せるための昆虫画だったがデッサン力の強化に役立っていたわけだ。
勤勉とは言えないが休まずにこつこつと続けていたことがこの絵に繋がったのだろう。
天賦の才能は乏しくとも「継続は力なり」と改めて思うのだ。
2013.08.10
この絵も締め切りが近づいてきた。
木の葉を粗っぽく描いているだけだからサクサクと筆が進んでいるようにしか見えないが、遅遅として進まない。
思うに、植物の形をしっかりと頭に入れ成長の仕組みを理解していれば、幹から枝、そして葉っぱへと次ぎから次ぎに描き出せるのではなかろうか。そうなれば快適に早くできるというものだが、それにはしっかりした記憶力は最低の能力だろう。
しかし、昆虫でも実物を見てスケッチしたものを記憶で描いてみると、ばくぜんとした形が出てくるだけで細部などはほとんど覚えていない。お粗末な絵が出来てくる。どうも小生の記憶力は貧弱なようだ。
そのせいでキチンとした描写をするためには写真を撮り、それを克明に写すということになるわけだ。
冷静に考えると、こんなごちゃごちゃしたところを克明に描くのは実に馬鹿げている。それを、しんどいといいながら忍耐の一字でへとへとになりながら描いているのだから、やっぱり小生は馬鹿なんだろうな。と思うこの頃です。
2013.08.05
甲虫(鞘翅)目オサムシ亜目オサムシ科オサムシ亜科アオオサムシだろう。体長2.8センチメートル。
田舎道は昆虫が転がっていることがままある。アリに食われて中身がなかったりするが、運がいいと無傷のものに出会える。
昆虫は死ぬ前にエネルギーが足らなくなるのか動けない時期があるようだ。道に転げ出たまま動けなくなったりするわけで、それをありがたく頂戴するわけだ。
このアオオサムシはそうして手に入れたものだが、あまりにきれいすぎて羽化したてのようにも見えた。
原因はなにか。・・・・・うーん気になる。
2013.07.30
甲虫(鞘翅)目ゴミムシダマシ科スナゴミムシダマシの仲間のようだ。体長0.8センチメートル。
平べったい砂をまぶしたような褐色の地味なムシで、前回のキマワリと同じ科と思えないほど印象が違う。
似ているところは、大アゴが朽ち木など腐食質のものをかみ砕くのにふさわしいような短くて太いがっちりしたものとか、触角の上が庇状に出ていること、それに附節の数が後脚だけが1ヶ少なくて4ヶになっていることだろうか。
頭に比べて体が大きいのも特徴だが、腐食質のものが餌ならあんまり頭はつかわなくても餌にありつけるが、腐食しているとは言え消化の悪い植物を食べるのだから、消化器官は立派でなくてはいけないわけだなどと考えたがどんなものだろうか。
2013.07.25
甲虫(鞘翅)目ゴミムシダマシ科キマワリ亜科キマワリで間違いないだろう。体長1.6センチメートル。 真っ黒の丸っこいボディーに長い脚で勢いよく歩いている特徴あるムシである。
和名は「木廻」で、木の廻りをよく回っているかららしい。幼、成虫共に朽ち木が餌だそうだ。
前にも描いてEの中程に載せてあるが、そのときは真横から描いたので顔つきに気づかないまま描いていた。体に比べて小さい頭なので注意が向かなかったようだ。
しっかり見ると、大きな複眼が正面を向いていて髑髏を思わせる不気味なものだった。
植物食で穏やかなムシのはずだがご面相は凄みをきかせていたわけだ。
2013.07.20
林の絵も少しずつ進んでいる。
ごちゃごちゃした絵だから適当に筆を振るえばいいというわけでもない。
実際の感じがでれば問題ないが、絵空事になって終わりだ。と思う。
それで愚直な描写に徹するわけだが、徹しきれると大いなる力を持つと信じて進めているわけだ。
2013.07.15
このムシは体長0.4センチしかないが、散歩の途中で蔓性の葉の根元にいた。黒い点に細い脚が線のように出ていたのをめざとく見つけて、プラケースを慌ててかぶせたので飛び立たれてしまった。しまったと後悔したがすぐに戻ってきた。今度は慎重にかぶせてめでたくゲットしたわけだ。
ゾウムシの仲間のようだったが鼻が短かったり、体がズングリしていて少し違う感じもあった。
ネットで調べるとゾウムシ上科オトシブミ科ルリオトシブミ属らしい。
いろいろな木や草につくらしい。葉を食べる植物食性だが作物は食べないので害虫扱いにはなっていないようだ。
しかも、葉を切って巻いた揺籃で幼虫を育てる平和なムシだった。
CombineZPの深度合成で小刻みに動いている触角はぶれた。
2013.07.05
顕微鏡を覗いてすごいなあと思うのは今日の画像のような構造に気付くときだ。
ハチの翅はバラバラに動いているんじゃないんだ。と驚かされるわけだ。
CombineZPで合成したが、いまいち鮮明でないのは残念だが、後翅の前縁に立ち上がったフックは後ろに丸くなっているが、先端は前方に向きを変えている。なかなか芸が細かい。
上のフックは7本で0.27mmの長さの間に並んでいた。ここには載せないが、相手側の前翅のまくれている長さは1mmであったので、左右に引っかける長さ程度の余裕をもっているのもわかった。
生命はじつに素晴らしいものである。